「仲間を募集しましょう!」
街に戻った俺は、さっさと風呂に入りたいと思い、メインストリートを突っ走った。
屋敷に向かう道中の人たちに、同情のような視線を受けたのは言うまでも無い。
カエルの粘液の生臭い臭いを風呂に入って落とし、外食でもどうか、と2人に声をかけた。 傷心間もない2人には癒しが必要だろう、と考えて冒険者の酒場に足を運んだ。
普段着に着替えたアクア、カズマはカエルのモモ肉の唐揚げを食いながら作戦会議をしていた。
冒険者ギルドは冒険者のサポート組織であり討伐したモンスターの買い取りをしている。
それにモンスター料理のウリな酒場を併設していることから冒険者の溜まり場、待ち合わせ場所になっている。
今日討伐したカエル2匹の肉をギルドに売ったので、2人はそこそこの小遣いを稼ぐことができたと思うが。
あの巨体を持つカエルを俺たちで運ぶことは困難だ……と言うか運べる気がしない。
だがギルドに申請すると、倒したモンスターの移送サービスを受けることができる。
カエルの引き取り価格は一匹につき五千エリスで引き取ってくれる。
ちなみに移送費込みで五千エリスだ。
それが2匹いたので今日の報酬は10000エリスってわけだ
が…この金額は外壁拡張工事の、カズマたちの日当と変わらん。
この世界の賃金はかなり安い……そりゃ未発達の世界に安定した格差の無い社会なんざ無理だろうけどな。
「カエルがこんなにうまいとは驚いたな」
「案外ゲテモノも美味いぞ? サンドワームの縁側とかも酒のアテにはイケるからなぁ」
カエルの肉は変なクセも無い淡白な味がする。 日本で言うところの鶏の胸肉みたいでいくらでもイケそうな味なのだ。 最初のうちはチョット硬いのが気になるけどな。
この世界に来た当初が懐かしく感じるな。 このモンスター料理に抵抗感があったが、定食として出されたトカゲやカエルも食べてみれば味がわかりうまいということもわかる。
俺の隣でカエルのモモ肉を頬張る女神様はなんでも躊躇なくモリモリ食べてはいるが。 ちなみに俺がよく調理するのは羊肉や豚肉だ。 安くて質のいい肉屋の旦那を贔屓にしてるからな。
「でもなぁ……。 仲間ったって駆け出しでろくな装備の無い俺達のパーティーに入ってくれる奴なんているのか?」
「まぁ、かずまはさ。 最弱の〈冒険者〉とは言えまだまだ伸び代はあると思うぞ? 自称女神のそこの〈アークプリースト〉は需要があるかもだが」
カズマの疑問も最もだと思う。
「ひょっと、ふぉのひひはあわ」
「飲み込め、飲み込んでからしゃべれ」
カズマに指摘を受けたアクアは、その口の中のものを飲み込みながらに俺に食ってかかってきた。
「ちょっと、その言い方は語弊があるわ! 自称女神じゃなくて本物よ!」
「……わかった、わかった。 で、募集はどうするんだ?」
「この私がいるんだから、仲間なんて募集かければすぐよ。 なにせ、私は最上級職のアークプリーストよ? あらゆる状態異常の治癒、回復魔法もつかえてその果てには蘇生だってお手の物。 カズマのせいで地上に落とされて本来の力とは程遠い状態でもこれだけの力があるのは、私が仮にも女神だからなのよ? わかったらハルヒ、カエルの唐揚げ一つちょうだい! そのついでに讃えなさい!」
「今日はちっとも活躍してないお前を讃えるのは抵抗感しかない。 だがまぁ……ほれ」
喚こうとするアクアの口に唐揚げを放り込み黙らせた俺は、嬉しそうにそれを頬張る女神様を、カズマも同じ心境なのだろうか……不安げに眺めていた。
☆このすば☆
翌日の冒険者ギルドにて。
「…人、こないわね」
「…こないな」
