インフィニット・ストラトス Re:Dead《完結》   作:ひわたり

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希望と絶望

一夏とシャルロットは椅子に座り、向かい合わせで顔を見る。

「本当に、女の子なのか?」

「確かめてみる?」

「い、いや、大丈夫」

信用してもらえるならばとシャルロットは本気で言ったが、一夏は慌てて首を振った。

「一夏、フランスにいたシャルルを覚えてるって言ってたよね」

「あ、ああ……」

「その人は私のたった一人の家族なの」

一夏は目を見開いた。

あの時、一夏はシャルルから家族の話を聞いていた。妹みたいな子がいるのだと、彼が笑っていたのを思い出す。

その娘が自分にシャルルという名前をつけてくれた。

妹のような、家族の、その娘の名前は。

「シャルロット……」

彼女の話は真実だと、一夏は確信を得た。

「私はシャルルを助けたい。唯一の家族を、助けたい」

だから、助けて。

その切実な願いに、一夏はしっかりと頷いた。

 

シャルロットは短い間でも一夏の性格を見てきた。

朴念仁で、優しくて、警戒心のない、だけど誰かを助けようと動く心を持っている。

シャルロットは賭けた。

一夏の人間性に全てを賭ける。

シャルロットは全て話す。

自身の母親が死んだこと。シャルルと二人だけで生きてきたこと。父親であるデュノア社長。シャルルを人質に取られ、こうしてIS学園へ来たこと。

デュノア社長の辺りで、一夏は顔を強張らせ、社長に対する怒りの感情を見せたが、黙ってシャルロットの話を最後まで聞いていた。

「私が必要としているのは、一夏の情報と白式の情報。それがあれば……」

「シャルルさんを救える、か」

「…………」

実際に彼を解放してもらえるかどうかは分からない。それこそデュノア社長の気紛れ一つだろう。それでもこれに縋るしかない。これしか方法がない。

「でも、私に出来ることは少ない。情報の代償は何も持ってないの。お金もないし、あげられるものなんて何もない」

だから

「だから、一夏が望むのなら、この体を好きにしても……」

シャルルが助かるなら。

シャルルともう一度会えるなら。

私は。

「シャルロット」

シャルロットが言い終える前に、一夏は強い言葉で遮った。

「それ以上言うな」

自覚はしていないのだろう。

シャルロットの体は少し震えていた。瞳は不安そうに揺れ、今にでも崩れてしまいそうなほどに危うい。

シャルルを助けたい。

それだけの気持ちが全てを先行し、自分の内にある恐怖と震えに全く気付いていない。

「それ以上言ったら、俺が許さない」

自分でも冷たい声だと思ったが、強い言葉はシャルロットの望まぬ言葉を止めることに成功した。

一夏は内心で自分に怒っていた。

短い間とは言え、シャルロットとは友人として過ごし、飲食を共にした。それなのに、彼女の闇に、その悲鳴にまるで気付けなかった。

……馬鹿だ、俺は。

「良いか、シャルロット。見返りなんていらない。俺に出来ることがあれば喜んで協力する」

「……でも、私は一夏を利用することに」

「利用しろ!俺はそれでも良いんだ!」

利用する。その言葉に、シャルロットは昔のシャルルの残滓を見る。

『僕を利用しろ』

あの背中が遠く、届かない。

「シャルロット、お前にとって俺は何だ」

「一夏は……私にとって……?」

情報源。ターゲット。そんな言葉ばかりが浮かび上がって。

「俺はお前の友達だ」

だから、そんな言葉なんて知らなくて。

「シャルロット、何も迷わなくて良い。無償の手助けが心配なら、要求してやる」

一夏は立ち上がってシャルロットに近付き、両手で肩をしっかりと掴んだ。

目を真っ直ぐに、逸らさずに、要求する。

「俺をシャルルさんに会わせてくれ」

