美柑と黒猫と金色の闇   作:もちもちもっちもち

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気が向いたらやるかもしれない番外編一覧。
要望は感想欄ではなく活動報告やメッセージで送ってね。

1.深刻なトレイン成分不足によって≪幻想虎徹(イマジンブレード)≫が超進化! 
  タイトル:【ヤンホモが異世界から来るそうですよ?】

2.主人公がいなくなった後の≪BLACK CAT≫世界の様子を幾つかの短編でまとめてみた。
  タイトル:【うわっ……主人公不在、ヤバ過ぎ……?】

3.本の虫こと姫っちが偶然手に取ったのは、もう一人の黒猫が歩んだ軌跡だった。
  タイトル:【もし宇宙一の殺し屋の金色の闇が矢吹氏の≪BLACK CAT≫を読んだら】

4.主人公と女剣士の追いかけっこを別視点で描いてみた。
  タイトル:【もうお前ら結婚しろ】


ヘイキ

「このっ」

 

 

 ひょーい。

 

 

「やぁ!」

 

 

 ぴょーん。

 

 

「待て!」

 

 

 てってれー。

 

 

「逃げるな!」

 

 

 すたこらさっさ。

 

 

「私と勝負しろ!」

 

 

 未明の彩南町を縦横無尽に飛び交う二つの影。

 一人はその顔を憤怒に染め上げ、刃へ変身(トランス)させた髪を振り回す赤毛の少女。

 もう一人は辟易とした表情を隠そうともせず、貫かれた羽毛枕に思いを馳せる金目の少年。

 漏れ出た欠伸を噛み殺し、そんな態度が更なる怒りを増長させる。

 

 

「この泥棒猫! ネメちゃんを返せ!」

 

「にゃー」

 

「ふざけるなぁ!」

 

 

 感情の赴くまま、殺到させる無数の剣群。

 ≪赤毛のメア≫の二つ名で名を馳せた、その実力は賞金稼ぎとしても一流。

 本気を出したことなど数える程度、手加減しても名のある宇宙の荒くれ者共を一蹴してきた。

 慢心していたと問われればその通りであり、それを許される実力が、メアにはあったから。 

 だが、それは地球でいうところの井の中の蛙だったのだ。

 

 

「よっ、はっ、そいやっ」

 

 

 本物の強者を、メアは知らない。

 少なくとも、地球に降り立つ以前までは。

 超硬度を誇る装飾銃も使わず、≪桜舞≫のような特別な技術を用いた訳でもないのに。

 メアの攻撃は悉く空を切り、一度だってトレインを捉えることは叶わない。

 圧倒的戦闘経験値から導き出される先読みは、もはや未来予知の領域に達していた。

 

 

「だからさぁ、何度も言ってんだろ」

 

 

 降り立ったのは、夜の彩南高校。

 屋上に着地し睥睨してくるメアに、トレインは道中繰り返してきた説明を口にする。

 

 

「ネメシスが俺の中にいるのは、自分を維持するエネルギーがなくなったからで一時的なもんだ。俺はただの仮宿、分かる?」

 

「だったら今すぐネメちゃんを出せ! ≪変身融合(トランスフュージョン)≫の依代なら私が適任だ! 今までだってそうしてきたんだ! この先もずっとそうなんだ!」

 

「…………」

 

「私は変身(トランス)兵器だ! ネメちゃんだけなんだ! 私を導いてくれたのは! 理解してくれたのは! 一人だった私の居場所になってくれたのは! お前なんかが奪っていいものなんかじゃない! 奪わせてたまるか!」

 

 

 孤独、不安。

 己の半身を失い、どうすればいいのか分からない。

 メアにとって、ネメシスは母親であり、姉であり、友達である、そんな唯一無二の存在。

 今のメアは、独りぼっちで迷子になってしまい泣き喚くただの女の子だった。

 

 

「ネメちゃんを返せ! トレイン=ハートネット!」

 

 

