艦娘の咆哮 ~戦場に咲き誇る桜の風~   作:陣龍

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どうも、お久しぶりです。イベントで択捉が捕捉出来ずに遠い目になったり、現在進行形で喉がダイレクトにやられていた陣龍です。まあ夜勤中と比べれば遥かに楽になってますけどね()

そして今回詫びと言う訳では有りませんですが、キャラメイクファクトリー様のサイトを利用させて頂きまして、『桜風』姿絵を試験的に製作して記載して見ました。『桜風』の姿を創造される際に僅かでも手助けとなれば幸いです。勿論無視して皆さまの想像される『桜風』でも問題有りませんので出来れば姿絵を教えt(ry


【挿絵表示】

『桜風』「第三五話の買い物で鈴谷さんたちに着せ替え人形された時の物です」
鈴谷「似合ってるじゃーん!」(ガッツポ)

キャラメイクファクトリー→http://mac.x0.com/test/


第四七話  双牙が生み出し業火の火口

 21世紀のグレートブリテン及び北部アイルランド連合王国、略称イギリス連合王国が領土であるスコットランド。北部にロイヤルネイビーの重要拠点であるスカパフローが存在し、また現在深海棲艦の侵入が殆ど確認されていない北海に面したこの地域は、深海棲艦との戦争勃発前とそれほど変わらない日常が送られていた。

 

 

 勿論、戦前と比べれば物資の輸入が少々滞る場合も有る為に全く変化が無い訳では無い。大西洋航路が深海棲艦の群れによって寸断され、両アメリカ大陸からの海上船舶による輸出入が、経済効率の悪い護衛船団以外では殆ど不可能になった事の打撃は大きかった。不幸中の幸いなのが、地中海方面は伊仏英三か国艦隊によって比較的安全に制圧されている為に中東からの石油輸入は何とか欧州軍の自力だけでも可能な程度に滞り無く行われているのと、日本の奮戦でインド洋の深海棲艦が有る程度抑え込まれている事、北極圏空路を使用すれば空輸は可能だった事であった。

 

 

 平時より不自由を強いられる戦時中であるとは言え、もはや極僅かの老人方を除けば、歴史上の出来事となりつつある第二次世界大戦中の窮乏とは比べ物にならない程度には各種物資や民需品が供給されていた。イギリス海軍に所属する艦娘も続々と増強され続け、駆逐艦の多くが対艦火力の低い小型、護衛型の駆逐艦であったり、一線級部隊以外の艦娘の持つ艦載機の大半が日本ではコモンクラス判定で有る【フルマー】や【ソードフィッシュ】程度の物であったりと問題は多々あるが、その状況下でも奮闘するイギリス艦娘のお陰で、北海は時々逸れたと思しき深海棲艦が出る以外は何もない世界だった。

 

 

 

アーネスト(Ernest)避難誘導はどうなっている(How does the refuge instruction turn out)!?」

 

パニックは起きていません(The panic is not taking place)現在順調に進行中です(Everything is moving along quite smoothly now)!」

 

分かった(OK)避難誘導が終わり次第こっちに戻れ(Come back here as soon as a refuge instruction is over)!」

 

サー(Sir)イエス(Yes)サー(sir)!」

 

 

 

 その平和()()()スコットランド……否、イギリス本土であるブリテン島に今、深海棲艦ではない、そして当然ながら人類勢力でもない、未知の武装敵性勢力……異世界から訪れた(超巨大双胴強襲揚陸艦)異形の怪物(『デュアルクレイター』)が襲い掛かって来ていた。

 

 

 

 

 

「……現在の状況は(The present status)?」

 

「……絶望的です(Hopeless)将軍(General)

 

国王陛下は(Majesty king)?」

 

既に避難されております(It has been already evacuated)

 

 

 ロンドンのウェストミンスター地区ホワイトホール……日本で言う霞ヶ浦に類似するこの場所に鎮座するイギリス国防省。その地下では、現在スイス連邦の都市ベルンにて欧州首脳陣総出の防衛対策の為の国際会議に出席しているイギリス連邦首相に代わって最前線での指揮を執っている大将が、悪夢の様な現実と無理矢理向き合わされていた。

 

 

スカパフローに駐屯していた部隊は壊滅(The military unit stationed in ska puff low is destroyed)施設の多くも(Most of facilities collapse by)多数が崩壊(bombardment from a warship and bombing, too)。……艦艇だけで無く(Without only by war vessel)艦娘の多くも戦死しました(most of the fried girls were killed in action, too)

 

「……上陸されたスコットランドの状況は(The Scottish situation that it was gone ashore)?」

 

艦砲射撃と航空攻撃により(I receive severely wounding by bombardment)大打撃を受けています(from a warship and an aviation attack)反撃も行いましたが(I performed the counterattack,)相手の戦車の火力が異常です(but heat of the tank of the partner is abnormal)

 

報告では(I hear)敵は(that the enemy is)第二次世界大戦期の戦車だと聞いているが(a tank of World War II period in the report)……」

 

