私たちの「舞台」は始まったばかり。   作:かもにゃんこ

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さあさあ!サブタイトルですが初めて主人公のセリフになりました(^o^)/

なんでサブタイトルをセリフにしようかと思ったって?演劇の話だからです(適当)

デート回というわけではありませんが、圭と優美のイチャイチャ回です。


「そのときが来たらさ、ちゃんと言うから」

文化祭の次の日は月曜日だが、振替休日なため休みになっている。

 

圭は昨日の優美とのやりとりのことで、もやもやしててなかなか寝られなかったこともあり、11時くらいに目が覚めた。

 

寝れば少しくらいはもやもやした気持ちも晴れるかなと思ったが、起きてすぐにまた昨日の場面が思い出されてしまう。

 

どうせ家にいてもつまらないし、もやもやを少しでも晴らそうと適当に出掛けようと思い、食事をとり準備をし家を出た。

 

特にどこに出かようとは思ってなかったため、駅の方にある大型複合施設へ向かう。

と、入り口のところで後ろから声をかけられた。

 

「林崎くん、だよね?」

 

振り向くとそこにはもやもやの原因の人がいた。

 

「あ・・・ど、どうも」

 

髪はおろして帽子をかぶっていたりしたため一瞬誰かと思ったが、優美がそこにいた。

 

俺もTシャツにジーパンとうラフな格好であるように、彼女も袖なしのシャツに短パンという格好。

 

「偶然だね!何してたの?」

 

「いや、暇だしただどっかに行こうかな、みたいな・・・」

 

俺は若干意識していることもあり、何かぎこちない感じだったが、優美はいつもと一緒に見える。あんまり深くは考えてなかったのだろうか?

 

「あれ?C組って確か今日文化祭の打ち上げするー!ってC組の子に聞いたけど行かないの?」

 

そう、優美の言う通り今日うちのクラスでは打ち上げをしている。

 

「あ、いや、劇のこともあってクラスの方はほとんど手伝えなかったし」

 

ということ。決して昨日の優美とのやり取りのせいじゃないからね?

 

それを聞いた優美はえっ!という表情になった。ん?どうしたんだろう?

 

「林崎くんもそうだったんだ!私もさあ、今日クラスの打ち上げだったんだけど行きにくくて・・・」

 

「一緒の考えしてる人がいてなんか嬉しいかも!」

 

なんという偶然!というか出掛けるところも同じだとはね。

 

しかし、それだけ会話して、またなんとも言えない感じになり会話は止まる。いつもだったらこんなことはなかったはずだが・・・。

 

ここで別れようと言おうかと思ったときだった。

 

「あのさ・・・」

 

「え・・・?」

 

「いやね、昨日あれから私たちなんか気まずくなっちゃった感じで・・・。私がちょっと先走って『今日で終わり』って言っちゃったから、かなって」

 

「だっていくら劇が大成功したって言っても新入部員が絶対に入るとは限らないし・・・それなのに勝手なこと言ってごめんなさい」

 

そう優美は俺に。俺とは少し感じ方が違ったが、彼女は彼女なりに悩んでたみたい。

 

正直俺も、そこまで言われて色々余計に考えてしまってたなあと思い、

 

「いや、俺こそごめん。変な態度とったりして」

 

と謝った。

 

「ううん、大丈夫!」

 

と、優美はいつもの笑顔に戻る。

 

「とりあえず今は待つしかないし、余計に考えないようにするよ」

 

「うん、私も!そういうのは時間経ってからどうするか考えればいいよね!」

 

どうやら2人とも意見は一致したらしい。あの時こう言ってればあんなに考えないで済んでいたって感じか。

 

「ねぇねぇ!せっかく会ったんだしさ、一緒にブラブラしない?」

 

いつも通りに戻った優美は、そう圭を誘う。こういう会話に違和感がなくなったのは嬉しく思う。まあ、特に2人の間で何もなかったら会ったときにこう言われただろうね。

 

「でも一応いきたいところはあるんじゃないの?俺はなんとなく来ただけだから大丈夫だけど」

 

今までの会話から、そんなこと聞くまでもないかなと思いつつも確認。俺ってイヤな奴かな?

 

「私もなんとなく来ただけだから・・・あははっ」

 

予想通りだった。

 

「じゃあとりあえず適当にまわってみようか」

 

「うん!いいよ!」

 

それでいいというのは正直にめちゃくちゃ嬉しい。

 

と、優美があっ!と声を上げる。なんだ・・・?

 

「いやね、一緒に遊ぶってわかってたらもうちょっと違う服着たなあって思って」

 

何着てても可愛いと思ったけどそんなこと言えるはずもなく・・・。

 

「あははっ・・・」

 

苦笑いが精一杯。今はこれでいいよね!

