気がつけばもう21話なんですね!最近書くのが楽しくなってペース上がってます!
それでは本編をどうぞ(o~-')b
長いようでやっぱり長かった夏休みも終わり、今日から2学期が始まる。
2学期が始まって最初の日曜日には文化祭がある。俺たちにとっては文化祭が本番。泣いても笑っても全てが決まる。
「林崎久しぶり~!」
新学期そうそう話しかけて来たのは、前にも登場した友人Aである。
「おう」
「なあなあ!夏休みの間にずいぶん仲良くなったみたいじゃないか」
「え?」
いきなり何を聞いてくるんだ、この人は。
「とぼけても無駄だぜ?ほら例の女の子!部活の帰りに偶然だが一緒に帰ってるの見たわ~!」
うわあ・・・ めんどくさいことに・・・まあ確かに仲良くなったのは間違いないが、余計なことを言うと逃げられなくなる気がした。
「ああ、そりゃあ一緒に活動してるし、同じ電車通学だし、一緒に帰っても普通だろ?前にも言ったけど、俺はただのお手伝いだから」
まあそれが普通に見えないのが高校生ってもんだが(笑)
「マジかよ~!あんな可愛いコと一緒なのに無関心かよ~!」
うんうん、騙されてますね。これでOK。
「いや、待てよ?もしかしてお前、アッチの人か!?男が男を好きになるっていう!」
「はあっ!?」
うまく逃れたと思ったらまさかの変化球できた・・・。
言われて瞬間、数人の女子が目を輝かせてこっち向いてたのは秘密だ!
「そんなわけあるか・・・。暑さで頭おかしくなったか?」
「おかしいのは林崎だろ~!全く興味持たないとかありえへん!」
「悪いな、俺は今恋愛なんてのにうつつを抜かしてる暇はないのさ」
「くそぅー!なんかリア充っぽいセリフでムカつく!」
「あー、はいはい」
それからは適当にあしらって追撃はしのいだ。
× × ×
それから始業式やホームルーム・防災訓練等をやったあと、放課後になった。「劇団けゆあ」は本番に向け、稽古が始まる。
俺たちがいつも使っている空き教室へ行こうとしたが、途中で声をかけられた。
「林崎く~ん!」
声の主は笑顔で手を振り、こちらへくる。
「あのね、今日から本番までの練習なんだけど、本番と同じように体育館のステージで練習出来るんだって!」
「え!マジか!・・・いったいどんな方法使った?」
圭は優美の隣に亜由美がいたので、尋ねてみた。
「別に大したことはしてないわ。『どうせ普段から放課後は誰も使ってないんだから使わせて』って先生に言ったら快く了承してくれたわ」
あっさりとそんなことを言っていたが裏ではいったいどんな手を使ったのだろうか・・・まあ口には 出しませんが。
「とにかくそういうわけだから体育館に行こう!」
そんなわけで俺たちは体育館へ移動した。
本番もあと少しと言うこともあって通し稽古を最初にやり、出来ていないところを繰り返し練習した。
稽古の中ではシンデレラ、優美の元気な演技が際立っていた。
一昨日あたりの稽古から、なんか元気になったなあと思ったが、今日は更にそれが際立つ。
体育館のステージでやっているため、フロアで部活をやっている生徒もたまにこちらを振り向くくらい。
俺?俺はいつも通り。優美に対する好意はもちろんあるが、稽古中はあまり考えないように演技に集中するようにしている。
演技の「質」はまだまだなため、亜由美や優美のダメ出しを受けながら修正、を繰り返す。
と、稽古の合間にある人が現れた。
「やっほ~!頑張ってる~?」
「お姉さん」こと麻由美が現れた!文実だから様子見に・・・来るわけないよな?何をしに・・・。
「麻由美ちゃんやっほー!」
「待っていたわ。文実もあるのにわざわざありがとうね」
待っていたって?どういうこと?
