原因はスランプと浮気ですね、はい。正直今後もどうなるか;
今回も今回で、何とか形にできたと言う程度の内容。正直すっ飛ばしてとっとと首都に突っ込ませようかとも思いましたが、途中までは思い浮かんだので書き上げました。
それではどうぞ。
「よぉし、お前らシートベルトは締めたな? 後でポリ公に捕まったら俺がどやされるんだから、面倒がらずにちゃんとしときなさいよ」
「どこのお父さん!? ……というか、あの……本当に大丈夫ですか? できるんですか初見の乗り物の操縦とか」
「あぁん? オメーあんまし人舐めんじゃねーぞ。こう見えてもな、色んな乗り物のレースで賞金掻っ攫ってんだよ俺は。ハンドルありゃあ大丈夫なんだよ乗り物は基本的に。
駄目なら直接回路弄ればいいだけ――――」
「代われぇぇぇぇぇ! 今すぐ代われぇぇぇぇぇぇぇぇ!! というかアンタ、扉の件(※第五話参照)で反省も学習もしてないのか!?」
「過去は振り向かないこと――それが若ささ」
「知るかァァァァァァァァ!!!」
3、4人乗りのスペースしかないとある乗り物の搭乗席。そこでそんな会話を交わすのは、謂わずと知れた外道師弟――――
「オイふざけるな誰がこのクズと同じだ!?」
「オビ=ワンくん、ちょっと深海遊泳と行こうか。お前一人の無期限永続でな」
――改め、外道ジェダイことアッシュと、それに振り回されつつ染まり始めていると各方面(?)から評判の相方オビ=ワンである。
ナブーの先住民族グンガンとの友好的交渉の結果、現地から大きく離れた場所にある首都シードに最速の移動手段として彼らの有する潜水艇ボンゴ、その中でも最高性能を誇るとされる試作機“レッド・コメット”を提供してもらい、それに乗ることとなった。
耐久テストもしていない機体であることに、常識人で良識人(ただし色々と危うくなってきている)であるオビ=ワンは異議を唱えたものの、「従来の三倍速い」という凄まじい性能(理論上で未検証)を気に入ったアッシュの鶴の一言により即行で採択され、現在に至っている。
なお、レッド・コメットの搭乗席にいるのは二人だけではなく――――
「ねえお願い!
「え?」
「えっ」
「…………NO」
――アッシュの被害者であるグンガン、ジャー・ジャー・ヴィンクスもいた。アッシュによって海底生物の餌となって処刑されるという凄惨な名目で。
悲惨な末路を回避すべく、この短い間に築いた友情に訴えるジャー・ジャーだが、そんな彼の懇願に返されたのは、「え、初耳なんだけどそんなの」と言わんばかりに疑問の声を上げるジェダイ二人のマジ顔だった。
そんな二人の反応に表情が絶望一色となった彼を流石に哀れんだのか、アッシュはやれやれと肩を竦めて声を掛ける。
「ったく、落ち着けよジャージャーメン」
「いやあの、ミーはジャー・ジャー……」
「お前らのボスの手前、適当に合わせただけだよ。そんな野蛮人じゃあるまいし、化物に喰わせて処刑とかする訳ないだろ。むしろ化物が可哀想だわ。なあチャンポン」
「いや、だからジャー・ジャー……」
「お前はアレだ――いざという時に使う囮だ。やばくなったら放り出す」
「イヤァァァァァァァァ――――――――!!!」
「るせえ! こんな狭いところで叫ぶんじゃねえ!」
「あべしっ!?」
何度も名前を間違えた挙句、結局ジャー・ジャーを非人道的手段に用いることを口にする外道に絶叫するジャー・ジャーだが、次の瞬間にはアッシュの容赦なしの裏拳で後部座席に沈められた。
そんな相変わらずの師匠代行に、通算何度目か分からない溜息を吐くしかないオビ=ワンだった。
「……もういいです。いいから早く行きましょう、時間もないですし」
「おう、そうだな。
よぉし――アッシュ、行きまぁーす!」
「それ白い方」
ノリノリでどっかの
しかし。
――バキッ!
「…………あの、今変な音しませんでした。具体的には何かが折れたみたいな」
「あん? 空耳だろ」
「いやあの、確かにしましたよね。機械がマズいことになっていそうな音しましたよね?」
「おいおいその歳で幻聴まで聞こえてんのか? お前本当に病院行けよ。精神科に」
「どう考えても逝くのはアンタだろうが!!