 メアの慟哭に、トレインはゆっくりと目を閉じる。

 意識を集中させ、己が心に呼びかける。

 隙だらけのトレインにメアが仕掛けないのは、彼の行動の意味を理解しているからだ。

 依代である彼は今、内に眠るネメシスとコンタクトを取っていると、そう思っていたのに。

 

 

「おかけになった電話は電波の届かない場所にあるか、電源が入っていないためかかりません」

 

 

 その言葉が、メアの逆鱗に触れる。

 

 

「ふ……ざ、けるなぁああああああああ!!」

 

 

 いつの間にか握られていたのは、長大なバスターライフル。

 相変わらず質量保存の法則など無視して生み出された銃口が光り輝き、直後に発射。

 圧縮されたエネルギーの塊が、一瞬でトレインへと到達。

 耳を劈くような爆音が鳴り響き、発生した粉塵が視界を覆い尽くす。

 

 

「うわああああああああああ!?」

 

 

 続けざまに二発、三発と打ち込んでいく。

 激音が鼓膜を蹂躙し、着弾と同時に伝わる衝撃が屋上を、学校全体を揺らす。

 メアのライフルに弾数などという概念はなく、本人の体力が続く限り連射は可能。

 

 

「はぁ……はぁ……はぁ……っ」

 

 

 即ち、打ち止めはメアの体力の限界を意味していた。

 珠のような汗を額に浮かべ、乾いた口腔に酸素を満たそうと喘ぐ。

 足元が覚束ないのは、≪変身(トランス)≫の使用回数の限界すら突破したからか。

 ライフルを支えに、徐々に晴れていく粉塵の中心点を凝視する。

 

 

「相変わらず、随分と感情豊かな兵器じゃねぇの」

 

 

 二度目だ。

 心が折れる音を聞いたのは。

 

 

「地球人のガキ一人殺せねぇなんて兵器としてどうよ。欠陥品もいいところだぜ」

 

 

 爆心地のような屋上に、トレインは埃すら纏わず無傷で立っていた。

 完全な無手、装飾銃を抜いた様子すらない。

 賞金稼ぎ≪赤毛のメア≫の全力は、≪黒猫(ブラックキャット)≫にとって歯牙にも掛ける必要もないのだ。

 心身ともに限界、いつもなら内から聞こえてくるネメシスからの励ましの言葉もない。

 

 

「…………返して」

 

 

 それでも、メアは決して膝を折ることはしない。

 

 

「……返して……お願い、だから……返して……」

 

 

 折れる心があるのは、ネメシスが与えてくれたから。

 剥き出す感情があるのは、ネメシスが与えてくれたから。

 心が折れても、剥きだす感情が朽ちても、ネメシスと過ごしてきた思い出が、楽しかった日々が、メアを支え続ける。

 一歩、また一歩。

 トレインとの距離を詰め、縋るように必死になって手を伸ばす。

 掛け替えのない大切なものを取り戻すために、メアは足掻き続ける。

 

 

「私から……ネメちゃんを……奪わないでよぉ……っ」

 

 

 伸ばした手が、トレインに触れる。

 だけど、≪精神侵入(サイコダイブ)≫するだけの余力は、今のメアにはなかった。

 そして、限界を超えたメアの体は、ゆっくりと崩れ落ちていく。

 同時に意識を失っていく時、メアはその声を耳にした。

 

 

「……ホント、感情豊かな兵器だな」

 

 

 優しい声音、心地よいぬくもり。

 抱き留められたトレインの腕の中で、メアは静かに気を失った。

 

 

 

 

 

 ◆  ◇  ◆  ◇

 

 

 

 

 

 彼女についての一番古い記憶は、金色の瞳だった。

 

 

「お前、名はなんというんだ」

 

 

 壊滅した研究所。

 壊れた培養カプセル。

 朽ちかけの襤褸切れを纏い、瓦礫の中をあてもなく彷徨っていたメアは、彼女と出会った。

 

 

「……名前って?」

 

「ふむ……なるほど。お前は私と同様、名無しなのだな」

 

 