アクアが寂しそうに呟いたのに俺は相槌を打った。 やはり心配になった俺は普段時のフル装備で2人の仲間候補を見立てることにした。
なお、先ほど求人の張り紙を出したことに違いはないのだが……誰も見ていないということはないと思う。
まぁ、来ない理由も察している。
「なぁ、ハードル下げようぜ。 俺たちの目標が魔王討伐だから仕方ないっちゃ仕方ないんだが…」
「カズマの言う通りだな。 上級職のみの募集はいくらなんでも厳しすぎると思うが?」
カズマたちの目標は魔王の討伐。
俺か? 成り行きでこいつらを拾ったわけだし、面倒は見ておくべきだと思っているのである程度までは付き合ったやろうとも思っているが。
まぁ、魔王の討伐なんて今の俺にも到底無理だと思うが。
「うう、だって……」
話が逸れた。
俺の職は現在〈マジックソードマン〉で、この職は中級職扱いになる。
そんな俺よりも確実に強い上級職の人々はガチの勇者候補となる。 まぁ、もうそろそろジョブチェンジの案内が来ているので、俺も上級職に成るつもりではあるけどな。
アクアの思惑としては、魔王討伐のためにできるだけ強い強力な人材で固めておきたいんだろう。
「このままじゃ誰も来ないぞ? 大体お前は上級職かもしれんが、俺は最弱職なんだ。 周りがいきなりエリートばかりじゃ俺の肩身が狭くなる……」
アクアにそう言いながらカズマが席を立とうとした時だった。
「上級職の冒険者募集を見てきたのですが、ここで良いのでしょうか?」
気怠そうな赤い瞳に、しっとりとした肩口ほどの長さの黒髪。 俺たちのテーブルの前にやってきたのは黒いマントに黒いワンピース、黒いブーツを履いて身の丈に近い長さの杖を持っている。
その頭にはとんがり帽子を被っている……魔女っ子。
人形のように整った顔立ちのロリっ子だった。
どう見積もっても12〜13歳にしか見えない片目を眼帯で隠した少女が羽織っていたマントを翻しながら……
「我が名はめぐみん! アークウィザードを生業とし、最強の攻撃魔法を操る者!」
「…冷やかしに来たのか?」
「…なにやってんのさ、めぐみん」
「冷やかしとち、ちがわい! って、ハルヒトではないですか」
女の子に思わず突っ込むカズマ。 俺は知り合いの登場に思わずずっこけかけた。
「知り合いなの、ハルヒと…ってあなたもしかして紅魔族?」
アクアの問いにコクリと頷く少女が彼女に冒険者カードを渡す。
「いかにも! 我は紅魔族随一の魔法の使い手、めぐみん! 我が必殺の魔法は大地を穿ち、岩をも砕く! 」
「おい、お前の魔法は…まあいいか」
「と言うわけで、優秀な魔法使いはいりませんか? あと、図々しいお願いなのですが、もう3日も何も食べていないのです……面接の前に何か食べさせてもらってもいいですか?」
そう言うめぐみんは悲しげな瞳でカズマを見る。
彼女のお腹からキューと切なげな音がなる…またろくなもの食べてないのかよ。
「飯を奢るくらいなら別にいいけど……その眼帯は?」
「はい、この眼帯はマジックアイテムです。 なかなか便利ですよ?」
そう言ってカズマに眼帯を渡すめぐみん。
カズマがそれを付けると……
「ほぉー……こいつは凄いな。 普通に見えるぞこれ」
カズマが外して俺に手渡してきた……見ておけということか?
まぁ前からちょっと興味あったけど……。
「……おお、確かに便利そうだな」
眼帯をつけた方の目は普通見えなくなるはずだがこの眼帯はマジックアイテムの名の通り、目の前にある筈の眼帯が隔てている筈の景色が見えるのだ……透視機能なのだろうなこれは。
さらに加えて、相手との距離が示されたマーカーのようでもある。
距離計測器みたいな機能なのだろうか?