もう一度、彼に会う為に。

「一夏……」

「俺さ、シャルルさんと約束してるんだ。もう一度会おうって。殆ど忘れかけてたけど、指切りをして、約束を交わしたんだよ」

「指切り……」

母親が死んだ後のこと。

指切りをしようと、シャルルのと約束を交わした。

離れないと約束した。

「ああ……確かに、シャルルって、指切りをするよね」

「だよな。今時、子供でもなかなかしないのにさ」

「そうなんだ。日本の風習っていうから、結構やってるものかと思ってた」

クスクスと一夏とシャルロットは笑い合う。笑うことが出来た。

「私もね、指切りをしたんだ、シャルルと」

指切りげんまん、嘘吐いたら針千本呑ます。

「離れないって約束、破ったからね。一つお願い事、聞いてもらわなきゃ」

「そうだな。それは何が何でも聞いてもらわなきゃな」

約束を守ってもらう為に。

お願い事を聞いてもらう為に。

もう一度、シャルルと。

「一夏、お願い」

シャルロットは真っ直ぐに一夏を見た。

怯えた瞳でもなく、相手を利用する目論見でもなく、友人としてお願いする。

「シャルルを、助けて」

「ああ、任せろ」

この時初めて、シャルロットに味方が出来た。

「……俺が持つ情報はハッキリ言って少ない。それこそ、最初は日本政府なんかが来て、色んな検査をしたけど、多分何も分からなかったんだと思う」

そうだろうと、シャルロットは同意する。もしその段階で何か知れていれば、もっとIS自体の発展や、政府が何らかのアクションを起こしている筈だ。

「だから、俺自身の情報は多分これ以上出てこない。その前提で、今、誰も知らない情報で提供出来るのがあるとすれば……」

「白式の情報、だね」

元は倉持技研という開発局で凍結されていた物、というのは一夏も聞かされていた。

「その会社、知ってる?」

シャルロットの質問に一夏は首を振った。

「いや、聞いたこともない。ISに疎い自覚はあるけど、流石に有名ならテレビとかで聞く機会があると思うし」

ただ、一夏が昔調べた所、その組織は存在し活動している。一番の謎であるのは、何故この欠陥機のような物を男性操縦者に与えたかということ。

「……一夏って、篠ノ之博士と仲が良かったよね?」

「え?それはまあ……」

途中でシャルロットが言わんとすることに気付き、目を見開く。

「……まさか、束さんが関わってるのか?」

「いや、ただの予測だし、何とも言えないけど……」

しかし、取り敢えずやることの方向性は見えた。

「俺が明日、倉持技研に聞いてみる。無理なら千冬姉を通してでも情報を得よう。トーナメント後なら、後始末だけで忙しくはない筈だ。千冬姉なら、もしかしたら束さんと話せるかもしれないしな。すぐに返答はこないだろうけど、きっとこれで行ける」

「……大丈夫かな」

「前向きに考えようぜ。駄目だったら次の手を考えれば良いさ」

「うん、そうだね」

協力者がいるとはこんなに安心出来ることなのかと、シャルロットは少し気が楽になった。ずっと一人で抱えていた荷が軽くなった気がした。

「……ああ、そういえば一夏」

トーナメント戦で一つ思い出す。

「ん?」

シャルロットは実に爽やかな笑顔で言った。

「今度のトーナメント戦、ボーデヴィッヒさんが一夏をボコボコにする予定だから、覚悟しておいてね」

それはそれ、これはこれである。

一夏にとって理不尽な話であるが、やはり一発くらい殴ってもらわなければ気が済まない。

「え!?何それ!?」

焦る一夏にシャルロットは笑った。

……やっと希望が見えてきた。

やっと先が見えてきた。

待ってて、シャルル。

もうすぐ、助け出してあげるから。

 

シャルロットは笑った。

 

希望を見つけて、笑うことが出来た。

 

 

 

 

絶望的な状況とは、このことを言うのかな。

 