見た目だけは仰せの通りです(Only the appearance is the street of the command)

 

 

 そう言って要員がコンソールを操作し、画面に映し出されたのは何処かの街路に設置されたと思わしき監視カメラの映像であった。映像に映し出された時間はイギリスの現地時間で午前6時。日本では大石提督と風馬才牙が砂浜に埋められた時間である。

 

 

「……冗談としか思えない光景だ(It is an only joke and a scene not to think of to be it)

 

残念ながら、現実であります(Unfortunately it is reality)

 

 

 市街地の街路に鎮座していたのは、イギリス陸軍の主力戦車であるチャレンジャー(Challenger)Ⅱ。いわゆる昼飯の角度と呼ばれる、道路に対して斜めの位置にて見た目の装甲を割り増ししているこの戦車の後方では、現在急ピッチで進む民間人の脱出を成功させる時間稼ぎの任務を与えられたイギリス陸軍兵士がそれぞれの得物を手に身を隠していた。

 

 そしてその両者の眼前に展開されつつあるのは、現代では既に博物館にしか存在していない筈であった骨董品物の古今東西の戦車……旧日本陸軍戦車【三式中戦車 チヌ】【二式砲戦車 ホイ】イギリス陸軍戦車【クロムウェル(Cromwell)巡航戦車】【シャーマン(Sherman) ファイアフライ(Firefly)】ナチスドイツ陸軍戦車【パンター(Panther)】【ティーガー(Tiger)Ⅱ】アメリカ陸軍戦車【M4A2 シャーマン(Sherman)Ⅲ】【M26 パーシング(Pershing)】……。第二次世界大戦期に存在した過去の亡霊たちが、現実に蘇って来ていたのだ。

 

 

 

 

 歩兵部隊の指揮官と思しき兵士の合図により、チャレンジャーⅡの55口径120㎜ライフル砲と歩兵部隊の対戦車兵器(カールグスタフ、TOW、ミラン)が一斉に砲火を放ち、敵の旧式戦車群を次々と気持ち良い位に爆散させていく。70年を超える時代と技術の格差は絶対的であり、この一方的な戦果は極々当たり前であった。味方車両の残骸を掻き分けた【クロムウェル(Cromwell)巡航戦車】【ティーガー(Tiger)Ⅱ】がチャレンジャーⅡへ砲撃しても、一切の有効打を与えられず、反撃での発砲で数両ごと串刺しに貫通し過去の亡霊戦車が爆散する様は、よくできた映画の様であった。

 

 

 

「……これが、そうか(Is this so)

 

イエス(Yes)サー(sir)。……この攻撃により(By this attack)現地防衛部隊は壊滅しました(the local defense corps was destroyed)

 

 

 そして、その一方的な戦闘にて優勢を保っているイギリス陸軍に対して監視カメラが映し出した映像は、カメラの視覚外から一瞬で飛来した()()が、防衛に当たっていたチャレンジャーⅡに直撃し、文字通り弾け飛んだ光景であった。

 

 

「……レールガンで間違い無いか(Is there not a mistake in rail gun?)?」

 

映像と報告から考えると(When think from a picture and a report)恐らく(probably)

 

 

 一瞬の不可視の矢により防衛戦の要であるチャレンジャーⅡが爆散した事に合わせて後方から飛来したイギリス陸軍航空隊所属の攻撃ヘリ部隊の援護の元、民間人の脱出に成功したイギリス陸軍防衛部隊はそれぞれ生き残っていた大多数のイヴェコ(Iveco) LMV(Light Multirole Vehicle)と先年導入が始まったばかりの新鋭戦闘車両であるピラーニャ(Piranha) Ⅴに搭乗し、過去の死神からの命がけの逃走を開始した直後、画面を埋め尽くす無数の砲弾が飛来する場面を最後に、監視カメラの映像は流れ弾でも命中したのか唐突に砂嵐を映し出したのを最後に、沈黙した。

 

 

 

 

 

 所属不明の超大型強襲揚陸艦……正式名称:ウィルキア帝国軍第一特別強襲艦隊旗艦【超巨大双胴強襲揚陸艦 デュアルクレイター】。欧州連合軍、もっと言えばイギリス軍がその怪物を認識したのは、イギリス現地時間での早朝5時頃。大量の艦載艇を解き放ち、火砲を蓄えた白銀の飛び魚の群れがスカパフローを目指して突撃しているデュアルクレイターを艦娘とイギリス空軍の偵察機とレーダーで確認するが早いか、イギリス軍は一切の躊躇なく全力での迎撃を開始し、イギリス政府も大陸側の同盟国に応援を要請。先人達の積み重ねた歴史と栄誉を穢す事無き、御手本の様な即応体制であった。

 

 

