着物+革ジャン+ブーツ   作:スネーク

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4話

 周りにはもう天人しかいなかった。刀は折れ、満身創痍だった俺は死を覚悟した。

 

「敵の手にかかるより、最後は武士らしく腹を切ろう」

 

 俺は背中の友にそう声をかけた。しかし彼は立ち上がる。

 

「バカ言ってんじゃねーよ。立て」

 

 そういって刀を構えるその男は言葉を続ける。

 

「美しく最後を飾り付ける暇があるなら、最後まで美しく生きようじゃねーか」

 

---その男、銀色の髪に血を浴び

 

「行くぜヅラ」

「ヅラじゃない桂だ」

 

---戦場を駆る姿はまさしく夜叉

 

 

◇ ◇ ◇

 

 

 過去の戦を語る桂はどことなく誇らしく、対して銀時は苦虫を噛み潰したような顔をしていた。

 

「天人との戦にて鬼神の如き働きをやってのけ、敵はおろか味方からも恐れられた武神……」

 

 桂は再び勧誘の言葉を口にする。

 

「坂田銀時。我らと共に再び天人と戦おうではないか」

 

 そういわれた男を、新八は冷や汗をかきながら見る。

 

「……銀さんアンタ、攘夷戦争に参加してたんですか」

 

 新八の質問に桂が答える。

 

「まあ戦が終わるとともに姿を消したがな」

 

続けて

 

「お前の考えることは昔からよくわからん」

 

 そういった桂は何とも言えない顔をしていた。

 銀時は頭をかき

 

「俺ァ派手な戦は好きだが、テロだのなんだの陰気くせーのは嫌いなの」

 

 そして桂をまっすぐと見つめると

 

「俺達の戦はもう終わったんだよ。それをいつまでもネチネチネチネチと京の女かお前は

「バカか貴様は!京女だけでなく女子はみんなネチネチしている。そういう全てを含めて包み込む度量がないから貴様はモテんのだ」

「バカヤロー、俺が天然パーマじゃなかったらモテモテだぞ多分」

「何でも天然パーマのせいにして自己を保っているのか悲しい男だ」

「悲しくなんかないわ。人はコンプレックスをバネにしてより高みを……」「アンタら何の話をしてんの!!」

 

 このやり取りに思わず吹き出してしまった。笑い出した私をヅラと銀時は見る。

 

「そういえば式よ。お前はどうだ再び剣を取らんか」

「式お前若作りしてんなブフォ!」

 

 余計なことを言うバカに受け取った刀をブン投げ沈める。

 

「うるさい腐れ天パ。ヅラには悪いけどオレは今の生活が気に入ってるんだ。攘夷なんてできないよ」

 

 そう言った私を2人は目を丸くして見てくる。

 

「おい、聞いたか銀時。アイツ頭でも打ったんじゃないか」

「あのじゃじゃ馬姫が何でこんなおとなしくなってんだ」

 

 こんなことをひそひそと話している2人に私は苦笑する。確かにあの頃の私を知っている人が今の私を見たら本人かどうか疑うだろう。

 

「まぁ私もいろいろあったのさ。お前らもそうだろう」

 

 私の言葉にそれぞれ思うことがあったのか2人は黙ってしまう。

 

「そいえば銀時、お前は戦は終わったと言ったがどうやらヅラはそう思っていないっぽいぞ」

 

 再び空気が緊張する。

 桂は口を開き

「そうだ銀時。式の言う通り俺たちの戦はまだ終わってなどいない」

 

 銀時の目を見る桂の目は澄んでいたが、その奥には復讐の炎がちらついている。

 

「貴様の中にも残っていよう……国を憂い共に戦った同氏達(なかまたち)の命を奪っていった幕府と天人に対する怨嗟の念が!」

 

 だんだんと口調が強くなっていく桂に対して銀時の目は冷めている。それに気づかない桂は言葉を続けた。

 

「天人を掃討しこの腐った国を立て直す!我ら生き残った者が死んでいった奴等にしてやれるのはそれぐらいだろう……」

 

 そして桂は鋭い目をして次の標的を口にする。

 

「我らの次なる攘夷の標的はターミナル!天人を召喚するあの忌まわしき塔を破壊し、天人(やつら)を江戸から殲滅する!!」

 

 こう言い放った桂から銀時は見ていられないとばかりに目を逸らす。

 私は次の標的を言った瞬間に乱れた部屋の外の空気に内心舌打ちをする。どうやら外は固められたようだ。気配を簡単に揺らしたことから私たちを追っていたのは隠密ではなく真選組だと確定する。

 外の様子に気付いているのはどうやら私と神楽だけのようだ。流石夜兎族だと感嘆する。普段なら桂と銀時も気づくだろうが桂は熱くなっており、銀時は逆に目の前の男に対し冷めきっている。つまり互いにしか目を向けていないのだ。これでは気づけまい。

 そして桂は暗い笑みを浮かべ、

 

「既に我らに加担したお前に断る道はないぞ。テロリストとして処断されたくなくば俺と来い」

 

 その態度で桂に対して絶対零度の目を向ける銀時。今にもお互いに切りかからんとする2人の空気に新八は心配そうに「銀さん……」と声をかける。

 

 その瞬間私は神楽と目線を交わす。外の空気が変わった。どうやら突入する体制が整ったようだ。

 

「銀時!ヅラ!」「銀ちゃん!」

 

 私たちの声にハッとした顔を浮かべるのは桂だ。流石に戦い続けているだけあって私たちが何を言いたいかが分かったらしい。銀時はその一瞬後に気付いたようだが体制を整える前に扉が蹴破られた。真黒な制服に身を包んだ男達が部屋に入ってくる。真ん中の男が叫ぶ。

 

「御用改めである!!神妙にしろテロリストども!!」

 

 武装警察"真選組"の登場である




神楽ちゃんは本来このぐらいできそうな気がします

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