私たちの「舞台」は始まったばかり。   作:かもにゃんこ

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こんばんは(^O^)

デート回後編です!かなり自分の願望等入っているデートになってしまいました(笑)


「なんでさっきあんなこと言ったの!?」

それから俺たちは水族館をぐるりと回り、外へと出た。最初は結構緊張してしまっていたけど水族館が普通に楽しかったり、彼女からも特別意識されなかったりで普通に過ごせた。

 

時間もまだ早いし、どうしようかと思ったとき、目の前に観覧車があったことに気がつく。

 

観覧車・・・普通に好きなんだが・・・さすがに今、2人で乗るのはなあ・・・そう思いもしたが、ぶっちゃけ水族館も普通に男女で行ったらアレだよねって思い、覚悟を決めた。

 

「観覧車・・・乗り、ませんか?」

 

なぜ敬語に!意識してるのバレちゃうよ!

 

「なんで敬語なの~!?いいよ!私も観覧車好きだから」

 

敬語は突っ込まれたがバレなかったようだ。

 

一緒に乗れるのももちろん嬉しかったが、彼女も観覧車が好きってことのが嬉しかった。

 

 

チケットを買い、ゴンドラへと乗り込む。徐々に徐々に高くなり景色が見えてくる。この感じ、なんかいいよね!

 

ふと彼女が独り言なのか自分に話しかけているのかわからない口調で話し始めた。

 

「さっきさ、観覧車好きって言ったでしょ?今は好きになったけど小さい頃は嫌いだったの」

 

「そう、なんだ」

 

「観覧車ってさ、てっぺんまで上がるまでは景色もどんどん見えるようになって凄くわくわくするでしょ?一番上まで行ったらもっと凄いだろうなあって」

 

「だけど上まで行っちゃったらあとはどんどん低くなって」

 

「楽しい時間の後にすぐ寂しくなっちゃうだから嫌いだったの」

 

なんか彼女らしい理由だなあ、と圭は思った。

 

そんな話を聞きながらも観覧車はどんどん上昇していく。

 

空は綺麗に晴れていることもあり思わず景色に見とれて会話は止まる。

 

「今日は凄くよく見えるね。ほら、あれ、富士山じゃない?」

 

「え?どれどれ~?」

 

身を乗り出してきた彼女と思わず肩が触れてしまった。

 

「あ、ごめん!」

 

と振り返ったとき、顔を見合わせてしまう。彼女のまばたき、呼吸、女の子独特の香りに思わず固まってしまう。

 

数秒間、見つめあったが、彼女の方から目線を外し「ううん・・・大丈夫」とだけつぶやく。

 

そんなことをしていたら観覧車は頂上をすでに過ぎ、どんどん低くなっていく。

 

「もう、下がっていくね」

 

下がっていくゴンドラ、楽しい時間がだんだんと終わりを迎える。そんななか、外の景色を見ながら彼女が話し始める。

 

「あのさ、今亜由美と林崎くんの3人で活動しててさ、凄く楽しいの」

 

「・・・そうなんだ。普通に嬉しいよ」

 

そんなことを思っているとはちょっと意外ではあったので思わず笑顔になる。ただ彼女は「でもさ」と続け、

 

「文化祭終わって、無事新しい部員が入ったらもうこの3人でやることはないんだよね。亜由美は部員だけど林崎くんは助っ人だから」

 

「文化祭までの練習が上に上がっていくところで、文化祭がてっぺん。・・・でも林崎くんはその後はいなくなっちゃう。観覧車と同じでずっと上にいたい、上にいたい、そう思っても無理なものは無理だから・・・」

 

自分のことをそんな風に思ってくれるのが嬉しい反面、凄く戸惑った。

 

彼女にとって自分がそんな存在になんて思ってもなかったし、そう思われるために手伝いをしたわけじゃなかったからだ。

 

だけど・・・彼女が自分を必要としていると同時に、自分にとっても彼女が「大切な人」になって欲しい。だから・・・。

 

「俺は観覧車じゃないから。一番上まで行ってもまだまだ上に行くかも知れないよ」

 

