ソードアートオンライン ater & violaceus(一時休載中)   作:Nyan0726

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007《罠》

「ふぁ〜」

 

朝だ。いつもはアラームを8:00にセットしている。何故か目が醒めてしまったのだ。

起き上がり、ユウキの方を見る。

ちなみに、ユウキとは11月6日――リトルペネント狩りの日――の一件以来、毎晩一緒に寝ている。経費削減のためだよ、うん。きっとそうだ。

にしても、寝顔可愛いな…こいつ。

……って何考えてるんだ、俺。

 

「ふぁ〜……」

 

「おはよう、ユウキ。」

 

「おはよう……キリト…」

 

と、言いながらもユウキの身体は少しずつこちら側へと傾いてきた。

倒れてきたユウキを支え、起こすために肩を叩く。

 

「おーい、ユウキー。寝るなー。」

 

あ、ダメだ。いつになく目覚めが悪い。しょうがない…

俺は風呂場へ行き水を汲む。

 

「ユウキー、起きないと水ぶっかけるぞー。」

 

「うーん……」

 

よし、水がこぼれない様に振りかぶって…勢い良くかける!

漫画のような ばっしゃーん! という音が響く。

 

「何するのさーーー!」

 

「起きないのが悪いんだろー!」

 

「むー……で、どうかしたの?」

 

「ん?あー…えーっと…」

 

ユウキが首を傾げ、聞く。

 

「いや、特に用事はないんだけど……ほら、なかなか起きない奴って無理矢理にでも叩き起こしたくならない?」

 

俺は、笑いながら言う。ユウキも笑っている。目以外は。ユウキが数歩後ろに下がり、助走をつけて勢い良く俺に跳びかかってくる。

ちょっとした取っ組み合いになっていたので俺達は部屋の扉をノックする音に気付かなかった。

 

「入るよー。」

 

扉がガチャリと開く。入ってきたのはケイタ。

俺が仰向けになりその上にユウキが乗っている状態だ。

しばしの沈黙。

 

「ま、待て。これは別にそういう訳ではなくてだな……」

 

ケイタはなんとも言えない表情をしながら無言で扉を閉める。

 

「ケイタ、待ってくれーーー!!」

 

その叫び声に対する反応はなかった。

 

 

 

 

 

「なんだ、そんな事ならもっと早く言ってくれよ。」

 

「聞かずに扉を閉めたのはそっちだろ……」

 

あれから十数分、俺は何とかケイタの説得に成功した。

 

「まぁまぁ。で?ケイタはどうしたの?」

 

ユウキが割り込み、話題を変えた。

 

「あぁ!そうだった。すっかり忘れていたよ!昨日の話し合いについて一応言っておこうと思って来たんだ。」

 

「そういうことか。それで?どうなったんだ?」

 

「サチには何らかの生産職になって、鍛冶屋なりレストランなりの店をひらいてもらうことになったよ。」

 

「そうか。」

 

「それじゃあ、9時半に転移門前に集合ね。」

 

「了解。」

「わかったよ。」

 

 

 

 

 

「それじゃあ、行ってくるよ。」

 

ケイタは今までの狩りで貯めた200,000コルでギルドホームを買いに行くらしい。

 

「転移、『はじまりの街』。」

 

ケイタが青い光に包まれる。

 

「いやー、マイホームを買うってさ、こんなに感動するものなんだな……」

 

ササマルがしみじみと言う、それに対してダッカーの

 

「親父臭ぇんだよっ。」

 

というツッコミがはいる。その天然コントにより、場が笑いに包まれた。

笑いが収まったところで、サブリーダー(のような立場)のテツオが言う。

 

「そうだ、ケイタが家を買いに行ってる間、ちょっと狩りにいかないか?」

 

「あっ、家具を買うのね?」

 

「お、いいねぇ。じゃあ、少し上の階層に行くか。」

 

サチに続いてダッカー。

 

「いつもの狩り場でもいいんじゃないか?」

 

多分聞かないだろうが、一応忠告しておく。

 

「大丈夫だよ。上の階層なら、早く稼げるしね。」

 

ササマルが応える。

 

「俺達のレベルなら余裕だって。それに、いざとなれば二人もいるしな。」

 

ダッカーが俺とユウキを見ながら言う。

 

「ハァ…わかったよ。」

 

「上の階層に行くとトラップなんかが仕掛けられてるところもあるから気をつけてね。特に、ダッカー。トラップは宝箱に仕掛けられてる事が多いいからね?」

 

ユウキも忠告する。

 

「わかってるって。」

 

それに対してダッカーは軽く応える。

 

「よし、それじゃあ……「ちょっと待って!」」

 

ササマルの言葉に割り込んできたのは、高い声。サチだ。

 

「どうしたの?」

 

ユウキが首を傾げながら聞く。

 

「昨日の夜、頑張って作ってみたんだ。多分、この階層で売っているものよりかは少し強いと思う。」

 

サチはそう言いながらウィンドウを操作し、鎚矛(メイス)、槍、短剣を出した。

 

「すげーな!ありがとう、サチ。」

 

「ありがとう。」

 

「よく1日でここまで熟練度上げられたな……素材足りたのか?」

 

「うん、私結構貧乏性で素材アイテムとか使わないのにためちゃうの。流石に、二人の装備を越えられるほどのものを作れるほどじゃないけど。」

 

「それでもすごいよ!」

 

「ありがとう。」

 

「よし、それじゃあ、今度こそ行こうか。」

 

「おう!」

「了解!」

「あぁ!」

「うん!」

 

「行ってらっしゃい、皆。早く帰ってきてね。」

 

「「「「「行ってきます!!」」」」」

 

 

 

 

 