と、停めろォォォォ!! 今すぐ停めるぶォッ!?」
どう考えても無視してはいけない音を気にせず発進させようとするアッシュを止めに掛かるオビ=ワンだが、哀れ一歩手遅れ、初速からしてとんでもないレッド・コメットの加速に席へ叩きつけられてしまう。
「おぉー、こりゃあいいな。いい仕事するじゃねえかグンガンも。後で専用に造ってもらうか」
「いいから停めろォ!! 今ならまだ引き返せるから! 普通のに交換してもらえるからぁ!!」
「ったくギャアギャア喧しい奴だな。分かった分かった。じゃあこいつは一旦返して、俺が後で貰う……………………あり?」
「おい待てなんだ「あり?」って。何で停まらないんだ何で段々加速してるんだ何やったんだオイ!?」
何やら足元の装置を何度も踏むアッシュだが、一向にレッド・コメットのスピードが下がる様子はなくむしろ加速、既にグンガ・シティのドックを飛び出してぐんぐん遠ざかっていく。
――最早お分かりだろう。
「――ゴメン、ブレーキ壊しちった★(テヘペロ♪)」
「出してぇぇぇぇぇ!! ここから出せぇぇぇぇぇぇぇぇ――――!!!」
アッシュのその一言で全てを理解したオビ=ワンは、悲痛な絶叫と共にレッド・コメットの泡のような透明の天蓋を必死に叩いて助けを請う。
当然ながら既にグンガ・シティはそうしている内にも遥か彼方であり、もはや助けなど求められないのだが。
「いやあ悪い悪い。俺ってアレだ、乗り物とか操縦すると必ず何かぶっ壊れるんだよなあ。いや動かすことは問題ないんだけどな」
「問題しかねえだろォォォォォ!! 何でそれを先に言わなかった!? 何でそんななのに操縦しようとした!?」
「おっ、緊急用の加速装置とかもあるぞ。ん? 海底生物対策の攻防一体型ドリル式プラズマシールド? ヤベェ、俺この開発者といい酒飲めるわ。
よぅし、とりあえずあそこにいるでっかい魚に突っ込もうぜ」
「ぃ嫌だァァァァァ!! こんなクズと一緒に死にたくないィィィィィィィィ!!! ぼ、僕にはまだやるべきことが残っているんだァァァァァ!! 必ず帰ってクワイ=ガンの看病をするんだァァァァァァァァ!!!」
「みんなのトラウマでしたね」
「うるせえよッッッッッ!!!!」
不思議の海なトラウマ台詞をネタではなく本気で叫ぶ辺り、オビ=ワンの必死度がよく分かる。
そんなオビ=ワン相手に憎たらしいまでに平然とボケるアッシュは、どこまでも平常運転だったが。
そうした一部始終を、気絶したまま何やら能天気に楽しそうな夢を見ているが故に知りようもないジャー・ジャーこそが、一番幸せなのかも知れない。
――以上、ナブーの海底が恐怖のどん底に叩き落される、その数分前のやり取りである。
CHAPTER 09 「銀河最狂伝説イニシャル
その日、ナブーの深海に生息する生物達はかつてない恐怖を味わうこととなった。
最初は何気ない日だと誰も(?)が思い、いつも通りの弱肉強食の食物連鎖を織り成していたのだが――そこに、突然『それ』は現れた。
生物達でもそれなりの歳月を生きている種は、それが自分達と同じようにこの水の領域で暮らす
それ自体は別に何の問題もなかった。強いて言うなら、普通は彼らが自分達の棲息海域に入ることは滅多にないという点だが、まあ別にどうでもよかった。喰らいつき、食い破り、腹に納めてしまえばただの餌でしかないなのだから。
――そう。問題はそこではなかった。
問題だったのは――――
※ここからは動物語翻訳でお読みください。
「おい、あの赤いのまた来るぞ!? 逃げろォ!!」
「何なんだよあれぇ! どういう仕組みで動いてんだ一体!!)」
「いいからとっとと逃げろってあぁっ、三匹轢かれたァァァァ!!)」
「誰かあれを止めてくれぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!」
――その乗り物が、彼らが知る限りのモノとは比べられない程の速度を出して、深海を、そこに棲む生物達を蹂躙していたからだった。
