破天荒騎士銀河道中物語   作:放浪人

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 まずはお詫びを。やはりリアル事情のためここまでお待たせしてしまいました;
 加えて今回、内容(特に後半)は会話だらけの面もありますので、皆様興を削がれるかも知れませんが、批評も甘んじて受ける所存にございます(土下座

 しかも皆様のご声援によって投稿作品のいずれもが高評価をいただけたというのに……本当に精進していきたいと思います。

 それではどうぞ。

※後半部分はぜひ坂本真綾さんの声でご想像ください。


バカの影響は当人がいなくとももたらされる

CHAPTER 06 「バカの影響は当人がいなくとももたらされる」

 

 

《………………?》

 

 

 『それ』を発見したB1バトル・ドロイドは、彼(?)が人間であったなら首を傾げずにはいられないであろう困惑に晒されていた。

 彼のいる場所は、大量のドロイドが待機している格納庫。管制室から下された地上への進軍命令の下、膨大な数のドロイドが並び、大型兵員トランスポート(MMT)や兵員輸送艇プラトゥーン・アタック・クラフト(PAC)へと乗り込んでいく。

 装甲型強襲用戦車(AAT)などもそこに含まれており、それら全ては、このルクレハルク級バトルシップからC-9979上陸艇に積み込まれて地上へと運ばれていくのだ。

 まさしく戦争への戦支度だった。

 

 そんなところで何故、彼が一人その列に加わらずにいるかというと、何のことは無い。彼はこの艦の警備部隊に所属しており、例え軍隊は地上に向かおうとも彼はこの艦に留まらなければならないのだ。そして今現在も、絶賛その警備任務に就いている。

 

 そんな中で、彼は『それ』を発見した。場所はちょうど、色んな武器・弾薬・予備パーツが詰め込まれたコンテナが積み重ねられ、ちょうど周りからは死角になる場所。そこがちょうど見回りのコースだったので立ち寄ったところ、記憶情報にないはずの『それ』がいつのまにか置いてあったのである。

 

 

 それは、有体に言えば『箱』だった。

 大の大人が二人は入れそうな大型の、金属の箱。

 もう一度言うがここは格納庫である。武器や弾薬を運ぶための小型コンテナくらいいくつもある。だから、その箱が別段怪しいというと、そうでもではなかった。

 

 ――それだけだったならば。

 

 ではその箱の何が怪しいかと言うと、先ず、全体的なディテールだ。

 何というか――平らだ。平面的と言っていい。他のコンテナにあるような凹凸が全く無い。まるで平面の上に極めてリアルな絵でも描いたような印象である。しかし彼のセンサーは、それを間違いなく金属類だと認識していた。

 まあ、それはまだいい。良くはないが、次の事柄に比べればまだマシだ。

 

 で、問題の次と言うのが――――

 

 

【開封厳禁。開けたドロイドはスクラップの刑  通商連合総督ヌード・ガンミ】

 

 

《…………???》

 

 

 ――なんだこれ。

 箱に張られていた一枚の紙、そこに書き記されていた内容を再度確認して、しかしドロイドは更なる混乱に陥った。

 管制室に連絡を取って確認を取ろうにも、何があったのか回線が混雑しており指示を仰ぐことも出来ずにおり、それが余計にドロイドの手を拱かせていた。

 

 

《オイ、何ヲシテイル》

 

 

 どうするべきか判断が着かず立ち往生していると、彼と同じ警備を担当している他のドロイドがその様子を見咎めて来た。

 

 

《ドウシタ。何カ不審ナ物デモ見ツケタノカ》

《イヤ……ソレガ……》

 

 

 どうしよう。状況を説明して一緒に確認をするべきか?いや、普通なら考えるまでもなくそうすべきだ。

 ……すべきなのだが…………。

 

 改めて、ドロイドは目の前の箱を見る。そして思考する。

 

 ――これ、開けたらヒドいことになりそうな気がする。

 

 ある程度の自律思考を備えてはいても、彼らドロイドは所詮機械仕掛けのロボットであり、人間でないどころか生物ですらない。そんな彼らには、所謂『直感』などというものはあるはずもない。

 ……にも関わらず。ドロイドはその箱に関わることを戸惑う(・・・)。理由も原因も不明だが、彼の自律思考を構成する回路やら何やらの全てが訴えていた。

 

