俺のボーダーとしての青春はまちがっている。【俺ガイル編】   作:ばけねこ

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【第七章 自覚のない悪意】

8月も後半になり雪ノ下から相談を受けたどうやらボーダーになる為に色々条件を家から出されたようだ

その一つは3か月以内にB級へ上がる事、通常入隊した隊員はC級としてポイントが1000Pから始まる

 

演習に参加しポイントを増やしたり模擬戦でポイントを奪い合って4000Pを超えるとB級へ昇格できる

 

更にA級昇格の条件は8000Pのマスタークラスになる事とAランクの隊に所属することで権利が貰え

その権利を持つ者がボーダーと契約する事でA級となるB級にくらべA級は色々と制約が付くことにはなる分権利は増える

 

さて通常C級からB級へ上がるのは早い者でも3か月かかると言われているのだ・・・

 

「と言う事で二人には特別審査を受けてもらう」

 

特別審査とは即戦力になりうる隊員を見極める為の審査だ

このような隊員は予め多くのポイントを渡して即座にB級へ上がれるように配慮がなされる

 

今回はこの制度を利用し早くB級に上がれるようにしたのである

結果から言うと二人とも3000Pスタートが認められる事となった

 

9月の入隊式に雪ノ下と由比ヶ浜は参加したこれで正式なボーダー隊員になったわけだが

入隊時の洗礼である劣化バムスターの討伐でそれぞれ2秒と3秒の記録を出し周りに注目されてしまった

 

ポイントもB級の格上と模擬戦を続けた事で順調に溜まり半月でB級昇格となった

まあ上層部に即戦力だから早くB級に上げてやれと言わせて周りも積極的に協力してくれた結果だ

 

 

そんな中総武では現在文化祭の準備にかかっているHRで実行委員を決めている最中なのだが立候補者など出る訳がない

 

「誰もやらないなら比企谷やれ」

 

次の授業が開始される時間になったのか平塚先生は教室に入ってくるなり黒板に俺の名前を書き殴った

アラサーの頭は全く成長していないらしい。そう言えば千葉村のときにも言葉巧みに放任してたと言ってたな

 

「先生それは防衛任務の妨害と受け取っていいんですね」

 

「ま、まて冗談だ冗談」

 

慌てて黒板消しで俺の名前を消す

 

「時間だ授業を始めるから放課後にでも決めたまえ」

 

俺は悪い予感がしたので由比ヶ浜と雪ノ下にB級以上は防衛任務がある為、実行委員のような役職にはつかないように通達をした

放課後俺と由比ヶ浜及び雪ノ下はボーダーへ向かった。ルーム長に防衛任務の関係で役職は出来ないと伝える事は忘れていない

 

「はぁ緊張した~」

 

「それで私達は・・・その、どうだったのかしら」

 

「二人で6体倒したんだから合格点だな」

 

今日は由比ヶ浜と雪ノ下の防衛任務デビューの日だったのだ

 

俺か二郎をサポートにつけようとしたのだが二人でやってみたいと言ってきたので任せる事にした

結果は小町と留美が見守る中6体を無事に倒し初任務完了となったわけだ

 

「そうだ雪ノ下お前文化祭の実行委員なんかやってないだろうな」

 

「推薦はされたのだけど断ったわ。由比ヶ浜さんから連絡があったから」

 

「ならいいが今後も定期的に防衛任務やら訓練があるから役職なんて無理だからな」

 

「ええ理解してるわ」

 

 

翌朝登校すると俺と由比ヶ浜が文化祭の実行委員に決まっていたんだが・・・

 

「おいルーム長昨日言ったはずだよな俺と由比ヶ浜は防衛任務があるから無理だって」

 

「いない奴が悪いんじゃない」

 

夏祭りであった女が言ってきた

 

「なら正式にボーダー本部から抗議して処罰してもらうわ。ただで済むと思うなよ」

 

昨日の平塚先生の態度を思い出したのか処罰との言葉にビビったのか分らないが弱弱しく言い訳を始めた

 

「だって同じボーダーである葉山君に確認したんだから。週二回の演習だけ参加すればいいって」

 

どうやら葉山も9月からボーダーへ入隊したらしい

 

「なぁ葉山お前B級にも上がってないC級訓練生のくせに何正規の隊員である俺と由比ヶ浜の事で嘘言ってんだよ

 週二回の演習だけなんて訓練生のお前だけだろ。現に昨日は俺と由比ヶ浜は防衛任務でトリオン兵倒してるんだぞ」

 

俺の言葉で葉山に注目が集まる

 

「俺はボーダーの事を聞かれたんで答えただけだよ。嘘なんて言ったつもりはない」

 

「隼人いい加減にしろし。昨日隼人が問題ないって言ったんだし自分の言った言葉に責任持てし」

 

とうとう三浦が切れたようだテニスコート、チェーンメール、千葉村ときて今回の葉山の態度だ

 

「いや誤解を与えたのは悪かったと思っているが・・・」

 

「責任とって隼人がやればいいし、自分でも問題ないって言ってたし」

 

