着物+革ジャン+ブーツ 作:スネーク
「しっ……真選組だァっ!」
「イカン!全員逃げろォ!」
真選組が突入してきた瞬間、私はまず相手の装備を確認した。
……まず全員帯刀しているのは当たり前、拳銃のような物はなし、バズーカがいくつか、といったところか。とりあえずこの至近距離では自分たちも巻き込まれるだろうからバズーカはそうそう使われないだろう。近距離を保ちつつ撤退するしかない。こうして自分の中である程度のプランを練っていると、何も考えていないのか真選組のいない方の扉を銀時は蹴破っていった。そしてその瞬間
「全員残らず討ち取れェェ!!」
と副長である土方十四郎の号令とともに一斉に切りかかってきた。桂の周りの浪士たちも桂を守らんと一斉に抜刀する。
「桂さん!いつも通り逃げてください!」
そう言ったゲジゲジは桂を追おうとしていた隊士を足止めする。
「そうはいくか!!」
それを見たほかの隊士が追おうとするがそれをほかの浪士が切りかかって阻止する。桂はその光景を見て下唇を噛み
「……頼む」
それだけを言うと銀時に続くように部屋から駆け出して行った。
私もそれに続こうとすると
「おい」
という若い声とともにバズーカの弾が飛んでくる。
私はそれを確認すると
「久しぶりに会ったっていうのに随分な挨拶じゃないか?」
と私が余裕ぶった声を出してやると私を撃ってきたやつは舌打ちをした。
「これぐらいでお前がくたばるかよィ」
「いやいやいや……私だって人間なんだ。そんなものが直撃したら死んでしまうさ。私をなんだと思っているんだ。沖田君?」
「当たらねえくせに何言ってんだィ。この怪物め」
そう言った沖田は刀を抜き、私に切りかかってくる。私は眼を元に戻し、ナイフのまま相手をする。それを見た瞬間、沖田は青筋を浮かべ
「おい、その腰の刀は飾りか!そいつを抜いて相手しろィ!!」
と言いながら私と切り結ぶ。私は涼しい顔をしながら
「そうだ。飾りだよ。愛用の音楽プレイヤーだ。コイツを抜かせたかったら私を追い詰めてみろ」
私はそう言って思いっきり力を入れ、沖田を吹っ飛ばす。沖田は部屋の押し入れの中へふすまを巻き込みながら転がっていく。
「沖田隊長!」
即座に押し入れに駆け寄る隊士を見ながら私は銀時たちの方へ向かう。まわりの隊士は沖田との対決を見ていたので私に切りかかるのをためらっている。こいつらが本当に役に立っているのかと思いながら銀時たちの方へ向かうと土方が壁に向かって突きを繰り出していた。土方の足元を見ると銀時が転がっているのでどうやら間一髪でよけたようだ。何か喋っているが私は遠慮せずに眼を再び使い土方の刀の
刀をナイフがついた瞬間、刀は根元から折れ土方は体勢を崩す。
「テメエは!」
「悪いな土方。お前のとこの隊士、もう一度鍛えなおした方がいいぜ」
それだけを話すと、土方を回し蹴りで後ろから追ってきていた沖田の方へ吹っ飛ばす。沖田はそれを避けると私の方へ再びバズーカを撃ってきた。ナイフは投げてしまっていて、刀を抜く暇もないのでこいつはとりあえず避けることにした。爆発をとりあえず銀時を使って防ぐとそのまま側の倉庫部屋に逃げ込む。そこにはみんなも逃げ込んだようで今回の切り合いで死んだ奴ら以外は全員無事のようだ。
「おいっ!出てこい!」「無駄な抵抗はやめろ!」
「ここは15階だ!逃げ場なんてどこにもないぞ!!」
外からは降伏を求める言葉が聞こえるが隙間から外を見ると持ってきていたバズーカを全部こちらに向けていた。出られるわけがない。
「髪増えてない?」
神楽と新八は私が爆発を防いだ時に盾にしたせいでアフロへと変貌した銀時の髪をいじっていた。銀時は私を恨めしい目でにらむ。緊張感が見られない。私は桂へ
「この後どうする?」
と聞くとしばらく目をつぶり服の中から球体を取り出した。
「ん?何の真似だそりゃ?」
銀時はその球体が何なのかわからず桂に尋ねる。私は大体想像がついていたが桂はその想像通りの答えを口にした。