 ――これに関わるな。関わったら、そこで何もかもが終わる。最悪と言うか、くだらない形で。

 

 と。

 そして数秒の熟考(?)の末、ドロイドは選択を下した。

 

 

《……イヤ、何デモナイ。データニナイ場所ニ荷ガ置イテアッタカラ調ベタダケダ》

 

 

 結局、ドロイドはそれ以上その箱に関わらないことを選んだ。

 艦内の警備を職務として任されている以上は、不審物を見つければ調べるなり知らせるなりせねばならない。それを怠ると言うことは、与えられた職務を忠実に履行すると言う兵器としての存在意義そのものを否定するにも等しい行為であり、こんな行いが知れれば、運がよければメンテナンス程度、場合によってはスクラップ処分にもなりかねない。

 

 

≪大丈夫ナノカ?≫

≪大丈夫だ、問題ない≫

≪……????≫

 

 

 それでも、終ぞそのドロイドは箱の存在を知らせることはなく。

 なんとも相手を不安にさせる、やたらと人間らしい発音(イケメンボイス)の返事だけを返すと、訝しがる相方のドロイドを連れてそのまま去っていった。

 

 

 

 

 

 ――彼らは知る由もない。

 少なくとも、普通に考えれば命令違反以外の何者でもないこの行為が、彼らの乗るこの艦の寿命を延ばしたということを。

 

 

 

 

 

 ――ガタゴトッ。

 

 

「こちらアッシュド・スネーク(灰の蛇)、敵戦艦内に潜入成功。これより任務(ミッション)を開始する」

「アンタ何言ってんだ」

「性欲を持て余す」

「聞け」

 

 

 箱が下から持ち上がると、そこから姿を晒したのは案の定、この二人(アッシュとオビ=ワン)である。

 周囲に誰もいないと確認すると被っていた箱を完全に取り払い、どこから持ち出したのか、右目に黒い眼帯をして葉巻を口に咥えたアッシュは一言。

 

 

 

「――待たせたな」

「本当だよ。どんだけ読者待たせるんだよ――あれ?今何を……」

 

 

 

 ――本当にお待たせしました。

 

 

 

「……今なんか、変な声がしませんでした?頭の中に響く感じで」

「知らねえよ、疲れて幻聴でも聞こえたんだろ。オイあんま近づくなよ、急に発狂されても困るから」

「疲れるにしても幻聴を聞くにしても発狂するにしても原因はアンタだろうがッ……!」

「……お前は何を言っているんだ?」

「~~~~~ッッッ!!!」

 

 

 心底分からないと言わんばかりの表情に、オビ=ワン激おこぷんぷん丸である。しかし場所が場所なので、大声を出すことも暴れることもできず、胃を犠牲にすることで何とか己を抑えるしかなかった。

 

 そんなアホなやり取りはさておき。

 

 

「さーて、ちょうどこいつら(輸送艇)がナブーまで直行便で送ってくれるらしい。乗り心地は最悪だろうが、まあこの際だ文句はなしにしよう。あとで連合と製造元の連中にたっぷりクレーム(物理)つければいいしな」

「文句言う気満々じゃないですか。……あの、あとすいません。何なんですかこれ」

 

 

 そう言いながらオビ=ワンが手に取ったのは、他ならない彼らが今さっきまで被っていた箱――――

 

 

「何って……ダンボールだけど」

「ええー……」

 

 

 ――そう、それは紛うことなきダンボールだった。なんか外見がやたらメタリックだが、間違いなく紙で出来たダンボールであった。というか紙で出来てなければそれはダンボールではないだろう。

 

 

「いやあの……なんでダンボールを?どこに、というか何でドロイドに気づかれなかったんですか?普通センサーでバレるでしょう」

「ところがぎっちょん。このダンボール、知り合いの傭兵が愛用しているものの一つでな。そいつのところで開発された迷彩ダンボールなのさ」

 

 

 なんだよ迷彩ダンボールって。なんでダンボールを迷彩施してまで戦場に持ち込んでんだよ――そんなオビ=ワンの心のツッコミを知ってか知らずか、アッシュは説明を続けている。しかも何故かドヤ顔である。

 

 

「いや俺も最初はないだろって思ったよ?このダンボールフェチめ!って思ったよ?でも実際すげーのよコレ。バリエーションはあるわ使い所は色々あるわでもう何度助けられたことか。フォースで迷彩掛けるよりよっぽど可能性を感じたね、俺は」