 顎に手を添え、思考すること暫く。

 高台で屹立する彼女を、メアは何をするでもなく淡々と見上げ続けた。

 

 

「イヴ……いや、奴の名を拝借する訳にもいくまい。となると、識別名か……科学者どもの付けた名で呼ぶのは思うところがあるが、この際致し方があるまい」

 

 

 頷いた後、高台から降り立った彼女は、メアと向き合った。

 

 

「よし、お前は今日からメアと名乗れ。私もネメシスと名乗るからな」

 

「……了解、マスター」

 

「むっ、何故ネメシスと呼ばぬ。せっかく付けたのに」

 

「……別に、どっちでも同じだから」

 

 

 彼女が口にしたように、所詮自分と他を識別するための呼び名だ。

 自分が何者なのかも分からない、この先どうすればいいのかも分からない。 

 だから、彼女を頼ろう。従おう。命令されてば、その通り実行すればいい。 

 そういう存在をマスターと呼ぶのだと、己の中の知識が教えてくれたから。

 

 

「マスターなどという呼び名は味気なくて面白みに欠けるな。ふむ……」

 

 

 再び思案顔になった彼女だが、ふと表情が綻んだ。

 

 

「ネメちゃん」

 

 

 笑顔。

 知識でしか存在しないそれが、今の彼女が浮かべているものだと、自然と理解する。

 転がすように反芻し、納得したのかメアへと向き直った。

 

 

「悪くない……素敵な響きだとは思わないか?」

 

「……素敵?」

 

「これは愛称と言ってな、親しみを込めて呼ぶ特別な名前なんだそうだ」

 

「……どうして、親しみを込めるの?」

 

「なに、さしたる意味はないさ」

 

 

 差し伸べられた掌の意味を、メアは知らない。

 

 

「強いて言うなら、未練だよ。変身(トランス)兵器を愛称で呼ぶ、あいつの真似事がしたかっただけだ」

 

 

 でも、彼女が浮かべている感情なら知っている。

 悲しみ――。

 見ていて、何故か胸が締め付けられたから。

 先程みたいに、笑って欲しくて。

 

 

「……ネメちゃん」

 

 

 ギュッと握った彼女の掌は、温かかった。

 口遊んだ響きは、心地よかった。

 

 

「……やはり、悪くないな」

 

 

 その言葉を残して、彼女の体が闇へと解けていく。

 病的な白さだったメアの肌が闇色に染まっていき、己がうちに異物が入り込むのを認識する。

 空っぽだったメアという器が、彼女によって満たされていく。

 恐怖はなかった、拒絶しようとも思わなかった。

 

 

「……素敵」

 

 

 自分は一人ではない。

 身も心も彼女と一つになれたから。

 だからもう、寂しいとは感じなかった。

 

 

 

 

 

 ◆  ◇  ◆  ◇

 

 

 

 

 

 心地よい振動に、メアの意識はゆっくりと浮上していく。

 埋めていた何かから顔を上げ、何時もより若干高い視線に首を傾げる。

 両足が地面を捉えず、視界は絶えず上下し、胸越しに伝わるぬくもりを離し難かった。

 

 

「重い」

 

 

 目覚め頭にそう宣う、その声に。

 自分の置かれた現状を理解して、拒絶しようと心が抗う。

 だが、自分の意思は無情にも、脱力した肢体を動かすことは敵わない。

 トレインに背負われ、帰路に就くその行動に、メアは抗うことが出来なかった。

 

 

「女抱えて軽いとかほざく奴はアレだね、強がってるだけだね絶対。骨折した腕庇いながらおんぶってなんの罰ゲームだよ。なんで勝者が敗者の面倒見なきゃいけねぇんだよ。お前もそうは思わねぇか、メア?」

 

「……知らない」

 

「お兄さん無賃乗車は許しません。この貸しは近日中に利子つけて請求します」

 

「……ケチンボ」

 

「トイチにすんぞこの野郎」

 

 