「時限爆弾だ」
その答えに銀時は無表情になる。ついにブチギレたようだ。怒りのオーラを発している銀時に気付かないのか桂は言葉を続ける。
「これはターミナル爆破のために用意していたんだが仕方あるまい……コイツを奴等におみまいするその隙に……」
桂はこの後の言葉を続けることができなかった。銀時が桂の胸ぐらを掴んだからだ。その銀時の態度に周りの浪士が銀時に声を荒げる。
「貴様ァ!桂さんに何をするかァァ!!」
だが、そんなことはお構いなしに銀時は変わってしまった友に語り掛ける。
「桂ァ……もうしまいにしよーや」
言葉を続ける銀時の表情は変わらないがその目は何となく泣きそうに見えた。
「てめーがどんだけ手ェ汚そうが死んでいった仲間は喜ばねーし時代も変わらねェ……これ以上うす汚れんな」
「うす汚れたのは貴様だ銀時!」
銀時の言葉に桂は鋭い目をして反論する。
「時代が変わると共にふわふわと変節しおって……武士たるもの!己の信じた一念を貫き通すものだろう!!」
桂の反論に今度は私が声を上げる。
「お前はお膳立てされた武士道貫いてどうするんだ?」
黙っていた私が口を開いたことで桂は少しうろたえた。
「おまえはそんなもののために、また大事な仲間失うつもりか?」
私は言葉を続ける。
「さっき銀時が言っただろ?お前が何をしようがもう時代は変わらないんだよ。オレもそれが分かったんだ」
私も戦争後に少しだけ攘夷活動をしていた。だが、
「お前はいつまでもう変わらないことをやり続けるつもりだ?いつまで半端なことを続けるつもりだ?オレたちが初めて
そう言い放った私に周りは呑まれていた。
『侍たる者ハンパはいけない』
これが初めて私たちが銀時と
私の言葉に懐かしそうに目を細める銀時と殴られたような顔をする桂。その桂の顔を見てもう大丈夫そうだと銀時とうなずいていると神楽が銀時に爆弾を手渡した。
「銀ちゃん」
「?」
みんなが神楽を見る。
「これ……いじくってたらスイッチ押しちゃったヨ」
◇ ◇ ◇
外で待機していた沖田と土方はこの膠着状態にイラついていた。
「もうこれ撃っちゃって確殺した方がよくないですかィ?全員逃げ込んだのは確認してますし、何よりも夕方のドラマの再放送始まっちゃいますぜ」
「そうだなぁ……ビデオ予約すんの忘れてたしそうするか」
「そうでさァ。それに両儀式発見の報を入れたら、なんかとっつぁんがこっちに向かってきてるらしいですぜ」
「まじか。あの人面倒だしもう全員爆殺でいいか。さっさと済まそう。発射用意!」
その瞬間中から3人の人間が何かをもって飛び出してきた。隊士が避けていくので土方は「そいつらを止めろ!」と指示を出す。すると銀髪の男が切羽詰まったように叫ぶ。
「止めるならこの爆弾止めてくれェェェ!爆弾処理はんとかさぁ、なんかいるだろオイ!」
「全員退避ィィィ!!!」
そう指示を出した土方はもう沖田とともに離れた場所にいた。それを見たほかの隊士達も一目散に逃げていく。
「おわァァァ!!爆弾もってんぞコイツ!!」
「ちょっ待て!おいィィィ!!!」
◇ ◇ ◇
逃げていった銀時はどうやら私の存在を忘れていたらしい。しかし、これで私と桂は逃げることができる。逃げようとする私に桂は声をかける
「式よ!お前のおかげで俺はまた変われた!礼を言うぞ!!」
私はその言葉に手を上げて答えると窓を突き破り隣のビルへ飛び移る。同時に爆弾も爆発した。どうやら銀時は何とか外で爆弾を起爆させることができたようだ。
「ぎっ…銀さ~ん!」「銀ちゃんさよーなら~!!」
そして桂たちは屋上から小型の飛行船で逃げていく。真選組は銀時たちを見ていて誰も気づいていない。
私は、やはり一度アイツらは訓練し直した方がいいんじゃないかと内心思いつつ、めんどくさい人物が下に到着したのを見て、急いでいつもの廃ビルへと帰ることにした。
長くなっちゃった