なお、活動報告にて主要なキャラ紹介をしております。2話を読んでから見ていただけたらネタバレ等ないと思いますのでよろしくお願いします(^^ゞ
今回は優美目線になりますb
圭へ部活のことについて相談した翌日、優美はもう1人の2年生部員である「小松亜由美(こまつあゆみ)」と一緒にお昼ご飯を食べながら昨日のことについての話をしていた。
「それでね、相談に乗ってくれた人が凄くいい人で絶対なんとかするよ!みたいな感じに言ってくれたの!」
「へぇ~。優美がいつもみたいに言わせたわけ・・・?」
「ち、違うよ!ちゃんと会話のキャッチボールしながら話したもん!って!いつもって何!?」
「いつもはいつもでしょ?断りそうな感じでもしつこく頼んで仕方なくオーケーにしちゃってるし?」
「た、確かにちょ~っとしつこいかな?とか思うときもあるけど…」
ま、まあ完全ごり押しでいっちゃうときもあるけど、たまにだし!
「自覚あるのね。ってかちょっとじゃなくていつもごり押しでしょ」
「え!?なんで今私が考えてたことわかったの!?亜由美ってエスパー?」
「いやいや、口に出てないつもりでも普通にボソボソ聞こえてたから」
「ええ~!」
は、恥ずかしい!絶対心の中で思っただけなのに・・・。 まあ亜由美と話してるときだけで良かった!
「ちなみにそのボソボソ独り言、授業中とかでもたまにしてるときあるからね」
「うそーーー!!」
は、恥ずかしいよお!これはさすがに直さなくてはっ!ってか、授業中もって、授業中に亜由美って私のこと見てるってことだよね?もしかして亜由美って・・・。
「あ、亜由美!私普通に男の子が好きだからね!?」
「・・・はい?何言ってるの?そんなことよりホントに手伝ってくれそうなの?」
そんなことって!私にとっては大事なことなのに!って普通に考えて独り言してたら亜由美じゃなくてもみんな気になるか(笑)
「だからさっき言ったじゃん!なんとかするって言ってくれたって」
「じゃあ具体的にどんな感じに手伝ってくれるの?」
「それはね、一度持ち帰って生徒会の人に相談してから決めるって言ってたから」
亜由美はまあ、仕方ないか・・・という表情をした。どうやらもともとそこまでは期待していなかったみたい。でも、それでも私たちはほかに打つ手がなかったから、期待せざるを得ない。
× × ×
放課後、今日は部活がないため亜由美に一緒に帰ろうと声をかけようと席を立つ。そのとき、
「なんか竹下さんのこと呼んでる人が来てるよ?」
と、クラスメイトに声をかけられた。クラスメイト以外の人に呼ばれるなんて・・・もしかして部活の先輩!?昨日のことがバレた!?
そう思いながら恐る恐るドアの方を見ると昨日知り合ったばかりの男子生徒がおり、ホッとした。
優美は「ちょっと待って」と圭に合図をすると、亜由美に声をかけた。
「亜由美、昨日相談に乗ってくれた生徒会の林崎くんが来てるんだけど一緒にお話聞く?」
「あら?わざわざ来てくれたね。せっかくだし私も行くわ」
そう確認を取ると、優美は亜由美を連れて圭のもとへ。
「こんにちは!どうしたの?」
「いや、ちょっと話があってね・・・」
そう告げたあとに圭は優美の隣にいる女子生徒に気づく。
「あれ?もしかして彼女が昨日話してくれたもう一人の2年生部員の子?」
「うん。小松亜由美ちゃんって言うの。」
優美に紹介されて亜由美が優美に並んだ場所に出る。
「始めまして。小松亜由美です。優美とは…部活仲間?友達?」
「そこ普通に友達って言ってよ!」
「友達らしいです」
らしい、とかショック・・・まあこういうのが亜由美の面白いところだから許す!
「えーと、仲いいんスね」
何そのなんとも言えない返答~。なんかバカにされた感が・・・!
そんなことを思っている優美をよそに圭は亜由美に自己紹介をし、
「生徒会役員の林崎圭です。よろしくお願いします」
早速昨日の話についてなんだけど、と切り出した。
「今日のお昼休みに生徒会の集まりがあって、ついでにと言ったら失礼だけど昨日の話もしたんだ」
圭の真剣な口調と表情からはあまりいい報告ではないと察する優美。
「結論から言うとその相談に乗るのは難しいって」
圭がそう告げたあと優美はもちろん、亜由美の表情も少し曇った。
「り、理由は!?聞いても大丈夫かな!?」
「単純なんだけど、部員を集めるっていうのはそう簡単に出来るものではないってこと」
圭は続けて、
「今ある部がどうして部活動として存在出来ているのか。もちろん人気のある部活は何もしなくても部員が集まることもあるけど、やっぱり色々な部員の様々な長い努力があって部として成り立っている。」
「つまり部として良くなり、部員が集まるのは年単位のスパンがかかる。さすがにそこまでとなると手に負えなくなってしまう。ということだそうで・・・」
そこまで聞いた優美と亜由美は顔を下げ、うつむく。
「・・・まあ、それと最後に言ってたけど、今の3年生の演劇部員はやっかいで関わりたくないって。それが一番の理由かもね」
追い討ちをかけられるように言われ更に気を落とした優美たちであったが、その意見には同情せざるを得なかった。私たちがどんなにこうしたい!と意見を言っても聞く耳持たず、って感じだったから・・・。
だが、圭の話はそれで終わりではなかった。断れた理由を一通り話したあと、だけど、と続け・・・。
「だけど、俺はそうは思わない。生徒会のみんなの言うことは確かに正しいと思う。でもやってみなきゃわかんないことだってある。せっかく初めて相談に来てくれたし、それに昨日『あんなこと』言った手前簡単に断れないしね」
・・・『あんなこと』優美は覚えている。別れ際に言われた大事なこと。
「俺だけでも助けるから」
それを言われた瞬間、ホントに嬉しかった。出来るかどうかなんてわからない。むしろ出来ない可能性のがかなり高い。それでも、言葉だけでもそう言ってくれて嬉しかったのだから。
だから、だから…優美は信じてみたいと思った。彼の言葉に込めたその思いを、決意を。
そう思い、優美は圭にこう告げた。
「私、絶対に諦めない。何が何でも部員は増やしたい。だから一緒に頑張ってくれる仲間が欲しい」
ああ、なんか私らしくないなあ。でも私らしいって何だろうね。こんなに熱いのが私らしいなのかな?もうわかんないや!
優美は自分の言ったことが後になって恥ずかしくなってきた。だから俯いてしまった。
「俺で良かったら」
そんな優美へ圭はそう告げながら手を伸ばしていた。
それに気がついた優美ははっ!と顔を上げて笑顔でその手を取り、こちらこそ、と返した。
・・・その隣で亜由美がニヤニヤ笑って「青春楽しんでるわね」とか言ったのはまた別の話。