破天荒騎士銀河道中物語   作:放浪人

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 まずはこの作品を読んでいただいている読者の皆様にお詫びを。前回の投稿から早二週間、本当に言い訳のしようもありません;
 加えて内容も今一つという感じですね;それでも何とか書き上げたので投稿をば;

 今後もこうしたペースになるかも知れませんが、どうぞゆっくりな更新と諦めて(!?)お待ちになってくやってくださいませ。

 それではどうぞ。


水と緑の星にバカの軌跡を

CHAPTER 08 「水と緑の星にバカの軌跡を」

 

 

 今更ではあるが、物語の舞台となる惑星ナブーについて少々語りたい。

 

 ナブーは、銀河共和国首都惑星コルサントを始めとした主要惑星の存在する宙域地帯コア・ワールドの外縁部にあるアウター・リム・テリトリー――早い話が未開拓惑星の多い宙域で、コア・ワールドに住まう者達からすれば所謂『田舎』――にある有人惑星だ。

 同じアウター・リムにある、例えば砂漠の惑星タトゥイーンなどとは違い、惑星グリズモルトから訪れた宇宙探険家クウィランが発見した時点で、星は既に水と緑が溢れ、人がすぐにでも居住可能な牧歌的環境を成していた。その為、グリズモルトの人々が新天地を求めてこの星を訪れ、我が物顔で星の開拓を始めたのは自然の流れであった。

 これが約3000年前のことである。

 

 ナブーには原住民族が存在した。グンガンと呼ばれる両生類型種族の彼らは、種族的な陽気さを生れ持ち、それと同時に人間に決して劣らない知性を備えている。それこそ、遥か宇宙(そら)の向こうにある異星からやって来た入植者達(侵略者達)を退けられる技術を生み出していた程には。

 結局、グンガンを自分達と同等の知的生命体と認識した入植者達の交渉により、グンガンは自らの主要テリトリーが水中であったこともあり彼らの地上への入植を受け入れ、ナブーにはヒューマンとグンガンという二つの種族が共存するようになった。

 

 しかし入植に際した対立が未だに禍根を残しているのか、それとも共存の歩みの中で確執が生じたのか、これまでの共存体制は決して友好なものではなかったらしい。

 ナブー人とグンガンは入植以来、3000年もの時を経た今も尚、決定的相対にこそ到ってはいないものの、同時に良好でもない状態にある。

 

 

 ――早い話が、「今までイキがってすんまんせんした、助けてつかぁあさい」と泣きつかれでもしない限り、相手に救いの手を差し伸べたりはしないということ。

 

 

 

                  †   †   †

 

 

 

 アッシュへの怒りのあまり外道面に覚醒しかけたオビ=ワンの説得?により、ナブーの原住民族グンガンの都グンガ・シティへと二人を案内することにしたジャー・ジャー。

 そんな彼が一目散に走って二人を先ず連れてきたのは、森の中にある広い湖だった。その辺りにはまだドロイドの侵攻した形跡は見られず、その為か森は若干の霧に覆われてある程度の静けさを保っている。

 

 

「注意しておくけど……グンガン、みんな余所者好きじゃないから、歓迎は期待しないでチョ」

「なにチョって。イラッとくるんだけど」

「やめてください、苦労して繋いだ糸口なんですから。

 ああ、大丈夫。そういうのには慣れているよ。ここから水の中を泳ぐのか」

「イエース!それじゃミーについて来て!オッケー?」

 

 

 手足を振って準備運動をしながら湖に近づくジャー・ジャーが振り返って二人に問い、それに対してオビ=ワンは口に携帯用の酸素ボンベを加え、アッシュは「いいからはよ行け」という感じでいつも通りである。

 その様子を準備良しと捉え、ジャー・ジャーは「アッチャッチャ~オ」という意味不明な掛け声と共に湖に飛び込んだ。流石に両生類だけあって通常の人間とは体の仕組みが異なるらしく、ただジャンプしただけで空中一回転を決めながらの入水だった。

 

 

「なにあれ。アピールなの?自分泳ぎは得意なんですっていうアピールなの?」

「何でもいいじゃないですか、今はシードに向かうのが先決です。ほら、行きますよ」

「へいへい」

 

 

 流石に先程までのオビ=ワンの様子に危ういものを感じて自重しているのか、それとも単にボケるのに疲れたのか、弟子(仮)の適当なあしらいにも特に反応せず、さっさと潜水する彼の後ろにアッシュも続いた。

