ソードアートオンライン ater & violaceus(一時休載中)   作:Nyan0726

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003《夜》

「ハッ!……ユウキ、スイッチ!」

 

「りょーかい!……セイッ!」

 

ユウキの一撃でパリーンと言う音を立てながらリトルペネントがポリゴン片となり、四散した。

 

「ユウキ、ちゃんと胚珠落ちてるか?」

 

「見てみるね。んーと……おっ、あったよ!」

 

「おぉ、やったな!これで後一つだ。」

 

「だね、頑張ろう!」

 

「あぁ。」

 

何故、俺達がこうして狩りをしているかと言うと、クエストをやっているからだ。

このクエストの報酬が強めの片手剣で、強化次第では第四層の前半まで使える。

 

だが、このクエスト、中々難しい。クリア条件は《リトルペネントの胚珠》を1つ収集。一体一体はそこまで強くないのだが、この胚珠を落とす敵が中々湧かないのだ。先程倒したリトルペネント。これは、頭に花が付いていたが、そいつは一般的に『花付き』と呼ばれている。『花付き』以外にも後2種類、頭に葉しかついていないものと、頭に実がなっている『実付き』がいる。

この中で胚珠を落とすのは『花付き』だけで、しかも、その『花付き』は出現率がとても低いのだ。

 

そうこうしているうちに、『花付き』と『実付き』がリポップした。

 

「キリト、あれ……」

 

「あぁ、『実付き』と『花付き』、2体同時はキツいな。」

 

「ボクが『実付き』を足止めしておくから、キリトは『花付き』を倒して。」

 

「わかった。」

 

俺は不意打ちで『花付き』に片手剣単発ソードスキル《スラント》を当てた。その一撃で『花付き』が怯んでいる間にもう一発ソードスキルを撃ち込んだ。『花付き』を難なく倒し、ユウキの方を向くと、丁度あいつも、『実付き』にトドメを刺そうとしているところだった。しかし、ユウキのソードスキルが当たる前に、『実付き』が転んだ。

 

「あっ!………」

 

そして、ユウキの攻撃は『実付き』の頭になっている、実に当たった。さっきは紹介しなかったが、このクエストの難易度を上げているのがこの『実付き』だ。出現率は『花付き』より少し高い程度なのだが、頭の実を攻撃すると、中から花粉のようなものが吹き出て、周囲のリトルペネントを寄せ付ける。

 

「ユウキ!」

 

俺は無我夢中で、リトルペネントを次々と切り裂いていった。

 

「うおおおぉぉぉぉぉ!!!」

 

 

 

 

 

何分経っただろうか。

 

「ユウキ!無事か!?」

 

視界の左上を見れば無事な事はすぐにわかるが、そんな事を考える前に叫んでいた。

 

「うん…何とか大丈夫。………ありがとう、キリト。」

 

俺は、無意識にユウキに近寄り、彼女のことを抱き締めていた。

 

「ちょっ、キリト?」

 

「良かった………本当に………良かった…………」

 

「…………ごめんね、キリト。」

 

それから数分間、俺達はそのままだった。

 

 

 

 

 

「……取り敢えず、宿に戻ろうか?」

 

「あぁ。」

 

思い返すと、結構恥ずかしい事をしていたな。本当に、他のプレイヤーが通らなくて良かった。……特にアルゴ。

 

「……………」

 

「……………」

 

「ねぇ、キリト?」

 

「……なんだ?」

 

「さっき、抱き付かれたときから、ボクの視界の端にウィンドウが出てるんだけど………これ、YESにして良い?」

 

「あぁ……良いんじゃないk……」

 

あれ?抱き付かれたときからって事は……ハラスメントコード…だよな?なら、YESにされると……ハッ!