 だが、今回ばかりは相手が悪すぎた。イギリス海軍の艦娘は、スカパフローより出撃出来た艦娘や通常艦艇は艦載艇の雷撃により艦体の大部分を穴だらけにされて大半が爆沈、一部は回避運動と被雷でのた打ち回りつつも雷撃の網を抜け出した直後に突入を仕掛けたデュアルクレイターと接触。圧倒的な速度と質量差により衝突した物体は、駆逐艦は元より、戦艦や正規空母であっても例外無く海の藻屑と消えた。引き裂かれた一部の残骸が未だに波間に浮かんでいるが、デュアルクレイターにとっては身に纏わりつく海藻や木屑程度の物だった。

 

 

 僅か一時間と経たずに(実質戦闘時間30分弱で)スカパフローに駐屯していた部隊は、侵入してきた艦載艇とデュアルクレイターの砲撃で無差別かつ平等に鉄屑にされた。イギリス海軍の通常艦艇と艦娘が次々爆沈する中偶然オークニー諸島とスコットランド本島間を航行していたフェリー数隻も巻き添えを喰らい、多数の民間人ごと爆沈している。入念に撃ち込まれた40.6㎝砲や艦載艇の集中雷撃を受けて生存可能な艦艇は通常存在せず、生存者も奇跡的な例外として十数名生存していた物以外は確認されなかった。

 

 

 

友軍の状況は(The situation of friendly forces)?」

 

「……フランス軍は(The French military)航空部隊並びに戦艦部隊の(made a definite promise of the dispatch of an)派遣を確約しました(aviation corps and the battleship corps)ドイツ軍は(The German military is)航空部隊のみです(only an aviation corps)

 

「……クラウツ共は一体何を考えている(On earth what does Krauts think about)?」

 

今なお他人事の気分なのでしょう(It will be still the feeling of other people's affairs)若しくは(Or)単に自分の乏しい海上戦力を(I merely want to no longer reduce)これ以上削りたくないだけかと(one's poor marine force)

 

「……全く、ジャガイモ野郎共は(At all potatoes)想定外の事態が起きるとすぐコレだ(It is this as soon as an unexpected situation happens)

 

 

 スカパフローに加えてスコットランドも深海棲艦とは質も量も違う兵器によって破壊され続ける中、イギリス軍の救援要請に対して元々神出鬼没な深海棲艦相手の戦闘で唐突な出撃に手慣れていたフランス軍が即応し、艦娘はリシュリュー級戦艦、重巡洋艦、また亡命ドイツ艦娘のグラーフ・ツェッペリンやプリンツ・オイゲン、通常部隊ではラファールやミラージュと言ったフランス製マルチロール機をブリテン島に派遣した。戦争慣れのフランク騎士の末裔として恥じない面目躍如の動きであった。

 

 その一方で欧州強国の一角であるドイツ連邦共和国は、比較的動員が早い航空部隊は兎も角、水上艦艇に関してはキールから出撃する事は無かった。ドイツ軍部と政府首脳陣の反目の結果とも言われているが、単に自身の艦艇喪失を恐れただけでは無いかと、関係国からは確信染みた邪推をされている。ドイツ艦娘を迫害したが為に現在ドイツ国内には艦娘は一隻たりとも存在せず、通常艦艇の建造も順調では有るが時間がどうしてもかかる為数量的には現状50隻にも満たないので、仮にドイツ海軍艦艇が来られても邪魔にしかならなかったと言う説も有るが。

 

 

将軍(Communication)フランス軍より(that I transferred the authority)指揮権をわが軍に(in our military from a general)委譲するとの通信が入りました(a French military became available)

 

有り難い(Thankful)……。では、彼らには(Then to them)……」

 

 

 自軍の戦力動員状況とを鑑みて、フランス軍、ドイツ軍の援軍を何処に配置するのか、少々投入場所を脳内で検討した将軍から紡がれる筈であった次なる言葉は、唐突に視界がブラックアウトした事によりかき消された。

 

 

「……?!なんだ(What)何が起こった(what happened)!?」

 

システムダウン(System down)……現在復旧中(I am restoring now)……|不味いです、全システムがハッキングされています《All bad systems are hacked》!!」

 

なら(Then)今すぐ統制を取り戻せ(regain control right now)!」

 

「……駄目です(No use)完全に奪われました(I was completely robbed of it)!!」

 

 

 照明が前触れも無く消え、室内のPC全てが一瞬でブルースクリーン化からの()()()()()()()()()()()()()()()が流れ出して一切の操作を受け付けなくなり、空調すらも停止した地下の騒めきは、時が経つにつれて静かになっていった。少しずつ、少しずつ……。

 

 

 

 

 

 

 

 

「……ふん。何とも脆弱なセキュリティ対策だ。加えて、陸上兵器に関しても質は甘く見積もって漸う及第点としても数が極度に少ない。()()()()()()()()は戦争を知らない惰弱揃いか」

 

 

 そう嘯く、白銀のショートヘアと白色の釣り目が特徴的な長身美女。氷で作られた彫像が動き出したと言っても違和感が無い色白さで冷厳な雰囲気を漂わせる彼女の名は『超巨大双胴強襲揚陸艦 デュアルクレイター』。自身の想定されていた建造目的である『()()()()()()()()()()()()()()()()()()』に違う事無くスカパフローとスコットランドの軍基地を完全に破壊し、一時占拠後各種情報を略奪した彼女は、一度陸上戦力を含めて海上に引き上げていた末に、今度はブリテン島南部への攻略に移行していた。

