二度目の中学校は”暗殺教室”   作:暁英琉

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コードネームと言うものは、かなり精神力を使うものである

「あ、比企谷君おはよー!」

 

「おはようございます、比企谷君」

 

「おう、おはよう」

 

 登校すると、先に来て談笑していたらしい渚と茅野が声をかけてきた。何を話していたのかと思って茅野が持っていた雑誌に目を落とすと『最強プリン決定戦!』とデカデカと書かれた見出しに様々なプリンが載っているページが開かれている。

 

「ほんとお前プリン好きだな」

 

「こんなおいしいもの、嫌いな人はいないよ!」

 

 いや、さすがに嫌いな人間は少なからずいるだろ。なんだよそのプリンは地球を救うって信じてそうな発言。……よくよく考えたら巨大プリンの暗殺が成功していたらプリンが地球救ってたわ。

 新興宗教プリン教の教祖様は再び記事に目を落とすと喜々として各プリンを眺め出す。食べたことのあるものはスラスラとこの部分がおいしさのポイントだった、とかけどここは少しいまいちだった、とか批評をして、食べたことのないプリンは目を輝かせながら何度も「食べたい!」と連呼していた。微笑ましいが、頭の中が茅野の展開するプリンワールドに侵食されて、比較的甘党の八幡君も少し胸やけ気味だ。

 

「あ、ここ電車ですぐだね。なら今度皆で行ってみようよ」

 

 そんな中茅野の隣の席で話を聞いている渚は、いつも通りニコニコと茅野のプリン談義を聞いている。君たちほんと仲いいよね。大体いつも一緒にいるし。

 

「……おはよ」

 

「おはよ、木村。その顔はまた凹んでんのか」

 

 教室に沈んだ声が入ってきて、それに前原と話していた三村が苦笑いを声に混じらせながら返している。視線を向けると昨日休んでいた木村がため息をつきながら入口のすぐ近くにある自分の席に腰を下ろしたところだった。三村や菅谷といった比較的地味――こういう言い方はあれかもしれないが――なメンツとよく絡んでいる俊足木村は同時にE組の中では病欠が多い奴でもあり、免疫力が低いのか月一ペースで必ず熱を出して休んでいる。そういえば、だいたい復帰してきた日はこうして凹んでいるような気がする。

 

「なんで凹んでるんだ? 昨日なんかあったっけ?」

 

 思い返してみるが、昨日は特に特別な授業もなかったと思う。いや、ビッチ先生の英会話があったな。教室の一番右前の席なせいか木村はビッチ先生に指されることが多い。あいつも男子なわけだし、それが少しうれしかったり……ないな。その可能性ははっきり言ってゼロだな。

 

「……学校で何かあったんじゃなくて、病院に行ったからだよ」

 

「なんだ、病院が嫌いなのか」

 

 心当たりを探っていた俺に机に顎を乗せて項垂れた木村が答えてくる。まあ病院が好きな人間自体多数派ではないから分からなくもない。俺もそんなに好きじゃないしな。

 しかし、納得した俺に木村はフルフルと首を横に振って「別に嫌いってわけじゃない」と否定した。

 

「ほら、病院って名前フルネームで呼ばれるじゃん。それが嫌なんだよ……」

 

「ふむ……木村の下の名前って確か――」

 

 「正義」って書いて「まさよし」だったよな、とほとんど呼ぶことのない木村のフルネームを思い出していると――

 

「……『ジャスティス』だよ。『正義』って書いて『ジャスティス』」

 

「……は?」

 

 喉まで出ていて今まさに音になろうとした声が強制的に引っ込んで、代わりについて出たのはただ意味もなく聞き返すものになってしまった。

 逆に大げさに反応したのは反対側で耳を澄ませていたらしい茅野だ。

 

「ジャ、『ジャスティス』!? 皆『まさよし』って呼んでなかった……?」

 

「皆武士の情けで『まさよし』って呼んでくれてるんだよ。殺せんせーにもそう呼ぶように頼んでる」

 

