ちなみに2回に分けておりまして今回は前編、優美目線です★
話は少し前、優美が圭を水族館へと誘う前夜へと戻る。
「あ、亜由美?今時間大丈夫?」
『ええ、大丈夫だけれども。どうしたの?電話なんかして』
「いや、あのね!うちのお父さんが水族館のチケットを会社の人にもらったらしくて一緒に行こうかと思って」
ちなみにこの水族館のチケット、今度の日曜日までで土曜日までは練習やるし、その日しかなかったのである。
『とてもうれしいのだけれど・・・その日は妹と弟の世話をしなくてはダメなの。ごめんなさい』
「あ~、そうなんだあ。うん、わかったそれじゃあ仕方ないもんね」
『また別の機会に誘ってくれたら』
「うん、わかった!じゃあまたね~!」
うーん、亜由美ダメだったかあ。クラスのほかの友達でも誘ってみようかな?というわけで麻由美ちゃんにメールした。
「えーっと、『日曜日ヒマ?水族館のチケットあるんだけど一緒にいかない?』と」
メールして3分くらいたったら返事が来た。
From 梅田麻由美
え?なんで私なんか誘ってるん?
ほかに誘うべき人いるんじゃないの~?
さっかくの夏休みだよ~?
オーケーの返事かと思ったら違った。え?何それ?どういう意味?と思ったのでそのまま返した。
From 梅田麻由美
ホントはわかってて聞いてるんじゃないの~(*´з`)
これって2人でってことなんでしょ~?
女の子と2人でいいの~?
・・・?女の子以外の友達の誰と行けと・・・?あ・・・!そう、いう、ことぉ!?
TO 梅田麻由美
いや、無理!恥ずかしい!!
ってかそういうんじゃないって言ってるじゃん!
と麻由美ちゃんには言ったけど・・・この前初恋って自覚しちゃった自分がいるんだよね・・・。
From 梅田麻由美
が・ん・ば・れ( *´艸`)
え~!無理っ!無理っ!!そりゃあね、林崎くんとデー・・・2人でおでかけ出来たら嬉しいけど・・・どうやって誘えば・・・。
TO 梅田麻由美
どうやって誘えばいいのさ!
普通に誘ったら下心とか違和感ありまくりじゃん!
From 梅田麻由美
おや?観念したね?誘う気になったみたいね~?
お姉さんが色々教えてあげるよ~?
それからは色々恥ずかしい会話とかあったりしたんで省略!
From 梅田麻由美
じゃあ頑張ってね!
結果楽しみにしてるよ(*ノωノ)
× × ×
というわけで今は日曜日、お出かけの本番になった。「どんな服が好みなんだろう~?」って着ていく服を迷っていたら時間ギリギリになった。やっぱり好きな人?と遊びに行くならそういうのも気になっちゃうよね!私服なんて見せるの初めてだし。
待ち合わせの場所に行ったらもう彼は来ていた。声をかけるのは少し恥ずかしいので近づいて肩を叩く。
「ご、ごめんね!お待たせ」
「待ったけど時間になってないから大丈夫だよ」
お決まりの「待ってないよ」と言われると思ったが、彼の反応が違ってある意味面白かった。
「なにそれ~!」
彼の私服、初めて見る。まあ普通?白っぽいポロシャツにカーキ色のズボン。変な服の趣味ではないみたい(笑)
だけどやっぱり新鮮なためついつい感想を言いたくなる。
「似合ってるね!」
それだけだったけど・・・素直にそう思ったので!
「ありがとう。そっちもかわ・・・似合ってるよ」
今可愛いって言おうとしてやめたなあ~!まあ嬉しいけどね!
ちなみに私はというとストライブのブラウスに緑っぽい色のショートパンツという彼に負けず劣らず普通。付き合ってるわけでもないし、ガチガチにおしゃれしたりミニスカート履いたりはねぇ。
「うん、ありがとう。普通に嬉しいよ~!とりあえず行こっか!」
「そう、だね」
私たちは電車へと乗り、目的地まで移動。
電車の中で彼はあることを聞いてきた。
「これって何になるんだろう?普通におでかけ?ってか俺たちって友達なのかな?」
そう言われると確かになんだろう?とは思う。
「友達と言えばそうかもね~!部活仲間ってわけじゃないし・・・クラス違うメイト?」
「それ面白いかも。それで」
それでって!恋人未満・・・は恥ずかしいけどそんな感じがいいなあ~。
こんな感じにやっぱり特に気まずくなることもなく、いつも通り会話は続く。今気がついたけど2人のときよりも誰かいる方が意識するかも?変なこと言ってくるし!
それから何回か乗り換え、目的地の駅に到着。
「わあ!海だよ~!」
海を見るとついついはしゃいじゃう(笑)変に思われないかなあ?って思ってたら、
「海だ~!う~み~!」
彼、私よりはしゃいでるし!
今日は彼がどうとかそういうのは特別意識しないで普通に楽しもう!
時間も時間だったため、駅の近くでお昼を済ませ、水族館へと向かう。
水族館の中では多種多様な海の生き物が見られた。その中の、少し大きめな水槽へ来たとき彼がふとこんな話をした。
「この水槽にはさ、色々な種類の魚もいるし、貝とかヒトデ、ナマコもいるよね」
「生き物だしそれぞれ何かしら考えてると思うんだ」
「だけど喧嘩とかそういうのは全然してるように見えないよね。見えないだけでしてるかもだけど」
「みんな同じ水の中で生きてる仲間だよね。うまくやりあってるんだろうね。」
なんか不思議なこと言ってるなあと思っていたら、
「演劇部もさ、同じ演劇が好きなもの同士、うまくやれていたら違ったかなってふと思っただけ」
そう、かも知れない。けど・・・。
「確かにうまくやれたら良かった。けど自分たちがやりたいことが出来てなかったら私はイヤ。彼らは水槽から出れないけど、私たちは出れるから」
「だから、少しくらいはワガママしてもいいかなって」
恥ずかしいとかそういうのはなかった。今自分が思っていることを素直に伝えたかった。
「お魚さんたちだって実はみんなが見てないところで喧嘩してるかもよ~!」
「確かにそうかも。竹下さんと小松さんも見てないところでやりあってるかもね」
「私たちはホントに仲いいもん!」
「今度観察してみるわ!水槽みたいなのに入れて(笑)」
「なにそれ~!」
・・・なんかまた彼の違った一面を見られたなあ!面白い!
それからは2人で楽しく水族館を回れた。最初は緊張もあったけどね!でも彼はいつもと一緒だったし普通にいられた。
まだ時間は3時過ぎ、これからどうしようと思った時、彼からある提案をされた。
「観覧車・・・乗り、ませんか?」
今回、圭のことを全部「彼」と表現しました。
あくまでもイメージだけになりますが、「彼」とした方がデートっぽいかなと。
ちなみに作中の水族館ですが、一応モデルになった場所があります。観覧車があるってところでピンときた人はいるかもしれません。
ただ、あくまでも「設定上は」架空の場所になっていますので、これはおかしい、とかはお許し下さいませ。
では、後編でまたお会いしましょう( ^_^)人(^_^ )