 

 

「……羽虫が。落ちたいのならば勝手に海に突っ込め」

 

 彼女が座るCIC艦長席のモニターに映ったイギリス艦娘の艦載機部隊を一目でそう嘲笑し、自身の双手に収まるタブレットに視界を向ける。速力も遅く、機動性も低いレシプロ機如きに、注意を向ける価値は存在するはずも無かった。火力に関しても、20㎜ですらない7.7㎜機銃のシャワー等、小雨よりも脅威ではない。

 

 

「……航空部隊の損害は中々、と。だが許容範囲では有る以上、問題は無い」

 

 

 そんな些事よりもデュアルクレイターが着目していたのは、ブリテン島と対岸のフランス本土から飛来したイギリス王立空軍(Royal Air Force)フランス空軍(Armée de l'air française)が放った【トーネード(Tornado)GR4】【F-35B(Lightning II)】【ラファール(Rafale)】【ミラージュ(Mirage)2000】の性能であった。因みに【F-35B(Lightning II)】はイギリス王立空軍(Royal Air Force)がアメリカから戦時プラス同盟国価格と言う事で割引された機体が供与、レンドリースされている。そうしないと価格高騰の為にイギリス単独では部隊配備が何時まで経っても追い付かないのだ。

 

 

 

「直接の空戦では、機動力と耐久力も含めて【シーハリアー FA.2】が敵機より優位。その他爆装VTOLや攻撃ヘリでは損害過多。此処まではある程度予想がついていたが、まさか()()()()があれ程の働きをこなすとは想定外。これは大きな収穫である」

 

 

 唐突な急襲により欧州軍重要拠点であるスカパフローのみならず、ブリテン島の市街地や民間人にも砲爆撃により被害が出ている事に怒り心頭な英仏空軍部隊で有ったが、彼等の怒りの鉄槌が叩き付けられるハズだった正体不明の強襲揚陸艦が吐き出す車両と航空機は、()()()()()()()を遥かに逸脱し切った代物揃いであった。

 

 

「……丁度良い。奴らでもう一度性能評価試験を行うか」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

司令部(HQ)司令部(HQ)此方ウィングス1(This one wings1)応答せよ(Reply)司令部、応答せよ(headquarters reply)……クソっ、やられたか(Goddamn , was it done it)……!」

 

隊長(Captain)……』

 

「……ウィングス2から4(From wings 2 to 4)機体の状況は(The situation of the body?)?」

 

ウィングス2(Wings 2)ミサイルの至近弾が一発ですが(The near hit of the missile is a blow)戦闘続行は可能です(but the battle continuation is possible)

 

ウィングス3(Wings 3)機関砲によって尾翼が少し吹き飛びましたが(Some tail assemblies vanished by a cannon)まだまだ大丈夫です(but are all right)

 

ウィングス4(Wings 4)対空砲の至近弾が掠りましたが(The near hit of the antiaircraft gun grazed it)問題ありません(but does not have any problem)

 

 

 在英米空軍駐留レイクンヒース空軍基地第48戦闘航空団(48th Fighter Wing)所属のF-15C戦闘飛行隊。スカパフローとスコットランドに巨大艦が襲撃したとの一報を受けて、英仏空軍と共に出撃したイーグルドライバーの彼らは、外見上は共に戦闘行動をとった事のある、若しくは知識の中に存在する兵器と遭遇し交戦。乱戦の末散り散りになっていた。

 

 

 

隊長(Captain)一体奴らは何物何でしょうか(one guy anything else anything)?』

 

「……俺の方が聞きたいわ(I want to hear it)

 

 

 敵部隊の構成は、様々な意味で狂っていた。対空車両には【試製対空戦車 ソキ車】【オストヴィント(Ostwind)】【M19対空自走砲】と言った第二次世界大戦頃の物が存在しているかと思えば【87式自走高射機関砲】【LFK NG】【NASAMS】【MIM-104 ペトリオット(Patriot)】と言う21世紀現代の兵器が平然と並走、鎮座している。戦車に関しても、【M4A2 シャーマン(Sherman)Ⅲ】【ティーガー(Tiger)Ⅱ】の後方や隣接して【M1A2エイブラムス(Abrams)】【90式戦車】【チーフテン(Chieftain)】が多数存在していた。

 

 上空から見たその異様な光景に暫し茫然とした臨時編隊を構成する英米仏航空隊だったが、その彼らに襲撃を仕掛けた航空機はある種地上車両よりは未だ統一感が有った。と言ってもVTOL系統機とヘリコプターと言うだけで有って、各種ハリアーと共に【Yak-38M フォージャー】も多数空を舞っていると言う意味の分からなさだったが。

 

 

例え相手が誰で有ったとしても(There is not the change for our duty even if there was)俺達の任務に変わりは無い(a partner in anyone)行くぞ(Here we go)!」