 「入学式で聞いたときはビビったよな」と言う菅谷の話を聞く感じだと、どうやらクラス全員暗黙の了解だったようだ。

 木村の家は両親とも警察官で、木村が産まれたことに舞い上がってそんな名前を付けられたらしい。世間的にはキラキラネームとかDQNネームなんて呼ばれている部類だろう。つうか、なんで英語を当てたんだ。まだ「せいぎ」だったらギリギリセーフと言えなくもなかったろうに。

 

「『親が付けた名前に文句つけるなんて何事だ!』なんて言ってくるしさ。子供が外でどれだけ苦労しているか考えたこともねえんだろうさ」

 

 最近の世間の調査だと、そういう“変わった名前”をつけようとする親は減少傾向にあるらしい。同じようにキラキラネームをつけられた子供の苦労がネットに広がりだしたのが理由だろうが、それでもなくならないあたり、身勝手な親はいなくはならないようだ。

 

「親なんてそんなもんよ」

 

 体重を背もたれに預けて再び項垂れだした木村にそう声をかけたのは、意外なことに狭間だった。そういえば狭間の名前は「綺羅々」と書いて「きらら」だったか。「きらら」っぽく見えるかと、どっちかと言えばオドロオドロって感じだと言わざるを得ない。

 

「メルヘン趣味の母親が付けた名前だけど、気に入らないことがあればすぐヒステリックになるような人でね。そんなストレスのかかる環境で名前通りかわいく育つわけがないのよ」

 

 なんだかんだ、名前で苦労している奴は多いようだ。キラキラネームと言うわけではないが、村松も下の名前の「拓哉」はジャニーズファンの母親が木村拓哉からつけたらしく、ジャニーズファンに殺されそうとかぼやいている。俺も小学校の頃とかよく名前で虐められたな。「ヒキガエル」って呼ばれだして最終的に「ヒキ」が取れて原型なくなったりとか、担任にすら「ひきたに」って呼ばれたりとか。……名前は関係なかったわ。名字のことだわこれ。

 

「皆大変だねー、へんてこな名前付けられて」

 

「「「「!?」」」」

 

 途中で入ってきたらしくあっけらかんと会話に入ってきた赤羽に皆がギョッと目を剥く。まあ、皆の気持ちも分かる。「業」と書いて「カルマ」と読むこいつの名前も十分キラキラネームに該当するだろう。こいつの両親はデイトレードで荒稼ぎする自由人で海外、特にインドによく行くらしいから、普通の日本人とは少しずれた感性を持っていても仕方がない気がするが。

 

「あー俺? 俺はこの名前気に入ってるよ。たまたま親のセンスが遺伝しちゃったのかもねー」

 

 皆の視線の意味を理解したらしい赤羽はケタケタ笑う。本人が気に入っているのなら、キラキラネームでもさして問題はないんだろうな。産まれたばかりの子供にそれを判断するすべはないんだけど。

 

「そういえば、はっちゃんも結構珍しい名前だよね」

 

「確かに当て字とかじゃないから読めるけど、名前って感じはあんまりしないよね」

 

 倉橋と矢田に言われて、はてと自分の名前である「八幡」について考えてみた。確かに珍しい名前には違いないだろう。そのせいで自分は実は特別な存在なのではとか思って八幡大菩薩とか調べたり……いかん、余計な黒歴史を踏み抜いてしまった。

 ただ――

 

「俺もそこまで自分の名前を気にしたことはねえな。そもそも八月に産まれたから八幡って前に親が言ってたし」

 

「そんな理由だったの?」

 

「そんな理由だった」

 

 小町も雛祭りの日に産まれたから三歌人、三賢女の小野小町あたりから取ってきたんだろうな。我が両親ながら安直というか。狭間の言を借りるなら、「親なんてそんなもん」ってことなんだろうが。

 まあ、結局二人とも名前のせいで苦労したことはないから、あんまり気にしてはいないな。

 

「先生も、名前については不満があります」

 

 ヌルッと赤羽に密着しそうなくらい近くに現れた殺せんせーも話を聞いていたらしく、不満を漏らしだした。と言ってもこの超生物の場合は名前を気に入っているからこそのようだが。

 

「未だに二名ほど先生のことを殺せんせーと呼ばず、烏間先生に至っては「おい」とか

「おまえ」とか……熟年夫婦じゃないんですよ!!」

 

 ハンカチを取り出して「ううう」と泣き出した担任教師に、教室が変な空気になってしまった。殺せんせーと一緒に来ていたらしい教員二人も冷や汗を流しながらじっと木製の床を見つめている。

 

「や、だって……いい大人が「殺せんせー」とか……正直恥ずいし……」

 

 ビッチ先生、あなたの師匠はがっつり呼んでいましたが、その点は大丈夫なんですか? 今の発言、知られたらまた怒られるんじゃないですか?