「評議会がまたブチギレますよ」

「ちなみに今回使ったこれ、対ドロイド用迷彩らしくてな。ご覧の通り外見はメタリック感溢れるデザインだからコンテナに偽装、しかもドロイドのセンサーに金属反応を感知させつつ中身のスキャンを遮る優れものなんだと。

 加えて、一見ただ金属に見せているようなこのデザイン。遠近法で人間の肉眼を錯覚させる機能も備わってます。なんで人間には普通にコンテナみたいな意匠に見えるんだとよ」

「意味が分からない……」

 

 

 何故ダンボールにそこまでの労力を注ぎ込むのか。というかどうやって作ったのか。そのダンボールフェチな知り合いの傭兵とやらはどんだけダンボールが好きなのだ。

 

 彼自身には想像すら出来ない嗜好と執着に世の中広いとオビ=ワンが呆れている一方、アッシュは物陰からドロイド軍が輸送艇に乗り込んでいく様を観察していた。

 

 

「しかしまあ、これで明白だな――連中は、最初(はな)からやり合う気満々だったということがな。

 そら腐敗した腰抜け共和国が後ろに立ってるだけの非武装国なんざいい獲物だろうよ」

「思いっきり平和主義否定ですね……否定もし切れないですが」

「事実だからな。さて、乗り込み先は別々な。いくらなんでもあんな閉所でお前の尻拭いは御免だ」

「奇遇ですね。私も出来る限り貴方のトラブルに巻き込まれたくないので。絶賛巻き込まれているようなもんですけど」

「はあ?お前ToLOVEる(トラブル)嫌いってホモかよ?」

「そっちじゃねえよ!」

 

 

 小さい声で叫ぶと言う妙な芸当をこなすオビ=ワンを尻目に、アッシュは再びダンボールを被り、ドロイド達の目を掻い潜りながら輸送艇の一隻に乗り込んでいった。

 途中何度かドロイドが訝しがる場面もあったが、終ぞそれに関わろうとするドロイドはいなかった。

 

 

「……もういいや。気にするのはやめよう」

 

 

 ――そう言いつつ、いつの間にか手渡されていた件のダンボールを被り、やはり輸送艇への潜入を果たすオビ=ワン。

 彼が確実にアッシュの影響を受けていると自覚した時、果たして彼が何を思うのか。

 

 最も知らぬは本人達ばかり、周囲はすっかりオビ=ワンを『アッシュに染められた人間』と見做しているのだが。

 時に知らぬことは救いとなるのである。

 

 

 

                  †   †   †

 

 

 

「……降下準備はどうなっている?」

《間モナク全部隊ノ準備ガ完了イタシマス》

「……例の二人は?」

「通気シャフトに入ったのを最後に見失いました。やはり捜索部隊を送り込みますか?」

「この艦が墓場になっていいのならな」

「…………やめておきましょう」

「そうしろ」

 

 

 総督ガンレイが不慮の事故――ということになっている――で気絶し一時的に指揮権を委ねられている総督補佐官ハーコは、予め組まれていたスケジュールに従い状況を進めていた。

 ジェダイ(アッシュ)が特使としてやってきたあんな騒動を巻き起こしたという予想外――というかキ○○イ――な事態がなければ、今頃はナブーに対して最後通達を行い、ドロイド軍をナブーに向けて進軍させているはずだったので、目下その準備中である。

 

 一部には今のように「ジェダイを艦に乗せたままでいいのか?」という意見もあったのだが、ハーコの

 

 

『じゃあまたあのキ○○イ兵器送り込む?あちこち吹き飛ばしてこの艦、棺桶ならぬ艦桶にする?』

 

 

 という言葉で事態は収束した。いつの時代も、物分りのいい人間が長生きするのだ。確実ではないが。

 ちなみに、その場にいた誰しもが、ルーン・ハーコという人物に対してかつてない程の心強さと大物感を感じたとか何とか。

 

 触らぬ神ならぬ、触らぬバカに祟り無し――そう納得し、相変わらず閉じ込められているので外部から回路の修理してもらい隔壁が開くのを待ちつつ、指令を下していた。

 

 

 ――そして、ちょうどそんな時。

 

 

