絶対正義は鴉のマークと共に   作:嘘吐きgogo

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次の更新がいつかわからないという事は、次の日ってこともあるんです。
感想が嬉しかったので、続きが直ぐ妄想できたというのが一番の理由ですがw


2話ー指針

「いらっしゃいませ〜」

 

 食べ終わった食器を片付けるのを一度止め、新たに着た客に笑顔で声をかける。

 入ってきたのは男三人。

 

「こちらの席へどうぞ。マスター三名様はいりました〜」

 

 空いてる席に客を誘導し、店長に新たに客が着た事を告げる。

 

「お嬢ちゃん、こっち酒と肉追加ね〜」

「は〜い」

 

 そうこうしている間に、他の席の客からの追加オーダーが入る。人が多いだけあって、こういった町の酒場は毎日大繁盛だ。さっきから休む暇がない。

 そう、ここはサークリュー島の港にある酒場。今、私はそこで従業員をやっている。

 

 

 

 

 おじさんのとんでも発言のおかげで、自分が今いる所がやっとわかった。

 ワンピース。世界的に有名な少年漫画である。

 どうやら自分はその有名な漫画の世界にいるらしい。幻想郷の外とか考えていたのだが、予想の斜め上を軽々と超えて行く事実にまたもや自分を見失いかけた。

 

 ワンピースの事はほとんど読んでいなかったので詳しい事は知らない。数人のキャラの名前と、主人公が海賊のバトル漫画という事ぐらいだ。

 海賊の漫画という事でこの世界にはかなりの数の海賊がいる。つまりはかなり危険な世界と言い換えても良い。

 海で商売している者にとっても危険だが、町で暮らしていても海賊が襲ってくる事も珍しくないとのことだ。

 

 ひとまず、変に思われてはいけないのでおじさんにお礼を言って分かれた後、これからどうするかを考える事にした。

 どうしてワンピースの世界に来てしまったとかは、この際、着てしまったものは仕方が無いとして、この縁もゆかりも常識すら無いこの世界でどう過ごして行けばいいか。

 この世界では何所に行っても海賊がいる。安心して暮らしてくのはまず難しいだろう。

 何より今はウツホといっても、女の体というのは色々まずい。少年漫画だからそういった描写は無かっただろうが、現実の世界となるとそういった( ・・・・・)事もありえる。見た目がまだ少女なのでそういう対象に見られる事も無いかもしれないが、時代的にはこの歳でもありかもしれないというのが難点だ。

 海賊とは妖怪の身体能力とウツホの能力を使えば戦っても勝てるかもしれないが、この世界には悪魔の実の能力者という存在がいる。

 悪魔の実——食べた物を一生泳げなくする変わりに、食べた者に特殊な能力を与える果実。この世界の実力者のほとんどがその実を食べて能力者になっており、その能力者たちの戦いが漫画の醍醐味の一つだった。

 身体能力にしても過信できない。この体になって大岩を軽々と持ち上げる事はできたが、この世界の奴らにもそれぐらい容易くこなしてしまう者もいる。

 試してはいないが体を動かしてる感じでは、まだまだ力は出そうだったがそれでも安心はできない。

 能力にしたって試していない事ばかりで正直どこまで通用するかも不安である。それ以前に喧嘩もろくにした事無い自分が、殺し合いをできる自信など全く無い。

 ただ覚悟さえあれば殺すだけなら簡単だ。先ほど海蛇にやった様に高熱で全て焼き尽くせば、ほとんどの者は対処できないだろう。ただし、周りの被害を全く気にしなければの場合である。

 ウツホの力を操りきれていないからか、それとも元からそういった性質なのか、作品を見ただけでは判断しくいが、威力の高い物はおのずとその効果の範囲も広く、使えば必ず周りにも被害が出るだろう。あまりにも周りに被害が出ればこちらも手配されてしまう可能性がある。

 だからといって戦わずにいられると楽観視するわけにもいかない。それにこちらの能力を無効化できる能力者も、もしかしたらいるかもしれない。あまりにも未知数である。

 

 

 

 深く考えた結果行き着いたのは、この世界にある海賊とは別の勢力——海軍に入るというものだ。

 普通に暮らしていれば海賊に襲われるかも知らない。だからといって周りを気にせずに戦えば自分が手配されるかもしれない。この世界の人間がどれだけ強いかもわからない以上うかつな事はできない。

 ならばどうするか? この世界の情報が入り、この力を使っても手配される事も無く、力の使い方を学べる所。海軍というのは都合のいい所だと考えた。

 軍隊に入るというのは強制的に戦いに参加する事になるが、どのみち今はこの世界で生きて行くしか無いのだ。霊烏路 空の力という規格外な力を持っている以上いずれは何らかの形で戦う事になるかもしれない事を考えなくてはいけない。

 

 

 

 

 で何故、酒場で仕事をしているかというと……無一文だったからだ。

 

 

 海軍に入ろうと決めたのはいいが、いざ入ろうとしたらどうすれば良いのかわからず、結局また人に聞くことになったんだが、この島には海軍の基地は無いらしい。というより偉大なる航路の海軍は島まるごとの基地を持っており、そこから普段は海上を巡回し、要請がある時以外は定期的に他の島に偵察にくる程度らしい。

 随分変わった制度だと思ったが、自分の常識なんてその日一日で当てにならない物だと十分思い知った後だったので、そういう物だと考える事にした。

 