「魔法射程を掴むためのマジックアイテムか? この眼帯は?」
「ええ。 あると何かと便利なのですが、私は半分ファッションでつけています。」
……なんだそりゃ
ファッションでつけていますって……かなり便利なアイテムだと思うのだが……。
眼帯を付け直しためぐみんを見ながらアクアが説明してくれる。
「……ええとね。 カズマに説明すると、彼女達紅魔族は生まれつき高い知力と魔力を持ち合わせていることから、大抵は魔法使いのエキスパートになるの。 紅魔族は名前の由来となっている特徴的な紅い瞳と……。 それぞれが変な名前を持っているの」
「変な名前とは失礼な。 私から言わせてもらうと、町の人々の方が変な名前をしていると思うのですが」
俺たちの名前の方が変とは……やっぱり変わった感性だな、紅魔族は。
「ちなみに、両親の名前を聞いてもいいか?」
「母はゆいゆい。 父はひょいさぶろー」
『……』
思考停止する俺たち……数秒の沈黙に耐えきれなくなったのかカズマが切り出す。
「とりあえず、この子の種族は質のいい魔法使いが多いんだな? 仲間にしてもいいか?」
「暫定メンバーのアクアに聞け、仮メンバーの俺に降るな」
「おい、私の両親の名前について言いたいことがあるなら聞こうじゃないか」
カズマに詰め寄るめぐみんに、アクアが冒険者カードを返す。
「いーんじゃない? 冒険者カードは偽装できないし、彼女は上級職の〈アークウィザード〉で間違いないわ」
「おい。 彼女ではなく、私のことはちゃんと名前で呼んでほしい」
抗議してきためぐみんに俺はメニューを渡す。
「まぁ、なんか食って落ち着けよ こっちの男がカズマで、こいつはアクアだ」
「はい、しかし。 ハルヒトの知り合いですか、この方々は」
「まぁな。 この前拾って以来、面倒を見てる」
「なるほど、そう言うことでしたか…」
「え、ハルヒトとこの子って知り合いなのか?」
俺は軽くカズマにそう言うことだ、と伝えてそれ以降話さなかった…こいつの厄介なところを見てどんな反応をするかが愉しみだからな。
食いつくようにメニューを凝視するめぐみんに俺は小さく微笑んだ。
☆KO NO SU BA☆
「爆裂魔法は最強の攻撃魔法。 その分、魔法を使うのに準備時間が結構かかります。 準備が整うまであのカエルの足止めをお願いします」
満腹になっためぐみんを連れてカズマたちは忌まわしいカエルに、リベンジに来ていた。 俺はアクアのフォローに回ることにしたが…不安だった。
平原の遠く離れた場所には一匹のカエルの姿が。
そのカエルはこちらに気がついたのか向かってくる。
「カズマ。 向こうにもカエルがいる…そっちは頼むぞ」
「わかった。遠い方のカエルを魔法の標的に、近い方はハルヒトとアクアに任せる」
カズマにめぐみんの近くにいてもらい、俺とアクアで近い方のカエルに仕掛けることにした。
「アクア、この前のリベンジだ。 猪突猛進に突っ込むな……よ……」
「何よ! 打撃が効きづらいカエルだけど、今度こそ女神の力を見せてやるわよ! 今のところ活躍のない私でもできるってこ、ひゅぐっ!」
俺の言うことを聞かずアクアが突っ込んでいく。
さすがは女神様……身を挺してカエルの動きを止めてくださったようだ。
…学習能力のないアクアに哀れみの視線をむけながら俺は獲物を飲み込もうと動かなくなったカエルの頭部を抜いた剣で斬りつけた。
一撃で頭蓋をかち割られたカエルは絶命した。
じたばたと足をバタバタさせるアクアをカエルの口から引っ張りだして救出。
