私たちの「舞台」は始まったばかり。   作:かもにゃんこ

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前回の後書きに書いた通り、番外編をお届けします(^o^)/

麻由美目線でのお話です。


番外編  舞台裏、梅田麻由美は。

文化祭当日、教室へ行った私は今日の舞台の「主役」にさっそく声をかけた。

 

「優美、おはよう~!」

 

「あ、おはようっ!麻由美ちゃん!」

 

今日が本番なのか~!まさか私も少しだけど協力できるなんて思ってもなかったよ~!

 

今日まで、色々あったな~!初めて優美と話したのは4月の終わりくらいだったかな?

 

 

× × ×

 

 

時間は遡り、4月下旬

 

 

「あゆちゃんおっはよ~!」

 

「おはよう、麻由美。今日も元気ね」

 

あゆちゃんとは中学からの友達~!今年もクラス一緒で仲良しで~す!

 

「あゆちゃんの方はなんか元気ないね~?何かあったの?」

 

いつも元気いっぱい、というわけじゃないけど、暗いのは私でもわかるくらい。

 

「ちょっとね・・・部活の方で色々あってね・・・」

 

少し変わった先輩がいるとは聞いていたけど、何かヤバい問題でも起きたのだろうか?

 

そんなことを考えいたらあゆちゃんの隣にいた女の子が口を開く。

 

「新入部員誰も入らないなんてね~。さすがの私もショック・・・」

 

確か竹下優美さんだっけ?話したことないけど、名前くらいは覚えていた。

 

「竹下さんもあゆちゃんと同じ演劇部なの~?」

 

「うん、そうだよ!」

 

「あ、私のことは優美でもいいよ~!」

 

人懐っこくっ笑顔が可愛い感じの子だなあ~と。私だけ名前で呼ぶのもアレだし、

 

「私も麻由美でいいよ~?」

 

「うん、ありがとう、麻由美ちゃん!」

 

ホント笑顔が可愛い!妹にしたいくらい(笑)

 

ホームルームまでまだ時間もあったし、私は2人に何があったのか詳しく聞いた。

 

 

「なるほど~・・・。なかなか難しい問題ですな~」

 

「部員が集まらない原因ははっきりしてるけど、どう手を打てばって感じだね~」

 

そこまで話してたら先生が来てホームルームが始まった。

 

私はそれから1時間目の授業に入ってもそのこと考えていた。

 

う~ん、あゆちゃんのためにも何かいい案は浮かばないかな~。

 

「・・・めだ!」

 

でも先輩がいる限りはなあ~。

 

「梅田!聞いてるか?」

 

「え!?」

 

「え、じゃないだろ。授業に集中してないなんて梅田にしては珍しいな」

 

あ~!つい集中し過ぎて先生の声も聞こえてなかったみたい・・・。

 

ちなみに私は先生やクラスメイトからは真面目な生徒で通ってるらしい。自分ではそんな自覚ないけどね~。普通に授業受けて、普通に復習とかする感じ~。

 

でも私は部活とかそういうのやってなくて、ただだだ学校に来てる感じで毎日に刺激がない。だからってわけじゃないけど、あゆちゃんと優美の悩み事に真剣に考えていた。

 

だけど・・・。

 

 

あれから数日たってもいい案は思いつかず、あゆちゃんへは私じゃあ無理かなあって感じで返答した。

 

誰かの力になれる~!って意気込んでたし、自分としてもショックでした。

 

 

それから1ヶ月半ほど経ったある日、例の悩みを解決してくれそうだと言う人が現れたらしい。私はちょっとその人に嫉妬心を抱きながらも、どんな感じになったかを2人に聞いた。

 

「一緒になって手伝ってくれる人が出来たんだよね?」

 

「うん!生徒会の男の子なんだけど、凄くいい人!私たちが考えに考えてもダメだった悩みを解決してくれて!」

 

優美はめちゃくちゃ嬉しそうにそう話す。その嬉しそうな顔と言ったら今までで一番の笑顔だったの!

・・・はは~ん、これは優美ちゃん、その人が気になってるみたいだねぇ~!

