IF~転生先で、私は鬼子を拾いました。   作:ゆう☆彡

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僅かな違和感

 

「何やってんだ、テメェら。

お前らがそのザマじゃ、俺たちの首が飛んじまうんだよ。」

 

「これ以上、エリートの顔に泥を塗らないでいただきたいですね。」

 

銀時たちのいる城内には、白である見廻組。

神楽と新八の行く背中を守るのは、黒である真選組。

 

 

「貴様らっ!!幕府に仕える、しかも警察の身でありながら、賊に加担するつもりかぁ!!!この逆臣ども!!!」

 

激昴する幕府の兵士に答えるは、黒の長。

 

「賊に加担?人聞きの悪いことを言わんでいただきたい。

 

その賊たちの刑の執行は、明朝であるとおふれがあったはず。それをまだ日も昇らぬうちに、手打ちにしようとは。

幕命に背く逆賊は、そなた等の方ではなかろうか!!

 

我々は大殿からその者の見張りを仰せつかった。ならば、明朝までその者の首を守ることが、我々の使命である。」

 

「よもや、見廻組を城内に手引きしたのも、貴様らの仕業か!!見廻組と手を組み、クーデターを起こそうとっ」──ドカーーーーンッッ!!!!

 

 

兵士の話の途中で、辺り一帯は爆発の煙に包まれた。

 

「誰が!誰と!?何をして、何デターを起こしたってぇ??

 

 

もっ回言ってみろ。」

「トシィィィ!?落ち着いてぇぇ!?」

「よーし、近藤さんっ!あいつらまんまと城内に入りやがった!このまま城に火放って、狸ジジイもろとも焼き討ちだぁ!」

「副長……、それじゃあ攘夷志士ですよ……。」

「そうですぜィ、土方サン。

せっかく檻の中に自ら飛び込んできた餌があるのに、焼き討ちなんざもったいねぇでさァ。」

 

 

総悟が見る先は、城の正面。

 

「いいですか?既に城は、我々エリートが包囲しました。武器を捨て大人しく投降しなさい、なんて言いませんよ。本当に捨てたりしないでくださいね。

丸腰の人間を切り捨てたなんて、エリートの名に泥を塗るだけですから。最期まできっちり抵抗して頂かないと、困るんですよ。」

 

「遅い。」

「すみませんね、信女さん。我々エリートだけならもう少し早く来れたのですがね……」

 

佐々木が見据える先には、世界中、どこを探したって知らぬ者はいないであろう顔。

 

「チンタラしてたのはてめぇらの方だろ。」

「いいですよ、どうせ凡人には分かりえませんからね。」

 

 

 

 

銀時の前、……葵との間に立つ二人。

 

「君らまで来たんですか。」

「……あの時とは違いますよ、葵殿。」

 

そう言って二人は、葵に刀を構える。

 

「お前ら……っ!」

「なんだ、大して怪我もしてねぇのにへばってんのか。」

「あぁ!?うっせぇよ!!へばってねぇよ、別に!!」

「助けに来てやったのに、なんだその態度はぁ!!」

「誰が助けに来いなんざ、頼んだぁ!?」

「はぁ!?今まさに殺られそうになって奴が、偉そうな事言ってんじゃねぇぞ!?」

 

「うるさいっ!バカ二人!!!」

「「うっせぇ!ヅラァァ!!!」」

「ヅラじゃない!桂だァァァ!!!!」

 

まるでコントのような会話が繰り広げられた。

 

「……これだから凡人は困りますねぇ。」

 

 

改めて、銀時も合わせて三人が、葵に刀を向けた。

 

「言っておくが、テメェを助けに来たわけじゃねぇ。」

「俺たちは葵殿を助けに来たのだ。お前はそのついでだ、銀時。」

「ついでだぁ!?」

「帰ったらリーダーたちに感謝しとくことだ。

懇願されだぞ、『お前を助けて欲しい』とな。」

 

そう言われた銀時は、微かに笑った。

 

「ったく、あいつらも余計なことしやがるぜ。」

 

 

 

「今生の別れは済みましたか。」

「悪ぃが、今生にする気はねぇし、あんたを手放すつもりもねぇ。」

「……そうですか。」

 

そう言うと、葵は手に持っていた刀を離した。手放された刀は重力に従って床に落ちる。

それを合図に奈落たちが一斉に飛びかかった。

 

 

──バンッ!!!

 

──シュンッ!!!

 

「こっちは任せろ、銀時。主らが取り戻さなければならぬ相手なのだろう。」

「……あぁ。ありがとな。」

 

「全く……仕方ありませんね。

 

 

全てのエリートに告ぎます。これから、エリートはあの凡人たちを守りなさい。エリートの威信にかけて、失敗など許されませんよ。」

 

 

 

 

 

──ギーーーンッッッッ!!!!

 

奈落に目もくれず、何の合図もなく、三人が一斉に一人に飛びかかる。

 

 

「葵姉ぇぇぇ!!!」

「……。」──シュンッ!!!!

「「!!!」」

 

それは、葵が抜いたところを見たことのなかった刀。

 

「どうぞ。」

「!」

「教えてあげます、君たちと私の差を。」

 

 

──シュンッ!!

 

──キーンッッッ!!

 

──ドカーーーンッッ!!

 

 

「てめぇ!ヅラぁぁぁ!!!爆発に俺たちまで巻き込まれるだろぉ!!!」

「俺は、そのような能無しではないっ!!!」

 

 

時々そんな言い合いも飛び交う戦闘は、周りにいるものの興味を一心にひきつけた。

 

「さすが、攘夷四天王と呼ばれる三人なだけありますね。」

 

それは、その息の合った三人の戦いに……

 

「違う。」

「……分かってますよ、信女さん。」

 

 

ではない。

 

「あやつは何者なのじゃ……。」

 

その三人を相手しているにも関わらず、疲れる様子も見せない、

かすり傷すらつかない、葵の方に目を奪われていたのだ。

 

 

 

「ったく、相変わらず舞うみたいだぜっ!」

 

桜がよく似合いそうな、舞を舞うように全ての攻撃を防いでいった。

 

 

そしてそれは、回数を増す事に学習するように三人の速さを上回ろうとしていく。

 

 

 

 

 

それは僅かな違和感。

 

普段なら絶対気が付かない、戦うことに夢中な銀時と高杉には感じることすらない、そんな些細なこと。

 

 

 

 

「(……上回ってこない。)」

 

学習している。相手は、自分たちは幼かったとはいえ一度も勝てなかった人物。そのはずなのに……、いつ自分らの速さを上回ってもおかしくない状況なのに。

 

葵と三人の剣速はずっと拮抗していた。

 

ただ本当に、四人の力が拮抗しているだけなら、桂も疑問に思わない。

でも違うのだ。

桂も高杉も銀時も、その辺にいる雑兵ではない。積んできた経験が違う。その記憶と本能が、三人の速さを自然と上げていっていた。

 

 

つまり、普通ならば三人の速さが、葵を上回ってもおかしくない、葵も三人に負けじと調子を上げてきているのならば、上回ることはなくても拮抗し続けることなどありえない。

 

そんな状況で葵は、三人と剣速を

 

 

 

 

 

 

 

常に拮抗するように調整している(・・・・・・)としか考えられなかった。

 

 

「(葵殿……??)」






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次話もなるべく早く投稿しますので、よろしくお願いします。

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