小次郎と沖田   作:ガンタンク風丸

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ダラダラと続く。座的な何かである竹林は平行世界へと行けるっ!

沖田推理→アヴァロン的な何か?

小次郎推理→世界の裏側、又は座的な何か?

結論、よく分からない次元。


一畳目 staynightとヤマタノオロチ
ヤマタノオロチ【前編】


 

 

 

「なんか久しぶりに強いのきましたね」

「そうだなぁ。でも、肉は柔らかいわな」

「小次郎さん。口調口調」

「おっとしまった」

 

 

 

 そんな緩い会話をする小次郎と沖田は今現在、絶賛戦闘行動中であった。

 相対するは幻想種の中でも強力とされる龍種であり日本神話に登場す邪竜ヤマタノオロチだ。

 

 正直ヒュドラにも見えなくはないのだが、こちらは全体的に二回り程ヒュドラよりもでかくて尚且ヒュドラのように側には化け蟹の姿は無いので難易度的にはこちらの方が低いと思う。

 

「燕返し」

 

 そんな芯のある言葉と共に小次郎の構える『備中青江』の刀身がブレて閃き風切り音皆無の無数の剣閃が空に踊るようにその場に舞う。

 それらの剣戟は全てヤマタノオロチの杉の老樹のような太い前足にぶち当たり見事にミンチ形状に切り刻み尚且斬り飛ばす事に成功した。流石伝家の宝刀ワイバーン返し×4。

 もう空間すら斬れそうな勢いである。

 

「フッ、温いわ」

 

 ミンチに片足を切り飛ばされ激高したヤマタノオロチの首がもう風切り音と形容していいのか分からない轟音と共に小次郎の元へと降ってくる。しかし小次郎はそれを慣れた様子で危なげなく避けながら後方に下がると同時に【透過C】にて素早く竹林を背景に溶け込むように姿を晦ました。

 案の定ヤマタノオロチはいきなり姿を消した小次郎に驚き、一瞬の隙を形作ってしまう。そして、そんな絶好のチャンスを沖田が見逃すはずも無かった。

 

「ふっふ。これで私も今日からドラゴンスレイヤー!無明――三段突きッ!!!」

 

 真名開放(意味は無い)と共に空を駆け上がって間合いを詰めた沖田の放った燕ボルグ(無明三段突き)がヤマタノオロチの数ある首の一つにぶち込まれる。その光景を透過を解きながら見ていた小次郎は思わず自らの見た光景に目を疑った。

 いや、だって沖田空蹴って飛んでるんだもん。誰だってビックリするでしょ。

 衝撃にひっくり返りながら吹っ飛ぶヤマタノオロチを背後に沖田が軽い着地音と共に地面へと降りてくる。地面は腐葉土なのだがそれでも落ちた笹の葉が積み重なっていることには変わりなく、着地には小さくはない音がたつはずなのだが沖田にはそれがほぼ皆無であった。当人の技量がよく分かる動作である。

 まあ小次郎も同じことが出来るので特段驚くこと無く、というかむしろ先ほどの沖田の空を飛ぶ行為を言及しようと沖田に歩み寄った。

 

「沖田よ、いつから飛べるように……?」

「縮地頑張ってたら飛べるようになってましたね。ワンピのコック様様ですよ」

「……私もそろそろ斬撃飛ばすなり練習してみようかな……」

 

 あっけらかんという沖田だったが小次郎にとって既にチャレンジしたことであり尚且出来なかった事なので心理的ダメージは思いのほか大きかった。まあ戦闘中ということもありそこまで落ち込むことも無かったのが幸いということだろう。

 そんな感じで密かに心理的ダメを受けていた小次郎を他所にヤマタノオロチの首は既に半分ほど修復が完了していた。沖田は殆ど首の根本であろう場所をカッティングしていたのでその事からもヤマタノオロチの修復力の高さが伺えることだろう。マジパネェよ幻想種。

 正直に言えばかなりジリ貧な状態であった。例えこちらがあちらに対して絶対的な攻撃力を持っていたとしてもあちらは幻想種でありソレは同じである。更にはほぼ無限と言ってもいい回復力があるのだ。対してこちらは一発貰ったら終わりの紙装甲。数多くの幻想種を屠った経験があるからここまで平常心でいられるものの、常人なら精神にかなりクルものがあっただろう。

 

「なんかすまないさんの気持ちが良くわかりますね……」

「どちらかと言うならばヘラクレスでは無いか?」

「確かにその方が形的にも似てるかも」

 

 ラドンなどもこの類に入るのではないだろうか。確かあのドラゴンも首がたくさんあったはずだろうし。

 しかしこれに単騎で挑んだスサノオノミコトは一体どこのスーパーサイヤ人なんだ?……というかそもそもな話スサノオノミコトはヤマタノオロチをどうやって退治したんだっけ?