伝わるなんてわからない。だけど彼女は少し潤んだ瞳で微笑んでいた。声は聞こえなかったけど、ありがとう、そんなことを言った気がする。

 

ほどほどの距離でお互い見つめあい微笑んでいた。

 

「あのぉ・・・お客様~?2人の空気になってるところ悪いですけどもう降りて下さいね?」

 

「はっ!」

 

「えっ!」

 

それから2人とも真っ赤になり小走りで降りて行きました。

 

「あははっ、なんか恥ずかしかったね~!」

 

観覧車から追い出されて(?)から2人はずっと笑っていた。

 

「めっちゃ係りの人に見られてたもんね!」

 

「降りなきゃ良かったかなー!なんてっ!」

 

「降りなかったらもう一周まわれるからまた楽しい時間になったわな」

 

「それは怒られるよ~!」

 

そう笑いながら言った彼女だが、とたんに真剣な表情になる。

 

「あのさ、さっき言ってたことって」

 

「うん」

 

「文化祭終わっても一緒に活動してくれるってことだよね・・・?」

 

「例え」であいまいな感じに言ったが、やはり普通に伝わっていたようだ。

 

「う~ん、それはどうだろうなあ?」

 

「え!?そういう意味で言ってくれたんじゃないの!?」

 

まあ驚くとは思った。それも想定内ですし。

 

「俺はさ、部員じゃあないし、あくまでも『部員を増やすためのお手伝い』をしてるわけだから」

 

「う、うん」

 

「それに今はそうでもないけど、生徒会の仕事だってある。部員が増えたら依頼は完了だし」

 

当然反論するだろうと思ってそう告げた。予想通り彼女は、

 

「・・・なんで!なんでさっきあんなこと言ったの!?嘘だっ・・・」

 

俺は途中で手で彼女を制した。

 

「た・・・!?」

 

「よく聞いて欲しい。確かに依頼は完了したら一緒に活動はしない可能性が高い。だけど一緒に活動しなくたって、上に上に行くことは出来るんじゃないかな?」

 

「え・・・?どういう・・・?」

 

ここまで言ったのはいいが、だんだん恥ずかしくなる。ええい!男は思い切りが大切だ!

 

「またさ、こうやって一緒に出掛けたりできる関係になれば・・・」

 

「え・・・!?」

 

いくら彼女が少し天然だからと言って、今のセリフがどういう意味なのかわからないわけがない。今までで一番驚いた表情し、それから言葉が出なくなりお互い無言の状態になった。

 

一応、そのあとに言うセリフも用意してあったのでそれも彼女へと伝えた。

 

「そういう関係になれたら俺は凄く嬉しいけど。でも今はキミの依頼を達成させることの方が大事。それまでは俺たち2人の関係は『依頼人』と『請負人』でいたい」

 

「だから回答はしないで欲しい。俺たちの関係がどう変わったとしても、今まで通りに出来なくなると思うから」

 

言ってから、じゃあなんで言ったのか!って思ったが、観覧車の話を聞いて伝えずにはいられなかった。

 

「ま、まあ、そういうわけなんで!さっきの嘘じゃないさ!」

 

ここまで言ってやっぱり恥ずかしくなってきた。彼女から何も言ってくれないのがさらに恥ずかしく目線を外してしまう。

 

「ふーん・・・」

 

「な、なんでしょう・・・」

 

「そっか、そういうことかあ・・・。うん、わかった!」

 

彼女はいつもの明るい表情へと戻り、今までで一番の笑顔で、

 

「ありがとう」

 

そう、短く、でも気持ちを込めて答えた。

 

「こちらこそ、ありがとう。これからもよろしく」

 

「うん、よろしく!よ~し!元気も出てきたし、ほら!海まで競争だよ~!よーい!ドン!!」

 

「え、ちょ、まっ!」

 

「いえーい!」

 

それからひとしきり騒いで、暗くなったら電車で帰り「依頼人」とのお出かけは終わったのであった。

 




前編の「彼」に続き、優美は「彼女」と表現いたしました(*^_^*)

それではまたノシ

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