ありがとうございます!!
「何やってんだ、テメェら。
お前らがそのザマじゃ、俺たちの首が飛んじまうんだよ。」
「これ以上、エリートの顔に泥を塗らないでいただきたいですね。」
銀時たちのいる城内には、白である見廻組。
神楽と新八の行く背中を守るのは、黒である真選組。
「貴様らっ!!幕府に仕える、しかも警察の身でありながら、賊に加担するつもりかぁ!!!この逆臣ども!!!」
激昴する幕府の兵士に答えるは、黒の長。
「賊に加担?人聞きの悪いことを言わんでいただきたい。
その賊たちの刑の執行は、明朝であるとおふれがあったはず。それをまだ日も昇らぬうちに、手打ちにしようとは。
幕命に背く逆賊は、そなた等の方ではなかろうか!!
我々は大殿からその者の見張りを仰せつかった。ならば、明朝までその者の首を守ることが、我々の使命である。」
「よもや、見廻組を城内に手引きしたのも、貴様らの仕業か!!見廻組と手を組み、クーデターを起こそうとっ」──ドカーーーーンッッ!!!!
兵士の話の途中で、辺り一帯は爆発の煙に包まれた。
「誰が!誰と!?何をして、何デターを起こしたってぇ??
もっ回言ってみろ。」
「トシィィィ!?落ち着いてぇぇ!?」
「よーし、近藤さんっ!あいつらまんまと城内に入りやがった!このまま城に火放って、狸ジジイもろとも焼き討ちだぁ!」
「副長……、それじゃあ攘夷志士ですよ……。」
「そうですぜィ、土方サン。
せっかく檻の中に自ら飛び込んできた餌があるのに、焼き討ちなんざもったいねぇでさァ。」
総悟が見る先は、城の正面。
「いいですか?既に城は、我々エリートが包囲しました。武器を捨て大人しく投降しなさい、なんて言いませんよ。本当に捨てたりしないでくださいね。
丸腰の人間を切り捨てたなんて、エリートの名に泥を塗るだけですから。最期まできっちり抵抗して頂かないと、困るんですよ。」
「遅い。」
「すみませんね、信女さん。我々エリートだけならもう少し早く来れたのですがね……」
佐々木が見据える先には、世界中、どこを探したって知らぬ者はいないであろう顔。
「チンタラしてたのはてめぇらの方だろ。」
「いいですよ、どうせ凡人には分かりえませんからね。」
銀時の前、……葵との間に立つ二人。
「君らまで来たんですか。」
「……あの時とは違いますよ、葵殿。」
そう言って二人は、葵に刀を構える。
「お前ら……っ!」
「なんだ、大して怪我もしてねぇのにへばってんのか。」
「あぁ!?うっせぇよ!!へばってねぇよ、別に!!」
「助けに来てやったのに、なんだその態度はぁ!!」
「誰が助けに来いなんざ、頼んだぁ!?」
「はぁ!?今まさに殺られそうになって奴が、偉そうな事言ってんじゃねぇぞ!?」
「うるさいっ!バカ二人!!!」
「「うっせぇ!ヅラァァ!!!」」
「ヅラじゃない!桂だァァァ!!!!」
まるでコントのような会話が繰り広げられた。
「……これだから凡人は困りますねぇ。」
改めて、銀時も合わせて三人が、葵に刀を向けた。
「言っておくが、テメェを助けに来たわけじゃねぇ。」
「俺たちは葵殿を助けに来たのだ。お前はそのついでだ、銀時。」
「ついでだぁ!?」
「帰ったらリーダーたちに感謝しとくことだ。
懇願されだぞ、『お前を助けて欲しい』とな。」
そう言われた銀時は、微かに笑った。
「ったく、あいつらも余計なことしやがるぜ。」
「今生の別れは済みましたか。」
「悪ぃが、今生にする気はねぇし、あんたを手放すつもりもねぇ。」
「……そうですか。」
そう言うと、葵は手に持っていた刀を離した。手放された刀は重力に従って床に落ちる。
それを合図に奈落たちが一斉に飛びかかった。
──バンッ!!!
──シュンッ!!!
「こっちは任せろ、銀時。主らが取り戻さなければならぬ相手なのだろう。」
「……あぁ。ありがとな。」
「全く……仕方ありませんね。
全てのエリートに告ぎます。これから、エリートはあの凡人たちを守りなさい。エリートの威信にかけて、失敗など許されませんよ。」
──ギーーーンッッッッ!!!!
奈落に目もくれず、何の合図もなく、三人が一斉に一人に飛びかかる。
「葵姉ぇぇぇ!!!」
「……。」──シュンッ!!!!
「「!!!」」
それは、葵が抜いたところを見たことのなかった刀。
「どうぞ。」
「!」
「教えてあげます、君たちと私の差を。」
──シュンッ!!
──キーンッッッ!!
──ドカーーーンッッ!!
「てめぇ!ヅラぁぁぁ!!!爆発に俺たちまで巻き込まれるだろぉ!!!」
「俺は、そのような能無しではないっ!!!」
時々そんな言い合いも飛び交う戦闘は、周りにいるものの興味を一心にひきつけた。
「さすが、攘夷四天王と呼ばれる三人なだけありますね。」
それは、その息の合った三人の戦いに……
「違う。」
「……分かってますよ、信女さん。」
ではない。
「あやつは何者なのじゃ……。」
その三人を相手しているにも関わらず、疲れる様子も見せない、
かすり傷すらつかない、葵の方に目を奪われていたのだ。
「ったく、相変わらず舞うみたいだぜっ!」
桜がよく似合いそうな、舞を舞うように全ての攻撃を防いでいった。
そしてそれは、回数を増す事に学習するように三人の速さを上回ろうとしていく。
それは僅かな違和感。
普段なら絶対気が付かない、戦うことに夢中な銀時と高杉には感じることすらない、そんな些細なこと。
「(……上回ってこない。)」
学習している。相手は、自分たちは幼かったとはいえ一度も勝てなかった人物。そのはずなのに……、いつ自分らの速さを上回ってもおかしくない状況なのに。
葵と三人の剣速はずっと拮抗していた。
ただ本当に、四人の力が拮抗しているだけなら、桂も疑問に思わない。
でも違うのだ。
桂も高杉も銀時も、その辺にいる雑兵ではない。積んできた経験が違う。その記憶と本能が、三人の速さを自然と上げていっていた。
つまり、普通ならば三人の速さが、葵を上回ってもおかしくない、葵も三人に負けじと調子を上げてきているのならば、上回ることはなくても拮抗し続けることなどありえない。
そんな状況で葵は、三人と剣速を
常に拮抗するように
「(葵殿……??)」
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次話もなるべく早く投稿しますので、よろしくお願いします。