 

「のう沖田よ」

 

 呻き声とも叫び声とも、それとも怒声にも聞こえる唸り声を上げながらヤマタノオロチがこちらに欠損した前足を引き摺りながら地鳴り音と共にこちらに近づいてくる。

 

「何ですかー」

 

 もしかしたら八つの首がそれぞれ違うような感情を持ち声を上げているのかも知れない。だからかなのか、既に治った首も加えて八つそれぞれ違う色のエーテルを伴ったブレスを吐こうとしているヤマタノオロチさんが目の前にいた。

 

「コレは、どうやったら殺せるのだろうな」

「……さ、さあ?」

 

 着々とチャージされていくブレス群。既にそれらは白い閃光が入り交じりどっかの軍神(アルテラ)さんの宝具を見ているようである。

 

「……小次郎さんは知らないんですか?スサノオの伝説」

「無論知らぬが?」

 

 ヤマタノオロチの八つの首が揃ったモーションでその鎌首を大きく後ろへともたげる。モンハンなどをしていれば良く見るブレス発射前動作だろう。

 

「……逃げますか」

「……そうだな」

 

 そんな二人会話が終わると同時に、ブレスは放たれた。

 ちなみにだが既に小次郎は沖田の腕に捕まり完全に離脱体勢である。

 

「縮地!」

 

 瞬間沖田の姿が掻き消える。今頃数キロほど離れた地点にいる事だろう。だがヤマタノオロチに今更ブレスを止めることなど不可能であり、虹色の破壊神かと見まごう破壊熱線による閃光……というかもはや極太虹色ビームであるそれらが既に標的のいない(もぬけ)の空である竹林を蹂躙したのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 小次郎と沖田は拠点としている日本家屋に無事帰還を果たしていた。

 この竹林は拠点としている日本家屋のある付近を除いて幻想種が犇めいている魔境というか最早地獄であるのでここまで何一つとして他の幻想種とのエンカウントがなかったのは幸運と言えよう。

 というか幸運Aである小次郎がいなかったら確実にエンカウントしていたはずだ。流石は幸運Aである。ちなみに沖田の幸運はDなので期待などはしてはいけない。正直一番隊隊長なのに結核にかかり尚且近藤勇の死を知らずに死ぬとか言う不運な伝承があるのに幸運Dである方が謎である。普通はEだろ。これがセイバー顔補正というヤツなのかッ!!??

 

「疲れましたねー……」

「誠にな……」

 

 正直アレの討伐方法が分からない二人。というかヘラクレスのヒュドラ退治のイメージが強すぎて勝てる想像が出来ないというのが本音か。

 まあ原作で佐々木小次郎は例え令呪やメディアの支援があった状態だった故だとしてもヘラクレスを見事討ち取っているので討伐自体は論理上可能なのだろうと思うのだが……やはりそう思えない二人がいた。

 

「えーっと、スサノオってヤマタノオロチの事どうやって倒したんでしたっけ?」

「ふむ……。確か奴めの尾から『草薙剣』が出てきたのは覚えているのだがなぁ」

 

 ちなみにだがこの竹林魔境は定期的に幻想種がポップするので適度に討伐していないと世紀末的な事となる。共食いなどはしてくれるもののやはりあの竹林が壊されるというのが前提であるので『佐々木小次郎』としての存在を守りたい小次郎にとって、風流な景色を守るというのは最早使命といっても差し控えないものであった。

 

「…………」

「…………」

 

 舞い降りる沈黙。素直にあれを斬り刻めば終わると思いたいがそうは問屋が許さないだろう。幻想種を舐めてはいけないのだ。

 英霊のように急所である霊核のような物があればいいのだが……。

 勿論幻想種にだって霊核たる心臓はあるにはあるのだが、きっと穿ったところですぐさま再生すること間違いない。穿つならそれ専用の槍持ってこないと。

 正直打開策が皆無だった。

 思えば傷口を炎で炙ったヘラクレスはかなり賢かったのだろう。狂戦士としての側面しか原作には出ないが知性的な性格である事間違いは無い。

 まあ炙ったのはヘラクレス当人ではなく友人なのだが。

 それならヘラクレスを真似してこちらも同じような戦略を……と考えるものの傷口を火で炙るビジョンが全く持って思いつかない。一体何者なんだヘラクレスの友人……ッ!神の血とか無しにで幻想種の傷口炙るとかアンタもピクト人と同じような類いだろう!?