 憎まれ口を叩き合い、それでも争いには発展しない。

 既に勝敗は決し、駄々を捏ねても意味はないと、どちらも理解しているのだ。

 

 

「……ネメちゃん、元気してる?」

 

 

 それだけが、ずっと気掛かりだった。

 言葉に不安を乗せ、受け取った声にトレインは鼻を鳴らす。

 

 

「元気過ぎんだよあんにゃろうは。死にぞこないのくせに火事場の馬鹿力で俺の動き阻害するぐらいには元気だったよチクショウめ。おかげで姫っちやミカンから逃げ損なうし、散々だったわ」

 

 

 ざまあみろと内心ほくそ笑んだ。

 気掛かりだった心配事が消え、途端に疲れが押し寄せる。

 ぽふっと顎を預けたのは、意外と柔らかな髪質のトレインの後頭部。

 息を吸う度に香るお日様の匂いは、あれほどあったトレインへの警戒心を削いでいく。

 

 

「……ネメちゃんは、黒猫くんのところの方が居心地がいいのかな」

 

「んだよ、藪から棒に」

 

 

 だから、普段は頑なだったメアの心から、口にもしたくなかった本音が零れ落ちる。

 

 

「ネメちゃんね、よく私に聞かせてくれたんだ。昔、研究所で面白い奴がいたんだって。口じゃあ散々なこと言ってたし、言ってる本人は隠せてるつもりなんだろうけどね。ネメちゃん、楽しそうなんだ。その人のことを話すネメちゃんが一番素敵だと思えるくらい、楽しそうに笑うの」

 

 

 認めたくない。

 メアにとって、ネメシスは一番の存在だから。

 だから、ネメシスにとって、自分が一番ではないことが悔しくてたまらなかったから。

 

 

「黒猫くんなんでしょ。ネメちゃんの大切な人って」

 

「……まるで覚えがないんだけど」

 

「ネメちゃん、思ったことをそのまま言ってるようで、全然素直じゃないから。たぶん、恥ずかしくて話し掛けられなかったんだと思うんだ」

 

「えっ、俺ってストーカーを自分に住まわせてるの?」

 

「……どうしてそうなるのかなぁ」

 

 

 愕然とする鈍感男、その名はトレイン。

 どうしてそう物事を曲解するのか、そんな価値観を育んだトレインの過去を≪精神侵入(サイコダイブ)≫で覗き見たいと思うメアだった。

 

 

「……此処でいいよ」

 

「はっ? まだ涼子ん家までだいぶ――」

 

「此処でいい。体が癒えたら、この星から出ていくよ」

 

 

 諦観の念が、メアを支配する。

 

 

「ネメちゃんの願いが、私の願い。ネメちゃんが黒猫くんと一緒にいたいのなら、その気持ちを尊重するだけ。私はもう、必要ないの」

 

 

 此処にいれば、また同じことを繰り返すだろう。

 醜い嫉妬心に駆られ、トレインからネメシスを奪い返そうとするに違いないから。

 トレインに嫌われるのは、耐えられるけど。

 ネメシスに嫌われてしまったら、メアはきっと耐えられないと思うから。

 

 

「ごめんね、黒猫くん。ネメちゃんのこと、よろしくお願いします」

 

「えっ、普通に嫌だけど」

 

 

 間髪入れず、トレインが示したのは拒否の意。

 思考停止に陥るメアを置いてけぼりに、トレインは自分の意思を主張する。

 

 

「ネメシスにも言ったけど、お前等色々と重いんだよ。一緒にいたいんならいりゃいいじゃん。最初に言ったけど、俺はあくまでも仮宿なの。ネメシスの本当の居場所はメアのところだろうが」

 

 

 当り前のように口にされて、メアは言葉に詰まる。

 

 

「で、でも……私はまた、黒猫くんを襲うかもしれないんだよ」

 

「そしたらまた撃退するだけの話だ。お前の相手くらいなら片手間で十分だからな」

 

「……いっぱいいっぱい、迷惑かけるかもだよ?」

 