「ハーコ補佐官!ナブーからの通信です!識別はナブー王族からのホットライン!」

「……繋げ」

 

 

 よりにもよってこんな時に――と歯噛みするでもなく、ハーコは淡々と応じる。元より通達するはずが向こうから連絡を寄越しただけであり、本来それを直接取り仕切るはずだったガンレイは……まあ、いてもいなくても同じだ、この際。

 そう、ハーコが思ったかどうかはさておき。

 

 彼の眼前にある大型モニターに波紋が生じると、そこに人影が写りだす。

 

 それは一人の女性だった。ナブー王族の赤い儀礼服を身に纏い、ナブー特有の白い肌と唇辺りに差した朱の化粧が大人びさせているが、実際は二十にも遥か満たない少女。

 そんな彼女こそ、ナブーの現女王アミダラであった。

 その表情は、画面越しとはいえ対峙する者達と向き合っていることへの緊張と、何とか押さえ込んでいるらしい怒りで硬くなっている。

 

 

「これはこれは、女王陛下直々とは恐れ入りました。ご尊顔を拝し恐縮至極、ワタクシ総督補佐官を務めておりますルーン・ハーコと申します」

《ナブーの女王アミダラ。貴方がたが不当な武威によって脅かしている星の代表です》

「それは何かの間違いかと。補佐の身で申し上げるのは畏れ多いと存じますが、少なくともワタクシは今回の件、共和国元老院からの承認を得て行ったものと聞き及んでおります」

 

 

 幼い身ながら威厳と覇気のある口調で真正面から抗議するアミダラに対し、ハーコは淡々と、しかし欠片も動揺を見せずいけしゃあしゃあと虚言を弄する。

 

 そんな二人の様子をオペレーターのニモイディアン達はハラハラと遠巻きに見つつ、ヒソヒソと小声で話していた。

 

 

(おい、アレ誰だよ。アレ本当に腰巾着のハーコか?)

(何だよアレ。絶対総督(クズ)より威厳あるって。絶対あっちが総督だって。

 だってあいつ(総督)俺達に構わずこの艦吹き飛ばそうとしたんだぜ?あの人それ自分で止めたんだぜ?人望なんて言うまでもないだろ)

(マジないわー。いい歳扱いた大人が年下におちょくられてブチ切れた挙句に副官に喝入れられて気絶とかナイワー。ハーコ様マジハーコ様。というかもうあいつ(総督)の下で働きたくないんだけど)

(俺、この仕事終わったら退職金貰って故郷に帰るんだ)

(死亡フラグ乙w)

(おいバカやめろ、俺らまで連動して建つんだよフラグが!)

(というかアレ本当に大丈夫か?元老院の承認とか完全に嘘っぱちじゃん。あとで署名なりなんなりさせりゃあいいとか言ってたけどさ)

(大丈夫だろ。あのハーコさんだぜ?署名ぐらいちゃちゃっと言い包めて書かせられるって。総督(クズ)なら失敗するの目に見えるけどな!)

(わずかこの一時間で激上がりした謎のハーコさん人気w)

 

 

 そんなアホどもの会話なぞ知る由もなく、あっちはあっち、こっちはこっちでシリアスな展開の真っ最中である。

 

 

《……貴方では話になりません。総督を出しなさい》

 

(オイあの小娘なんか言ってんぞ。馬鹿じゃねえの今一番話が通じるのがその人なんだよ。あんな馬鹿(総督)とまともな話なんか出来るわけないだろ)

(我らがハーコ総督(真)を舐め腐るとか、許すまじ。

 ナブー死すべし慈悲はない)

(アイエーッ!?)

(おいそこの馬鹿二人うるせえよ。聞かれるだろうが。ハーコさんの必殺ブラスター(打撃)喰らいたいのか?)