ナブーでもよく知られた大型の海底生物――オピー・シー・キラーやサンド・アクア・モンスター、コロ・クロー・フィッシュといった脅威の生物達も、今や恐怖で逃げ惑うしかない。
「ぎゃああああああ!! こっち来たァァァァ!!」
「誰か、誰か助けてェ! 殺されるゥゥゥゥゥゥゥゥゥ!!!」
グロテスクな外見の巨大深海魚が、大蛇の如き生物が、竜のような怪物が、尽くその乗り物に追い立てられていく。誰も彼もが相手と己の体格差など失念し、その凄まじい速度と機動性に恐れ慄き、逃げ惑うしかなかった。
「ん……!? おい、あれ見ろ! あ、あれは……!」
そうしていると、何か一際大きな海底のトンネルから、なんか無駄にカッコいいドラゴンっぽい巨大生物が、如何にも大物らしいのっそりとした挙動で出てきた。
その巨体を目にした比較的軽傷な生物達は、驚愕に目を見開き、直後に安堵で胸を撫で下ろす(?)。
「リ、リヴァイアさんだ! ナブーのヌシ、リヴァイアさんがお出ましになったぞ!?」
「や、やった……これであの赤い奴も終わりだ!」
この生物、所謂このナブーの深海のヌシであり、仲間内からは他の生物とは一線を隔する長寿や強さ故に畏れられている。
ちなみに名前は、畏敬を込めてリヴァイア『さん』。決して某召喚獣ではない。暦とした生物である。津波とかも……起こせない訳ではないが、魔法とかは使えない。
長寿である故か、普段は自身の棲処である洞窟に篭って寝ており、腹を空かすとその時に出てきては大量の捕食をしてまた眠りに就くという――まあぶっちゃけた話、食っちゃ寝生活を続けているのだが……。
「グォォォォォォォォォ――――――――!!!!」
「うおお、すげぇ! リヴァイアさんが吼えるところ、初めて見た!」
「リヴァイアさん、俺達を助けるために……! 流石はナブーのヌシだぁ!」
「これで……! これで、俺達もまた平和に……!」
咆哮するリヴァイアさんの威容に、その姿を見た生物達が感動と感激を露にする。
彼らの言う通り、この星の海を統べるヌシとして、矮小な機械の乗り物風情が己の領域を蹂躙すること、そして同胞達が虐げられる姿を見ることに耐えられず、遂に重い腰を上げ――――
「グゥ、グォォ……グゴゴォォォォ…………(ZZZ……グヘヘ……おぉい、待っておくれお嬢さぁん。ワシ、嫁にポックリ先立たれてもう千年以上ご無沙汰なんじゃよぉ……ZZZ……ようやくお前さんみたいなめんこい娘と巡り逢えたんじゃ……その、ピッチピチな尾鰭で、ワシの……ゲヘヘヘェ……ムニャムニャ……)」
――訂正、ただ寝惚けて巣から迷い出ただけらしい。しかも見ている夢の内容がかなりアレである。
寝言もいい歳こいて若い娘に現を抜かす色ボケジジイのそれであり、周りに聞かれなかったのがせめてもの幸いだろう。
そんなリヴァイアさんの独り身な老後生活(どうでもいい)を聞きつけた訳ではないのだろうが、赤いボンゴはリヴァイアさんの方へと、相も変わらない猛スピードで突っ込んで行った。
そして――――
「グゴォ………グォォン…………(ムニャムニャ……んん?……おぉ、食べさせてくれるのかい? アーン…………)」
――パクリ、と、変わらず若い雌の尻を追い駆ける夢でアーンする夢でも見たのか、大きく口を開けたリヴァイアさんに捕食された。
その光景を見た生物達が一斉に喝采を上げる。
「ぃよっしゃァァァァァ!!! ザマアみろォォォォォォォォ!!!」
「勝った! 俺達勝ったんだ! 生き残ったんだァ!!」
「どうだ赤い悪魔め! リヴァイアさんに掛かればお前なんか一発なんだよォ!!」
自分達を恐怖に陥れた赤い悪魔の呆気ない最期に、しかし誰もが涙を流して素直に喜びを露にした。
本来なら喰い喰われる関係にあるはずの生物達が抱きついて小躍りする様相は、ナブーの住人が目にしたら、天変地異の前触れかと恐怖していたことだろう。
――だがしかし。
「グォ……?(ンムニャ……ん……?)」
「――え?」
「――お?」
「――ん?」
――そんな純朴な彼らには、この言葉を送るべきだろう。
「グ……」
――「上げて落とす」は
「グゴォアアアアァァァァァァァァァァァ――――――――!?!?!?!?(