「えっと、どういうことなんだ?」
疑問をそのままぶつける。
「私ね~、黒子やるんだよ~!亜由美にお願いされたんだよ~!」
あ、そういうことか。
「じゃあさっそく着替える場面、練習しましょう」
そんなわけで劇団けゆあに「助っ人」が加わった。
× × ×
下校時間となり、俺たちは学校を後にする。
ちなみに麻由美は黒子の場面が終わった後も練習を見てくれて、麻由美なりに助言等をしてくれた。
いつものように亜由美と校門とところで別れる。ちなみに麻由美も亜由美と同じ中学だったため、麻由美ともここでお別れ。
いつものように優美と二人の時間になる。
せっかくなので圭はある疑問を優美にぶつけてみた。
「あのさ、気になったんだが月曜の稽古からなんかめちゃくちゃ元気になったよね?なんかあったん?」
「え!べ、別にぃ?何もありませんよ!」
こりゃ絶対何かありましたねぇ・・・。
「小松さんになんか言われたとか?」
「え!どうしてわかったの!?」
適当に言ったら当たったらしい。
「でもさ、なんか夏休みの後半はあんまり元気なかったから元気になってくれて良かったよ」
活動してるときも色々悩みながらやってたし、こうして一緒に帰るときもなんとなく元気がなかった感じあった。
「・・・れの」
「え?」
「誰のせいで・・・悩んだんだろうねぇ?」
優美は圭をじーっとみてそう言った。
「え・・・もしかして俺が」
そこまで言いかけたが優美の言葉によって遮られる。
「でももう私は大丈夫!舞台も恋も何もかも、前向きにやろうって決めたから!」
「だから林崎くんも全然心配しないで!」
たぶんではあるが、俺が彼女に気持ちを伝えてしまったことは少なかれず心に影響があったのだろう。それに演技に関しても、キャリアに差があるとはいえ、亜由美よりもうまく出来ない自分に悩み続けてしまっていたと思う。
だが彼女はそれを乗り越え、強くなった。
それに俺に対して「心配しないで」と言ってくれたことが普通にホッとしたし嬉しかった。正直、自分の言ったことで彼女が悩んでいるのでは?と思っていた部分はあり、それを自分でも結構悩んでいたから。
「ありがとう。俺も竹下さんが頑張ってるの見て自分ももっと頑張らないとって思った」
「そう言ってくれるとなんか嬉しいけど照れるね~!」
優美は後ろ向きになり顔をこちらに向けながらそう言った。と、後ろ向きに歩いていたため、前から来た人にぶつかってしまった。
「あ、ごめんなさい!っと、うわ!」
「危ない!」
ぶつかった拍子に倒れそうになった。とっさの判断で俺は優美を抱きかかえる形で支え、そのまま俺の胸に顔を埋める形でなった。
「大丈夫・・・?」
「うん・・・あり、がとう」
とっさの出来事でこうなってしまったが、めちゃくちゃドキドキしていた。優美にも聞こえるくらい。
「ねえ」
「どうしたの?」
「心臓のドキドキ、私にもわかるよ」
「私もさ、凄くドキドキしてる・・・」
事故とはいえ、お互いに意識してることもあり、なんとも言えない心地よい感じになりこのままずっといたいなあと圭は思う。優美も離れようとはせず、体をこちらへ委ねている。
ただ、いくらなんでもここでこのままはマズイと思い、必死に我に返り優美を自分から離した。
すると優美は残念な顔になり、ぷくぅと頬を膨らまれる。
「終わりぃ?」
「え?」
「もうちょっと、あのままでいたかったなあ、なんてっ!」
「いや、さすがにそれは・・・」
圭はいつもとは違う「女」の表情を見せた優美に少し戸惑った。
「あははっ!なんてね~!」
優美はそういいながらまた後ろ向きに歩き出した。
「あ、危ない!」
「え!?」
それからの出来事は説明するまでもない。