 海軍に入るには海軍の基地に行くか、海軍が着た時に志願するしか無いのだが、そのどちらにもお金がかかるのだ。

 基地に行くには船に乗るか、自分で空を飛んで行くしか無い。船に乗るにはもちろんお金がかかるし、空を飛んで行くには記録指針(ログポース)という特殊な道具が必要らしい。

 この偉大なる航路では島自体がそれぞれ固有な磁力を発しており、通常のコンパスは全く役に立たない。よってその磁力を利用した特殊なコンパス——ログポースが必要になる。ログポースは今いる島の磁気を記録し、その島と磁気で繋がっている次の島を指し示すという物らしい。

 そのログポースの中で特定の島の磁気を覚えさせる事により、その島だけをさす物、永久指針(エターナルポース)という物がある。

 それがなければ、海軍の基地には行けないが、エターナルポースというのは結構な金額らしい。まぁ、どのみち無一文なので関係ないが。

 その事より驚いたのは、偉大なる航路は季節、天候、海流、風向きの全てがデタラメで、様々な超常現象が発生するらしく、突然ハリケーンが発生する事もあるらしい。飛んで行くのはなるべく控えた方が良いかもしれない。船も安全という訳では無いらしいが、全くこの海に慣れてない自分よりは確実に安全だろう。

 

 そうするとこの島に海軍が来るのを待たなければ行けないのだが、次来るのは一ヶ月近く先らしく、こちらもこの町に留まるためにお金が必要となる。

 八方ふさがりなってしまい困っていたが、ともかくなんとかしてお金を稼ごうと色々探してみた。これだけ栄えてる町ならば、いくつか働き手を欲してる所もあるだろうと探したが、住み込み、または宿代を先払いとなるとなかなか見つからなかった。身元不明の少女にいきなり先払いや住み込みで雇うというのも難しい話しなので仕方ない。

 

 それでも探せばある物で、結局はおじさんが教えてくれたオススメのお店の一つである酒場で住み込みで働く事になった。酒場ならば客の会話から情報も入るし、二階が宿になっていて住み込みも心配なかったのが決め手だった。

 

 

 

 

 という訳でここで働き始めて既に十日たった。朝は二階の宿の仕事で各部屋を片付け、昼から夜までは酒場で料理を運んだり清掃をしたり、たまに買い出しなんかもやっている。夜深くなると料理目当ての客から酒の注文を中心とした客となり人数も減る。

 私の一日の仕事はそこでお仕舞いだ。夜も客が少なくなっているとはいえ、繁盛してるので忙しい事に変わりはないのだが、ここのマスターが

 

「女子供が夜の酒場で働くのはよくない」

 

 と言うのだ。雇い主の意向なら聞くしか無いんだが、朝や昼なら酒場で働いていいのかな? 

 ここのマスターは普段、無口で見た目もがっしりした三十代後半の渋いおじさんなんだが、中身は気のいいおじさんだったりする。

 この店は料理も美味しいが、そんな気のいいマスターも店が繁盛する理由だったりする。私には、ただお客さんの愚痴を黙って聞いてるだけにしか見えないんだけどね。

 

 夜は暇な時になるべく体を動かしたり、店の裏で比較的、被害の少ない能力——小さな光弾を生み出す練習をしたりしている。それでも危険なので生み出した後はちゃんと分解しているけど。

 ここで働くにあたって、羽を隠したままというのは無理なので悪魔の実の能力者という事にして説明したのだが、全然気にされなかった。

 悪魔の実の能力者って案外珍しくないのかな? 店の中でも隠さないで仕事してるんだけど、今の所、特に何も言われてない。

 町に入る時、結構緊張したのは全く持って無駄だったみたいだ。

 店にいる時はマントを外して、今の服にエプロンを掛けた物で働いてる。給料で下着やら寝間着やらは買ったが、普段着は何となくこの服以外を着るのに抵抗感がある。何故だかはわからないが、体自体変わってるのだそう言う事もあるんだろう。

 そういった理由で洗濯する時以外は基本的に今の服を着るようにしている。この服も妙な物で、何故か全然汚れない。不思議だな〜。

 

 特訓が終わったら、宿の風呂には入って寝間着に着替えたら寝る。この時代には電気が無いので寝る以外の事もできない。

 初日は風呂に入るのにかなりの抵抗感があるかとも思ったんだが、意外とすんなり入ってしまった。自分が女性の体になっているのに、違和感があんまりないのだ。最初から体を自由に動かせた事もあるし、精神面も多少変化しているのかもしれない。下着を買うために胸のサイズ計った時も、結構大きい、ぐらいしか思わなかったし。

 

 そして、朝になったらまた仕事をしはじめるという日常が続いている。この生活も意外と充実していて、結構気に入っている。このままここで生活するというのもすごく魅力的だけど、楽観視はいけない。初志貫徹、数週間後に来る海軍船を待ちつつ私は今日も仕事に励むのだった。

 

 

 

 港町は魚料理がおいしいです。

 




今回も前回同様に説明文章になってますね。もうちょっと進めば現状把握などが無くなって、キャラの感情が表に出てくると思います。
文章力が欲しい。

今回は日にちがたった後、主人公の精神面がちょっと変わって来てるのを表したかったんですが、性格が一定していないだけに見えてしまったかも。
実際書いてみると小説書いてる人たちはすごいな〜と思う。

この小説のウツホは胸大きめです。ナミほどではありませんがw 二次設定です。でも大きいと思うんだw

IEを使ってないのでうまくルビが振れてるか自信がないです。確認できないので、ルビ振るのは次からやめとこうかな。

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