IF~転生先で、私は鬼子を拾いました。   作:ゆう☆彡

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こんにちは、優菜です。
これから少しだけ投稿スピードを早くします。理由は後々お話いたしますが、これからもよろしくお願いします。



最初の話の方で言いましたが、主人公の葵ちゃんの持っている原作知識は『さらば真選組編』までです。


立った次の舞台

 

 

「到着しましたよ。」

「「「「おぉぉ……!」」」」

 

うん、そういう反応は男の子ですね、やっぱり。

そして、兄弟ですか、あんたら。そんなに息ぴったりにしなくても……。

 

 

「「「「うぉぉぉおおおお!!!」」」」

 

……えぇっ!?なんで!?どうして!?

どうして突然、そんなに息を合わせて新居に向かって走り出すの!?本当に男の子って、突拍子のないことを……。

 

「走り出す前にすることがありますよね?」

 

……はやっ!?いやいや!あなたも突然すぎますから!!

新八の気持ちがわかる……、この人たちといるとツッコミが追いつきません。

 

「「「「はぃぃいいい!」」」」

 

 

こんにちは、葵です。引越し先に到着しました。興奮したのか、テンションが上がってしまったのか、家がわかると走り出す4人と、それを笑顔で止める父上と共にやって来ました。

 

4人が荷物を取りに戻ってきてくれました、……父上の恐怖の笑顔で。

 

「葵姉、どれ運べばいい?」

「じゃあ、これとこれと……」

「いやいや!そんな持てないからね!?」

「銀時、男は気合だよ。」

「俺以外にもいるじゃんっ!!」

 

 

なんやかんやで全部運び入れて、とりあえず再び掃除が始まりました。

 

 

「……あ。」

 

ここって……

 

「わぁ!銀兄!前のお家よりも広い道場がある!!」

「うおっ!まじかっ!」

「うぉぉぉおおおお!!!」

「うぉぉぉおおおお!!!」

「銀時!高杉!!うるさい!!!」

 

やっぱり……気のせいじゃないか。

 

私たちが引っ越してきた先、外見を見た時から似ているなぁとは思っていた。

直観だから、違うかもしれないと思ったけど、頭の中では正解だと叫んでいる気がした。

 

 

『ここが、松陽先生がいなくなる場所(燃えてしまう私塾)である。』と。

 

 

 

「準備は早めの方がいいか。」

 

呑気なことを言っている場合ではない。

間に合わなかったでは済まない。

ここで松陽先生が連れて行かれてしまっては、昨晩の出来事が何の意味もなさない。

そして、父上を松陽先生として取り返せる確率は、ほぼ0。つまり父上が連れていかれた時点で、松陽先生の死は確定する。

 

「ここから先の天導衆との接触はないよね……?」

 

私の原作の知識の限りはない。つまり自分から、戦場付近まで出ていかなくてはならない。

 

「……嫌だなぁ。」

「葵姉?何が嫌なんだ??」

 

ありゃ、聞かれてしまいました。

下から疑問をぶつける、あどけない顔。

彼らを巻き込むわけにはいかない。

 

「んー?何でもないよ。片付け終わったの?」

「おう!!これから稽古だってさ。」

「おぉ……大変だね。頑張って。」

「葵姉のこと、次こそは俺が守るからな!」

「??……ありがとう。」

 

 

 

……次こそ(・・)

銀時は、私の心に疑問を残して、道場に走っていった。

 

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

 

《松陽side》

 

引っ越してきてからはや数ヶ月。

 

始めは門下も4人だけでしたが、今では以前と同じくらいの生徒に囲まれて授業をすることが出来ています。

 

そして何より、葵が一緒に勉強をするようになったのです。

……いえ、する(・・)では語弊がありますね。どちらかというと見る(・・)ですかね。教えることがとても上手な葵は、今では松下村塾の立派な先生を務めています。

そしてそれは、座学だけに留まらず剣の面でも。……私の血を受け継いでいるので、負けるようなことはないと思いますが、加減もとても上手で、私もいつも感心してしまいました。

