私たちの「舞台」は始まったばかり。   作:かもにゃんこ

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「みんなありがとうっ!」

「おはよう亜由美!」

 

「おはよう、優美」

 

今日は文化祭前日。今日一日は全校生徒全員で文化祭の準備を行う。クラスそれぞれの出し物に全力を尽くすもの、部活動の発表に全力を尽くすもの、有志の活動に全力を尽くすもの、それぞれが明日の本番に向け最後の日となる。

 

ちなみに、私たちのクラスではちょっとした喫茶店をやることにしている。朝からクラスで手が空いている人は教室内での装飾や、衣装の作成等で準備に追われている。

 

私は裁縫が得意なこともあり、衣装を作っていた。ちなみに亜由美は舞台音響の打ち合わせを放送部とやっている。今日、これからリハーサルをやるからである。

 

「ねえねえ、優美ちゃん!文化祭で演劇部の発表やるんでしょ?私見に行くよ~!」

 

一緒に作業していたクラスメイトが話しかけてくる。

 

「え?あー、その、演劇部の発表の方には私出ないんだよねえ・・・」

 

「え!?そうなの!演劇部やめちゃったの!?」

 

「あ、いやね、それは・・・」

 

ざっくりではあるが、説明をした。

 

「へえ~!そうなんだあ・・・。私が知らない間になんか色々あったみたいだねえ」

 

2人でそんな話をしてたら別のクラスメイトが話に入ってくる。

 

「あ、私は知ってるよ?なんだっけ?劇団けゆあ、だっけ?」

「うん、そうだけど?アレ・・・?私言ってない気がしたけど?」

 

亜由美から聞いたのかな?と思ったけど、亜由美とはそんなに話してるのみたことないし。

 

「あのね、C組の友達から聞いたんだよ?なんか面白いことやってる人たちがいるって!」

 

C組には林崎くんがいる。そっちから聞いたんだ!

 

「それでその子にC組の林・・なんとかくん?だっけ?色々聞いてくれたみたいで」

 

「林崎くんね!・・・ちなみになんだけど・・・」

 

「うん・・?どうしたの?」

 

「その、C組の子って話聞いた感じ林崎くんと仲いいみたいな、だけど・・・」

やっぱりほかの女の子と仲良かったら気になるし・・・。これくらいなら聞いても大丈夫だよね?

 

「え?よくわからないけど・・・あ、そういうことねえ!」

 

「え!優美ちゃんもしかしてその人が好きなの⁉」

 

あれ、なーんかあっさりバレたんだけど・・・なんで?

 

「え⁉そういうわけじゃ・・・ない、わけじゃない・・・」

 

否定するのもなんか変だし普通にそう答えた。

 

「あの恋しないことで有名な竹下ちゃんが・・・!」

 

「で、で、で!どこまで行ったの⁉もう告白したの⁉」

 

女の子ってこういう話好きだよね~!うう、どうしよう!でも逃げられないしなあ・・・。

 

「あ、その・・・」

 

結局、聞かれたこと全部話しちゃいました・・・。

 

「優美ちゃん、頑張って!私もその彼・・・じゃなくて舞台見に行くよ!」

 

「私も私も!ってかクラスのみんなで見に行くべきでしょ!」

 

「おーい!クラスの方どうすんのー!」

 

どこからともなく声が聞こえる。

 

「でもさ、優美ちゃん頑張ってるみたいだし、時間ある人はみんな見に行こうよ!」

 

そんなことを言っていたら、クラスのみんなが私に注目する。

 

「なんかわからんが見にいくぜ!」「応援してるよ!」「頑張って!」「リア充爆発しろ!」

 

とみんなから応援された。一つおかしいのあったけど(笑)

 

「みんなありがとうっ!」

 

それからクラスの人たちに色々聞かれたりしながらも作業は続き、リハーサルの時間となった。

 

 

× × ×

 

 

「それじゃあリハーサル、よろしくお願いします」

 

「こちらこそ。こういうことをお手伝い出来てこちらをしては嬉しいですから」

 

放送部の部長とのあいさつを済ます。どうやら演劇の音響は前からやってみたかったとのことで、今回は快く受けてくれた。

 

 

× × ×

 

 

リハーサルは特に問題なく終わった。事前に打ち合わせをしていたこともあり、BGMやSEのタイミングは完璧で、こちらに関しては後は本番を迎えるだけいう感じに。

演技の方はというと、個人的にはまだまだ納得できるものではない。でも・・・。

 

「明日が本番。私と優美、林崎くんもクラスの方があるでしょ?」

 

「まあ、そうだね」

 

林崎くんも少し納得していない表情でそう答えた。でも仕方ないよね・・・。時間の許す限り、修正出来るところは修正して本番に臨みたいのはやまやまだけど、そうはいかないし。