(正直スマンかった)

(二度とやりません許してくだちい)

(というかハーコさんが総督(真)になっている件w)

 

「……申し訳ありませんが総督は不慮の事故で怪我を負いまして。微々たる物ではありますが打ち所が良くなかったらしく、休んでいただいております。

 女王陛下の呼び出しに対して無礼千万とは承知ながら、我らが総督も一介の商人(あきんど)でこれまでやってこられた身なれば、どうかご寛恕の程を」

《……実に良く回る舌ですね。通商連合は既に優秀な次期総督を確保している様子。例え現総督が引退することになっても問題はなさそうです》

「これはこれは、高貴な女王陛下とは思えない辛辣なお言葉。ワタクシは一介の補佐官に過ぎませんし、今回は不覚を取ったとはいえ総督もまだまだご壮健、どうぞそのような無体なことは申されないでいただきたい」

《どの口でそんなことを……!》

《陛下、御気を静められますよう!》

 

(恐ぇぇぇぇぇぇ!! なにこれ、空気がピリピリして痛ぇんだけど!あ、でも見ててなんか楽しいわw)

(お前も腹黒だな。

 でもヤべーよ、ハーコさんマジヤベーよ。俺押すわ。次期総督にあの人押すわ。俺あの人の下でなら働いていく自信あるわ)

(馬鹿野郎、俺の永久就職先取るんじゃねえ!)

(女王なんて目じゃないな。完全に子供と大人だ。まあ実際そうなんだけどw)

 

 

 のらりくらりと言ってのける老練なハーコに若いアミダラが堪らず怒りを露にするが、モニターの向こう側にいるらしい女王の付き人らがそれを必至に宥めた。

 

 馬鹿どもは(ry

 

 それで彼女もすぐに落ち着きを取り戻し、しかしより一層硬くした顔でハーコを睨めつける。

 

 

《……いいでしょう。本題に入ります。

 そちらに共和国からの特使が赴いているはず。問いたいのはその交渉に関する経過と是非です》

 

 

 ――その一言が劇薬だった。

 それまで泰然自若、正しく通商連合の老獪な商人の面目躍如だったハーコの顔は見る見る悪くなり、体は小刻みに震えだす。

 言うまでもなく、わずか十分足らずの邂逅でバカ(アッシュ)が刻み込んだ恐怖によるトラウマである。今までは馬鹿をやらかしたガンレイへのブチ切れと、彼の代わりに職務を遂行することで精神を保っていたのである。

 そしてそれは、モニター越しのアミダラにも伝わったらしく、

 

 

《………………あの……大丈夫ですか……?》

「え、ええ……総督の代理などという大それた職務はそうそうないので……どうぞお構いなく……」

 

(うっわー、あの女おもっくそ地雷踏みおったぞ。見ろよハーコさんのあの顔。見る見るヒドくなってくぞ。カメレオンみてー)

(そりゃなるわあんなん(キ○○イ)間近で見たら。俺マジでビビッたから。よくホラーで追い詰められた主人公の気分とかよっっく分かったから)

(あれヤバかったよなー。認めたくねーけど、あの馬鹿(ガンレイ)があんな馬鹿みたいに分厚い隔壁作ってなかったら俺ら全員死んでたんじゃね?)

(総督(偽)が馬鹿と書いて名前で読まれている件w)

(お前も総督(偽)って言ってるじゃねえかw)

(でもその所為で俺ら閉じ込められてるんだよな?)

(じゃあ最終的にプラマイゼロ、それに自爆未遂の件加えて有罪ということで)

(異議なし)

(異議なし)

(異議なし)

(おいお前らマジ静かにしろ、本題に入ってんぞ)

 

 

 さしものその劇的な変化に問い詰めたはずの女王が動揺して気遣い、ハーコはその気遣いが効いたのか何とか立ち直る。

 そしてそんな二人を相変わらず遠めで見てヒソヒソと喋り続ける馬鹿ども。

 

 

「……残念ながら特使などは訪れてはおりませんが。何かの間違いか、あるいは事故でもあったのでは?昨今の銀河は不穏ですからね」

《ッ……!……そうですか。いいでしょう、真偽はいずれ分かります》

 

 

 流石に先程の件で学習したのか一瞬顔を強張らせるが、今度は噛みつくことなく抑えて流した。

 

 

《……しかし気をつけることです。今回は連合もやり過ぎました。

 共和国からの話によれば送られたのは彼のジェダイの騎士だとか。(ゆめ)、軽挙妄動の愚行など犯さぬことで――》

「………………」

《――え?》

 

(あぁっ、ハーコさんが白目剥いたぁ!? 俺ら基本目赤だけども!)

(おい泡吹いてないか!? あれマジでやばくね!?)

(くっそぉ、あの(あま)ァ!! 俺達のハーコさんになんてことを!)

(もう見てられねえ!!)