 まあ、ビッチ先生が怒られるかどうかは正直どうでもいいや。なんかロヴロさんが来るたびに怒られている節があるし。

 それよりも気になることがあって、俺は近くにいた渚と茅野に声をかけた。

 

「なんで茅野は木村のフルネーム知らなかったんだ? 俺とか律、堀部ならまだ分かるが」

 

「私は学園のデータベースにアクセスして知ってました!」

 

「あ、うん。律はちょっと黙ってようね」

 

 律がまたナチュラルに学園にハッキングをかけていたのはこの際置いておくとして、入学式で皆聞いていたということは茅野も木村のフルネームを知っていておかしくないと思うのだが。

 俺の質問に茅野は頬をポリポリと掻いて言葉を濁す。代わりに答えたのは、隣にいた渚だった。

 

「茅野は今年の四月に転校してきたんだ。だから木村君の名前も皆が呼んでる『まさよし』しか知らなかったんだよ」

 

「……なるほど」

 

 確かに今までもちょこちょこ渚に学校のことを質問している姿を目にした。そういうことならその点も説明がつくか。

 それにしても殺せんせーのせいで空気が重い。それを何とかしようと思ったのか、矢田が「じゃあさ」と声を上げた。

 

「いっそのことコードネームで呼ぼうよ!」

 

 

     ***

 

 

「……はい、今日の授業はこれで終わります。はあ……」

 

 力なく項垂れた殺せんせーの合図にそれぞれ帰る準備を始める。

 矢田の提案に乗った殺せんせーによって、今日一日全員をコードネームで呼び合うことになった。全員が考えたコードネームの中から先生が無作為に引いたものを一日呼び、本名を呼ぶことは禁止。なんならできる限り代名詞の使用も禁止したこの遊びは、一時間目にあった体育という名の訓練の時点で何人もの戦死者を出した。

 まず皆が付けるコードネームにおかしなのが混ざっていたりする。親になった時の名付けセンスを鍛えるとは何だったのか。前原なんて「女たらしクソ野郎」とかいう長い上にただの悪口だし、矢田の「ポニーテールと乳」はいろんなところから怒られるのではないだろうか、岡島が。その岡島も「変態終末期」なんていう名前を受け取って見事爆発四散していた。

 まあ、一時間目の後の殺せんせーの話で、「ジャスティス」というコードネームを付けられた木村は幾分納得した顔をしていたが。

 

「じゃあねぇ、バカなるエロのチキンのタコー」

 

「ちょっ、カルマ君!? もう授業が終わったからコードネームで呼ばなくていいんですよ!?」

 

 そして当然コードネームは先生たちにも適用された。烏間さんが「堅物」でビッチ先生が「ビッチビチ」。ビッチ先生のコードネームつけたの誰だよ。完全に魚介類が発する擬音だよ。もしくはあれか? 堀部あたりが「ピッチピチではない」って理由で濁点にしたのか? 二十歳を賞味期限間近扱いする奴の闇は深い。

 そして殺せんせーは最高にムカつくドヤ顔で「永遠なる疾風の運命の皇子」とかいう中二病全開なコードネームを提示して、クラス全員の反感を買っていた。その結果がさっき赤羽が言った「バカなるエロのチキンのタコ」なわけで。実は一番ダメージがでかいのは殺せんせー自身だったのかもしれない。

 

「俺も帰るか」

 

 今日は精神的に堪えたのか皆居残る気にはなれないようで、ぞろぞろと教室を後にする。俺もその流れに乗って下駄箱で靴を履き替えて外に――

 