 

「最悪、他の幻想種とぶつけるしかありませんね」

「そうよなぁ……」

 

 小次郎としても沖田としても自らで討ち取れないのは悔しいものがあった。しかし既に一夜は明け小次郎の斬り飛ばした腕だって再生していることだろう。打開策の無い今の状況で戦うなど論外であった。

 

「はぁ、だけどあんなのと戦って勝てそうな、あわよくば漁夫の利狙えそうなの今いましたっけ……?」

「どうだか……まあ少なくとも記憶には無いな」

「ですよねー……はぁ」

「……はぁ」

 

 二人してため息を吐いてみるがやはりいい案は浮かばない。もしかしたらここまで苦戦したのは夜叉と戦った時以来かもしれない。夜叉って何か?金剛力士像姿のスパルタスクみたいなのだよ。

 そして案の定またもや無言の空間が舞い降りた。

 数分、もしかしたら数十分続いたかもしれないが、そもそもこの空間に時の概念など存在しないので関係は無い。しかしそれでも時の流れというのは生きている上で絶対に感じるものであり事実ここにも昼と夜はあるのだ。時を感じるという概念はあるのだろう。

 そんな中、沖田が項垂れるように言った。

「もう、最後の手段するしかないようですね……」

「出来ればやりたくは無かったのだがな……」

「それは同感です。今の状況での全力の自分で倒せなきゃ意味無いですもん……だけどこのままじゃ竹林ブッコされちゃいますから。背に腹は代えられません」

 

 ところで話は変わるがどうしてここに醤油や調味料のような物があるのか疑問に思ったことは無いだろうか?

 周りは横に小川が流れているだけの竹林しかない辺境だというのにだ。

 では果たしてそれは何故か。答えは至極簡単だ。ズバリ、外界から持ってきているのだ。

 ではどうやって外界、つまり平行世界や他の次元へと行くのかというと答えは結構簡単である。

 次元を飛ぶゲートがあるのだ。

 

「さて、用意はいいか沖田よ」

「ばっちぐーですよ。沖田、いけます」

「そのネタはいいから……」

「えー、でもこういう時って定番でしょ?最早」

 

 そんな言い合いをしながら二人は囲炉裏の横に畳二つ分開いた場所にある一枚の畳の前に囲うように立った。尚、沖田の手には中身の入った風呂敷が吊るされており中身は幻想種の体の一部である。持っていく理由は後でわかることだろう。

 小次郎はふとしゃがみ畳の端へとその手をかける。

 

「では、捲るぞ」

「ヤー」

「アブソもいらんから」

「えー」

 

 一人不服そうにブーブー言う沖田を横に小次郎は一瞬目を瞑り、目を刮目すると同時に畳を勢い良く捲る。というか捲り投げる。

 

「もっと優しく捲りましょうよ……」

「なに、こちらの方が格好が良いではないか?」

「お、今の佐々木小次郎っぽい」

「やっぱ?」

「素に戻るの早すぎでしょ」

「いや、沖田もな」

「ふぁッ!?」

 

 会話の端々が浮き足立ち素に戻ってしまうが、それはある意味仕方がないことだった。何故ならば今捲った畳の下が平行世界とを繋ぐゲートであり、その向こうには水面のようなものを挟んだ平行世界の景色が見えるのだから。

 勿論平行世界といっても座標は同じなので向こうに見えるのは畳から天井を見上げたように見える日本家屋の天井であるのだが、そんなこと二人にはおよそ関係は無かった。

 一度ゲートを前に二人は頷き合ってから小次郎、沖田の順でそのゲートへと飛び込む。

 

 瞬間、辺りの全てが静止した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 平行世界の日本家屋は冬木市の深山町の東側の森林にあった。ちなみにだが西側は全部アインツベルンの所有地であり結界が張られている。故に深山町でなおかつ竹林のある地帯となると必然的に東側の森となるのだった。

 そして故に今、小次郎と沖田の二人は冬木市にいた。

 服装は変わっていない。小次郎は勿論紫を基調とした陣羽織に袴姿だし沖田も浅葱の羽織こそ羽織っていないがハイカラな和服を着ていることには変わりはなく、結果かなり目立っていた。

 更に付け加えるならここは新都であるからしてその目立ち様は一線を画す。勿論そんなことを二人が気にすることは無いのだが。

 今回こちらに来た理由はヤマタノオロチの伝承について調べることだった。もう殆ど裏技的なものであり、そして絶対なる弱点を知るということにも繋がるので二人としては嫌だったのだが、やはり背に腹は代えられないというものだろう。