「現在進行形で迷惑かけてる奴が偉そうに。つかいい加減降りろ。そんだけ喋れる元気があんなら大丈夫だろ。俺みたいな幼気な少年に何時までもおんぶさせてんじゃねぇ」

 

 

 本当に振り落とそうとするので慌ててしがみ付き、そんなメアにトレインは隠そうともせずに舌打ちを漏らす。

 

 

「……私は、変身(トランス)兵器なんだよ?」

 

「なんだ。まだ兵器ごっこやってんのか」

 

「私は真面目にっ」

 

「お前がどう思おうが知るか。俺の中じゃあ、メアはとっくに兵器失格なんだから」

 

 

 湧いてくるのは、理解不能な未知の感情。

 兵器としての在り方の、メアのこれまでを否定する言葉に、以前のような怒りは湧いてこない。

 メアには、トレインという人間が理解できなかった。

 

 

「だから、今度は人間ごっこでもやってみろよ」

 

 

 だから当然、その提案の意味も理解できるわけもない。

 

 

「……え?」

 

「だから、人間ごっこ。俺の周り限定だけど密かなブームになってんだ」

 

「……面白いの?」

 

「俺が知る訳ねぇだろうが。人間が人間ごっこってなんだよ。新手のイジメ?」

 

「……する意味ってあるの?」

 

「あるよ」

 

 

 帰路に就くトレインの足取りは、最初と変わらず一定のペースを刻む。

 月明かりに照らされた夜半、人の影は完全に皆無。

 人々の寝静まった彩南町にいるのは自分達だけだと、そんな錯覚すら抱いてしまいそうで。 

 

 

「最初はごっこ遊びでも、そのうち遊びじゃなくなる。兵器は人間になれるんだ」

 

 

 どうしてか、不安に駆られてしまって。

 ネメシスの依代ではないメアは、生まれて初めての孤独を味わっていた。

 

 

「……無理だよ」

 

「無理じゃねぇ」

 

「……どうして、そんな風に言い切れるの?」

 

 

 振り返った時、メアが見たのは金色の瞳だった。

 ネメシスと同じ、優しさを宿した素敵な色だった。

 

 

 

 

「知ってるからだよ。メアと同じ変身(トランス)兵器で、人間になった女の子を、俺は知ってるから」

 

 

 

 

 だからだろうか。

 寂しくて、不安で、孤独に耐えきれなくなって。

 今まで肩に置いていた両手を、トレインの首に回す。

 彼の存在をより感じられるよう、二人の間に空いた隙間を埋めるように強く密着する。

 

 

「……なれるのかな」

 

 

 トレインは、あたたかかった。

 

 

変身(トランス)兵器な私でも、人間になれるのかな」

 

 

 温かくて、心地が良くて、酷く安心できて。

 自分は一人ではないんだと、そう思えたから。

 溢れだす涙は、止まってはくれなかった。

 

 

「なれるかどうかはメア次第。だから、此処で頑張ればいい。好きなだけ、此処にいればいい」

 

 

 今ままでずっと、辛く当たってきたくせに。

 女で子供な自分にも、全然容赦しなかったくせに。

 不意打ちなんて卑怯だ。

 トレインの優しさは、反則過ぎた。

 

 

「クロちゃん」

 

 

 必死に隠そうと堪えた嗚咽が零れ、鼻を啜り、声は掠れる。

 それでも、伝えたいことがあった。

 

 

「親しみを込めて呼ぶ特別な名前。今日から黒猫くんは、クロちゃんだよ」

 

 

 好きの反対は、無関心。

 好きと嫌いは、コインの表と裏。

 メアは、トレインが大嫌いだったから。

 

 

「よろしくね、クロちゃん」

 

「おう。よろしくな、メア」

 

 

 大嫌いと大好きは、表裏一体。 

 だからメアは、トレインが大好きになっていた。

 

 

 

 

 




本日はエイプリルフールなり。
前書きで番外編募集をしたな、あれは嘘だ。

悲報)タイトルのキャラ名ネタが尽きた、どないしよう。

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