 

 

                  †   †   †

 

 

 

 ――通商連合のドロイド軍によるナブー侵攻が始まり、そしてそれを止めるべく二人のジェダイが行動を始める前後。

 渦中のナブー首都・河川都市シードにある王宮でも、ナブー王室始まって以来の未曾有に彼らなりのリアクションを起こしていた。

 

 

「……では、やはり特使は派遣されているのですね?」

《はい、陛下。担当者の変更こそありましたがヴァローラム議長とマスター・ヨーダの任命の下、二人のジェダイが派遣されています。選定したパイロットの腕を考えても事故に遭ったという可能性は低いかと》

「ではやはり、通商連合が彼らを?」

 

 

 王宮の会議室にて交わされる会話。遥か遠いコルサントにいる共和国元老院議員パルパティーンと、女王アミダラ、そして彼女を補佐するナブーの政府機関であるナブー王室諮問評議会の面々が、惑星間通信を介してこの緊急事態に対する会議を行っていた。

 先程は思わぬ展開により通商連合に不覚(?)を取ってしまったアミダラだが、今では不断の威厳と毅然さを取り戻している。……目元が若干赤いとかは気にしてはいけない。

 

 

「――しかし派遣されたのはジェダイの騎士。いかに連合といえどそう簡単に彼らをどうこうはできますまい」

「しかし奴らの規模を考えれば、最悪の事態も――――」

「……パルパティーン議員。貴方はどうお考えですか?」

《左様ですな……考えたくはありませんが、最悪の状況は想定するべきかと。ジェダイの戦闘力は私もよく知っておりますが、彼らも全能ではありません故》

「ふむ……そう言えば『担当者の変更があった』と仰いましたが何故に?何か不都合でもありましたので?」

 

 

 会議が進む中、評議会メンバーの一人であるシードの知事シオ・ビブルがその話題を挟む。緊急を要する事態ではあったが会議の内容自体が悪い方向に流れ始めた為、その梃入れとして話題を振ったのだ。

 

 ……振ったのだが。

 

 

《………………》

「……? パルパティーン議員?」

《――ハッ!? あ、ああ、いえ。失礼しました。えぇと、ああ、そう。人事変更の件でしたね》

「左様ですな。あるいはその時点で通商連合の妨害があったのではと思いましてな」

 

 

 パルパティーンの予想外な反応に女王を始めとする面々が首を傾げるが、動揺した様子を見せつつもパルパティーンは上手く取り繕い、言葉を紡ぐ。

 

 

《あぁいえ、それはないでしょう。というのも、今回派遣される予定だったジェダイ・マスターはクワイ=ガン・ジンという御仁だったのですが、その方がこの一件以前に負っていた任務で負傷をしてましてね。

 それで急遽、マスター・ヨーダ直々の推薦で当時同じ任務に着いていたもう一人のジェダイ・マスターが、マスター・クワイ=ガンのパダ=ワンと共にこの任に当たることになったのですよ》

「ほう、かのマスター・ヨーダ直々とは。それならばさぞかし腕の立つ御仁なのでしょう。それはどういったお方なので?」

《………………………………》

 

 

 ビブルが続きを促すが、当のパルパティーンはというと固まっている。ついでに顔色がホログラム越しでも悪いのがよく変わる。おまけに青いホログラムなので、彼の顔が青褪めているようにしか見えず余計にそれを増長させている。

 

 

「あの、議員?」

《――ハッ!? こ、これは失礼を、陛下》

「……あの、大丈夫ですか?顔色がよろしくないようですが」

《も、申し訳ありません。いや、お恥ずかしい。流石にワタクシも生れ故郷の危機なれば、どうやら自分で思っていた以上に動揺していたようです。これでは議員失格ですな。ははは》

「そのようなこと……議員にはこれまでもその手腕で幾度と無く助けてもらってきました。貴方ほど頼れる方を私は知りません」

《そのような……いえ、光栄です。女王陛下》

 

 

 ナブー出身の元老院議員と現ナブー女王。似て非なる立場にある彼・彼女だが、ナブーの危機という状況下では同じ故郷を持つということが二人に信頼を生んでいた。

 そんな二人の様子に、不安な現状と最悪の未来に慄いていた評議会の面々も気を紛らせ穏やかなさと若干の余裕を取り戻す。

 