 

さて、ちょっとからかってみようかと悪魔の心になったとき、

 

「あ、そうそう!今日ね、打ち合わせするからお昼休みにうちのクラスに来るんだよ!麻由美ちゃんも一緒にお話する?」

 

ほうほう~!うちに来ると!これは優美よりもまずこっちをからかった方が面白いかも~?

 

無関係だし打ち合わせに入るのはさすがに遠慮したけど、ちょっとちょっかいだしてみよう~!

 

私は別のクラスメイトを誘い、作戦を立てた。

 

教室に入られていきなり優美たちと遭遇したら終わりだから私とその子で教室の前と後ろのドアの近くで待機。来たら足止めしようというもの(我ながら酷いなあとは思った)

 

そして昼休みになるやいなや友達の包囲網に引っ掛かる。

 

と思ったら、なぜか優美たちを呼んでいた~!な、何してんの!でも例の彼はまた教室を出ていった。ホッ!

 

「ちょっとちょっと~!なんで優美たち呼んだの~?裏切り~?」

 

「いや~、あの人爽やかだったからついつい!」

 

「もう~!次もこっちくると思うから私がこっち~!」

 

それから数分待ったら来た来た!

 

教室に入るや否や、彼を捕まえる。

 

「ねぇねぇ!キミ林崎くんだよね?」

 

「そうだけど?何か?」

 

ホント真面目で爽やかな感じ~!いい人なのは間違いないね!

 

「私、優美とあゆちゃんの友達なんだけどさ、色々話聞いてるの!」

 

そう言ったら、林崎くんはあからさまにイヤーな顔をした!察し良すぎ!でも面白そうだし聞いちゃおう~!

 

「で、ぶっちゃけなんだけど2人のどっちかと付き合ってるんでしょ?」

 

「ぶっ!」

 

お!これはイイ反応~!少しは意識してるっぽいね!

 

「いや、そういうんじゃないから!マジで!」

 

否定してくるけど、どうみて焦っていたので、追撃をする。

 

「え~!ホントかな~?あ、じゃあさ!付き合ってないにしてもどっちか狙ってたりするんじゃないの~?」

 

「そういうのはないから!うん、ないない!」

 

すっごく全力で否定してきた。余計怪しいなあ~!

 

「怪しいねぇ~?必死過ぎるよぉ~?ほらほら、素直になればお姉さん手伝ってあげるよ?」

 

これでどうかな~?いくら真面目でもちょっとくらいは落ちそうだけど・・・。

 

でも彼は口を開かず。いや、はなんかパクパク開いてたけど(笑)そんな彼を私はじーっと見る。ぐっ!なかなか落ちない・・・!

 

「麻由美~?ちょっといい~?」

 

と、いきなり友達に呼ばれた!え~?今いいところなのにぃ~!まあ、これ以上聞いても詳しいことは教えてくれなそうか~。

 

「じゃあまたね、林崎くん!」

 

それからは友達と話ながらも3人が話してるのが気になった。

 

何を話してるのかが気になるとかじゃなく、単純に誰かの為に頑張ろうとしている彼が羨ましいと思ったからである。

 

 

それから数日が経ったある日、私は廊下の掲示板に「文化祭実行委員募集中」と書いてあるものを見つけた。

 

そのとき、これだ~!と思った。

 

文化祭実行委員になれば少なくとも生徒のために、何か出来る。

 

さっそく私は実行委員になった。

 

それからは楽しい日々の連続だった。誰かのために、そう思いながら始めた実行委員だったけど、他の生徒と色々協力しながら一つのものを作り上げることの楽しさにもハマり、学校=文実、くらいまでになってしまった(笑)

少しくらいは「誰がのために頑張ってる私カッコいい」みたいな感情はあったかもだけどね~!