 

 

 地雷再び。ジェダイ=アッシュ(キチガイ)という認識が出来上がってしまっていたハーコはアミダラのその言葉で再び発作を引き起こし、先程以上に明確な拒否反応を引き起こしていた。

 

 

《え、ちょっ、ええっ!?》

「あばばばばばば………来るよぉ……悪魔(キ○○イ)が来るよぉ……」

「くそっ、アンタなんてことしてくれたんだこの人でなしがァ!!」

《ふぇっ!?》

「アンタ……アンタ残酷だよ!それでも女王――いや、人間かよォ!!」

《なっ……人の星を武力で封鎖した人達に言われたくありません!》

「馬鹿野郎ォ!! ちょっと衛星軌道塞いだのと、たった一人の懸命に生きるニモイディアンの心を抉るのと、どっちか重罪かなんて考えるまでもないだろうがァッ!!!」

《そ、そんな……》

 

 

 どう考えても前者が重罪である。そもそもにして自業自得なのだが、ノリにノッた彼ら(馬鹿ども)にそんな常識は通用しないらしい。

 そして、真面目な気質らしい女王はというと――

 

 

「くーるー、きっとくるー。キ○○イがやってくるー。セーバーふりまわしてーやってくるー。アビャー」

「見ろォ、この有様!この人が何をしたって言うんだ……!中間管理職として、総督(クズ)と俺達の間で必至に頑張っていただけじゃないか!それなのに、それなのに……!」

《そ、そんな……私は、ただ私達の苦しみを知って欲しくて……!》

《陛下ァ!? 騙されちゃ駄目ですから!被害受けてるの私達ですから!》

《ごめんなさい……ッ!わたし、わたし……!》

《おい通信閉じろ!早くゥ!》

 

 

 完全に正気を失いよくわからない歌(何故か背筋がゾッとする)を口ずさむハーコと、涙ながらにそれを抱き抱えて支え、ニモイディアン達は揃って女王を非難する。

 その言葉に衝撃を受けたらしく、思った以上に純心だったらしい女王はそれまでの毅然とした態度は何処へか。悔恨に満ちた表情になり泣き崩れ、それを周りの家臣達が慌てて支え、通信は一方的に切られた。

 

 ……残されたのは過呼吸気味になったハーコと、それを囲んで必至に救護活動を行っているニモイディアン達、そして――――

 

 

 

「……なんだこれぇ」

 

 

 そんな様子をいつのまにか目覚めて自力で脱出し、目の前の光景に呆然としているヌート・ガンレイ総督(クズ)だった。

 

 無論、これは――

 

 

「ん?おい、誰がクズだ!!」

 

 

 ――茶番である。

 

 




■自己啓発こーなー。
○薄い?
 字数こそ8000字ですが、格好つけた薀蓄や会話だけの感が強いですね;うーん、これからは10000超えてもちゃんと質を纏めて載せた方がいいですかね。いや、元からそんな大した質ではないんですが……OTL

○ドロイド人情
 言うまでもなく原作ならありえな……ありえる?とにかく「ないだろ」とツッコまれそうな展開。当然ドロイドに直感なんてないんですが、まあ、フォースとかが回路に干渉したとか何とか……ねえよ。
「大丈夫だ、問題ない」
 問題だらけだよ馬鹿野郎。

○待たせたな
 作者の思いそのもの。それでこの内容とかOTL

○MGA
 ご存知日本が誇る傑作潜入アクション。映画化どうなるんだろ(ワクワク

○ダンボールと傭兵
 潜入には必須。エラい人はみんな言っていた。それを使いこなす傭兵とは……

○染まるオビ=ワン
 染まっております確実に。気づかないのがせめての救い。

○スーパーニモイディアンタイム
 本当になんでこうなった;しかもハーコだけじゃねえし;
 そして結局ハーコも被害者だった件(白目 くるーきっとくるーギャァァァァァァァァァ!!!

○女王様
 かわいいよ初心で純真な女王(真綾)かわいいよ。
 後半の声は涙声を想像してください。

○復活のガンレイ
「ワシに殺されるべきなんだァーッ!」「バカヤロー!!」


 いつかも掛けてこの様でございますOTL リアル事情とか入れると2,3日どころじゃないですね、自分の力量だと。そのくせに短編あげるとか……

 今後もこういうペースになるかも知れませんがご容赦を;

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