 

「――で」

《……え?》

「いえ、その派遣されたジェダイという方のことを」

《……ああ……はい……》

「?」

 

 

 アミダラとしては今後の事態打開に関係するかも知れない人物のことは知っておきたいし、自分から言い出した訳ではないにせよ話の途中で中途半端に終わるのは後味が悪かったので続きを促したのだが、当のパルパティーンはというと「え、聞くの?」という風である。もっとも、流石は現役の政治家だけありすぐに表情を整えていたが。

 

 

《彼は……アシュヴェル・クロームレイン。若くしてジェダイ・マスターとして認められたという逸材です。今代最強と謳われるマスター・ウィンドゥの弟子で、尚且つ厳格な彼から僅かな期間でジェダイとして一人立ちを認められたとか。

 ジェダイの中でも最も多く実戦や紛争調停に赴いており、戦闘能力ではあるいは、師であるマスター・ウィンドゥと同格とも言われております》

「ほう!それなら、通商連合からも逃げ遂せているかも知れませんな」

《え、ええ、まあ……確実とは言えませんが……》

 

 

 思っていた以上の高評価にビブルを始めとする面々が喜色を浮かべる。しかしそれに反比例して、言葉を紡いでいるパルパティーンは益々顔色が悪くなっている。

 そんな彼の様子にアミダラが何故か、少し前に彼女の言葉で傷つけてしまったらしいあの通商連合の総督補佐官の姿を思い浮かべてしまったのだが、彼女にもその理由は分からなかった。

 

 

《ただ……その、なんと言いましょうかな。彼は色々と型破りというか……破天荒な人物でして。

 もしかしたら陛下に何か無礼な言動をするかも知れませんが、その時は何卒ご容赦の程を》

「……無礼、とは?」

 

 

 そんなパルパティーンの補足を聞き逃せなかったのは、王室警備隊隊の長として女王の身辺警護を行う褐色の男性クァーシュ・パナカだった。

 女王を守り、また彼女と王室に忠誠を誓う実直剛健な彼にとって、その情報を聞き逃せるものではなかった。

 

 

《ああ、いや……それは……》

「この星の危機を救っていただけることには感謝しますが、だからと言って陛下への無礼を認める訳にはいきません。

 よろしければどう言ったものかお聞かせ願えませんか?」

 

 

 何やら話の方向性が変なところへ向いている――というか国の一大事に何呑気なことくっちゃべってんだ、と思わずにはいられないが、強面のパナカが凄みまで見せているので、下手な口出しがし難い。

 何より、女王も件のジェダイに興味が湧いたらしい。女王と言えどまだ子供であり、その証拠に目には好奇心の光が宿っていた。

 

 

《ま、まあ……簡略に申し上げるなら……そうですな……よく言えば規律や常識に囚われない、悪く言えば礼節の類に無頓着というか、傍弱無人といいますか……》

「ほう?規律に険しいはずのジェダイにそのような御仁が?」

 

 

 ジェダイの騎士は戒律を重視する。それは彼らが『騎士』を標榜していることもあるが、何より《フォース》という超常の力を振るう彼らには、常に己を保つ鋼の精神が要求されるからであり、戒律を厳守することはそんな精神の形成にも関わるからだ。

 

 しかし勿論……あのアッシュ(外道)にそんな殊勝なものがある筈も無く、今も昔もそして恐らくこれからも、好き勝手にやっていくことだろう。

 

 

《え、ええ……そうですね……例えば…………》

 

 

 集められた視線には抗えず、遂にパルパティーンが口を開こうとした――いや、開きはしたのだが。

 

 

《…………あ、あれー。なんか、通信が上手くいかないなー》

「……?パルパティーン議員?」

《へ、陛下ー?聞こえてますかぁ~?あれー、おかしいぞー。聞こえないー。なぁんにも聞こえないなー》

『……………………』

 

 

 ……なんだこれ。

 それがパルパティーンの姿を見ながら思った、評議会メンバーの気持ちだった。

 

 なんだろうか、この茶番。まさかこの議員、通信が乱れているフリしてるのか?してるつもりなのか?こんな茶番じみた演技で?