シャルルは頭の隅でそんなことを考えた。

「私がISを持ってないと思った?」

女性の言葉に、予想済みですよと頭の中で答え、口では反対の事を答える。

「ええ、予想外でしたね。僕はいつも最後で詰めを誤るんですよ。悪い癖です」

天にはIS。地には海。周りはヘリと言う名の鉄の壁で囲まれている。どう足掻いても脱出不可能な状態であるのは誰しもが分かる状況だった。

「まあ、落ち着いてくださいよ」

シャルルは戯けて両手を挙げてみせる。

「ヘリ一台幾らすると思ってるんですか。僕に請求されても払えませんよ。折角何処かの海岸で安全に着陸する気だったのに」

「私の仕事は貴方の監視よ。他のことなんて知らない。ここまでするとは思わなかったけどね」

施設で起きた爆発に、全台の監視カメラの故障。加えて、防火シャッターや電子ロックの不可思議な動き。

大企業のIS研究所だ。ここのセキュリティは政府のものに匹敵する程に堅い。

なのに、シャルルはそれをものの数分で全てを掌握した。

「何者よ、貴方」

「さあ、僕にも分かりかねますね」

実際に自分のことは知らない。

不思議なことに、どれだけ知識を集めても記憶は全く蘇らない。だが、自分が自分で無くなってしまうような、底なし沼に嵌ってしまいそうな奇妙な感覚。

その底に『誰が』いるのかはシャルルには分からない。

「ところで、さっきから剣を突きつけてますけど、僕がそれを使って自殺する可能性は考えてないのですか?」

土砂降りの雨が降り続ける。雨粒がISの背中を叩き、甲高い音が鳴り続けた。ISが覆い被さっているような状態で天井の役割を果たしているが、僅かな雨が隙間を通ってシャルルの頬へ落ちた。

「ここで死ぬのは得策じゃないでしょう。貴方の生死は、あの女の子には知らぬ所だわ」

ISの片手には剣。

もう片方の手はヘリを掴んで支えている。

「ええ、そうですね」

シャルルは素直に頷いた。

もう話すのも無駄だと、ISはこの状態のまま移動しようとした。工場の方角を確認する為に顔を上げる。

「だから、貴方の負けだ」

確かに、得策ではない。だが

「最悪でもない」

まさかと、ISはシャルルに振り返った。

目の前に、何かがあった。

判断する前に、理解する前に、それが弾け飛ぶ。

閃光手榴弾。

「うあっ!!」

ハイパーセンサーにより増幅された視力と聴覚は諸にそれを直撃した。

本来はISの武器であるそれを、工場の何処からか持ち出してきたであろうそれを、シャルルが一瞬の隙を突いて投げ飛ばしたのだ。

反射的にISは目を覆った。それはつまり、どちらかを手放すということである。ISが手放してしまったのはヘリの方。

「…………!」

しまったと思うと同時に、逃がすかと手を伸ばす。

目が見えずともISは速い。落ちる前にそれを掴み直すことができる。

下手にヘリを掴んでも、シャルルが落ちてしまえば意味がない。ISはヘリの中へ深く入り込み、細いそれを掴んだ。感触からして手首。乱暴に動いた所為でガタガタとヘリの激しい音が鳴り、ISもあちこちにぶつける。だが、この腕だけは離すまいと、折れても構うものかと力強く握り締めて拘束した。

「……逃げ切れると思ったの?」

周りから圧迫感が消える。

ヘリが落ちて行ったのだと感覚で判断した。ISを纏っている故に回復も早い。風を切る音と共に、海面に鉄の塊が落ちる音を耳にした。

「悪足搔きだったわね」

そう言って女性は回復した目を開き、掴んでいるものを見た。

手に収まってるそれを見た。

 

左腕だけしかなかった。

 

切り口から大量の血が溢れ落ちるそれを見て、彼女は思考を停止させた。

「……は?」

何だこれは。

何でこれだけが。

彼は、どうした。

彼は、どうして。

どうやって?