 

「とりあえず換金はしましたし図書館による前に色々と他にも買ってしまいましょう」

「そうよなあ。おおそうだ、岩塩でも今度は買ってみるのはどうだ?」

「小次郎さん塩系好きですよね。私は薄口醤油ですが」

「やはりか。だがまあ、勿論香辛料なども買うのだろう?」

「ええそりゃもう。あと米もですね。あればっかりはあっちで作るのは無理ですから」

 

 ちなみにだが日本家屋の周りには中規模の農園が作られておりそこで大体の作物は栽培可能だったりする。食卓に並ぶのも農園から採ったものが大半であった程だ。しかし米となると話は別で、水田など作れないので買うしかなかったのである。

 そうそうお金の方だがコレはさして問題ではない。というか前記の風呂敷の答えがこれである。竹林の周りで狩った幻想種の爪などを遠坂家が管理する古物商に売れば少なくは無い金が手に入るのだ。これがこちらの活動資金であり、二人にとって米へと至る切符でもあった。

 きっと二人が換金し続ける限り遠坂家の家計は安泰間違いなしだろう。なにせ本物の幻想種の身体の一部が手に入るのだ。神秘の薄いこの時代でその需要は計り知れないものがある。

 ホクホク顔の遠坂家の皆さんの顔が思わず目に浮かぶ二人であった。

 

「そう言えば今ってステナなのがゼロなのかイマイチわからんよな」

「そうですよねー。原作キャラと会いませんし正確な年代とか覚えてませんもん私」

 

 全くもって同意見だった小次郎は頷いてそれを肯定する。ちなみに周りの視線は消えていない。案の定夫婦とかに見られているのは知らぬが仏という奴なのだろう。

 だがそんな会話の事をフラグと言うのだ。

 こういう世界である。沖田の病弱然りザビエルのツッコミ然りで、フラグは回収されるものなのだ。

 故に、この出会いも必然だったのだろう。

 

「貴様はアサシン!?何故ここに!?」

「なっ!?ほ、ホントだ!?衛宮君逃げて!」

「無理だろ遠坂。この距離で逃げるとか。それに会った以上俺だって戦うさ」

 

 とても聞き覚えのある声に思わず思考を止める小次郎と沖田。まさか答えがあちらの方からやって来るとは思わずその歩みさえ止まってしまう。

 そしてそれはステナ組の考えを煽る行動にほかならなかった。沖田は内心舌打ちする。年代はしれたけど関わる気はサラサラ無かったからだ。

 

(沖田……)

(こういうのをフラグって言うんですね……)

 

 アイコンタクトのみで行われた会話を区切りに二人はため息混じりに声のあった方へと振り返る。そしてそこには予想通り主人公の衛宮士郎(せーぎのみかた)とアルトリア・ペンドラゴンことセイバー(腹ペコ王)、そして遠坂家当主 遠坂凛(赤い悪魔)の姿があり、それぞれガンドのポーズとったり干将莫耶を投影したりカリバーを風王結界付きで展開していたりと完全に臨戦態勢であった。血気盛んよな。

 

「……あー、そのですね……」

「なによアンタ。……って貴女も英霊!?」

「下がっていてください凛!彼女は強い」

「セイバー!俺もやるぞ」

 

 勝手に話を進めていく原作パーティ共。話を聞けぇい。

 

「……はぁ、先に言っておきますけど私達に敵意は無いですから」

「はぁ?なによそれ?そもそも隣のそれどう見たってアサシンじゃない。あった時点で戦争よ戦争。聖杯戦争だけにね」

「……娘、お前は魔術師なのであろう?ならば今は昼間、戦う時では無いと思うのだが。これ如何に?」

「それにこっちは英霊二人です。私も彼も知名度的に一方的にフルボッコにする自信があります。いやマジで」

「ほう……それは騎士として挑戦と受け取った。表にでるがいい」

「喧嘩売ってどうする?」

「いや……だってどれくらいいけるか試したいじゃないですか」

「まあ、気持ちは分からんでも無いが……」

 

 というか改めていおう。ここステナだったんですね。

 

「まあよい、とりあえずは言っておくが私は貴様らの知っているアサシン、佐々木小次郎では無い。全くの別人よ」

「……?どういうことだよそれ」

「あれですよ、平行世界です。簡単に言えばですが。というかセイバーさんなら分かるでしょう?直感というか、勘で」

 