 

「いや!ダメだ!やめてくれ!やめて下さいお願いします!」

 

「えぇー、どうしよっかなー。」

 

「お、お願いします……」

 

きっと俺は、今にも泣きそうな顔になってたんだろうな。

 

「わ、わかった!わかったから、そんな顔しないでよ。ほら、ちゃんとNO押したよ。」

 

「ありがとう…」

 

安堵した。今までに無いくらい安堵した。そこからの道のりはさっきのこともあって少し気まずかった。

 

 

 

 

 

ユウキ side

 

 

やっと宿に着いた。ボク達は所持金節約の為同じ部屋に止まっている。

 

「ふぅ〜……やっと着いたね〜。お疲れ、キリト。」

 

「あぁ。お疲れ、ユウキ。」

 

「「……………」」

 

少しの間、静かに時間だけが過ぎていった。この沈黙が嫌だったのでボクは話を切り出した。

 

「………さっきは、本当にありがとう。」

 

「いや、当然の事をしただけだよ。それより、こちらこそ、突然あんなことしてごめん。」

 

「大丈夫だよ。そういえば、すっかり忘れてたけど、胚珠はどうなったの?」

 

「あ………ちょっと見てみる。」

 

そういってキリトは右手を振り降ろし、メニュー画面を表示させた。

 

「………おっ!落ちてるぞ」

 

「おぉ!やったね!」

 

「まぁ、結果オーライだな。だけど、今度からは気を付けろよ?ここで死ぬと本当に死ぬんだから。」

 

「うん………」

 

その時、" ぐうううぅぅぅ〜 " と言う音がキリトの方から聞こえてきた。

 

「そういえば、帰ってきてからなんにも食べてなかったね。ご飯にしようか。」

 

「あぁ、頼む。」

 

さて、ボクもお腹減ってるし、チャチャっと作っちゃおう。今日はシチューにでもしようかな?この世界ではすぐに作れるから楽だね〜。さて、作り方は簡単。ジャガイモ等の食材を切って、お水を入れた鍋にぶち込み、温めて少し待つだけ。所要時間約5分!

 

「よしっ!できた!」

 

「運ぶの手伝うよ。」

 

「うん、お願い。」

 

「おっ、今日はシチューか。旨そうだな。」

 

キリトはそう言いながら、シチューを持ってテーブルに着き、二人で食事を始めた。

 

「「いただきまーす」」

 

「どう?」

 

「旨い……そこら辺の飯屋より、全然旨い!」

 

「そ、それは言い過ぎだよ…」

 

「いや、本当にそれ位旨いぞ。」

 

「あ、ありがとう…」

 

なんか、カップルみたいだなー。………カップル?ボクとキリトが?

 

「ゴホッ、ゴホッ!」

 

変な事を考えたせいで咽てしまった。

 

「大丈夫か?ユウキ。」

 

「う、うん。大丈夫だよ。」

 

「そうか。ならいいけど…」

 

そう言ってボク達は食事を続けた。ボクとキリトがカップルなんて…

 

 

「ご馳走様。」

 

「お粗末様でした。よし!片付けたら寝よっか。」

 

「だな。」

 

片付けを終え、寝る準備をした。いつもはボクがベッド、キリトはソファで寝ている。

 

「それじゃあ、おやすみ。ユウキ。」

 

「おやすみ、キリト。」

 

 

 

 

 

30分位が経った。ボクは、眠れそうになかった。

 

「ねぇ、キリト、起きてる?」

 

「……………あぁ。」

 

「キリト………たまには一緒に寝ない?」

 

「どうしたんだ?急に。」

 

「なんか、眠れそうにないんだ。死ぬのが怖くて…」

 

「そうか。じゃあ、お言葉に甘えようかな。」

 

そう言ってキリトはベッドに入ってきた。ボクはキリトの腕に抱きついた。

 

「ちょ、ユウキ?」

 

キリトが何か言いたそうだけど、無視しよう。

 

「おやすみ、キリト。」

 

「…………おやすみ、ユウキ。」

 

ため息が聞こえた気がするがボクは気にぜず眠りについた。今度はすぐに眠れた。

 

 

 

 

 

 




ども、Nyanです。

さてさて、今回はある程度のオリジナル成分を入れてみました。
いや〜、それにしてもオリジナルで文章考えるのって難しいですね〜
そのせいか、今までより少し短くなってしまいました。

あ、そういえば、お気に入りが10件、UAが400を越えました!皆様、ありがとうございます。これからも頑張って行きたいと思います。

意見、感想等、お待ちしております。

それでは!

To be continued……

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