 

 

ここでもやはり、この塾を悪く言う子どもたちがいましたが、それでも以前のように政府や天人が襲撃してくる気配はありませんでた。代わりに……葵の力が急激に上がっていたりすることが増えた気がします。

 

刀の使い方を真剣に話していた時のような目も、銀時たちを守った時のようなオーラもさらに成長しているような気がしたのです。

 

似て欲しくないですが、葵の身の安全が保証されるから、とあえて触れないようにしていました。

 

 

――私たちにバレないように、近づいてきた政府や天人を追い払っていることも。

 

――()の血の影響が強くなっていることも。

 

 

触れれば、葵が壊れてしまうような気がしたからです。

葵はいつも焦って戦っているようでした。

 

こういう時だけは、死ぬことのない私の身体に感謝しました。

 

 

 

“守らなければならない存在に守られる”

 

晴香、あなたが見たら早く止めてと、私を怒るでしょうかね?

でも本当に、嬉しいことなんです。

 

 

奪うしか出来ないこの手で、あなたと宝物を2つも作れたこと。

この手で、教えることができること。

 

あなたに出会えたから、叶えられたことです。ありがとうございます、晴香。

 

 

そしてどうか見守ってて下さい。

あなたが命をかけて守りたかった2人を。

 

どうか守ってあげてください。

可愛い弟のために、危険を冒してしまう素敵なお姉さんを。

 

 

――――――――――――――――――――――

 

 

―――ハァ……ハァ……ハァ……ハァ……

 

 

この感覚だけはいつまでたっても慣れない……いや、慣れてはいけないものか。

 

 

以前住んでいたところと違い、戦場と村が極端に近いこの場所は、以前よりもたくさんの天人が近づいたり、戦況が早く伝わってきたりしていました。

 

ですが私的には絶好の機会。

おかげで政府に私の力を示すことが出来ました。

 

 

私は戦う時、必ず気を付けていたことがあります。

 

それは最低1人は必ず逃がすこと。

全滅させてしまっては、私の力を証明する人がいなくなってしまうからです。

 

そして、使う刀を間違えないこと。

―政府に示す――村を襲ってくる敵

とはいえ、無意味に命を奪っていることに変わりはないと思ったから。

絶対に父上から譲り受けたあの刀を使わないと誓っていました。

 

 

 

「さて……いつでしょうか。」

 

――――時が動くのは、、、

 

 

 

父上が襲われるのは嫌だ。だから、あの事件は本当にいつまでも来ないで欲しいと思っている。

 

でも、どこかで早く来て欲しいとも思うようになっていた。

 

 

この恐怖に、

 

“殺す”という恐怖に、だんだん押しつぶされそうになっていたから。

 

 

 

私が今保てているのは、

 

 

「銀さんたちも同じ思いをしてたんだよね。」

 

今となっては大切な弟となっている彼らも、こんな思いと戦っていたと気づいたから。

 

 

―――姉である私が逃げるわけには行かない

 

正直、その思いだけが私を動かしていた。

 

 

 

松下村塾が燃やされる日の合図は、原作にはなかった……気がする。……まぁ、私が死ぬ前の話だから、私の死後に知ることが出来たのかもしれないけど。

 

今のところ、何もわからない。最初は、私が倒している天人たちの中に、その犯人がいるのかと思ったけど、松陽先生が私でもわかるような近づき方をする天人を、そう易々と近づけるわけないと思って、その考えはすぐに消えた。

 

 

前回もそうだったし、きっと注意していれば何か見つかるだろうと、

 

最悪見つからなければ、松陽先生を守り続ければいいだけの話。

 

そう思ってた。

 

 

 

だからきっと、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ん?……あの人って、、、」

 

いつ頃だろうかと思いながら帰宅していた途中で、

 

彼に出会ったのは、

 

決められた運命を歩かせる、

 

神様の仕業なんだと思う。





さぁ、葵姉が帰る途中に見た人は、一体誰でしょう。

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