 

「じゃあ明日の本番、よろしくね。12時半に体育館ステージ裏へ集合で」

 

このままで本番か・・・。と思っていたそのときだった。

 

「優美~!あゆちゃん~!それと林崎くんも!」

 

一度教室へ戻ると言った麻由美ちゃんがこちらへ戻ってきた。

「今ね~、クラスの人と話してきたの~!優美とあゆちゃんの話~!」

 

「え?」

 

「そしたらね、みんな揃って『クラスの方はいいから演劇頑張れ!』って言ってくれたんだよ~!」

 

「え~~!!!」

 

めっちゃ驚いた!でも・・・。

 

「そういうのって・・・いいのかな?」

 

そう聞いた優美であったが、麻由美は笑顔で、

 

「大丈夫~!そんなひどい人うちのクラスにいないから~!それに結構こそこそやってたみたいだけど、2人が頑張ってるの意外とみんな知ってたみたいで!それこそ林崎くんに依頼する前からね~!」

 

「ちなみに明日もクラス内のシフトは本番終わってからにしてくれたから~!」

 

「だから、頑張って~!」

 

みんな・・・そこまでしてくれるなんて・・・。私は亜由美と顔を見合わせ力を込める!と、林崎くんは・・・?そう疑問に思ったら麻由美ちゃんが答えてくれた。

 

「C組の人とも交渉してきたよ~!難しいかな~?って思ったんだけど『なんだそんなこと?林崎がめっちゃ頑張ってるの知ってるから。ってかもともとクラスの方はいいよって言ったのにアイツが勝手にやってたんだよ』って感じでした~!」

 

林崎くんの方を見ると、「あの人は・・・余計な事を」って顔してた(笑)

 

「じゃあ私はこれで~!」

 

言いたいことを言った麻由美ちゃんはまた体育館から出て行った。

 

それにしても林崎くん、やっぱりいい人だ!そう思いながら無言で彼の前ピースしちゃった!

 

「な、何?」

 

「な~んでもないよ~!あははっ!」

 

「・・・??」

 

そんな私たちを見ていた亜由美はすかさず、

 

「やっぱりあなたたちを見るのは楽しいわ」

 

と。何はともあれまだ練習できる!それが嬉しくて仕方なかった。

 

「クラスのみんなの期待にも、しっかりこたえないとね」

 

「うん!頑張ろうっ!」

 

「そうだな!」

 

それから私たちは今までにないくらい集中して練習した。下校時間になっても気が付かず、最終的には先生にめちゃくちゃ怒られながら、練習は終わった。

 

 

× × ×

 

 

家に帰ってもなんとなく興奮冷めやらない感じで、部屋で台本を繰り返し読んでいた。すると携帯にメールの着信が入る。

 

 

From 梅田麻由美

 

やっほー('◇')ゞ

今日はお疲れ~!

明日はちゃんとした舞台になりそうかい~?

 

 

麻由美ちゃんだった。無視する理由もないので返信。

 

 

To 梅田麻由美

 

やほやほ!

麻由美ちゃんも準備お疲れ~!

おかげ様でいい舞台になりそうだよ!

 

 

From 梅田麻由美

 

ほー!よかったよかった!

クラスのみんな期待してぜ~(=゚ω゚)ノ

あ、アッチも頑張ってね~!きゃー!!

 

 

え・・?アッチ?

 

 

To 梅田麻由美

 

アッチってなーに?

 

 

From 梅田麻由美

 

とぼけるな~!

舞台終わったら彼に!告白!されるんでしょ!

 

 

え~~~~!!ま、まあ、確かに文化祭終わる=依頼も終わりだから・・・そうなるとやっぱりそうなるの~⁉あ、でも、もし誰も入らなかった場合、依頼は・・・?ってか本番前夜にそういうの考えちゃだめでしょ!集中しなきゃ!

 

 

To 梅田麻由美

 

うーん、よくわからないしっ!

ってか明日本番だからもう寝る!

じゃーね!おやすみ~!

 

 

逃げたわけじゃないけど・・・今は余計はこと考えちゃダメな気がするし。

 

 

From 梅田麻由美

 

え~!なにそれ~( ゚Д゚)

まあ何かあったら教えなさいよ~!

明日頑張ってね~!お休み(つ∀-)

 

 

いよいよ明日なんだね・・・!今まで色々あったなあ・・・。林崎くんに出来る最大の恩返しは、精一杯演技することだよね!頑張ろう!

 

こうして「劇団けゆあ」は明日、本番を迎える。

 




さてさて、ついに次回は本番!・・・ではなくちょっとした番外編をやります!

どんな内容かは次回のお楽しみ!

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