ふとカズマとめぐみんの方を見ると…彼女の持つ杖の先に光が灯る。
ヤバそうな、それを例えるのならば光を極限まで凝縮したもので…まるで小さな太陽だ。 派手さだけは他の追従を寄せ付けないネタ魔法には見えんよなぁ…
「〈エクスプロージョン〉っ!」
めぐみんが紅い瞳を輝かせて呪文を、膨大な魔力の塊を解き放つ。
その光はカエルに突き刺さると、その凶悪な効果を発揮した……閃光と轟音の後には……
「いててて……。 相変わらずなんつー威力だ……」
泣きじゃくっていたアクアと俺は魔法の起こした爆風ですっ転んで尻を強打した。
粘液まみれのアクアを連れてカズマ達の方に向かいながらその魔法の爪痕である20メートル以上はありそうなクレーターを目の前にして俺は押し黙った。
相変わらずの過剰攻撃力と内心で俺が感動していると、ボコンっと近くの土が隆起した。
のろのろと土の中から這い出てきたのはジャイアントトードだった。
おそらく、地中で眠っていたのだろう。 まぁ、最初の頃は雨の降っていないこの平原でどうやって生きているのだろうかと思っていたが…日中は土の中で眠るんだよな、カエルは。
「めぐみん! 一旦離れて、距離を取ってから攻撃を……」
カズマがそう言う、その途中で言葉が切れる。
カズマの視線を追うように見てみると……めぐみんが倒れていた。
「ふ…。 我が奥義である爆裂魔法はその絶大な威力ゆえ消費魔力もまた絶大。 …要約すると、限界を超える魔力を使ったので、身動きが取れません」
「やっぱりネタ魔法だな、爆裂魔法は」
俺がめぐみんを背負うと、カズマ達の方に走る。
さすがに2ヶ月間冒険してないから基礎体力や筋力は上がっているので苦もなくめぐみんを背負える。
「カズマ! ……にげるぞー…ん?」
逃げるぞ言いった俺の視界が黒に染まった……
「ハルヒトォォォォ! お前、何食われてんだよォォォォ!?」
またしてもカズマの絶叫が聞こえた気がした。
◯カズマ視点
「生臭い…。 生臭いよぅ…」
「もう泣くなよ、アクア」
「カエルの体内って、臭いけどいい感じに温かいんですね…。 知りたくもない知識が増えました」
粘液まみれのアクアを慰める粘液まみれのハルヒトに同じく粘液まみれのめぐみんは俺の背中で知りたくもない知識を教えてくれながら、めぐみんは俺の背中におぶさっていた。
魔法を使う者は魔力の限界を超えて魔法を使うと、魔力の代わりに生命力を削ることになる、ハルヒトから聞いた話だが、めぐみんの有様を見て俺は把握した。
魔力が枯渇している状態で大きな魔法を使うと命に関わることもあるそうな。
「今後、爆裂魔法は緊急の時以外禁止だな。 これからは他の魔法で頑張ってくれよ、めぐみん」
俺がそう言うと、背中のめぐみんが肩を掴む手に力を込めた…何だか嫌な予感がするんだけど、気のせいだよな?
チラッとハルヒトを見るとアイツ…目をそらしたのか?
「…使えません」
「…は? 何が使えないんだ?」
めぐみんの言葉に思わずオウム返しで言葉を返す。
めぐみんが俺に掴まる手にさらに力を込めて、そのまな板のような胸が背中に押し付けられた。
「…私は爆裂魔法しか使えないです。 他には、一切の魔法が使えません」
「…マジか」
「…マジです」
俺とめぐみんが静まり返るなか、持ち直したアクアが会話に参加する。
「爆裂魔法しか使えないってどういうこと? 爆裂魔法を習得できるほどのスキルポイントがあるなら、他の魔法を習得していないわけがないでしょう?」
……スキルポイント?