 

ウィングス2(Wings 2)了解(Roger)

 

ウィングス3(Wings 3)了解(Roger)それじゃ(Then)キルマークを獲得しに行きますか(do you go to get a kill mark)!』

 

ウィングス4(Wings 4)了解(Roger)それとウィングス3(It means wings 3)言っておくがそれで(but thinks that a familiar shop)馴染みの店が割引してはくれんと思うぞ(does not give it in it at a discount)

 

 

 

 地上部隊からの支援は、潰しても潰しても湧く大量の敵装甲車両の攻撃によって行える状況に無く寧ろ悲鳴の様な支援要請が飛び交う状態であり、近隣のレーダー施設等の軍事施設も、敵装甲車と航空機による強襲、そして事実上想定されていなかった戦艦砲クラスの大口径艦砲射撃によって灰燼に帰しており、現代の防空戦では通常あり得ない電子戦機や基地からの支援の無い戦闘機隊単独での戦闘を強いられた彼等だったが、士気は極めて高かった。

 

 

 

『……タリホー(Tally ho!)敵機確認(Enemy fighters)!』

 

敵機は(Is the enemy plane)日本国籍表示のハリアーか(Harrier of the Japanese roundel)……レーダーロック(Radar lock)Fox 2(Fox Two)Fox 2(Fox Two)!」

 

 

 再度戦闘空域に突入直後に眼前に捉えた敵機に対し、躊躇なく自機の持つAIM-9サイドワインダー(Sidewinder)をどてっぱら目掛けて二発叩き込むウィングス隊の隊長機。標的となった【AV-8BJ ハリアーII】は狙われたと悟るや否や持ち前の機動性を活かして反転降下、回避運動に持ち込もうとするが……

 

馬鹿が(A fool)次に飛ぶ時は(When I fly next)もう少し周囲を見渡すんだな(I look around a little more)

 

 回避運動の為に降下したビル群一棟の屋上には工事の為か組まれた足場が有り、このままでは頭から足場に突っ込む事になる為に急速に速度を落として強引な機動で再度転回しようとした【AV-8BJ ハリアーII】の脳天にEagleの爪(AIM-9)が直撃し炸裂。操縦席が完膚なきまで破壊された日の丸ハリアーは、力尽きたかのように機位を立て直す事も無く足場を突き破り、様々な鉄骨等と共に墜落していった。

 

 

ナイスキルです(Nice kill)隊長(Captain)!』

 

俺を見ている暇があるなら敵機を落せ(If there is time watching me, drop an enemy plane)油断していたら撃墜されるぞ(It is shot down if careless)!!」

 

 

 基本的に双発制空戦闘機としては、冷戦が産み落とした怪物たるF-22を除けばトップクラスであるF-15Cであれば、機動性は兎も角設計の限界から積載量や加速力等で劣位を強いられるハズであるVTOL機。本来この二機種が激突した場合F-15Cの圧勝なのだが、そうはならなかった。

 

 

 まず、敵機のVTOL機は異常に堅固だった。AIM-9サイドワインダー(Sidewinder)やAIM-120 AMRAAM(Advanced Medium-Range Air-to-Air Missile)一発では直撃しても撃墜出来ず、M61A1 20mm バルカン砲での攻撃も航空機のウィークポイントである筈の主翼や発動機に命中しても平然と飛行していた。一方の英仏米空軍機は一撃被弾すれば、余程運が良く無ければ翼か発動機、操縦席を砕かれた。

 

 そして、地上では幹線道路を埋め尽くす勢いで雪崩れ込む敵戦車によって緊急展開した英国陸軍部隊が次々と通信不能へと陥り続ける様に、空でも先述した異常に硬い航空機が雲霞の如く飛び交い続けていた。その数は増える事は合っても減少する気配すら見えず、次々と弾薬切れになった末に撃墜される味方機が続発していた。ウィングス隊が何とか今まで生存していたのは、ハッキリ言って運が良かった部分が大きかった。

 

 

 

クソ(Goddamn)このままだと押し切られる(It is overcome if the same)救援は未だか(Does the relief have not yet come)!?」

 

『……聞こえるか(Is known)前方のイーグル部隊(or a forward eagle corps)此方ドイツ空軍の第71戦闘航空団だ(It is the 71st battle air wing of this one Luftwaffe)救援に来た(I came for relief)!』

 

 

 ウィングス隊隊長の嘆きに呼応したかのように、その混沌としたブリテン島に乱入して来たのは、ドイツ連邦共和国空軍ヴィットムントハーフェン航空基地所属のユーロファイター(Eurofighter) タイフーン(Typhoon)戦闘機隊。性能や価格面で色々言われる事の多いこの機体だが、それでもこの状況では心強い援軍には違いなかった。

 

 

相当な遅刻だが(It is considerable tardy)救援感謝(but thanks for relief)現在の状況は(The present status)……」

 

 

 

 

隊長(Captain)敵機正面(Enemy air craft dominate)!!』

 