「…………っ」

目に入ったのは、自身が反対の手に握っていた剣。

雷光に光り輝いていた剣は、赤く染まっていた。雨と共に剣を濡らしている。

つまり、彼は自ら腕を切り離したのだ。

女性が腕を捕まえた瞬間か、或いは閃光弾の時に既に切り離していたのか。

少なくとも、そこに悲鳴や躊躇いはなかったのだろう。

ISの力は強い。ヘリを平気で持ち上げる力は、物の重さの感覚を狂わせる程に。腕を掴んだだけで安堵してしまったのは、彼女のミスだ。

「……か……」

ならば、シャルルは何処へ行ったのか。答えは一つ。

下には海が広がっている。

ヘリが沈み、巨大な渦を巻き込みながら沈んで行く。荒れ狂う波は、その全てを飲み込んだ。

「馬鹿かお前は!!」

女性は叫んだ。

悲鳴に近い叫びは雨音によって掻き消された。すぐさま海へ飛び込もうとして

『おい、何をしている』

通信がそれを遮った。

聞こえてきたのはサングラスの男の声。

「何って、あいつを……!」

『そんな荒れ狂う海の中を、光もない視界で人一人をどうやって探す』

「……っ」

この数秒だけで既にヘリが落ちた正確な位置さえ明確ではない。況してや人間など、何処へ流されてもおかしくはなかった。

『そいつよりも、工場の連中を手伝え。小規模とはいえ爆発が多い。ISが必要だ』

「だけど……!」

『死傷者を出す気か』

女性はグッと歯を噛み締めた。火はすぐに回る。そちらも性急であるのに変わりはない。

「了解……」

『それは捨ててこいよ』

通信が切れた。

女性は握り締めていた左腕を見つめ、それを海へ投げ捨てると、一直線に工場へと戻って行った。

 

 