「待ってよ、“はちにい”!」

 

「“はちにい”一緒に帰ろー」

 

 出ようとして校舎入り口の引き戸の溝につんのめってたたらを踏んでしまった。幸い転ぶことはなかったが、近くを歩いていた千葉や速水に笑われてしまい、少し顔が熱くなる。それをごまかすように軽く頭を振り、振り返ると悪戯が成功したときの小町のようににひっと笑みを浮かべた矢田と倉橋が駆け寄ってきた。

 

「……お前ら、殺せんせーがコードネームはもうおしまいって言ってただろ」

 

 そう、皆が大なり小なりダメージを受けていたように、俺もなかなかのダメージを食らっていた。「はちにい」という一見すればまともな名前なのだが、訓練中に呼ばれるとつい気が抜けて、得意のステルスも乱れてしまい散々だった。特に先生たちに呼ばれたときのゾワゾワ感がやばい。年上から兄みたいに呼ばれると壁に頭を打ち付けたくなる謎の衝動に駆られるのだな。こんな知識知りたくなかった。

 正直もう当分呼ばれたくないのだが、当の本人たちはやめる気はないらしく、目の奥に悪戯の光を見え隠れさせている。

 

「いいじゃん。おしまいってだけでもう呼んじゃ駄目なんて誰も言ってないんだし」

 

「そうだよねー」

 

 くっそこいつら……。

 倉橋は「ゆるふわクワガタ」とかいう比較的まともなコードネームだから呼ばれてもさして気にしなさそうだし、矢田に至ってはコードネーム縛りが終わった今使うとただのセクハラだ。こっちに反撃手段がないんですが、何とかしてよ殺えもん……その殺えもんが一番ダメージ受けて死んでるんだった。

 

 「ツンデレスナイパー」速水も「ギャルゲーの主人公」千葉も助けてくれないこの現状をどう切り抜けるべきかと視線を巡らせていると――

 

「あれ?」

 

 教室の窓が目に入った。そこに佇んでいる人影にも。

 同時に、一度は納得したはずの疑問が再度浮上する。

 

「悪い、先帰っててくれ。用事思い出したわ」

 

「え? あ……うん。分かった」

 

 倉橋の頭にポフッと手を乗せると、何か言おうとしていた彼女は俺の顔を見て、コクリと頷く。それを確認して、心持ち速足で校舎の中に再度入った。手早く上履きに履き替えて教室に向かう。当然のことながら、忘れ物なんてしていない。

 四月から転校してきたから学園のことで知らないことが多い。なるほど、確かにそれは納得だ。けれどそれは「転校早々E組に落とされた」ということになる。私立への転校ということは、当然転入試験を受けるはずだ。それをクリアした人間がE組? 最初からE組レベルの学力なら合格させるわけがない。俺が理事長でもそんな生徒は不合格にする。

 じゃあ過去の素行不良? それもおかしい。結局最初からあと一年で部外者になってしまうE組にわざわざ落とすなら、実績を重視する椚ヶ丘学園が合格させるとは考えにくい。

 では合格した後になにかやらかした? そういえば、竹林が前に理事長の表彰トロフィーを壊してE組に落とされた前例があると言っていた。それがあいつだと考えると落ちた理由は納得できる。今のところ一番現実的にありえる可能性だ。

 ただ、何度か訪れた経験から言えば理事長室はかなり広い。トロフィーの飾られた棚には意図的に近づかないと届かないはずだ。それにそもそも、理事長室に一般生徒が呼び出される機会なんて早々ない。特に実績もない転入生なら入室する機会なんて転入時の顔合わせくらいだろう。学園のトップと初めて会う時にそんなことをする理由があるか? というよりもたかが表彰トロフィーや盾を“事故”で一つくらい壊してしまった生徒を素行不良としてE組にあの人が落とすだろうか。去年まで暴力沙汰が絶えなかったという赤羽だって、学園内の有望な先輩に大怪我を負わせるまでほぼ黙認していたというあの理事長が。

 

「…………」

 

 もし本当にあいつがそうやってE組にやってきたのだとしたら、意図的にE組に落とすように仕向けたことになる。

 