 誰一人、パルパティーンのクソ下手な演技を信じている人間など信じる者などいない――と、思っていたのだが。

 

 

「どうしました、パルパティーン議員!」

《く、くそー。さては、通商連合が通信施設を破壊したのかー!? 何も聞こえないぞー!》

「くっ……通商連合、もうそこまで……!」

『えっ!?』

 

 

 その時、女王以外の全員に電流走る。まさか本当に気づいていないのだろうか、この女王。

 衝撃の事実に彼女と、相変わらず下手糞な演技を続けているアホ議員以外の面々は驚愕に固まった。

 

 

(……天然の気がおありだとは思っていたが、まさかこんな……)

(えー……ないわー)

(やはり私がしっかりせねば……!)

 

 

 各々がそう思うのも、無理からぬことだろう。誰がこんな、サルにも悖る芝居に、それも国を率いるべき為政者が騙されると言うのか。

 純真な女王の善性は理解しつつ、あまりにもなその天然ぶりに誰しもが絶句せずにはいられない。

 

 

《き、聞こえないー。全然何一つ聞こえないぞー…………おい早く通信切れよ何やってんだあいつr――――》

 

 

 そんな中、通信異常により一方的にしか聞こえていない……ということにしているパルパティーンが、遂にキレて何かを口走ったが、そこで本当に通信が途絶してホログラムが消失した。どうやら漸く(?)通信施設が破壊されたらしい。

 

 幸いと言うべきかなんと言うべきか。女王の天然ぶりに揃って頭を抱えていた評議会には、パルパティーンの最後の言葉は聞こえなかった。

 

 

 

                  †   †   †

 

 

 

 グンガ・シティ、またの名をオート・グンガ。その名から察せられる通りナブーの原住種族グンガンの都市であり、種族全体を司る政府機関もここに所在している。現在のナブーの成り立ちと言える3000年前の入植者達との対立の後、ナブーの湖の一つであるパオンガ湖の水中に、その都は築かれた。

 静水フォース・フォールド・バブルと呼ばれる、簡単に言えば非常に堅牢な絶水性の泡の中に建物を建造してそれらが連結するという形で都市を形成している。

 その成り立ちには様々な画期的バイオテクノロジーや重厚なグンガンの歴史などが盛り込まれているのだが、しかしそれはこの物語にそこまで深く関わる要素でもないため、割愛する。

 

 そう、大事なのはそこではない。大事なのは――――

 

 

 

「えー、そんじゃあ……ジャー・ジャー・ヴィンクスの裁判を始めるYO!!」

『イェェェーーーーーーア!!!』

 

「ヒィ~~~~ッ!! た、助けてオビィ~!」

「……なんだこれ」

 

 

 例の如く、バカ(アッシュ)が馬鹿をやらかしているということなのだから。

 

 ――あの後、ジャー・ジャーの案内の下に無事グンガ・シティに辿り着いたアッシュとオビ=ワンだったが、やはり追放された身であるジャー・ジャーの存在が問題となった。

 シティに足を踏み入れた途端、都市の警備隊長であるグンガン、ルース・ターパルスがその場へ駆けつけ、三人を法律違反一名と不審者二名として連行したのである。

 

 てっきりどっかに拘留でもされるのかと思ったら、連れて行かれたのはグンガンの支配者であるルーゴア・ナス――通称ボス・ナスの元。

 「本当に同じグンガン?」と思えてならないそのふくよか過ぎる姿に――厳密に言えば彼はアンクラ・グンガンという謂わば上位種であり、ジャー・ジャー達はオートラ・グンガンであるが――目を瞬かせたのものの、支配者の機嫌を損ねる訳にはいかず、とりあえず彼らの出方を見ることにした。

 

 ……見ることにしようとしたのだが。

 

 

『ヘイ、YO』

『YO?』

 

 

 やはりバカはやらかした。

 

 

『YO、最近調子はどうよブラザー、YO』

『YO!? ユー、ミー達の『魂の言葉(ソウルトーク)』を知ってるのかYO!』

『YOYO、当たり前だYO。俺達みんなブラザー、知らないことなんてねえYO』

『YOYO!!』

『YOYO!!』

『YOYO!!』

 

 

 なんか、そんな感じでラップもどきを言い出したのである。

 するとどうだろう。それまでこちらを警戒していたグンガンは一気に相好を崩し、YOYO言っているアッシュと同じくYOYO言い出して意気投合し始めたのだ。

 

 オビ=ワンは元より、罪人として引っ立てられた原住民のジャー・ジャーも唖然としている。

 

