休日のREALにお手伝いに行くいろはだがそこには留美が・・
今日は土曜日でお休みの日、午前中からREALに来て先輩のお手伝いを…と思ったのに。
「てか、何で留美ちゃんが朝からお店に居るんですか先輩?」
「あら~一色さんがあんまり間に合わないから私が呼ばれちゃったんじゃないですか~
八幡にホントの事聞くの可哀想だよ、ねぇ~八幡!」
鼻歌を歌いながらショーケースの拭き掃除をしてメチャクチャ機嫌が良いみたい。
「『家が遠いから駄目だ』って断ってたのに嘘つき!」
先輩の二の腕をつついた。
「予算が取れたんだよ。やっと…この前オーナー来たろ?その時、何とかしてほしいと
言って貰ったんだ。一色のお礼分もあるからな。だけど、お前の会社にうちのバイト 収入が後々税金とかでバレないよう俺が立替えて払う感じにするから。」
「そんな…お金が欲しいから来てるんじゃあありません、先輩を手助け出来ればと思ったのに。」
「それは俺が困る。」
「でも、お店からお金が出るんだったら有り難く頂きますね先輩!」
「相変わらずちゃっかりしてるなお前は。」
「ちょっと、一色さん?遊んでないでそこのケース拭いてよね!」
「ゴメン!留美ちゃん。」
土日になると流石に忙しくなる。カップルが仲良くアクセを選んでみたり彼女の
誕生プレゼントに男子高校生が緊張ぎみに何を貰ったら嬉しいか選んでほしいと
聞いてくる。最初当惑気味の留美ちゃんも慣れてきたのか笑顔で予算と彼女が
どんな感じの子か聞いたりしてアドレスしてる。男子高校生も美人の留美ちゃんが
相手で喜んでるみたいな…
えっ?あたし?あたしは…そうよ、お店には顔をあんまり出さず先輩のサポートを。
「一色、お前はあざといから俺のサポートで。」
「どうせ、あたしはあざといですよ~だ!」
アカンベーをして先輩に愚痴る。
「私は店頭より八幡のお手伝いしたいのにごめんなさい・・・」
「留美にサポートは無理だしな、その気持ちだけで十分だ。」
笑ってごまかしてるな先輩の奴!
その日の売上げは今までになく良いみたいで先輩もあたし達も喜んだ。
「こんな事なら美人の派遣バイトを土日だけ入れてもらうようオーナーに
交渉するかな。」とか言ってる。
「ちょっと八幡どう言う意味?私じゃ不満なの?」
「いや…留美は家が遠いしな…ははっ。」
「誤魔化さないで、予算確保したって言ったでしょ?毎週来るんだから!」
「あ、いやね留美、毎週はきついから各週でいいからな。」
「いいの!予定なんか無いから安心して八幡。なんだったら泊まりに来ても
いいんだから!八幡のお手伝いが出来るんだったら何でもするよ!」
「アホか…何でバイト泊まりがけで来るのよ。後でスケジュール組むから絶対に
無理はさせないからな。」
そう言って『ポン!』と留美ちゃんの頭の上に手を乗っけて戒めた。
「あん…八幡のバカ。分かったわ、言う通りにする。」
「頼むぞ留美。」
「うん…」
……何この雰囲気は?ヤバぁ…留美ちゃんと先輩、ダメです、ヤバいです!
それに頭ポンなんて…あたしだってされた事が無いのに~!
「ちょっと先輩、その…いいですか?」
「ん?何だ一色、トイレか行っていいぞ。」
「違~う!」
もう、先輩ったら絶対わざとやってるに違いない!
「あたしの予定も聞いて下さいね♪勿論、土日もお泊まりも気にしないで下さいね。
何時でもOK準備完了ですから!」
「はいはい、分かった分かった。」
何なのこの差は?あたしと留美ちゃんじゃあ天と地下鉄くらい差がついてるじゃないの!
・・・・
6時に留美ちゃんはバイトを名残惜しそうに上がって行った。
「明日も頑張るからね八幡!じゅあね、そうそう、一色さんも八幡の邪魔を
しないように気を付けて下さいね♪ あと、用事が済んだらすぐ帰るようして下さい。」
「一色が押されてるの初めて見るが何か笑えるな・・ププっ」
帰って行った……留美の奴…覚えてろよ。横で先輩が苦しそうに笑ってるけど
何が可笑しいのよ全く!
「あとオーダー品仕上げれば今日のところはいいな、二人のお蔭で大分と助かった。
展示会用の品物も後一点になったしすげー楽になった。ありがとな、一色も上がっていいから。」
「大丈夫ですよ、ご飯作りますから任せて下さい。」
「何言ってるんだお前だって疲れてるだろ?休みの日に出てきてるんだし無理を
させる訳にいかない。」
「せ~んぱい、あたしは無理もしてませんし大丈夫ですよ。だけど…1つだけお願いがあります。
聞いてくれますか?」
「何だ?俺に出来る事でも無理な事はあるぞ。商品の横流しとか・・オーナーに八つ裂きにされる。」
「先輩のアホ~! ………… 頭を…」
「えっ?」
「頭を撫でて下さい、お願いします。」
「それは…」
「今日、留美ちゃんにしてたじゃないですか!あたしにもして下さい、…撫で撫でして下さい。」
「いやっ…あれは、留美は妹みたいな…」
「撫でて下さい…先輩。」
あたしは撫でやすいように目をつむり頭を下げて待った。
「あ~今日だけだぞ!一色!」
「はい、お願いします…」
そう言って先輩はそっとあたしの頭に手を置きゆっくりと撫でてくれた。
「んっ…」
「バッカ変な声出すなよ一色!」
「だって、気持ちいいから…これ絶対
病み付きになりそうです、次回もご褒美にお願いします!」
「だから、今日だけ特別って言ったろ?俺が頭撫でるのは小町だけだけだ
…最近はさせてくれないけど。」
「さっき留美ちゃんにしたばかりじゃないですか。」
「留美は頭ポンだけで、つい出てしまったが撫でた事はないからな。
お前が最初だぞ。ホントだぞ!」
小町ちゃんはこんな気持ちいい事毎回してもらってるんですか…羨ましい。へへっ、
じゃあ~得しちゃった!
「待ってて下さいねご飯直ぐ作りますから!」
「いいのか?じゃあ、頼む。」
二人のささやかなディナー、この時が一番好き・・・だってあたしの作ったご飯を
美味しそうに食べてくれるんだもん。
「いよいよ、来週イベントですね先輩。」
「ああ、楽しみだ。」
先輩と取り留めの無い話をしながら食べる夜ご飯・・・いろはは、幸せです。
アクセイベント目前、頑張る八幡はの二人のバイトで新作を
作る事が出来るが大丈夫かな?