砕蜂のお兄ちゃんに転生したから、ほのぼのと生き残る。 作:ぽよぽよ太郎
第1話
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「あのお方が見えるか、
少年は、父親に連れられてその少女と出会った。
”
「今日からお前は、
少年は父親になにも返さず、ただゆっくりと頷いた。そんな少年を見て、父親は満足そうに頬を緩める。
少年の生まれた
少年の兄4人はすでにこの世にはいない。皆がそれぞれ優秀だったが、任務の遂行中に殉職していったのだ。だからこそ、父親は残った末の少年に家の繁栄を願った。
そして、幼いながらも少年はその期待に応えてきた。幼い頃から大器の片鱗が見え、それゆえに課される厳しい修行にも耐え抜いた。少年の才は四人の兄をも凌ぐほどで、父親はこれで家の繁栄が約束されると、そう確信していたのだ。だからこそ、万感の思いを込めて少年に言い聞かせた。
――あの方に仕え、あの方に命を捧げる。それがお前の運命なのだ。と。
だが、少年は知っていた。これから訪れる、己の運命を。
明確に訪れる、自身の死を。
「――はい、父様」
そう答えた少年の目には、決意の炎が灯っていた。
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俺は死んだ。いや、死んだはずだった。
代わり映えのない毎日を怠惰に過ごし、自堕落な生活を送り、ある時ぽっくりと命を落とした。死の間際には不安や恐怖などなく、ただただその現実を受け止めるだけだった。
後悔することだってなかった。そもそもこの世界に執着なんてないのだから。
――でもせめて、できることなら、生まれ変わったら楽しい人生を。
そんなことを願いつつ、暗闇に飲まれていった。
そのはずなのに――
「――おお、また男児か! これで
次に目が覚めた時は、赤ん坊になっていたのだ。
突然のことすぎて、冷静に物事を考えることなどできなかった。だが、それでも時間だけは過ぎていく。そして、だんだんと状況が理解できた俺は、自分の生まれに絶望することになった。
BLEACH。
漫画の世界に、転生したのだ。
ただ、百歩譲ってそれは良い。可愛い女の子も多いし、これから巻き起こる騒動を当事者の目線で楽しめるなんて最高だ。
だが、
原作にはいなかったキャラかもしれないと期待もしたが、俺の上には兄が四人いた。ご丁寧にも全員隠密機動に所属していて、俺が修行を始める頃にはすでに他界していた。面識がなかったために彼らについては思うところはなかったが、俺は気が気じゃなかった。
俺は砕蜂の五番目の兄。このままだと、俺は死んでしまう。
死についての嫌悪感はなかった。それでも、渇望していた楽しみを奪われたくはない。努力した結果死ぬのならそれで良いし、それもまた面白いだろう。だが、なにもせずに簡単に死ぬのだけは許せなかった。
この世界で生き抜いて、
幼少期の修行の日々はキツかったが、死亡フラグを折るために必要なこと。俺は懸命に取り組んで、隠密機動へと入隊した。
なお、隠密機動に入隊したと同時に
俺の現在の役職は隠密機動第一分隊”刑軍”の隊士だ。護廷十三隊の序列で言えば、ギリギリ席官くらいの強さはある……と思う。そんな刑軍の隊長はみなさんご存知夜一さんで、彼女は二番隊隊長も兼任している。
……これもうわけわかんねえな。このあたりはややこしすぎて、面倒になってくる。
砕蜂は俺が隠密機動に入隊する前には生まれていた。まだ修行中の身だが、なかなかに筋が良い。そしてなにより、めっちゃ可愛い。夜一の追放が起こる前だからか性格も大人しめだし、あのおどおどした感じがたまらない。やはり
砕蜂については原作のように夜一と百合百合しくなるのも良いが、俺的には妹としても愛でたい。砕蜂の隠密機動時の服はとても魅力的だしな。なんといっても、あの貧乳横乳と横開きズボンから見える紐パンだ。それらを身近で見られるとか、死亡フラグさえなければ最高な気もする。
そうこうと
「……おや、龍蜂サンじゃないですか?」
そんなことを考えながら隊舎内を歩いていると、不意に声をかけられた。声のした方を向くと、ボサボサの髪に眠そうな目の男が立っている。
「――おう、喜助か」
浦原喜助。将来の二番隊の第三席であり、第三分隊監理隊隊長も務めることになる男だ。俺よりも後輩で、今は第三分隊監理隊の一般隊士。お互い夜一と仲が良いこともあり、こうして頻繁に話すようになった。
飄々とした態度で自身の底を見せない点は、個人的に気に入っている。なにより、初めて会った時はものすごくテンションが上がった。なんせ原作でも重要なキャラなのだ。それを生で見ることになるなんて、前世では考えもしなかったからな。
「まーた妹さんのこと考えていたんスか?」
どうやらにやけていたところを見られていたらしい。
「龍蜂サンがニヤニヤしてる時は、基本女の子のこと考えてる時っスからねえ」
「うっせー。それより、夜一さんってどこにいるかわかるか?」
四楓院夜一。俺たち二番隊士の上司なのだが、原作通りに奔放な人だった。なにより、あの健康的なエロさがたまらない。本人がそういうことに頓着しないせいか、胸チラなんぞは日常茶飯事だ。眼福眼福。
隠密機動に入ってすぐ「自分のことは名前で呼ぶように」と厳命され、当初は一応「夜一様」と敬称をつけて呼んでいた。だが、長く過ごすうちに様付けするのがバカバカしくなったのだ。毎度毎度振り回され、尊敬という感情はほぼなくなった。なんというか、動物を見ているみたいな気分にすらなる。
「いや、知りませんねえ。またどっか出歩いてるんじゃないっスか」
夜一さんは、突然いなくなることがある。一応護衛隊なんていうものもあるくせに、連れ立って歩くとこなんて滅多に見たことがなかった。
「そっか。……まあいいや、適当に探してみるよ」
どうせまた、流魂街でもウロウロしているんだろう。人のことを呼び出しておいてどういうつもりなんだ、まったく。まあかく言う俺も、仕事をサボりつつ流魂街に入り浸っていることが多い。
西流魂街1地区”潤林安”をはじめとした治安の良い場所には、多種多様な店が存在する。甘味処だったり大小様々な飲み屋、料亭。果ては見世物小屋から遊郭まで。
……よし、俺も行こう。
喜助にひらひらと手を振り、俺は流魂街へと歩き出した。
主人公スペック
名前:
身長:185cm
容姿:黒い長髪で普段はポニーテール
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