 とりあえず二人にはYOYO言っているようにしか聞こえないのだが、どうやら意思疎通はできているらしく、何やら盛り上がっている。

 そして――――

 

 

「ジャー・ジャー・ヴィンクスの裁判を始めるYO!!」

『YOYO!』

「アイエーーーーーッ!?」

「いや違うでしょォォォォォォォ!?」

 

 

 何故か話はジャー・ジャーの裁判沙汰になっていた。

 一体何をYOYO言っていたのか、あのバカは。

 

 

「そっちじゃない! 関係が築けたんなら(移動手段)の調達に使ってくださいよ! 何どうでもいい事(ジャー・ジャーのこと)に関わってるんですか!」

「え? あ、あの、オビ? 今、ミーのことどうでもいいとかって」

「? 星一つとグンガン一匹、比べるまでもないだろう?」

「…………NO」

 

 

 お前は何を言っているんだ、とでも言いたげな顔で首を傾げるオビ=ワンに、ジャー・ジャーは絶望する。

 銀河全体の秩序に仕えるジェダイとしては至極正しいが、この状況下では冷酷無慈悲な外道にしか思えない台詞だった。言葉とは、時と場合によってその意味合いを大きく変えるものである。

 まあ、それで目が死んでしまったジャー・ジャーへの慰めになるかは不明だが。

 

 

「えー、ジャー・ジャー・ヴィンクス。お前は俺の大事な大事なダンボールを台無しにした。その罪は重い! よってお前を、深海引き回し(餌役)の刑に処するYO!」

「そっちぃ!?」

『YOYO!!』

「イィィィィィィヤァァァァァァァ~~~~~!!」

 

 

 このナブーという星、惑星の構造もあって海中にはとんでもないモンスターが多く棲息しており、日々弱肉強食の様相を成している。おちゃらけたグンガン一匹など、餌以前にただ飲み込んだ海水の一部として処理されることだろう。

 

 まあ、そんなことはオビ=ワンには割とどうでもよく。

 

 

「はいはい、もう気が済んだでしょう。とっとと本題に入ってください」

「急かすなっつーの。こういうのはなお前、ちゃんと親睦を深めるのが大切なんだYO」

「というか何なんですか、その言葉遣い」

「以前知り合いに教えてもらった。とりあえずこの言い方しときゃあ大体受け入れてもらえるらしい」

「それでいいのかグンガン……」

 

 

 なんでそれなのにナブーとは反目しているんだろう、とグンガンという種族への謎を抱かずにはいられないオビ=ワンだが、そこは鍛えられつつあるスルースキルで押し通した。

 

 

「とりあえず必要なのは移動手段です。ジャー・ジャーの言う通りなら、彼らはシードまで最速で辿り着ける足があるはず。それを手に入れるんです」

「わーったっつーの、ったく。

 ヘイ、ブラザー!YO!」

 

 

 そう呼びかけたのは、グンガンの長であるボス・ナス。彼らが言うところの『ソウルトーク』で語りかけると、またも相好を崩してアッシュを歓待した。

 

 

「YO、ブラザー! どうしたYO? 一緒にヴィンクスの処刑見物でもするかYO!」

「ノォォォォォォォッ!!」

「こら、暴れるなジャー・ジャー!」

 

 

 恐ろしい発言に絶叫するジャー・ジャーだが、敢え無く衛兵に抑えられてしまう。

 しかしそんな光景はアッシュの視界に入っていないらしく、完全スルーである。

 

 

「YO、そんなもんどうでもいいだぜYO!

 俺らYO、ちょっとナブーに行かなきゃいけないんだYO。するとYO、そこの(ジャー・ジャー)がここに良い足があるって言っていたんだYO! 悪いんだけど貸してくれYO!」

「なにっ……!?」

 

 

 するとそれまでご機嫌だったナスは顔色を変える。そんな変化にオビ=ワンは「選択肢を間違えたか?」と不安を抱くが、不興を買ったという訳ではないらしく、何やら顎を擦りながら思案気味である。

 

 

「……あるにはある。しかしブラザー、『あれ』でナブーのところに行こうとするなら、『星の核』を抜けるしかないYO。

 ユー……死ぬかも知れないYO?」

 

 

 その表情は真剣で、オビ=ワンも思わず身構えてしまう。陽気で知られるグンガンがここまで真面目な顔をするとなると、どうやら相当リスクのある乗り物か道則らしい。

 