疑問を浮かべる俺にハルヒトが説明してくれる。
「あ、そか。 カズマは知らないんだな。 スキルポイントてのは職業についた時にもらえる、スキル習得に必要なポイントだ。 ギルドのお姉さんの話じゃ、優秀な者ほど初期ポイントは多いらしい。 このポイントを振り分けて様々なスキルを習得するのだとよ」
「なるほどな。 スキルポイントを振ってスキルツリーを完成させるのか……」
「ちなみに俺はマギリングソードマンって中級職だ…弓も使えるから便利な職なんだぜ?」
「そ、そうか…だから弓を使うのがうまいのか」
「それと、日本にいた頃、たしなみ程度に弓道を習っていたからな…」
ハルヒトは態とらしく、恥ずかしそうに目をそらして、それ以降しゃべらなくなった。
「私は爆裂魔法をこよなく愛するアークウィザード。 爆発系統の魔法が好きじゃないんです。 爆裂魔法だけが好きなのです」
めぐみんの独白に俺はもちろん、アクアとハルヒトも真剣な面持ち聞いていた。
「もちろん他の属性のスキルも習得すれば、冒険は楽になるでしょう。…でもダメなのです。 私は爆裂魔法しか愛せない。 たとえ今の私の魔力では一日一発が限界でも。 たとえ魔法を使った後は倒れるとしても。 それでも私は爆裂魔法しか愛せない! だって、私は爆裂魔法を使うためだけに、アークウィザードの道を選んだのですから! 」
「素晴らしい! 素晴らしいわ! その非効率ながらもロマンを追い求める姿に私は感動したわ!」
めぐみんの独白にハルヒトが諦めの顔をしていた。
……まずい、どうもこの魔法使いはダメな系だ。
よりにもよってアクアが同調しているのはその証拠だ。
俺はここ二回の戦いで、どうもこの女神ちっとも使えないのではと思い始めている。
はっきり言ってアクア1人でも厄介なのにこれ以上問題児は……。
よし、決めた。
「そっか。 多分茨の道だろうけど頑張れよ。 お、そろそろ街が見えてきたな。 それじゃあ、ギルドに着いたら報酬を山分けにしよう。 うん、まあ機会があればまたどこかで会うこともあるだろう」
その言葉に俺を掴んでいるめぐみんのてにさらに力が込められた。
「ふ…。 我が望みは爆裂魔法を放つこと。 報酬などおまけに過ぎず…なんなら山分けでなく、食事とお風呂とその他雑費を出してもらえるなら我は無報酬でも構わない。 そう、アークウィザードである我が力が、今なら食費ちょっとだけ! これはもう長期契約を交わすしかないのだろうか!」
「いやいや、そんな強力な力は俺たちみたいな弱小パーティーには向いていない。 そう、めぐみんの力は宝の持ち腐れだ。 俺たちのような駆け出しには普通の魔法使いで十分だ。 ほら、俺なんか最弱職の冒険者なんだからさ」
俺はそう言いながら、ギルドに着いたらすぐ追い出せるようにめぐみんの手を緩めようとする。
「なぁ、カズマ。 めぐみんを入れてやったらどうだ?」
俺とめぐみんのやりとりを見ていたハルヒトが突如としてそんなことを言い出した。
「……お前の考えていることはまあわかる。 めぐみんのフォローは俺が責任持って行う。 だからこの子を入れてやれないか?」
「ハルヒト……でもなあ……」
「言い忘れてたが、めぐみんは俺の知り合いだ。 そこも踏まえて俺からも頼むよ…もしめぐみんの面倒を見てくれるって言うなら、俺もお前らのパーティーに入るからさ。 今日の惨状を見たらお前らもめぐみんも放って置けなくなった」
「見捨てないでください! もうどこのパーティーも拾ってくれないのです! ダンジョン探索の際は荷物持ちでもなんでもします! お願いです、私を見捨てないでください!」
ハルヒトの言葉に抗議したかったが…それどころじゃなかった。 めぐみんが大声で言うのは必死だからだろう。
もう街中に差し掛かっていたので通行人たちにめぐみんの声が聞こえたようで、ひそひそと何かを話している。
「――やだ、あの男。 小さい子を捨てようとしてる…」
「――隣にはなんか粘液まみれの女の子2人連れてるわよ」
「――あんな小さい子を弄んで捨てるなんて、飛んだクズだね。 見て! 女の子全員ヌルヌルよ? いったいどんなプレイしたのよあの変態」
間違いなくあらぬ誤解を受けてるぞこれは…!
アクアがそれを見てニヤニヤしているのが憎たらしい。
そしてめぐみんにもそれが聞こえたようで…俺が肩越しにめぐみんを見ると、口元をニヤリと歪めて大声で
「どんなプレイでも大丈夫ですから! 先ほどのカエルを使ったヌルヌルプレイだって耐えてみせ」
かなりの大声で言うめぐみんの言葉を遮るように俺は
「よーし分かった! めぐみん、これからよろしくな!」
と、こういうしかなかった……仲間が増えました。
(続く