『えぇ――――――――!?!?!?』
突然の咆哮と共に、リヴァイアさんは長大な体を捩じらせながら苦痛を訴えた。その急展開に、様子を見ていた海底生物達が驚愕の声を上げる。
「え、ちょっ、何どうしたの!? 何であんなに痛がってんのリヴァイアさん!?」
「何かやたらに身体を捩じらせてるんだけど……え、嘘、まさか……!?」
「……ま、まさかあの赤い悪魔……!?」
取り巻きの中の三匹が、そんなリヴァイアさんの様子を見てある可能性を思いつく。
まさかまさかと思いながらも、悶え苦しむリヴァイアさんの様子を見て、しかし確信を抱かずにはいられなかった。
『あいつ、リヴァイアさんの身体の中を駆け回ってるのかァァァァァ!?!?!?』
それでもそんな事実が信じられず、叫びは疑問調である。しかし、それこそが事実であり真実だった。
――隠すまでもないだろう。この赤い悪魔こそ、外道バカ・アッシュがブレーキを壊したことにより、文字通りのノンストップ状態に陥りモンスターマシンと化したレッド・コメットである。
減速機能を失った潜水艇が巨大生物蠢く海中を爆走するなど、本来は自殺行為以外の何物でもない――はずなのだが、最悪な組み合わせがナブーの海底生物達に悲劇をもたらしていた。
一つにはレッド・コメットの性能と機能。「従来の三倍の速度」という文句に偽りはなく、
しかもこのレッド・コメット、一体製作者の脳味噌がどうなっているのか(ナス曰く「時折遊びに来る友達が設計した」とのことである)機体前面にプラズマシールドを展開、しかもそれを単なる防御機構ではなく削岩機――つまりはドリル状に展開して「襲ってくる生物に逆に突進して貫きぶっ殺す」というイカレた発想の武装機構を取り入れている。
おかげで「餌だ!」と思って襲い掛かった海底生物達は、哀れというか自業自得というか、尽く腹に穴を空けご臨終する羽目となった。そのあまりな凄惨さに、さしもの他の生物も同胞の死骸に喰らいつけずにいた程である。
二つ目には、言うまでもなく操縦者が
オビ=ワンに言った「乗り物の操縦は得意(ただし何かが壊れる)」という話は本当であるらしい。ちなみにフォースの類は一切使わずである。
そんなアッシュの駆るレッド・コメットは、海底生物達の推測通りリヴァイアさんに飲み込まれはしたものの、アッシュの操縦とその巨体が災いし、機体が傷つくことはなかった。
これがただの餌だったなら、そのまま胃袋に収めてしまえばいいだけなのだが、今回飲み込んだのは如何せんシールド付きの機械。しかも――――
「グガガガガガガガガァァァァァァァァァ!!!(痛い痛い痛い痛い!! お腹、お腹が焼けるゥゥゥゥゥ!?)」
攻防一体のドリルシールドで容赦なく内臓器官を焼き貫いていく。
リヴァイアさんの場合その巨体に比例して肉体も頑強であり、レッド・コメットが突貫して作った傷なら致命傷にはならないのだが、だからといって痛くない訳ではない。むしろ凄く痛い。
流石にわざとではない(……はず)のだろうが、適当に皮膚を貫いて外に出る訳でなく、長大な身体を伝うように体内を突き進むのだから、リヴァイアさんにしてみれば串刺し状態にされているも同然だった。
そして、実際の時間としては決して長くない間――しかし当事者たるリヴァイアさんにしてみれば永遠にも等しい苦痛の末――――
「グボァッ!?(おほぅっ!?)」
スポン、という音でもしそうな感じで、リヴァイアさんの臀部から赤い影がプラズマの光と共に飛び出し、そのまま海の彼方へと消えていった。
ぶっちゃけ、レッド・コメットが肛門を突き破って脱出したのである。
「……………………」
「……………………」
「……………………」
「――――、――――――――」
当然、赤い悪魔を追うなどという命知らずはおらず――その場にいる生物達は、痛みと苦しみと快感(!)によって気を失い、海底でピクピクと痙攣している哀れなヌシを見守るしかなかった。
まさかのナブー最強生物の敗北。この瞬間を以て、ナブーの生態系には、知的生命体ではなく彼ら海底生物達によって、新たなカテゴリーが生まれた。
