着物+革ジャン+ブーツ   作:スネーク

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3話

 ヅラの用意した隠れ家『HOTEL IKEDAYA』に到着した。15階の部屋だけあって窓から江戸の町がある程度見渡せる。ヅラは一度着替えに別の部屋に行き、銀時達3人はテレビの報道を見ている。

 

『---に続き、今回卑劣なテロに狙われた戌威星大使館。大使館は半壊し、けが人も多数出ていますが、幸い死者は出ていないとのことですが……えっ、あっ新しい情報が入りました。監視カメラにテロリスト思われる一味が映っていると……あーばっちり移ってますね……っていうかなんで蹴り?』

 

 テレビを見ると私はどうやら蹴りを入れた瞬間のようで足しか映っていないようだ。そんな私とは違い、銀時達3人の顔はばっちり映っている。

 

「あぁ……ばっちり映っちゃってますよ……どーしよ、姉上に殺される」

「テレビ出演。実家に電話しなきゃ」

 

 メガネ君は顔が青くなっていて、チャイナちゃんはなぜか微笑を浮かべていた。こいつ等なんなんだと思ったところで、そういえば自己紹介をしていなかったことを思い出す。

 

「おい、そこのメガネとチャイナ」

 

「はい?」「なんだヨ?」

 

 2人がこちらを振り向く。

 

「そういえば自己紹介をしてなかったな。私は両儀式だ」

 

「ああ、そうでした。僕は志村新八です」

 

「神楽アル」

 

 そう言って2人と握手をしていると、新八が思い出したかのように質問をしてきた。

 

「そういえば、銀さんと知り合いのようですけど……」

 

「ああ、そうだよ。銀時は私たちの戦友だ」

 

「せ、戦友!?」

 

 私の言葉にギョッとする新八は銀時の方向を見る。銀時は気だるげに

 

「んぁ?まぁ……そうだな」

 

 銀時の肯定に動揺する新八。

 

「じゃあこんな僕らをかくまってくれた桂さんは……」

 

「あいつはテロリスト」

「」

 

 ついに新八はぶっ倒れそうになる。するとふすまの向こうから銀時の答えを否定する声がとんできた。

 

「そんな言い方は止せ。」

 

 ふすまが開いて、着替えから戻ったヅラが仲間とともに戻ってきた。

 

「この国を汚す害虫"天人"を打ち払い、もう一度侍の国を立て直す。我々が行うは国を護るがための攘夷だ。卑劣なテロなどと一緒にしてくれるな」

 

 その言葉に反応したのか、再起動した新八は

 

「攘夷志士だって!?」

 

と驚愕していた。どうでもいいのかさっきから部屋の煎餅を食い漁っていた神楽も攘夷志士という初めて聞く言葉に「なんじゃそらヨ」と新八に尋ねる。そして、そこからは私が引き継ぎ

 

「攘夷とは20年前に襲来した天人を排そうとした思想だ。」

 

 話し始めた私に注目が集まる。

 

「高圧的に開国を迫ってきた天人に危機感を感じた侍が、彼らを江戸から追い払おうとして一斉蜂起して戦った」

 

 私の言葉をうなずきながら熱心に聞く神楽に気分がよくなり、私はさらに言葉を続ける。

 

「だが、天人の強大な力を見て弱腰になっていた幕府は国のためにと戦っていた侍達を置き去りに、天人と不平等な条約を締結。幕府の中枢を握った天人たちは侍から刀を奪い無力化したのさ」

 

 説明を終えた私の後に新八が

 

「それでも戦おうとしていた攘夷志士たちは身分にかかわらず大量粛清されたって話だけど……まだ残っていたのか」

 

と呟くと、何かを見つけたのか横になっていた銀時が鋭い目をしながら立ち上がり

 

「どうやら俺達ァ踊らされたらしいな」

 

 そう言うと桂の後ろのゲジゲジ眉毛の男を睨み付ける。新八と神楽も気づき、

 

「ほんとネ!あのゲジゲジ眉デジャヴ!」

「ちょっ……どーゆーことっすかゲジゲジさん!」

 

 2人の非難する目にゲジゲジはうつむく。その態度に軽く舌打ちをした銀時は桂を問いただす。

 

「全部てめーの仕業か……桂。最近世を騒がすテロも、今回のことも」

 

 桂は銀時から視線を外さず、持っていた刀を外し

 

「たとえ汚い手を使おうとも、手に入れたいものがあったのさ」

 

 そう呟き、そばにいた仲間に目配せをする。視線を受けた男は持っていた刀を私に差し出す。そして桂も持っていた刀を銀時に差し出す。

 

「銀時、式よ。この腐った国を立て直すため、再び共に剣を取らんか」

 

 桂は澄んだ瞳で言葉を続ける。

 

「"白夜叉"と"殺人姫"と恐れられた2人の力を再び貸してくれ」

 

 銀時が他人に聞かせたくなかった過去を、私の麗しい過去を土産に仲間に誘ってきた。


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