狩りは順調に進んだ。

 

「やっぱ、余裕〜余裕〜。」

 

「もうそろそろしたら、俺達も最前線に行けるかもな。」

 

「あぁ、だが、油断は禁物だぞ。」

 

「おっ…」

 

ダッカーが何か見つけたようだ。

ダッカーは水色の模様のある壁の前に移動し、それに触れた。すると、壁が動き、隠し部屋が現れた。

 

「やりぃ!トレジャーボックスだ!」

 

ダッカーが目の前の宝箱に向かって走っていく。

それに続いてテツオ、ササマルもトレジャーボックスに近付く。

 

「待てっ!」

 

俺が止める頃には既にダッカーが宝箱を開けていた。

視界がデスゲーム開始時と同じように赤く染まり、サイレン音がなり始めた。

壁が開き、ドワーフとゴーレムが出てくる。

 

「罠だ!転移結晶を使え!」

 

「転移、タフト!……あれ?転移、タフト!!」

 

「だめだよ、キリト。転移結晶が使えない!」

 

クリスタル無効エリアだと…

 

攻撃を避けようとして転び、うつ伏せになったダッカーを4体のドワーフが攻撃している。ユウキがそこへ飛び込み、範囲ソードスキルで薙ぎ払う。そのまま、そこから一瞬のうちに移動し、ササマルを攻撃しようとしているゴーレムの腕を切り落とした。

俺も負けてはいられないな。

見た所、敵はゴーレムとドワーフみで計数十体。まずは目の前のゴーレムを切り倒す。続いてドワーフ2体、ゴーレム3体をスキルを使用せずに屠る。そのまま敵の塊に飛び込み先ほどユウキがやったようにスキルを発動し、10体ほどを同時に薙ぎ払う。その間にユウキと黒猫団の皆も15体ほど倒したようで、敵はもう数えられるほどにまで減っていた。

残り14体。そのうちの4体は黒猫団に任せる。目の前のドワーフ2体の頭を突き刺す。………しばらくめざしは食べれそうにないな。まぁこの世界にめざしなんて物は無いが。ユウキは2体、黒猫団も2体倒した。

残り9体。ゴーレム1体が攻撃を仕掛けてきたので奴の両腕を切り落とし倒す。今度はユウキが2体、黒猫団は1体倒した。

残り5体。ドワーフを上から下へと真っ二つに斬る。ユウキは1体、黒猫団は1体倒した。

残りはゴーレム1体。奴の腹へと剣を突き刺しそのまま切り裂く。ゴーレムはポリゴンの破片と化し、この部屋に敵は居なくなった。

 

「終わった〜!」

 

「た、助かった……」

 

「よし、帰るか。」

 

「あぁ、今日のところは一直線に帰ろう。罠に引っかからないようにな。」

 

ユウキ、ダッカー、ササマル、俺の順に言葉を発した。

 

 

 

 

 

数回モンスターに遭遇したが、なんとか無事に宿………ではなく、ケイタが購入しに行った第一層のギルドホームに着いた。

 

「ありがとう、キリト、ユウキさん。皆を助けてくれて。」

 

サチだ。

 

「いや、俺達だけのおかげじゃないよ。助かったのはサチの作ってくれた武器で、皆が頑張ってくれたからだ。」

 

「本当にありがとう、キリト。」

 

今度はケイタだ。

 

「ところで、武器って?」

 

「あ、すっかり忘れてたや。はい、ケイタ。多分、今使ってる武器よりは強いと思うよ。」

 

サチがアイテムストレージから長柄の武器を取り出す。

 

「1日で……すごいな。何はともあれ、みんな助かってよかった。」

 

「あ、そうだ。みんなにひとつお願いしてもいい?」

 

ユウキが言う。それに対して皆は

 

「「「「「なに?ユウキさん」」」」」

 

あ、ユウキが何を頼みたいのかわかったわ。

 

「それだよ!なんで皆、キリトの事は呼び捨てで、ボクだけさん付けなのさー!!」

 

「「「「「ご、ごめんなさい」」」」」

 

やっぱりな。

 

「と言う訳で、ボクには敬語、さん付け禁止!」

 

「「「「「はい。」」」」」

 

「よろしい♪」

 

「じゃあ、俺達はそろそろ………」

 

今日で約束の1週間だ。

 

「もう、1週間経つのか…早いね。」

 

「あぁ。そうだな。」

 

「それじゃあ、またね。」

 

「今度、遊びに来いよー!」

 

「また一緒に狩りをするときは迷惑かけないように頑張るよ。」

 

「いつか、最前線で会おう。」

 

「お店開いたら、また連絡するね。」

 

ケイタ、それに続いてダッカー、ササマル、テツオ。そして、サチだ。

 

「あぁ、待ってる。」

 

「またいつか会おうねー!」

 

そう言い、俺達は最前線の宿屋へと向かっていった。

 

 

 

 

 

「キーリートー!」

 

俺が宿屋の椅子で休んでいると後ろからドタバタしている音と高い声が聞こえてきた。そして、あろうことかそのまま抱きついてきた。

 

「ちょっ!ユウキ?どうしたんだ?」

 

「んー、今朝の仕返し?」

 

ってか、ヤバイヤバイヤバイ。なんか、背中に柔らかくて弾力のあるモノが……

 

「ってか、ユウキ?当ってるんだが?」

 

「当ててるんだよ。」

 

「………」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




皆様、いかがお過ごしでしょうか!

自分は、ずっとコードレジスタのBoBをやっているのですが、スタートダッシュで400位まで行ったものの、ズルズル落ちて、今では3000位ですw

次回はオリジナル(?)の話にしようと思っています。

それでは、またお会いしましょう!

To be continued…

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