元RTA実況者がSAOをプレイしたら   作:Yuupon

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 今回、過去最高に文字数が少ないです。
 それからやっとここまで辿り着きました。


 


16.迷宮区到達

 

 

 

 迷宮区に繋がる森は余り深くはない。

 あくまで本番は迷宮区であり、森はその手前のエリア。即ちオプションに過ぎないからだ。

 むしろ広さで言うならホルンカの村周辺の方がよっぽど広大な森が広がっている。その代わり、迷宮区周辺の森には一つ、普通の森とは明確な違いが存在していた。

 

『うーん……やっぱり抜け口が変わってる。β版でもそうだったんですが、森自体が若干プレイヤーを迷わすような地形になってるんですよ。流石にここら辺は変えてくるか』

 

 そう、複雑な道だ。

 木々と木々と間を突っ切ってしまってもいいが、偶に麻痺技を持つ『ビー』なんかのモンスターの巣にぶつかってしまった暁にはどんな悲惨な未来が待っているか分からない。一度、針で滅多刺しにされた事のあるハクレイはそれを余り得策だとは思えなかった。

 よく、迷路なんかで常に壁に手をついていけばゴールに着く、と言われているがそれも遠回りである。

 なら、どうするか。

 

『迷宮区はエリアの南側にありますので、切り株を探しましょう。木の年輪を見て方向を掴みます』

 

 「現実的な案だなw」「リアルかよww」「木の年輪で方角分かるの?」「←切り株って丸い円みたいな模様があるだろ。植物は南向きの部分が一番よく育つから、幅がでかい方角が南になる」「←説明乙」「茅場ってそこまで考えて作ってんの?ならSAO凄いな」

 何でもない事のように言ったが、コメントでは驚いた様子が見られた。説明する手間が省けて、ハクレイはありがとうございます、と呟く。

 

『その通りです。詳しく言えば、植物は光の当たる方向に成長していくので、年輪の幅に差が出来てしまうんですね。それで日の光がよく当たる南側は年輪の幅が大きくて、日の当たらない北側は年輪の幅が小さいというわけなのです!』

 

 なのです! と小さくもう一度言ってハクレイは切り株をジロリと見る。年輪の幅が大きいのは……、

 

『あっちですね。じゃあそっちに突っ切ります。ビーが出てきたら全力で逃げます。以前、滅多刺しにされたのですが、あのような思いはしたくないなぁ』

 

 それでも最速を狙う以上仕方がない。

 ハクレイは道なき道へと足を向け直し、全力で駆け出した。邪魔な枝を切り払い、地面に埋まった岩を乗り越え、草木を跨ぎ、進んでいく。

 一歩一歩と足を踏み出すたびスカートがひらりひらりと舞い、背中のマントがはためいていた。

 見えそうで見えない。そんなジレンマに襲われたのか、コメント欄が盛り上がる。

 

 「見え……」「見え……見え……」「見えろおおお」「後少しなのに……!」「パンツ……」「←黙れ変態共ヽ(´o`」「(*^o^*)これは流行る」「←その顔文字は流行らないし流行らせない」「女の子のスカートの中には夢が詰まってるよね」「←分かる」「←分かる」「俺らにラッキースケベを頼む!」「見え……」「萌えた」「抜いた」「←ふぁっく」

 やっぱり変態放送のレッテルは外せないらしい。

 まぁネカマをしているのが悪いんだろうけれども。

 

(それでもちょっとは自重してほしいよな)

 

 どうせ言ったところで適当に流されてしまうのだろうが。

 

『とりあえず迷宮区発見するまでこの調子で行くからなー。後スカートの中が見たいならそのうち出ると思うんで自分で買ってやってみてください』

 

 最初に一八禁放送と銘打っているなら問題は無いが、流石に普通のゲーム実況でエロネタを出すのは不味い。

 偶然ならまだしも自発的にやったのならそれはただの放送事故だ。リスナーを失いかねない危険な行動だとハクレイは思う。

 まぁリトルネペントによる触手プレイ(?)もどきのせいでかなり危ういけれど。

 

(それでも……せめて自分からは変な行動起こさないぞ!)

 

 絶対に! と決意してハクレイはひた走るのだった。

 

 

 

 

 

 それから数分もしない頃。

 急に木々の数が減り出した。一面木だらけの空間から、森の外れに抜けたかのように木々の数が減ったのだ。

 そうして気がつけばハクレイは森を抜けていた。

 

『森抜けた! 後は迷宮区……! あ、あれですね!』

 

 勢いよく森を抜けたハクレイは視線の先に遺跡のような見た目の建造物を発見する。

 見た目は、古い遺跡だった。若干苔むしたイメージのある遺跡。

 間違いない。これは、

 

『迷宮区発見しました! これから突入します!!』

 

 「おおおお!」「抜けたー!」「もうボスかー!!」「お疲れー!」「迷宮区キター!!「おおおおお!!」「キター♪───O(≧∇≦)O────♪」「おめええええ!」「ボスだああああ!」

 視界に広がる建造物を見てコメントが沸き立った。

 おおおおおお!! と雄叫びを上げるコメントを心地良い気分で聞きながらハクレイはその足を迷宮区への入り口へと向ける。

 ーーそう、迷宮区である。

 ようやく第一層のボスがいる場所に辿り着いたのだ。

 

『後は迷宮区攻略して、ボスぶちのめせば目標だった第一層の『最速攻略』達成です! ソロで挑むのでかなり厳しい展開になりますが応援頼むぞお前ら! じゃあ行くぞ』

 

 言って、迷宮区の入り口に辿り着いたハクレイはそっと迷宮区の扉に手をかけた。

 そしてーー告げる。

 

『迷宮区、突入ッッ!!』

 

 おおおおおお!! というコメントをBGMに、ハクレイは迷宮区へと飛び込んで行くのだった。




 


「一言」
森の突破が予想外に短くなりました。
ちなみに切り株のやつですが、日本だと山などの斜面に立っている木だと見分け辛いそうです。
山登りとかで迷った時は、コンパスや地図で確認して下さいね。

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