「?!」

 

 

 部下からの警告とほぼ同時。ウィングス隊隊長機の機載レーダー(AN/APG-82(V)1)に突如複数の光点が瞬き、ほぼ同時にコックピット内部の機器がミサイルロック時に発する警報音をがなり立てる。

 

 

ウィングス1(Wings 1)脱出する(Eject)!!」

 

 

 ビル群の影に隠れる様にして、視界の端にミサイルの噴煙らしきものが見えたウィングス1。飛行経歴としては十分ベテランの域に入る本能にまで染み込んだ訓練が彼に起こさせた行動は、一切の躊躇無く乗機の緊急脱出装置を作動させる事であった。

 

 

 

 

「……畜生(Damn it)対空ヘリコプターなんか(I may not assume an)想定している訳が無いだろうが(anticraft helicopter)……」

 

 

 正常に作動した脱出装置により風防が吹き飛ぶと同時に射出された直後、ウィングス1の乗機(F-15C)に対してミサイルが命中し、爆散。機首、右翼側エンジンに命中していた事から、仮に一瞬でも脱出を躊躇し、遅れていれば、彼は肉片すら残す事無く爆散し確実に天に召されていただろう。

 

 

「……おお(Oh)神よ(my Ga-od)

 

 

 ……とは言え、それが彼にとっては最善の行動であったとしても、現在阿鼻叫喚の通信が飛び交うこの戦場に置いては、たった一機のイーグルがどうなろうとも、戦況に対しては大きく影響を与える事は無かった。

 

 

ロンドンが(London)……戦友が(A fellow soldier)……ああ(Oh)止めろ(stop)もう止めてくれ(already stop it)……!!」

 

 

 21世紀の現代。総力戦と言う言葉が歴史上の物と成り果て、深海棲艦が現れても費用対効果として極めて低コストに運用可能な艦娘の存在により、通常兵器部隊は先進国軍隊旧来の運用(少数精鋭志向)で用いられている以上、仮に分類するとすれば物量飽和ドクトリンとも言うべきなのか、一定の戦闘力を持つ大量の陸海空兵力を悠々と放ち続ける異形の怪物(『デュアルクレイター』)に打ち勝つのは、絶望的であった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……以上が、現時点にて判明しているイギリス本土の状況となります」

 

「……私は軍事にはそこまで知ってはいませんが、これはつまり、イギリスは事実上本土を喪失したも同然な状況ですね?」

 

「現在イギリス本土を侵略している敵戦力には戦車や自走砲、航空機部隊のみで歩兵部隊が存在していませんので、多数のイギリス軍兵士が各所に潜伏していると思われますので、陥落はしておりません。制圧はされていますが」

 

 

 欧州では比較的安全圏であった筈のブリテン島東側沿岸部からドーバー海峡方面にかけて前触れもない戦災の竜巻が荒れ狂いつつも、欧州軍側戦力の損耗により小康状態へとなっている最中、地球の裏側の島国国家では、各国務大臣や自衛軍将官らが緊急招集された上での緊急会議が行われていた。

 

 

「これらは、やはり超兵器か」

 

「はい、総理。駆逐艦娘『桜風』より提供されたデータによれば、敵の正体は【超巨大双胴強襲揚陸艦 デュアルクレイター】。我々人類が使用するミサイル系統の兵装は搭載しておりませんが、根本的な基礎性能が段違い過ぎる為に、仮に欧州に存在する全戦力が叩き付けられたとしても、撃沈する事は不可能と推測されます」

 

 

 確認する様に問いかけた浅野幸喜首相の言葉に、感情が籠っていない平坦な声で返す山本蒼一海軍庁長官。想定外では無かった。既に二隻の超兵器が出現していたのだから、三隻目が出て来るだろうと言う事位は。だが……予想外だった。先手を取られたとは言えそれでも多数の戦力を叩き付けた筈の英仏軍と在英米軍、ドイツ国防空軍を主体とした欧州軍の攻撃を何の苦も無く弾き返した上に反撃で大打撃を与え、今もなお煙も吹かずに悠々とドーバー海峡周辺を比較的低速(約30Kt)で遊弋されるなどとは。

 

 この事は別に彼らが超兵器の存在を軽視していた訳では無い。世間一般には情報封鎖の為知られてはいないが、国家首脳陣クラスの関係各国の重鎮たちの多くは、以前のドレッドノートの姿を衛星から覗き見ており、連動して極秘裏に渡された『桜風』から提出された多くの超兵器のデータや外観図を見て、それらの並外れた性能を知っている事は紛れもない事実だ。……だからと言って、超兵器の姿や脅威を()()()()()としても、()()()()()()()()()訳でも、()()()()()()()()()()()()()()()が無かったのも事実だが。

 

 

 

「……いずれにせよ、今回の事件が我が国に与える影響は計り知れないな」

 

「現地大使館では邦人の保護と共に安全地帯への脱出を継続中との報告が入りましたが、行方不明者も存在するようです。ただ単に情報が錯綜しているだけで現地軍に保護されている可能性も有りますが、恐らくは……」

