魔法科高校の比企谷君 再投稿   作:sazanamin

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やはり俺たちは夜、後悔を語る

やはり俺たちは夜、後悔を語る

 

 

 

 や、やべぇ

 マジでどうしよう。

 

 家で明日の準備をしていると思いだしたことがあった。

 俺の前には可愛い模様の入ったメモ用紙が一枚。

 そのメモ用紙にはローマ字の列が書いてあった。

 

 中条先輩の連絡先だ。

 

 「これってあれだよな?俺が連絡しないといけないやつだよな?」

 

 もし無視したらどうなるだろうか?

 ……生徒会役員相手にそれはまずい

 たしか魔法科高校の生徒会はかなりの権力を持っているって聞いたことがある。

 ならばこのメールアドレスに返事を書かなければ面倒なことになるだろう。

 もう返事を書くことが十分面倒なんだが……

 

 っていうかなんて送ればいいんだ。

 普通に比企谷八幡です、よろしくお願いしますでいいのか?

 それとも今日のことを少しでも触れた方がいいのか?

 

 っていうか中条先輩ってどんな人なんだろうか。

 CAD見て凄い興奮してたのしかわからん……

 

 「そうだ、こういう時は小町だ、小町に頼ろう!」

 

 そう思って俺は部屋を出てリビングにいるだろう愛おしの妹のところへ。

 

 「あれ?どうしたの、お兄ちゃん?なんか明日の準備するとか言ってなかった?」

 

 「いやな、先輩から無理やり連絡先押しつけられたんだけどなんて言ってメール送ればいいかわかんなくて」

 

 「何お兄ちゃん!女の人!そうなんだね、なんか口元ニヤケてるし!」

 

 なんでわかんの?この妹は?

 っていうか口元はニヤケてねーだろ。

 

 「あ、今度は目が腐って来た」

 

 それは元々だからほっとけ

 

 「まぁそんなことはどーでもいいんだ。その人は生徒会でな。目をつけられたくねーんだよ」

 

 「連絡先をもらった時点で十分目をつけられてると思うけど……」

 

 あれ?もしかしてすでに手遅れ?

 八幡ゲームオーバー?

 

 「そういう立場の偉い人ってだいたいほめられるの好きだから感謝とか言っておけばいいんじゃない?小町は先生に対してそうやってるよ?」

 

 妹がずいぶんと強かです。

 ……っていうか小町よ、もしかしてお前勉強できないくせに妙に通信表がいいのはそのせいか?

 

 「じゃあ小町は部屋行くね。……頑張ってね~」

 

 最後のニヤケ顔は少しイラついた。

 妹でなければそのあほ毛を引き抜いていたところだ。

 

 「きっとお前が考えているようなことはないぞ……」

 

 聞こえないって分かってはいたが、思わずつぶやいたのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 チロリロリ~ン

 

 「メールだ。誰からだろう?」

 

 知らないメールアドレスから夜メールが来た。

 eitman.--------------------

エイトマンと読むのだろうか?

 開いてみる。

 

 

 From eitman.----------------------

題名 比企谷八幡です。

 

 今日はありがとうございました。

 先輩のおかげで生徒会について少しですが知ることができました。

 本当に感謝しています。

 さらに息詰まるHRの間に丁度いいリラックスにもなりました。

 

 では何かあったらよろしくお願いします

 

 

 

 

 「ず、ずいぶんと丁寧なメールですね……」

 

 相手は今日昼休みにあった比企谷くんでしたか、変な人じゃ無くて安心しました。

 と言うか何故か凄い他人行儀な気がします、私,彼に何かしてしまったのでしょうか?

 そう考え今日の私の行動を振り返ってみる。

 

 「あ、……え?……あれ!?わ、私ったら何やってるんですか――――――!?」

 

 相当やらかしてました……

 初対面の男子に向かって質問攻め、そして魔法師の要と言ってもいいCADを半ば奪うように借りて、最後には初めて会った異性の人に連絡先を無理やり押し付けるなんて……

 どうしよう?彼にはしたない女だって思われていませんよね?

 って、そういえばあの場所には会長もいました!

 ヤバいです。ヤバいです。

 見たことないCADに興奮しすぎて周りが見えていませんでした。

 絶対変な先輩だって思われました!

 会長に限っては私のことをどう見たのでしょうか!?

 急いでメールの新規作成を押し、電話帳で「七草真由美」を探します。

 

 「うぅぅぅーーー、やっぱ無理ですーー!!!!」

 

 しかし恥ずかしくて、結局メールを送ることはできませんでした。

 

 「―――――――――――‼――――――!?――――――!!」

 

 私は生れてから初めて枕を口元に充てて大声を出しました。

 あ、案外これって気持ちが楽になりますね。

 この日、結局寝ることができたのはいつも寝ている時間の2時間後になってしまいました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

私は今日のことを日記に書こうと、机に向かっていた

 なんか思ったより普通の子だったわね。

 ……まぁ、目は腐っていたけど

 魔法の才能があるんだからもっと、うーん、そうねたとえば

 俺は才能があるから襲われたって知ったこっちゃありません!

 的な返しを予想してたんだけどな~

 あれじゃあ普通よね。

 下手したら普通の人よりも自信ないのかもしれないわ。

 

 うん、ナチュラルに私の心を抉ってくる以外は全然只の一般生徒。

 あれだけの才能を持っていながら普通にふるまうってある意味すごいわね

 

 あれは傷ついたなぁ~

 結構考えたんだけど「生徒会長挨拶」

 内容を聞いてないだけじゃなくて、私の顔すら覚えてくれてないなんて……

 

 でも、彼との会話は結構楽しかったのよね。

 

 え!?

 楽しかった?

 自分で言っておきながらちょっと驚いたわ。

 でも、ナチュラルに心抉ってくる彼との会話が楽しいって……

 え?

 ち、違うからね

 私はそんな変な性癖持っていないわよ!

 そ、そんなことより!あーちゃんよ。

 なんなのよあれは?

 私の知ってるあーちゃんはCADが絡むと確かに熱くなるけど、あそこまでキャラが崩壊したのは初めて見たわ。

 明日になったら私はいつも通り彼女と接することができるかしら?

 今からちょっと不安だわ

 

 

 いい加減寝ちゃいましょう

 起きていたらきっと変なことばかり考えてしまうわ。

 

 頭の中で「わたしはMじゃない」ってひたすら唱えていたら、結局寝ることができたのはずいぶん遅くになってしまったのだけど……

 


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