そこに属するのはただ一つ――プラズマ光を纏って海を縦横無尽に駆け抜け、全てを蹂躙する赤い悪魔のみ。
唯一の幸いはその後、二度と赤い悪魔が現れなかったということ。
ただしこの体験をした世代の海底生物達は、死ぬまでその影に怯えることとなった。
なお、哀れなリヴァイアさんはその生命力により程なく回復した――が、どういう訳かそれ以降、雌を追いかける夢は見なくなったとか。
加えての余談だが、リヴァイアさんの巣を横切る際、そこから「ウホッ」とか「ZZZ……やらないか……」という寝言を聞くようになったとも。
少なくとも、それを聞いた雄の海底生物がリヴァイアさんに二度と近づかなくなったのは確かだった。
† † †
――そんな、哀れな海底生物達に惨状をもたらした張本人はというと。
「いやー、なんかあのデカブツが出てきた時は流石にビビッたわー。
ったく、あんなのがいるんなら言えよなグンガンども。後で文句言ってこいつの完成品かっぱらったる」
「……生きてる……ハハ、生きてるぞ……ハハ、ハハハ! どうだチクショウが! 生き残ってやったぞ!! ハハッ、生きているんだ!!
あぁっ、生きているって素晴らしい!! この世の全てに感謝を! フォースばんざぁい!!」
「いや別にフォース関係なくね? あとちょっと離れててくれ怖いから」
相変わらず外道な発言をしているが、その隣で一歩間違えればあの世直行な海底爆走クルーズを乗り越えたという達成感と、生き残れたことへの感激から変なテンションになっているオビ=ワンには流石にドン引きしていた。まあ、原因は自分なのだが。
「後はこのまま直行すればいいみたいだな……あー、久しぶりに乗り回したら肩凝ったわ。着くまでオートパイロットにしとこ」
「そうしてくださいというか二度とハンドル握るな」
「んだよあの程度でギャアギャア喚くなってーの。お前ね、パダワン卒業したらあんなん普通よ? バリバリやらされんのよ? という訳で、この任務が終わったらもう十周な」
「ふざけんな」
レッド・コメットに搭載されたナビゲーションで現在地と目的地の距離を把握したアッシュはそう呟くとオートパイロットを起動させ、肩を解しながらシートに深く身を委ねた。
オビ=ワンはというと、レッド・コメットがとりあえずは
なお――――
「う、うぅん……あれ、ミーいつの間に寝て――――」
『フンッ!』
「アヴェッ!?」
ちょうど目を覚ましたジャー・ジャーだが、ジェダイ師弟による裏拳コンビーネションアタックを顔面に諸に食らい、鼻血を流しながら再び夢の世界へ旅立つこととなった。
ちなみに、アッシュはジャー・ジャーが目を覚ますと喧しいからまた
それで溜飲が少しは下がったのか、顔を顰めつつもアッシュに今後のことを尋ねた。
「それで、シードに着いたとしてどうします? 恐らく首都は既に占領されているはずですよ」
「乗り込んで親玉ぶっ血KILL」
「却下。まあ、最優先はやはり女王の身柄確保ですね。敵に捕らわれる前に合流できるのが最善でしょうが、望みは薄。となると何とか救出しないと」
「じゃあお前は救出、俺はカチコミ皆殺し、OK?」
「NOで。というか何でそう頑なに殺したがるんですか。普段は面倒臭がって押しつけるくせに」
淡々とした口調で、いつも通りなようで何やら妙に発言が一際物騒なアッシュに、流石に違和感を覚えてオビ=ワンが尋ねる。
すると、アッシュは急に沈黙、しかし直後にはブルブルと身体を震わせ始めた。
そのただならぬ様子に目を見開き、オビ=ワンは限定された空間にいることも忘れて思わず身を引いてしまう。
何だろうか、彼のこのただならぬ雰囲気は。明らかに今までとは違う。
もしかして、彼と通商連合の間には何か遺恨でもあったのだろうか? しかしそれなら、通商連合の船に乗り込んだ時にそれらしい反応を見せたはず……いやまあ、アレはアレでアレではあったのだが(※第四話並びに第五話参照)。
このままでは彼が本当に人質とか関係なく敵陣に突っ込んでしまいそうなので、その辺りを確かめようとした、のだが…………
「……ク、ククク…………」
(あれ、なんかヤバい?)