「…………」

サングラスの男は通信を切り、短く息を吐く。既に外へ避難していた彼は、雨の中で体を濡らしていた。

「……おい!」

背後から声が掛かる。スキンヘッドの男が怒鳴り声を上げた。

「あの馬鹿はどうなった!」

「死ぬだろう」

事も何気に、そしてアッサリと答えた男に、胸倉を掴んで睨み付ける。

「何だと……!」

「映像で確認した。奴は自分の腕を切り離してまで俺達の手から逃れた。だが、出血量に加え、この海の中だ。助かるわけがない」

「巫山戯るな!まだ可能性はあるだろう!今すぐISに探させろ!」

胸倉を掴んでいた手を掴み、握力を込めて握り返す。二人の間でギリギリと力の応酬が続いた。

サングラスの奥の瞳が鋭く光る。

「巫山戯るなとは此方の台詞だ。可能性の無い命より、確実に助かる人命が多く居る。ISを使えば尚更だ」

「…………っ」

「関係ない赤の他人の命と、自分の会社の、部下達の命。俺にとっては数も質も此方が優先だ」

第一、と続ける。

「お前は奴に絞め落とされて、気絶させられたんだ。お前の持っていた好意と善意を利用されてな。奴はお前の信用と信頼を裏切った。何故、そんな奴を庇う」

「俺はアイツを一発ぶん殴らなければ気が済まないだけだ……!」

バシッと、腕を振って手を振り解いた。

「坊主が家族を助けたい気持ちは誰よりも理解出来た。なのにあの馬鹿は一人で突っ走りやがった!」

「…………」

「だからこそ!もっと俺を頼ってくれれば!そうすれば!!」

悔しさの混じった叫び声。

それを静かな声が遮る。

「だからこそ、奴はお前に頼らなかったんだろう」

「…………!」

頼れば、応えてくれた。

そうすれば楽だっただろう。互いに家族を想う者同士だ。気持ちは痛い程に理解出来たから。

だから、シャルルは頼らなかった。

彼に、彼の家族を、巻き込むことなど出来なかったから。

気絶までさせて、わざわざ危険な道を通ってまで、それを避けたのだ。

「奴が何故わざわざ腕を切り落としたか分かるか?」

自殺するだけなら剣を自分の喉でも心臓でも刺せばいい。腕を切り離す度量があるなら簡単だし、その方が確実だ。

「彼女を人殺しにしない為だ」

腕を切り離す為だけに剣を使った。

後は、海に飛び込むのは自分の意思。

女性からの直接的な死を避ける為に、彼はまた捕まる危険を犯してまでも、腕を切り離すことを選択した。

「奴は俺達を巻き込んだ。巻き込んだ上で、一番被害の少ない選択を取り続けたんだ」

「…………っ」

男の拳から力が抜けた。

「守る為に欲張り過ぎた結果だ。甘過ぎたんだよ、奴は」

サングラスの男は足を進め、背中越しで告げた。

「俺はもうこの会社を辞める。正直、ついていけん」

「辞める……?辞めてどうする。そもそも、辞められるのか、俺達が」

「さあな。少なくとも、俺は海外でバカンスでもするつもりさ。家族がいるお前には、預かり知らぬ所だろうが」

……もっとも、この先、俺も生死の賭けとなるがな。

心の中での呟きは声に出さない。

サングラスの男は立ち去り、スキンヘッドの男が一人残される。

胸ポケットから煙草を取り出して吸おうとしたが、大雨に濡れて、湿気て火が着かない。

何度もライターで火をつけようとして、それでも、火が灯ることはなかった。

「……くそったれ」

腕が力なくだらりと下がる。

見上げた空は黒い雲に覆われていた。

雨脚が一段と強くなる。全てを隠すように、全てを洗い流すように、雨は降り続いた。

 

この日、工場で起きた爆発は施設の一部に損害を与えたものの、死傷者はいなかった。

 

 

ゴボリと、空気の塊が肺から抜けた。

ヘリが海へ沈んでいく。それによって発生した渦が僕を巻き込んでいく。抵抗しようにも、片腕を失った状態では碌に動く事もできない。海中へと引き摺りこまれる。非力な僕ではそれに抗えない。

……死んだかな、これは。

脱出が最優先。生きての脱出が最高。

死ぬのは、最悪よりも、少し良いくらいか。

暗く渦巻く海は何見えない。上も下も分からずに、体は闇の底へと運ばれていく。

……ああ、でも、やっぱり連絡手段が欲しい。

一瞬で良い。シャルロットと連絡さえ付けば、僕は逃げ出したと。それだけ言えれば、彼女は自由になれるから。

「…………」

いや、違うか。

僕がシャルロットの声を聞きたいだけだ。

最期なら、シャルロットの声を聞きたい。

あの擽ったい髪の感触に触れたい。

握った手の温もりを感じたい。

もう一度、シャルロットの笑った顔が見たい。

僕が死んだらどうなるだろう。やっぱり泣くのかな。それとも我慢して耐えてしまうのかな。世話好きで、甘えん坊なくせに、変に強がる所があるから。

シャルロットが泣く。

それは、嫌だな。

ねぇ、シャルロット。

泣かないで。

僕は君の泣く顔を見たくない。

笑っていてよ。

そうすれば、僕も幸せだから。

 

意識が遠退く。

 

自分の体が冷たくなっていく。

 

鮫にでも食べられるのかなと、そんなどうでも良いことを思って。

 

視界には何も映らない。

 

呼吸も出来ず。

 

ああ、ねえ、シャルロット。

 

君ともっと話したい。

 

君ともっと触れ合いたい。

 

君の顔を、もっと見ていたいよ。

 

あぁ、僕は

 

もしかしたら、僕は

 

今誰よりも、生きたいのかもしれない

 

人は死んだらどうなるのだろう

 

魂があるなら、それは何処へ行くのだろう

 

願わくば

 

生きて

 

もう一度、君に……

 

君と……

 

 

……………………

 

 

最期に、何か見えた気がした。

 

白いような、赤いような、何か。

 

 

 

 

…………ごめんなさい。

 

……ごめんなさい。

 

ごめん。

 

………………。

 

 

 






「貴方を、死なせはしない」

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