 

「いずれにせよ、日本からでは欧州諸国は遠すぎる。邦人、並びに現地民間人の被害が抑えられる事を祈るばかりだ」

 

 

 深海棲艦によって太平洋・大西洋・インド洋(世界三大海洋)の主要海路が潰されているとは言え、陸路と空路、そして沿岸航路に関しては話は別である。経済的には不健全極まりないが、陸路はロシアのシベリア鉄道が活発に常時ヨーロッパと極東を行き来し、空路も安全圏であるユーラシア大陸上は当然ながら、半分孤立したも同然なアメリカ合衆国に対しても北極圏航路を用いての航路は生きていた。沿岸部を護衛付きで有れば船舶での移動も一応可能だ。平時とは比べ物にならない程危険かつ激減したとはいえ、輸出入等で民間人が各国を移動出来る程度は可能だった。巻き込まれた邦人は、今回ばかりは不運だったとしか言いようがない。

 

 

「……問題は、この強襲揚陸艦が、一体いつまで欧州で暴れ回るのか、そして移動するとすれば、一体何処なのか、という事ですね」

 

「防衛省と海軍庁では、このデュアルクレイター(強襲揚陸艦)は今暫く欧州に屯するのではないかと予測しております。現在、超兵器に関する唯一の専門家である()()()()との間にテレビ通信を構築していますので、後に直接聞き取りする予定となっています」

 

 

 何にしても、日本から見れば欧州は遠い彼方であり、直接的な影響は余り無い。一昔前ならばグローバル化により緊密に繋がっている世界経済に大打撃確実だったのだが、幸か不幸か深海棲艦との戦争で海路が絶たれた事が影響し、世界的平和を大前提としたグローバリゼーションは一部破断していた為、イギリス本土が惨禍にのたうち回る中、日本は半ば外野視点で欧州を眺める形となり、それなりに精神的な余裕が得られていた。

 

 

「総理、今回の件について野党が詳細に説明を要求しておりますが……」

 

「対策会議中だと通達していただろう、無視だ。……それで、今はその()は、何処にいるのだ?」

 

「福井県の鯖江駐屯地です」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……うん、着いた。有難うね、爺ちゃん、婆ちゃん」

 

「おう、気いつけてな」

 

「また来なさいな」

 

「はい、有難う御座いました」

 

「ほななー、あやはん」

 

「またねー、くーちゃん」

 

 

 里帰り兼『桜風』の休養の為最低一週間は福井に滞在する予定だったのを、移動日含めて僅か三日程度で切り上げざる負えなくなった深山満理奈と配下の可愛い艦娘御一行。海水浴からの帰宅途上でイギリス本土が超兵器の襲撃により被害が多数出てしまっているのを見てしまった以上、呑気に休養している事は許されないのが軍人の悲しいお役目である。戦時に有給休暇など認められるはずも無い。

 

 

「……所で深山提督」

 

「何、『桜風』?」

 

「どうして鯖江の方に?確か石川県には航空自衛軍の小松基地が有るので、其方の方が良いと思うのですが」

 

「まあ、鯖江の駐屯地は施設中隊が中核の後方基地だからね。でもここが一番自衛軍施設に近かったし、それに福井空港に自衛軍の輸送ヘリ、小松基地には既に輸送機の派遣が決定しているから、乗り継いで行った方が早く東京に戻れるの」

 

 

 送って貰った深山提督の家族を見送った後、現地鯖江駐屯地の自衛軍人の案内を受けながら、雑談を交わす。余談だが、過去に一度民間の定期便の無い福井空港を自衛軍が活用する案が一瞬浮上したのだが、滑走路が僅か1,200メートルしか無い為にジェット機の離発着は不可能な上に、延長しようにも現地住民との交渉や補償条件が纏まらず、結局現状維持のままとなっている。

 

 

 

 

「……なあ、『桜風』はん」

 

「何、黒潮?」

 

「……あー……まー、なんちゅーか、『桜風』はん……。さっきから全然緊張してへんようにしか見えへんのやけど」

 

 

 通信機材の設置と調整に未だ多少の時間がかかる為に、ロビーの待合室で並んで待つ『桜風』達一行。その間に日本国の政軍官の首脳陣とテレビ通信を行う事を通達されたのだが、主に報告する『桜風』はなんの気負った様子も無く何時も通りの姿だった。殆ど外野で有る筈の黒潮の方が緊張して居る位だ。因みに鳳翔と深山提督は今現在厨房を借りて深山提督達の弁当に加えて謝礼として鯖江駐屯地勤務の自衛軍人向けの軽食を製作中だったりする。思わぬ臨時報酬に女っ気が無い男共が大フィーバーした事は想像に難くない。

 

 

「別に緊張する様な要素は無いと思うけど。以前出した報告書の内容をもう一度自分の口から言うだけだしね」

 

「いやいや……総理だけや無いで、大臣とか自衛軍や海軍庁のお偉方も皆みんな出て来るんやで?」

 