 沖田がそう問いかけるとセイバーもそれに少しニガい表情で静かに頷いた。

「……確に彼は私の戦ったアサシンとは違いますね……」

「それホント、セイバー?」

「ええ、それに嘘でもなさそうです。癪ですけど」

「はっはっは。だが他人なのは仕方がなかろう」

 

 fateの佐々木小次郎は元々が架空の人物であるのでその中身は一番佐々木小次郎に近い存在が呼び出されるものである。故に時として変わるはず……という脳内設定を強引に使わせてもらったぞ。うん。

 

「……はぁ、というかそもそも平行世界って……魔法の領域じゃない、それ」

「原理は知らぬ。だが私らはそこに住んでおり食料調達のためにここに来ているのだ」

「流石に米とか香辛料は作れませんからね」

「へぇ、どんなことろなんだよ住んでるのは」

「幻想種犇めく魔境だな。だが来ることはオススメしないぞ、あまりの神秘に耐えられんだろうからな」

「というか爆散?」

 

 戦闘の空気は霧散し既に幾分かの信頼は勝ち取れたようだった。まあセイバーは少し硬いがそれは愛嬌というものだろう。

 

「ちなみに私の真名は幕末が誇る天才剣士沖田総司です。あ、サインなら受け付けますよ」

「そして、私は知っているだろうが佐々木小次郎よ」

「俺は衛宮士郎だ」

「遠坂凛よ」

「……アル、……セイバーです」

 

 お、一瞬真名言いかけたのを堪えたな。そりゃそうか、目の前の敵かもしれない存在が堂々と真名を告げたのに自分も言わないなど不自然だと、若しくは失礼だと思ったのだろう。

 だがな、そんな心配は無用だぞ、セイバー!(輝く貌ボォイス)。

 

「ああ、別に言わなくたって大丈夫ですよ。騎士王さん」

「そも、知っているのだからな」

「なっ!?」

「フッ、そのように反応するな。笑ってしまうでは無いか」

「というか大袈裟ですね。別に特段弱点ないんだし宝具の名前からして性能というか機能?関連全然無いのだから真名バレしたってそこまで影響あるわけじゃないじゃないですか」

 

 一体だれがエクスカリバーがビームを吐くような秘密ギミック内蔵のドッキリ棒だと思うだろうか。せめてロンゴミニアドなら分かる。あれは鎧素通りして攻撃できるし対界宝具っぽい伝承もあったはずだからだ。

 実際真名分かったって『ああアーサー王か!となるとセイバーだし担いでんのエクスカリバーだな!あり?でもエクスカリバーって何できんの?』という状態になる事間違いなしなはずだろう。

 

「その様子じゃセイバーの真名も知ってしそうね……ホント何者なのよ。というか私も知らないんだけどセイバーの真名」

「……それは知りません。でもまあ身分証明なら簡単ですよ。ほら、凛さんの古物商のお得意さん、と言えば分かりますか?」

「えっ!?もしかしてあれアンタ達だったの!?」

「おうとも」

 

 なんか話が不毛なものになってきたな……。そんな感想を抱いた者は小次郎だけではないはずだろう。故に小次郎はここで提案する事にした。

 

「なに、立ち話もなんだ。彼処の喫茶店へ入るのはどうだ?」

「お、ナイスアイディアですよ小次郎さん」

「異論は無いわ」

「シロウがそれでいいなら」

「俺は構わないぜ」

「じゃあ行きましょかー」

 

 そんな感じで会話が纏まり一行は最寄りにあった喫茶店へと足を運ぶ。

何の因果か、その喫茶店の名は『アーネンエルベ』。建造にあのキシュア・ゼルレッチも関わっている別称『魔法使いの匣』と呼ばれる魔店だった。

 

 

 

 

 

 




1時くらいから書いてた。つまり不眠である。朝には出来ていたしな。沖田が女なことにびっくりするのは次回に持ち越し




『今日の幻想種紹介』

ヤマタノオロチさん。八首八尾のぶっ飛んでる邪竜さんだ。首と尻尾の回復力は異常。ほかは普通。だが作中ではヤマタノオロチは腕を1晩で生えさせることが可能である。
 体長はファフニールと同じくらい。バケモンよな。

 もう2人なら一方的に斬り刻めんじゃね?とか思うだろうが首なんて一分で生えるし斬ったところで残りの七つの首と八本の尾が襲いかかってきます。

 正直、二人じゃ無理ゲー。手数で圧倒的に劣ります。

 エクスカリバーみたいな対城宝具なら可能性アリ。だけど手は借りられないよっ!

 ヒュドラの親戚だけどヤマタノオロチに毒は無い。代わりにあいつと違って尻尾八つだし身体は巨体。インド象とアフリカ象くらい違う。後はブレスの火力が段違い。


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