 

「まあ、行こっか!」

 

自分が着てる服に恥ずかしがりながらも2人で歩き出した。

 

 

× × ×

 

 

優美は本当に何も決めてなかったらしく、興味あるお店を見つけたら見る、そんな感じ。自分ばっかりじゃ悪いと思ってしまうかなと思ったので俺も適当に興味あるところに来ると一緒に入る感じ。

 

ぶっちゃけデートですよね(笑)

 

いくつかお店を見たあと、優美がちょっと服が見たいということで服屋さんへ。こういうところの服屋って話しかけて欲しくないのに話しかけてくるんですよね。

 

店内では秋服がたくさんある。まだ世間は暑いがこういうもんだよね。

 

「わあ!これ可愛い!」

 

優美はオレンジに黒のドット柄のワンピースを見て目を輝かせている。とこちらへ顔を向く。

 

「いつも買おうと思ってもやめるんだよねえ。ワンピースって着たことないから似合わないかなって思って」

 

正直、そう言われてもなんて言えばいいのかわからないです。慣れている人であれば「試しに着てみれば?」くらい言えるんでしょうね。

 

「・・・試着してもいいかな?時間ちょっとかかるけど・・・」

 

お、なんとも言えない空気になる前にそう言ってくれて助かる。特に時間ないわけでもないしここはOKする。

 

「別にいいよ?ぶらぶらしてるだけだしね」

 

「よかった!じゃあ着てくるね!」

 

そう言いながらトテトテと店員さんのところへ行き試着を始めた。一人残された俺はイスが近くにあったので座らせてもらうことにした。

 

「彼女さん可愛いですね」

 

「え!?」

 

いきなり過ぎて変な声出てしまった。やっぱり店員さんから見たらそう見えるんすね。

 

「いや、彼女じゃないですけど・・・」

 

「えー!じゃあ・・・片思いなんですか~?」

 

この店員さん、麻由美並に絡んでくるな・・・。めんどくさい。

 

「まあ、そんな感じですかね」

 

「じゃあ、頑張ってくださいね~!」

 

そう言い店員さんは立ち去った。とその試着室のカーテンが空き中から優美が出てくる。

 

「ど、どう・・・?変じゃない・・・?」

 

可愛い。普通に可愛い。似合わないなんてとんでもない。変に感想言わないのもアレなんで素直に言おう。

 

「似合ってるよ」

 

「ほ、ホント!?」

 

「嘘言うわけないじゃん。いいと思うよ」

 

「そっかあ・・・えへへ」

 

優美の笑顔はワンピースに負けないくらい可愛いけどね(笑)

 

「私も似合ってると思いますよ。どうします?ご購入されますか?」

 

店員さんはそう聞いてくる。が、優美はちょっと難しい顔をした。

 

「うーん、実はちょっとおっきいなあと思って・・・」

 

難しい顔を正体はそれだった。

 

「ごめんなさい、その色のサイズはそれだけなんです」

 

「あー・・・そうですか・・・わかりました、じゃあ大丈夫です」

 

優美はめちゃくちゃ残念そうな顔をした。俺もあの服来た優美と一緒に出掛けたか・・・いや、なんでもない!

 

 

× × ×

 

 

そんなこんなでワンピースは残念だったが、その後もお茶したりして楽しく過ごし夕方になったのでそろそろ帰ろうとなった。

 

「今日はありがとう!めっちゃ楽しかった!」

 

夕日に照らされた優美はいつもよりも可愛く見えた。

 

「俺も。こういうのも悪くないね」

 

「・・・聞いてもいい?」

 

笑顔から一転、真剣な顔つきになる優美。

 

「うん」

 

「明日からはさ、私と亜由美は新しい演劇部として活動するけど、林崎くんはどうするのかなって」

 

聞かれると思っていた質問だったので答えは用意してた。

 

「依頼はひとまず終わったし、俺は部員じゃないし参加しないかな。生徒会の仕事も多少あるし」

 

「・・・そっか。まあ、そうだよね」

 

「でも」

 

「え?」

 

「会ったときに竹下さんも言ってたじゃん?部員が必ず入ってくれるとは限らない」

 

「だから、『今は』かな。それからは・・・ぶっちゃけ後で決めてもいい?」

 

俺は笑顔でそう言った。これからのことなんてホントにわからない。だから今はこの形に、と言う方がいいと思った。

 

「うん!わかった!何かあったらちゃんと報告するね!」

 

「うん、ありがとう」

 

今はこれでいい。先の先まで考えなくても。でももう一つだけ、俺は言っておきたいことがあった。

 

「・・・あのさ、俺ずっと竹下さんのことは真剣に考えてるから」

 

「え・・・?あ・・・あ、ありがとう」

 

いきなりそんなことを言われて彼女はビックリする。その後、顔が赤く見えたのは夕日のせいだけじゃないと思いたい。俺は話を続ける。

 

「そのときが来たらさ、ちゃんと言うから」

 

「・・・うん、わかった」

 

依頼も真剣に考えてやっていたのは当たり前だけど、こっちもちゃんと考えるってことは言わなければと俺は思っていた。

 

「じゃあ、また」

 

「うん!バイバイ!」

 

優美は改札に向かう。俺は彼女が見えなくなるまで後ろ姿を見届けた。2回、こちらへ振り返り手を振ってくれた。

 

2回目に振り返ってたとき、前から来た人にぶつかっていい雰囲気がなくなったのは後の笑い話。




圭が『それでいいというのは正直にめちゃくちゃ嬉しい』と思っていたところですが、優美が『圭と一緒にいるだけで嬉しい』と思ってくれている、ということでしたが、伝わりましたでしょうか・・・?こういう表現は好きなのでこれからもちょこちょこ入れていこうと思います(*^_^*)

あと、優美が「ちょっとおっきい」って言ったアレですが、決して胸が小さいからというわけではありません(笑)

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