「あれ? どうしたの、比企谷君?」

 

 この――茅野カエデという少女は。

 少しとはいえ、殺せんせーが来る前に転校してきた茅野は、故にこそ俺や律、堀部のように転校生暗殺者と決め付けられなかった。だってその頃はこのE組が暗殺教室になるなんて誰も思ってもみなかったのだから。

 

「…………」

 

「…………」

 

 茅野は俺の目を見て何かを感じ取ったのか、キュッと唇を引き結ぶ。お互いに何もしゃべらないと、十二月の冷たい風が木々や窓を揺らす音だけが聴覚を刺激してくる。

 巨大プリンでの暗殺のときにわずかに頭をよぎった違和感。思えば、仲間だと思っていたからクラスの奴らを“そういう目”で見ることは一度もなかった。そもそも茅野カエデという少女は大体いつも渚とセット……いや、“渚の陰に身を隠している”人間だったから、きっとそういう目で見ても渚の殺気ですべて隠されてしまっていただろう。

 思い返せば茅野と俺の距離感は絶妙だった。適度に交流をしながらも決定打になるような一歩は近づかせない。たぶん、巨大プリンのときに違和感を持った俺に気づいたのだ。きっかけを持ち、観察力を鍛えている俺に近づきすぎれば、奥底に隠しているものを見破られかねないと。

 今の茅野の雰囲気は、いつも通りのようでいつも通りではない。少なくともいつもの明るい雰囲気はなく、戸惑っているように“見える”目の奥には、その感情でうまく隠そうとしている警戒が極々わずかに視認できた……気がした。

 

「なあ茅野――」

 

「比企谷君」

 

 何を言うかなんて決まっていない。ただ、なぜか声をかけなくてはいけない気がして発した声は、茅野自身の声によって遮られる。鞄を持ち上げた彼女はすっと伸びた姿勢で俺に近づいてきて――

 

「――バイバイ」

 

 それだけ言って、俺の横を通り過ぎて行った。教室に残る人影は、俺しかいない。律が本体のディスプレイから心配そうな顔を見せているが、生憎今は反応する余裕はなかった。

 読書好きというのは面倒くさいもので、行間にまで目を向けてしまう。台詞の細かいところまで意味はないかと勘ぐってしまう。

 あの「バイバイ」が、字面通りの意味には――聞こえなかった。

 

 

     ***

 

 

 ――あの時、何が何でも止めて、何が何でも話を聞くべきだったのかもしれない。

 

「あーあ、渾身の一撃だったのに。逃がすなんて甘すぎだね……私」

 

 うなじから二本の“黒い触手”を伸ばした茅野を見て、どうしても俺はそう考えてしまっていた。触手は嘘をつかない。黒い触手は強い怒気の色。それを、なぜこの半年以上の間気付くことができなかったのか、と。

 

「茅野さん、君は一体……」

 

 用具倉庫で襲撃されたらしい殺せんせーの問いに、ツインテールがほどけてウェーブがかった髪を背中に流した暗殺者は薄い、親愛をまるで感じさせない笑みを浮かべて言った。

 自分の本名は「茅野カエデ」ではない、と。

 

「雪村あぐりの妹。そう言ったら分かるでしょ――人殺し」

 

 その目には、一年間熟成され続けた憎悪が、溢れ出さんばかりに満ち溢れていた。




というわけで、原作の構成を入れ替えてのコードネーム回と嵐の時間でした。
コードネーム回の茅野の反応が八幡が気づくのにちょうどよかったので、無理をしてずらしてみました。たぶん変なことにはなっていないはず。多分。

ここをどううまく書くかが難しいところなので、次も張り切って書いていきたいと思います。
ただ、明日は日帰りで県外に出かける用事があるので、明日更新できるかはわかりません。
Twitterの方で更新の有無は報告すると思うので、よかったらフォローしてみてください。という話を県外に出かける度にしている気がします。くどいと思う方もいるかもしれませんが、念のためなんで許してくださいお願いしますなんでもしますから!
@elu_akatsuki

それでは今日はこの辺で。
ではでは。

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