 

 

× × ×

 

 

時は流れ、ついに文化祭本番前日。

 

文実の方はあとはもう文化祭を迎えるのみ!というところまで来ていたが、クラスの方がまだ準備が出来ていないということで、手があいている人、クラスメイトほぼ全員になるが、準備に追われていた。

 

もちろんその中には明日、部の運命が決まると言っても過言でない優美の姿も。

 

「優美~?劇の方は大丈夫~?」

 

「うん、大丈夫だよ!リハーサルだけは抜けるけど、それ以外はこっち手伝わなきゃね!心配してくれてありがとっ!」

 

「そう?」

 

そのときはそう答えたけど、内心は・・・。

ただ、クラスの準備もバタバタしてるし、ヘタに抜けてもいいよとは言いにくい感じなのは確かであった。

 

それから文実で呼ばれたり、また私も黒子だけではあるが出演するため、劇団けゆあのリハーサルに出るため少し抜けたり。

 

そのリハーサルだけど、少し役者(特に優美と林崎くん)がバタバタしてるかなって。素人目にもわかるくらい。

私はそれを見てあること決めた。

 

『優美たちは練習させてあげよう』

 

それから出番を終えた私はすぐに教室へと戻り、クラスの出し物を仕切ってる人(男子)に話した。

 

「ごめん!お願いがあるんだけど!」

 

「どうしたの?」

 

「あのね、竹下さんと小松さんなんだけど、明日劇の発表の本番で、それでその劇でこれからの彼女らが決まってしまうくらい大事なの!だから、2人だけはそっちに専念させてもいいかな・・・?」

 

「え?うーん、2人くらいならっていうはあるけど、俺だけで決めるわけにもいかないし。どう?」

 

そう言って他の男子にその話題を降る。

 

「竹下さん裁縫とか得意っぽいし、小松さんもテキパキ出来るし、2人抜けたら痛くね?」

 

「あ~わかる。出来たら残って欲しいよなあ」

 

「・・・ということだけど。なるべくいて欲しいかな」

 

あ~あ、ダメか~。私結構勇気出して言ったんだけどなあ・・・。

 

「そっか・・・」

 

諦めかけたその時だった。

 

「おいおい!それくらいいいんじゃね?ってか、お前ら3人外してるときにクラスみんなで応援しようって感じになったんよ?」

 

今発言したのは私のクラスでもリーダー的な男の子だった。

 

「そうそう!暇な人は見に行こうって感じにもなったし!」

 

「ってかさ、君ら優美たちがずっと大変な思いして頑張ってたの知らないでしょ?」

 

「うんうん!何ヵ月も前から準備してさ、うちらの出し物とはかける思いが違うっていうかね!」

 

「私知ってるよ~!部活存続のためにめちゃくちゃ頑張ってるんだって!」

 

「私もそれ知ってる~」

 

まさかだった。優美たちが頑張っているのを知ってるのはクラスでも私くらいかと思っていたから。

 

それが蓋を開けてみたら何人ものクラスメイトが知ってて、こんなに応援されてるなんて。

 

「ってかさあ、君ら3人頑張ればよくね?指示出してるだけでなんもしてないっしょ?」

 

「いや、それは・・・」

 

決まった!今ので見逃し三振!風は完全に吹いている!

私はとびっきりの笑顔で彼らの方を見て、

 

「というわけなんだって~!決・ま・り・だ・ね!」

 

そう言うと彼らはポカーンとした顔になり私を見ていた。

 

「真由美っ!ゆーみんとあゆあゆに劇を頑張れって伝えて!あ、『クラスみんなでそう言ってた』って言っといてね!」

 

「オーケー!じゃあ行ってくる~!私もすぐ戻るから~!」

 

私はもう嬉しくて嬉しくてついついスキップしてしまっていた。私、やっと優美たちの力になれたんだ!それがとにかく嬉しかった。

 

ふとあることに気がついてしまった。

 

「あ、林崎くんの方はどうしよう~・・・」

 

私は体育館へ行こうとする体を無理やり戻し、教室棟へと引き返したのであった。

 

 

× × ×

 

 

ついに明日か~!なんかもう、色々ヤバいかも~!

 

家に帰り食事やお風呂を済ませたあとも明日のことで頭はいっぱいだった。

 

だからなのかわからないけど、優美にメールをした。

 

 

× × ×

 

 

優美とのメールは10分ほどで終わった。そう、優美は文化祭が終わったら彼氏が出来るんだよね。頑張ってる優美に彼氏が出来るのは当然だよね~!私も文実とか頑張ったし彼氏できないかな~?なんてっ!

 

優美、頑張ってね。舞台も恋愛も。私も応援してるから!

 

 

 

 

 




いかがでしたでしょうか?麻由美はどちらかというと縁の下の力持ちという感じです!

次回は本当に本番の日をお届けします(≧ω≦)b

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