たくさんの方に読んでもらえて、本当に光栄です。
ありがとうございます!
──ピーッッッ!!!ピーッッッ!!!
城内に響き渡るのは、警報の笛。
「こりゃあ……、ズラがみたら喜びそうな光景だぜ。まさか、ばばあ一人のために、国を相手取ることになるとはなぁ。」
脱獄者を探す兵士たち。道を覆い尽くす勢いで、たくさん集まってきていた。
「本当に良いのか。」
「「……。」」
「吉原のために、主らがここまで……「もう遅ぇよ。」!!」
言葉を遮る銀時の指には、指切りの証。
月に照らされ銀色に輝く、美しい一本の髪。
「もう……約束しちまったからな。」
「……そうか。」
月詠はそう言うと、自らの髪の毛を切った。
「ならば約束じゃ。
きっと、一緒に生きて戻ると……。」
万事屋も呼応して、髪の毛を抜く。……一名は鼻毛だったが、血をもって阻止された。
「「約束」だ。」」
四人の手に、三色の髪が結ばれた。
「約束だ。きっと、じじいと一緒に鈴蘭の元へ帰る。」
「今生の別れは済んだ?」
屋根の端に現れたのは、見廻組の生き残り。
「まさか、信女さんも!?」
「私は、任務を遂行するだけ。それに……
切ってもいいんでしょ?人。」
「「「…………え。」」」
銀色に輝く刀を向ける先は、……そよ姫だった。
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「ゴルアァァァァァァ!!!」
「そこをどけ、モブ共。」
「姫様、ぶっ殺すぞ!!!!!」
……正攻法ではある。が、
「銀さん。生き残ったとしても、僕たち、もう江戸には住めそうにないんですけど……。」
犠牲はデカかった。
「次喋ったら、姫様の指、一本ずつ切り落としていくから。」
「た……だずげでー。どうじであだぢが、ごんなごどにーー。」
「姫様、こんなときに限って、迫真の演技だよ!!
やめて!姫様!これ以上やったら、僕ら打首だけじゃ済まされないっ!!」
「うるさい。次喋ったら、切るって言ったよね。」
「え゛……わだぢも……?」
「はい喋った。今ので何言目?」
「わ、わかりませんー……。」
「じゃあめんどくさいから……、これぐらい。」──ザシュツ!
「えぇぇぇぇ!?!?」
そよ姫の袖から溢れる大量の赤い液体。
「「「「「「「「姫様ぁぁぁぁ!!」」」」」」」」
当たり前のように動揺する兵士たち。
「はい、また喋った。」──ザシュツ!!
「や、やめろっ!」
「はい、また。」──ザシュツ!!
「あ、開けろ!!道を開けろぉぉ!!」
「はい、」──ザシュツ!!!
「無事にここまで来れて良かったねー!」
万事屋一行以外、誰もいない城の入口前まで来れていたが、
「姫様、全然無事じゃないですよ。僕ら、完全に社会復帰の道を絶たれましたよ。」
「みんなの驚いた顔、すごく面白かったねー!」
「「「ねー!」」」
「ねー!、じゃねぇよ!!ドS三人娘ぇぇ!!」
血糊とはいえ、姫を血まみれにした罪は、消えそうになかった。
「しかし姫様、これ以上は危険です。どこかにお隠れください。」
そう。ここから先は、血糊だ何だで済まされる世界じゃない。将軍の妹だろうと、命を落としかねない世界。
「お願いです。私も連れてってくださいっ。
何も知らなかったとはいえ、じいやを城に縛り付けていたのは私なんです。じいやは私なんかよりも、ずっと外に出たかったでしょうに……。
なのに私は何も気づいてあげられなくて……、守ってもらってばっかりで……。」
「そよちゃん……。」
「だから今度は、じいやの力になってあげたいんですっ。どんなにはしたないって叱られても……。」
全員が黙る。
幼いながらも将軍の妹として、責任を負おうとしているのだ。
「僕が連れていきましょうか、姫様。」
「「「「!?」」」」
気配の無いところから、突然声がし、月詠、信女、新八、神楽は一斉に戦闘態勢に入った。
「僕ですよ、潮屋です。」
「みっくん!!」
「どうも。
姫様、ご無事で何よりです。」
「みどりさん、……どうして。」
「姫様。こいつぁ、最初っからずっと見てましたよ。」
ここにいるのが不思議だと言わんばかりの五人に対して、銀時は一人、飄々としていた。
「あら。気づかれてましたか。」
「気づくようにしてたくせによ。」
そうですかねぇ、と言って少し笑った潮屋の顔に、銀時の大切な家族の顔が一瞬重なり、そよ姫と話す潮屋の顔に目を見開いた。
「!?!?」
「銀ちゃん?どうしたアル?」
「いや……何でもねぇ。」
「あなたが望むなら、僕は、安全にあなたをお連れします。」
「みどりさん……。」
「その目で見るといいですよ。
将軍とは、……国とは何なのかを。あなたの兄上が、お立ちになられている場所を。あなたにはその権利があり、義務があります。
その覚悟があるのであれば……。」
潮屋の目を見て、そよ姫は何かを決意した。
「お願いしますっ。私を連れて行ってくださいっ!」
その言葉に潮屋は、笑顔で応えた。
「本当に良いのか。姫様に何かあれば、ただでは済まない。」
「ご安心を。幕府に属する者として、守るべき対象は心得ています。」
「行きましょう。叔父上はこちらですっ。……あっ、」
決意した側から、階段に顔面からダイブしようとした、
「大丈夫ですか。」
「あ、ありがとうございますっ。って!そんなに笑わなくてもいいじゃないですかぁ!」
「いえいえ。可愛いなと思っただけですよ。申し訳ありません。」
「もぉ!」
潮屋が受け止めたことで、血だらけの現場にはならずに済んだ。
「新八。」
「どうしたの、神楽ちゃん。」
「……!!来るネっ!!!」
「「「「「!!!」」」」」
血糊作戦でまいた、兵士たちの大軍が押し寄せてきた。
「貴様らァ、姫様を人質にとって……。ただで済まされると思うなぁぁぁ!!!」
「全員まとめて打ち取れぇぇ!!女、子どもも容赦するなぁァァァ!!!」
大軍が神楽に向かって突き進むが、
「女、子ども?言ってくれるアル!!」
ビクともせずに全て傘を広げて受け止めた。
「あの主にして、この臣あり。……つくづく女を舐め腐ってる国。」
信女は、突き刺さる剣の上に舞い降り、その全てを切り刻んだ。
「う、撃てぇぇぇ!!!」──ザクッ!!
「ならば止めてみろ。主らが嘲た女を。」
月詠は、全ての銃口を一糸狂わず、クナイで塞いだ。
「守ってみろ。女の涙で固めた虚飾の城を。
その名を、忘れたのならば……もう一度知らしめてやろう。」
ほぼ全員が、三人に襲いかかった。……が、全ての敵はたった三人の足下に転がった。
「傾城……国崩しに参る!!」
さぁ、ようやっとオリジナリティが出せそう……!!
潮屋くんも本格始動ですっ!
最後のツッキーのセリフは、本当にかっこいい(๑⃙⃘♥‿♥๑⃙⃘)