「俺にもボーダーの任務が・・・」

 

「訓練生のお前にある訳ねぇだろ任務なんて」

 

俺はトドメをさした

 

「なら男子は葉山君に決定します。女子は誰かいませんか」

 

ルーム長がこの流れにのって一気に決めてしまおうとしている

 

「葉山君がやるなら、うちやりたい」

 

と何人かの立候補が出たのでじゃんけんで決めたのだが・・・決まったのは夏祭りであった女だった相模と言うらしい

 

 

その日の放課後は由比ヶ浜は三浦達と遊びに行くのだと言って雪ノ下だけが本部へやってきた

まあ俺と二郎を除けば毎日本部へくる必要はないのだから問題ない

 

「支援要請」

 

突如通信機からアラームと声が鳴り響く俺はマイクに向かい問い合わせる

 

「こちら比企谷隊状況説明を求める」

 

「よかったいてくれた。こちらB級混合チームです想定外のトリオン兵が発生。支援を要請します」

 

「比企谷隊了解これより出撃します」

 

俺は二郎と留美、小町に視線を送ると無言でうなずいた

 

「雪ノ下オペレーター頼めるか」

 

「ええ任せて」

 

「比企谷隊出撃」

 

こうして俺達4人は本部ビルの屋上からグラスホッパーを使い出撃した

雪ノ下からMAPとトリオン兵の出現状況が送られてくる。オペレーターの教育は散々やったから問題はないだろう

 

俺と二郎は個別に警戒区域を出ようとしているトリオン兵から優先的に片づけていくことにした

留美は手前から小町は防衛任務をしていたチームの助っ人に行った

 

結果から言うと54体のトリオン兵が出現し防衛任務をしていたチームが倒したのは15体残りは比企谷隊が片づけた

B級下位チームやB級上がりたての混合チームの場合では倒せるトリオン兵の数に限界がありこういった要請は度々ある

 

俺や二郎は優先的に支援要請を受ける事になっており本部に居れば待機手当がつくのだ

だからこそ放課後はなるべく本部に来るようにしているし防衛任務のシフトも俺達がいる時間帯に新人などを割り当てている

 

「皆お疲れ、雪ノ下支援要請があった場合オペレーターを含め手当は折半だからな覚えておけよ」

 

「あらいいのかしら。私だけ楽をしているみたいで気がひけるわ」

 

「オペレーターだって立派な仕事だ。差別なんかあったら誰もオペレーターやらんだろ」

 

「それもそうなんだけれど・・・でもこれが仕事だなんて不思議な感じだわ」

 

雪ノ下がそれでも自分の仕事量が少ないと冷蔵庫にある材料で夕飯として料理を振る舞ったのだがやたらうまい料理であった

料理と言えば由比ヶ浜のクッキーを思い出してしまい今後も加古さんにばれませんようにと祈るだけであった

 

夕飯時に世間話程度に2Fで行われたアラサー教師の話から実行委員決定の話をしてみたがやはり全員が呆れていた

特に葉山がボーダーになっていた事は留美にはショックであったようで出来るだけ会いたくないとまで言っていたのが印象的だ

 

 

「ゆきのんから聞いたよ。なんであたしも呼んでくれなかったし」

 

「お前なあ支援要請はスピード命なんだぞ。間に合うわけないだろ」

 

それでも納得いっていない由比ヶ浜はプンプンと怒っている

さて文化祭でのクラスの出し物なんだがなぜか海老名が監督を行い戸塚主演での演劇となった

 

始めは助演男優に葉山や俺の名前が上がったのだがそれぞれ実行委員とボーダー活動を理由に辞退したのだ

実際休日に行われる文化祭に参加できるか微妙なのでそんな役割は出来ないのである

 

雪ノ下が平塚先生より文化祭実行委員の手伝いを要請されたようだが支援要請を経験した雪ノ下がOKするわけがない

たかだか高校文化祭の準備と防衛任務とでは重要度は比べようもないのだから

 

「文化祭実行委員の雲行きが妖しいようね」

 

今日も今日とて防衛任務あがりに雪ノ下が由比ヶ浜に話しかけていた

 

「でも、さがみんは普通に放課後クラスの出し物の手伝いしてたよ」

 

「相模さんが委員長、葉山君が副委員長になったようよ」

 

「なんだ委員長のくせにサボリかそいつ」

 

二郎も話に加わる

 

「そうみたいね平塚先生が私に手伝いをお願いしてきたわ」

 

「おいおいその教師も大丈夫かよ先ずやるべき事はサボってる奴の呼び出しだろうに」

 

「はぁーあのアラサー教師は相変わらずか・・・」

 

「確かにサボってる人間を放置して他に協力を求めるのはおかしな話ね」

 

「どうせ扱いやすい奴に押し付けようとしてるんだろその教師も」

 

「なるほどね・・・小町やっぱ総武高はやめた方がいいぞ」

 

「う~ん、でもおにいちゃんと一緒の高校に行くのは魅力的なのです

 これって小町的にポイント高~い」

 

