ソードアートオンライン ater & violaceus(一時休載中) 作:Nyan0726
「ハッ!……ユウキ、スイッチ!」
「りょーかい!……セイッ!」
ユウキの一撃でパリーンと言う音を立てながらリトルペネントがポリゴン片となり、四散した。
「ユウキ、ちゃんと胚珠落ちてるか?」
「見てみるね。んーと……おっ、あったよ!」
「おぉ、やったな!これで後一つだ。」
「だね、頑張ろう!」
「あぁ。」
何故、俺達がこうして狩りをしているかと言うと、クエストをやっているからだ。
このクエストの報酬が強めの片手剣で、強化次第では第四層の前半まで使える。
だが、このクエスト、中々難しい。クリア条件は《リトルペネントの胚珠》を1つ収集。一体一体はそこまで強くないのだが、この胚珠を落とす敵が中々湧かないのだ。先程倒したリトルペネント。これは、頭に花が付いていたが、そいつは一般的に『花付き』と呼ばれている。『花付き』以外にも後2種類、頭に葉しかついていないものと、頭に実がなっている『実付き』がいる。
この中で胚珠を落とすのは『花付き』だけで、しかも、その『花付き』は出現率がとても低いのだ。
そうこうしているうちに、『花付き』と『実付き』がリポップした。
「キリト、あれ……」
「あぁ、『実付き』と『花付き』、2体同時はキツいな。」
「ボクが『実付き』を足止めしておくから、キリトは『花付き』を倒して。」
「わかった。」
俺は不意打ちで『花付き』に片手剣単発ソードスキル《スラント》を当てた。その一撃で『花付き』が怯んでいる間にもう一発ソードスキルを撃ち込んだ。『花付き』を難なく倒し、ユウキの方を向くと、丁度あいつも、『実付き』にトドメを刺そうとしているところだった。しかし、ユウキのソードスキルが当たる前に、『実付き』が転んだ。
「あっ!………」
そして、ユウキの攻撃は『実付き』の頭になっている、実に当たった。さっきは紹介しなかったが、このクエストの難易度を上げているのがこの『実付き』だ。出現率は『花付き』より少し高い程度なのだが、頭の実を攻撃すると、中から花粉のようなものが吹き出て、周囲のリトルペネントを寄せ付ける。
「ユウキ!」
俺は無我夢中で、リトルペネントを次々と切り裂いていった。
「うおおおぉぉぉぉぉ!!!」
何分経っただろうか。
「ユウキ!無事か!?」
視界の左上を見れば無事な事はすぐにわかるが、そんな事を考える前に叫んでいた。
「うん…何とか大丈夫。………ありがとう、キリト。」
俺は、無意識にユウキに近寄り、彼女のことを抱き締めていた。
「ちょっ、キリト?」
「良かった………本当に………良かった…………」
「…………ごめんね、キリト。」
それから数分間、俺達はそのままだった。
「……取り敢えず、宿に戻ろうか?」
「あぁ。」
思い返すと、結構恥ずかしい事をしていたな。本当に、他のプレイヤーが通らなくて良かった。……特にアルゴ。
「……………」
「……………」
「ねぇ、キリト?」
「……なんだ?」
「さっき、抱き付かれたときから、ボクの視界の端にウィンドウが出てるんだけど………これ、YESにして良い?」
「あぁ……良いんじゃないk……」
あれ?抱き付かれたときからって事は……ハラスメントコード…だよな?なら、YESにされると……ハッ!
「いや!ダメだ!やめてくれ!やめて下さいお願いします!」
「えぇー、どうしよっかなー。」
「お、お願いします……」
きっと俺は、今にも泣きそうな顔になってたんだろうな。
「わ、わかった!わかったから、そんな顔しないでよ。ほら、ちゃんとNO押したよ。」
「ありがとう…」
安堵した。今までに無いくらい安堵した。そこからの道のりはさっきのこともあって少し気まずかった。
ユウキ side
やっと宿に着いた。ボク達は所持金節約の為同じ部屋に止まっている。
「ふぅ〜……やっと着いたね〜。お疲れ、キリト。」
「あぁ。お疲れ、ユウキ。」
「「……………」」
少しの間、静かに時間だけが過ぎていった。この沈黙が嫌だったのでボクは話を切り出した。
「………さっきは、本当にありがとう。」
「いや、当然の事をしただけだよ。それより、こちらこそ、突然あんなことしてごめん。」
「大丈夫だよ。そういえば、すっかり忘れてたけど、胚珠はどうなったの?」
「あ………ちょっと見てみる。」
そういってキリトは右手を振り降ろし、メニュー画面を表示させた。
「………おっ!落ちてるぞ」
「おぉ!やったね!」
「まぁ、結果オーライだな。だけど、今度からは気を付けろよ?ここで死ぬと本当に死ぬんだから。」
「うん………」
その時、" ぐうううぅぅぅ〜 " と言う音がキリトの方から聞こえてきた。
「そういえば、帰ってきてからなんにも食べてなかったね。ご飯にしようか。」
「あぁ、頼む。」
さて、ボクもお腹減ってるし、チャチャっと作っちゃおう。今日はシチューにでもしようかな?この世界ではすぐに作れるから楽だね〜。さて、作り方は簡単。ジャガイモ等の食材を切って、お水を入れた鍋にぶち込み、温めて少し待つだけ。所要時間約5分!
「よしっ!できた!」
「運ぶの手伝うよ。」
「うん、お願い。」
「おっ、今日はシチューか。旨そうだな。」
キリトはそう言いながら、シチューを持ってテーブルに着き、二人で食事を始めた。
「「いただきまーす」」
「どう?」
「旨い……そこら辺の飯屋より、全然旨い!」
「そ、それは言い過ぎだよ…」
「いや、本当にそれ位旨いぞ。」
「あ、ありがとう…」
なんか、カップルみたいだなー。………カップル?ボクとキリトが?
「ゴホッ、ゴホッ!」
変な事を考えたせいで咽てしまった。
「大丈夫か?ユウキ。」
「う、うん。大丈夫だよ。」
「そうか。ならいいけど…」
そう言ってボク達は食事を続けた。ボクとキリトがカップルなんて…
「ご馳走様。」
「お粗末様でした。よし!片付けたら寝よっか。」
「だな。」
片付けを終え、寝る準備をした。いつもはボクがベッド、キリトはソファで寝ている。
「それじゃあ、おやすみ。ユウキ。」
「おやすみ、キリト。」
30分位が経った。ボクは、眠れそうになかった。
「ねぇ、キリト、起きてる?」
「……………あぁ。」
「キリト………たまには一緒に寝ない?」
「どうしたんだ?急に。」
「なんか、眠れそうにないんだ。死ぬのが怖くて…」
「そうか。じゃあ、お言葉に甘えようかな。」
そう言ってキリトはベッドに入ってきた。ボクはキリトの腕に抱きついた。
「ちょ、ユウキ?」
キリトが何か言いたそうだけど、無視しよう。
「おやすみ、キリト。」
「…………おやすみ、ユウキ。」
ため息が聞こえた気がするがボクは気にぜず眠りについた。今度はすぐに眠れた。
ども、Nyanです。
さてさて、今回はある程度のオリジナル成分を入れてみました。
いや〜、それにしてもオリジナルで文章考えるのって難しいですね〜
そのせいか、今までより少し短くなってしまいました。
あ、そういえば、お気に入りが10件、UAが400を越えました!皆様、ありがとうございます。これからも頑張って行きたいと思います。
意見、感想等、お待ちしております。
それでは!
To be continued……