「聞く? それ聞いちゃう? 聞いちゃうの?」
「い、いえあの、言いたくなかったら別に――――」
「俺もさあ、ついさっき気づいたんだよ……」
そう言うと懐に右手を突っ込み何かを取り出そうとするアッシュ。その様子は尋常ではなく、こうなんというか、真っ黒いオーラを纏っているように見える。見たことはないが、暗黒面などチャチにしか思えないドス黒さだ。
思えば本当のマスターであるクワイ=ガンによって引き合わされてから数年の付き合い。そんなオビ=ワンをして初めて目にする彼のそんな姿に、思わず固唾を飲んで、取り出されたものを目にした。
それは――――
「……………………あの、これは」
――水に浸かったためか、フヨフヨのグシャグシャのボロボロと化した雑誌だった。
辛うじてかつての面影を残す表紙の内容からして、彼ご愛読のエロ雑誌(義妹系)らしい。
「……あいつらのせいだ。あいつらがこんな面倒やらかしたからこんな星にまで来てダイビングなんかしなきゃならなくなったんだだからあいつらが悪い俺じゃない俺は片時も愛しのマイシスター(義理)を手放さなかっただけだ俺は悪くないだから俺があいつらを全員ぶっ殺すことになんの問題もないはずだ」
「いやあるから。それただのアンタの不注意。仕事中にそんなモノ持ち込んだアンタが原因」
「殺す殺す殺す殺す全員皆殺しだ俺のMIOを汚しやがってふざけんなよチクショウがどうしてくれんだよ特典の握手券がパアじゃねえかマジで殺す絶対殺す地獄に落とす全員ケツの穴に管突っ込んで並べて魚の釣り餌にしてやるフハハハハハ……」
「……もういいや」
ブツブツと殺意100%の独り言を呟くアッシュを、手に負えないと判断したオビ=ワンは諦めて相方を放置、遠い目になりながら自らもシートに身を委ねて現実逃避へと走った。
どうするのか? 知らん。こっちはこっちで振り回されっ放しなんだから、少しくらい休んでも罰なんて当たらないはずだ――そんな自己弁護の後、ほんの僅かな気休めとして、オビ=ワンは目を瞑り、意識の闇に身を委ねた。
(……あれ、何か忘れているような)
なお、レッド・コメットは現在進行形で爆走中である。
――それと同じ頃。
「うぉぅ!? な、何だ今の悪寒は!? 急に肛門の辺りがキュッとなって……」
「
「えぇい、貴様は何度気絶する気だハーコ! ここからが正念場なのだぞ!」
無事に首都シードに降り立ったガンレイとハーコは、刻一刻と迫る
アッシュ達が首都に猛スピードで突っ込むまで、あと――――
■自己啓発こーなー。
▼一ヶ月ぶりの更新!
ごめんなさい(ペコリ
▼宇宙刑事
いるかもね(適当 振り向かないことさ!(反省しろ
▼レッド・コメット
文字通り(シレッ 安直過ぎましたOTL ツノもありますぜ?
▼海底の悲劇
面倒だったんでリヴァイアさん以外は翻訳しました。
▼リヴァイアさん
某召喚中ではない。もちろん原作にはいない、なんか水中ドラゴンっぽい生物。実はナブーで伝説の生き物扱いされていたり。そういえばネッシーってどうなったんだろ
▼義妹好き主人公怒る
ドン引きである。そらヒロインもおらんわ(鼻ホジホジ
▼ファントム・メナス
うん、ごめんなさい(土下座
という訳で一ヶ月ぶりの更新となりました。「それでこんなんかい」と自分でも思いますが、次話のと間の話ということで。次はいよいよシードに突入します(意味深
はたして次はもっと早く更新できるのか……どうぞ皆様、暖かく御見守りくださいませ。
それではまた次回で。