 

昼休みに俺と雪ノ下、由比ヶ浜が呼び出された目の前にいるのは平塚先生と副委員長の葉山、生徒会長3年の城廻めぐりだ

 

「さて君達に来てもらったのは他でもない、現在文化祭実行委員の活動が壊滅的に遅延をしておりその支援をお願いしたい」

 

「肝心の委員長の姿が見えないようですが」

 

「いや彼女はだな、その・・・正直向いておらんのだ」

 

「そもそもこんな事は俺達がやる仕事ではありませんよね。呼び出す相手が違うんじゃないですか」

 

「陽乃さんから妹さんは優秀だって聞いてたので、出来れば力を貸して欲しいの」

 

「どうだろう防衛任務が大事だって事は分っているが君達全員が出る必要もあるまい

 雪ノ下だけでも手伝って貰えないだろうか」

 

「雪乃ちゃ、いや雪ノ下さんみんな文化祭を楽しみにしているんだ。だから手を貸して欲しい」

 

「お断りします

 

 そもそも葉山君あなた副委員長なのでしょう。なぜ委員長のサボリを黙認しているのかしら

 外部を頼る前に内部のサボリを無くせば問題はないのではないかしら」

 

「そうか・・・やはり雪ノ下でも無理か・・・」

 

おいおい安い挑発してきたぞこのアラサーは、だがそんな相手の話を聞くほど俺は甘くない

 

「平塚先生雪ノ下の話を聞いてますか?関係ない話で話題を逸らさないで下さいよ

 

 今やらなければいけないのは文化祭実行委員の正常化なんでしょ雪ノ下は全く関係ないじゃないですか

 なんで雪ノ下の手伝い前提で話を進めているんですか」

 

俺からの反論は想定外だったのか平塚先生が言葉に詰まる。まさか・・・雪ノ下ってこんな安い挑発にのっちゃうお子様なの?

 

「そうだよヒッキーの言う通りだよ。なんでゆきのんばかりが仕事を押し付けられなければいけないの

 さがみんや隼人君が本来しなければいけない文化祭の仕事なんでしょ」

 

「いや俺はきちんと仕事はしているよ」

 

「委員長のサボリを黙認しているあなたは自分の仕事しているとは言えないわね

 なら委員長や実行委員メンバのサボリの監視や呼び出し、割り振りは誰の仕事なのかしら」

 

「わたしとて強く言いたいのだが生徒の自主性を尊重するとだな・・・」

 

「先生の言う自主性って作業をサボる事も含まれてるんですか

 ならまともに仕事しようなんて奴はいなくなりそうですね」

 

「隼人君なんでさがみんに強く言わないの同じクラスだよね」

 

「俺は・・・みんなで仲良くやりたいだけなんだ」

 

ここまでで大体わかった誰も泥をかぶりたくないのだ責任を取りたくないのだ嫌われたくないのだ

その為なら他人を犠牲にしてもなんとも思ってないのだと・・・

 

「そもそも文化祭実行委員がまともに運営されてない事が問題なんですよね

 だったら正常にする方法を取るべきであって新たに人を投入することではないですよね」

 

「サボってる人に罰も与えないで放置する事が間違いだと思うし

 あたしだったら全員を集めてしっかりと現状を理解してもらう」

 

「そうねそもそも人手が足らなくなったら生徒会権限で全クラスのルーム長を徴収できるはずだわ」

 

「ほら、ちょっと話を聞いた俺達だってすぐにこれぐらいの案は出せる

 あなた達はいったい今まで何してたんですか

 

 大体組織の上部はたとえ嫌われようと強行に物事を進めないと全体がおかしくなるんですよ

 リストラだって立派な戦略なんです可愛そうなんて言ってたら会社が倒産してしまうでしょ」

 

俺達がここまで言っても平塚先生は苦虫を噛んだような表情をしているだけで葉山の顔も歪んだままだ

 

「ごめんなさい私達が甘えていました

 確かに言われた通り私達は何の手立ても行わず。外から人手を集める事ばかり考えていたわ

 

 本来は組織を立て直す事が先だったのね。なんと言われようが・・・

 葉山君、放課後文化祭実行委員全員を集めて緊急会議を開きます」

 

生徒会長さんが宣言し俺達は解放された

 

その後の文化祭実行委員は相模が委員長を解任され葉山は副委員長を辞任と言う形で逃げ出したそうだ

新たに生徒会から指名された委員長と副委員長の手により無事に文化祭を迎える事ができた

 

生徒会長が独自に知恵を貸してくれと俺達の所に来たので色々提案したのが役に立ったようだ

マイルストーン管理や個人の実績表グラフ、各クラスのルーム長による実行委員の監視などだ

 

そうそう俺のクラスでは不良の川崎が衣装係をしたそうで監督の海老名と最近親しくなったとか由比ヶ浜が言っていた

文化祭当日?知らんな俺ボーダー本部にいたし・・・由比ヶ浜がハニトーを差し入れに持ってきたがそれご飯じゃないからね

 


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