「敵艦との砲撃戦の方がよっぽど緊張すると思うんだけど」

 

「まあ、そらそうかも知れへんけど……」

 

 

 正論の様に見えてその実マトモな回答を返していない『桜風』。超兵器ヴィルベルヴィント戦後の対策会議の場で、小刻みに震えていたりマイクを取り落としていたりしていたあの時からはかけ離れた言葉である。一体いつの間にこうなったのやら。

 

 

 

「……まあ、『桜風』はんが問題ないんならええわ。気張りや」

 

「ん……ありがと」

 

「……まだ時間あるなぁ。せや、『桜風』はん。『桜風』はんはあの超兵器が齎した被害とか、どう思ってるん?」

 

「どうって……うーん……」

 

 

 まあ黒潮が何のかんの言っても、直接応対するのは『桜風』である。軽い激励の言葉を掛けた後、黒潮は現在日本各地で話題沸騰たるイギリスについてへと話題転換をする。戦時中モードになっている今の『桜風』にはファッションやらの浮ついた話題は通用しない。日常モードでも通用するかと言えば極めて怪しい事この上ないが。

 

 

「……今の所報道やネット情報で分かっている限りだと、中北部や西部に本土政府やイギリス王家、それに脱出出来た民間人の多くが逃れてはいるのは分かってる。……でも、ブリテン島は事実上陥落したも同然だろうね。首都のロンドンやスカパフローが敵戦車や水雷艇の群れに占領され、応戦したイギリス軍も悉く大敗しているだろうから」

 

「えっと、もう既に向こうの欧州軍が頑張って追い返しているっちゅう可能性は?」

 

「それは無いよ、絶対に。根本的に質も物量も火力も足りない。詳細な情報が入ってくるまでは何とも言えないけど、核兵器を使いでもしない限りは『デュアルクレイター』相手にミッションキルを強いる事も出来ないから。根本的に想定していないのだから、仕方が無いのだけど」

 

「……なら、もし核兵器を使ったとしたら?」

 

「取り敢えず一度はイギリス近海から撤退を強要する事は出来る()()()()()()。向こうの政治家が()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()と言う決断が出来ればの話だけど」

 

 

 つまりは『デュアルクレイター』の欧州軍単独での撃退は不可能と言う事である。通常兵器ではこんな相手(超巨大双胴強襲揚陸艦)を全く想定していないのだから質量共に絶望的に不足しており、核兵器使用に関しても欧州各国の調整や説得以前に()()()()()()に叩き込む事を決断出来る様な豪胆……と言うより、暴挙を許容出来る様な政治家は居なかった。二次被害所か一次被害が直撃しかねない場所に『デュアルクレイター』が居る以上、核兵器使用は夢想でしかない。

 

 

「まあ、心配しなくても『デュアルクレイター』は暫くすればドーバー海峡からアメリカに向けて移動するから大丈夫だよ。その移動している間に欧州各国は軍や都市の再建、私たちは色々な根回しや準備をしないと行けないけどね」

 

「…………え?な、何で、わざわざアメリカに行くん?ちゅーか、『桜風』はん何でそんな確信めいた言い方出来るん?」

 

 

 

 サラッと予言めいた事を言い出す『桜風』に、一瞬理解が追い付かずに固まった黒潮。横から覗き込んだ『桜風』の表情は、まるで今日の夕食のメニューを言う程度の軽い口調の物であった。因みに今日の朝飯はコンビニで買った焼き鮭具入りおにぎりとアメリカンドッグだったりする。

 

 

「んー……超兵器の運用コンセプトを考えると、って言うのが答えの一つなんだけど」

 

「……なんやけど?」

 

 

 少々困った顔つきで答える『桜風』が、小首をかしげて更に聞き出す黒潮に対して答えた一言。

 

 

 

 

「……一番は、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()……何だけどね」

 

 

 

 

 

 

「……『桜風』はん」

 

「何、黒潮?」

 

「怖いわ」

 

「なんでやねん」

 

 

 黒潮の言葉を冗談と受け取ったのか、軽い口調と苦笑いでテレビで見た昔ながらの関西系漫才師見たく手の甲で突っ込む『桜風』。黒潮も軽く笑いながら『桜風』とじゃれ合う。関西系艦娘の代表格である黒潮に取って、こういう事はお茶の子さいさいだ。

 

 

 

 

 

 

 

――――さっきの『桜風』はんの眼、薄っすらと恐ろしい物が混じってた気がするんやけどなぁ

 

 

 

 そして、それなりに経験を積んだとはいえ対人経験はまだまだ少なめの『桜風』には、黒潮が考えている事の一端も読み取れるはずも無かった。




次回投稿は完全未定です(何時もの事)

追記:初頭の英語部分は翻訳サイトを使用しての物です。英語の成績が軒並み赤点ラインだった自分には英訳など不可能な話です故……

実際英語圏の登場人物の会話表記はどう表現すれば良いんでしょうかね、現状思い付かないのでこのままの方式で行きますが…

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