 しかしそんなナスを見上げながら、アッシュは不敵に笑った。

 

 

「さてな、人間なんざいずれおっ()ぬもんだ。だったらビビッてても仕方ないだろ。

 少なくとも、やるって思ったことはやり通してから死ぬ方がマシさ、何もせずにビクついたまま生きるよりはな」

「おぉ……!」

 

 

 そう言って退けるアッシュに感銘したのか、ナスは身体と声を震わせた。

 

 その言動故に陽気でお調子者と思われがちなグンガンだが、同時に彼らは誇り高く勇猛な種族である。故に、死を恐れず己を貫こうとするアッシュの姿は、彼らに感銘と共感を与えずにはいられなかった。

 

 

「よし、任せろYO、ブラザー! ユー達のために最高性能の『ボンゴ』を用意するYO!」

「ボンゴ……?」

「なんか空中分解しそうな名前なんだけど。大丈夫かYO」

「安心しろYO! 最大速度が3倍のスーパーボンゴだYO! ナブーになんて一瞬だYO!」

 

 

 なんだろうか、その外見が赤くてツノでもついていそうな性能は。

 

 

「いやあの、耐久性能のことを聞いているんですけど……」

「おぉ、そりゃあいいな。そいつをくれ」

「もちろんだYO! まだ試作段階で実証テストもすんではおらんが、ユー達なら問題ないYO!」

「何の信頼!? そんなの要らないから! 普通のでいいですから!」

 

 

 必死に抗議するオビ=ワンだが、偉大なナスの御心は決まっているらしく「ワハハ」と声を上げて笑うだけだった。

 するとそこで――――

 

 

「YOYO、そんじゃあそいつ(そのボンゴ)あいつ(・・・)、貰っていくYO」

「は?」

「むん?」

「……へ?」

 

 

 アッシュがジャー・ジャーを指差しながらそう言うと、オビ=ワンやナス、そして指名された当人のジャー・ジャーを始めとするグンガン達も目を丸くする。

 

 そこで、ジャー・ジャーは思い至った。このままでは自分は処刑されてしまう。本当にモンスターの餌にされるかは分からないが、シド(・・)い目に遭うのは明白だ。

 彼はそんな自分を助けようとしているのではないだろうか。まがりなりにも、彼らをここへ連れて来た自分を。

 ボンゴでの移動は確かに足は速いが、それで星の核を抜けようとするのは自殺行為だ。なら、そこで道案内なり何なりと理由をつけて自分を――――

 

 

「いや、こいつどうせ処刑するんだしついでにやっとくYO。

 なんかでっかいのがいたら、そこに適当に放り込めばいいんだろ?」

「ノォォォォォォォォォォッ!!!」

「ふむ、では任せるYO」

「…………」

 

 

 ――全然違った。この外道(アッシュ)、自分で引導を渡す気らしい。

 しかもそれを聞いたナスもただ頷くのみ。オビ=ワンは……静かに目を逸らしていた。

 

 この日、ジャー・ジャー・ヴィンクスは一つの真理を知ることとなった。

 

 ――バカ(アッシュ)に関わると、碌なことにならない、と。

 

 

 まあ、それも一時間足らずで忘却するのが彼なのだが。

 




■自己啓発こーなー。
▼遅かったじゃないか。
 本当にごめんなさい(土下座

▼ナブーうんちく
 スターウォーズのサイトなどではより詳しく書かれています。興味のある片は是非検索してみましょう。

▼天然女王とアホ議員と評議会
 まあマアヤ改めウチの女王陛下はこういう感じですね。ジャンヌゥゥゥゥゥ!!!
 アホ議員は……うん、もう既に仮面被ってるんだから(!)そこで更に演技しようとしたらこういう感じ、という具合で。
 評議会とパナカ隊長は苦労人。これからも更に。

▼YOYO!
 なんかユーとかミーとか言ってるしラップっぽくやらせればいいか、という世界中のソウルブラザーから敵視されてもおかしくない安直な設定。口調なんて超適当なのでスルーしてやってください;

▼三倍早いボンゴ
 ボンゴの性能の違いが、原作展開への決定的差でないということを教えてやる!(赤彗星並感

▼出来栄えは……
 言わずもがなOTL


 出したいな、出したいなあ。あぁ、早くモールを出したいなぁ(白目

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