元RTA実況者がSAOをプレイしたら   作:Yuupon

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もうこれSAOの皮かぶった別ゲーな気がする(小並感)
(ちなみに現在までに有り得ない機能沢山ありますけどキチンと説明付けするので今後の展開をお待ち下さい)

では、幼女VSフィールドボスのガチンコバトルをどうぞ(白目)

 


12.フィールドボス戦

 

 

 

 トールバーナへ向かう道は今までの森道とは違い、ある程度整備された道が続いていた。ホルンカの村から少し行った先に川があり、そこに掛かった石橋を駆け抜け、地面を踏みしめ、ハクレイは足を進めていく。

 時間にして二〇分ほど。何も起こらないまま順調に突き進んできたハクレイは視界に二つ目の川を捉え、ようやく口を開いた。

 

『はい、あの川見えますか? さっきの川と違ってかなりデカイ川なんですが、あそこに掛かっている大きな石橋のど真ん中に目的のフィールドボスが居ます』

 

 まだ遠目なので橋の上にモンスターが居るのかすら分からないが、とりあえずβテスト時の情報をボヤいた。

 それからハクレイは軽く装備を見直す。現在の装備はアニールブレード一本だ。あとは全て装備袋に仕舞われている。防具が、若干耐久力の減った皮装備というのが気になるがそれ以外は問題無い姿だった。

 コメントも「初めてのボス戦か」「ワクワクするな」「ソロでボスとかパネェな」「初見です」「もうちょい露出ある装備にしろよ」「←脱げと?」「全裸待機してます!」「ミスすんなよ」と、一部を除いてハクレイを応援するコメントが目立っている。いや、服装とかいい加減ネタ引っ張りすぎだし諦めろよ、と内心思いつつハクレイは笑顔で剣を握り締めた。

 

『今回狩るフィールドボスの名前は「ルイン・コボルド・ナイト」です。第一層のボスの名前が「イルファング・ザ・コボルド・ロード」なので、コボルド族のナイトなのかな、と個人的に思ってますね』

 

 騎士(ナイト)。そのドロップアイテムが『コボルドの指輪』というアイテムで迷宮区を塞ぐボスに見せると、戦うことなく道を通してくれるお得アイテムなのだ。迷宮区を塞ぐボスは物凄いタフネス系のボスなので、時間短縮の為には必須の指輪であった。

 そして効果はそれだけではなく、『コボルド族に与えるダメージが二〇%上昇する』なんて第一層攻略に打ってつけの効果も備えているのだ。これを取り逃がす選択肢は無いとハクレイは思う。

 

(スキル振りでSTR()に振らない理由はやっぱこれだよな。まぁAGI(敏捷性)上げて手数でボコった方が早いし)

 

『ただ、騎士というだけあって相手もかなりの手練れです。下手したらやられるかもしれませんし、何より倒す為に条件を整えないといけないんですよ。ようは、戦う為にフラグを踏んでかないと戦ってくれません』

 

 そしてそのフラグの一つがアニールブレードのクエストだった。

 いよいよ川が目前に迫り、石橋を渡るだけになったハクレイは橋手前で立ち止まり、歩き出す。

 それからゆったりとした口調で呟いた。

 

『そのフラグの一つがアニールブレードのクエスト。そしてもう一つーーーー』

 

 そのまま歩んでいくと、橋の先に一匹の剣を携えたコボルドの姿があった。その大きさは一.七メートル程だ。通常のコボルドよりも遥かに大きく、鍛えられた筋肉がチラリと覗く胸元から分かる。鉄の甲冑に身を包んだその姿は正しく騎士そのものだった。

 「凄い剣気だ……」「これは、嵐が起こる」「ザワ……ザワ……」「ガチになった……」「イライラタイム」「←TASじゃねぇからこれww」「←RTAでもイライラタイムだぞ」「あぁ、これイベントシーンか」

 向かい合う両者の様子にコメントにも緊張感が生まれる。

 一歩一歩、緊張感のある歩みでハクレイが近付いていく。同じようにルイン・コボルド・ナイトも歩み寄る。

 両者の手には剣。

 にじり寄るように一歩、また一歩と近付く両者はやがて。橋の真ん中で立ち止まった。

 距離はおよそ五メートル。そこまで来て、ハクレイはようやく口を開いた。

 

『ーーーーもう一つの条件。それは、一対一で戦うこと』

 

 直後、ハクレイとルイン・コボルド・ナイトが同時に剣先を相手に向けた。

 それから、数秒。息もつかせぬ雰囲気を漂わせた両者の真ん中に、ヒラリヒラリと桜の花が舞い降りる。

 そしてその桜の花が地面に落ちた時、両者は同時に動いた。ハクレイがかつてない真剣な表情で言う。

 

『攻略法を説明します! まず決闘開始と同時、ルイン・コボルド・ナイトは突撃を仕掛けてきます。その後はこちらの動きによって変わりますが、今回はそれを『右に避けて』顔面を貫きます! 突き攻撃はまずレベル一〇は無いと一撃死するので絶対に避けて下さい!』

 

 言葉の通り、地面を凄まじい勢いで地面を踏みしめたルイン・コボルド・ナイトが手に持った剣で突撃染みた突きを放つ。

 ハクレイとの距離は五メートル。

 しかし、それをルイン・コボルドナイトはたったの一歩で攻撃範囲内へと変えた。

 その必殺の突きを右に回避したハクレイは身長の関係からか思い切りジャンプしてから、逆手に持ったアニールブレードを振り下ろすように突き刺す。

 その際にポイントとなるのは、一度目の突きを避けた後に左腋(ひだりわき)で剣を挟んで直ぐさま二撃目を放てないようにする事だ。身長の都合で地面に足を付けられなかったものの、強引に剣を(わき)に挟んだハクレイは宙に浮きながらの攻撃に成功する。

 

「ギャァッ!? ギィ……!」

 

 顔を貫かれたルイン・コボルド・ナイトは二歩後ろに下がり、顔を押さえて立ち止まる。

 そこをハクレイは何度も切り始めた。

 

『すると、このように相手の視界を奪えます。とはいえ効果は五秒程度なのでその間に攻撃を与えられるだけ与えます。さらに甲冑は攻撃を通さないため、甲冑の隙間を狙うか、剥き出しの顔を狙う必要があります』

 

 今回の場合は剥き出しになった顔ではなく、甲冑と甲冑の隙間を何度も斬りつけていた。小手と胴の隙間や、上の鎧と下の鎧の隙間。即ち腹の辺りを薙ぎ払い、最後に顔面を再び貫いた。

 「攻撃スピードはえぇ」「ポリゴン飛び散ってんな」「HPゲージはまだ緑か」「←もう少しで半分くらい、イエローだな」「凄い!」「幼女が容赦なさ過ぎて草」「大の大人サイズのモンスターが手も足も出てねぇww」「最初から思ってたけどエグいわwww」

 安定した攻めを見せるハクレイにコメントもかなり安定している。

 

(よし、良い調子。もしかしてルイン・コボルド・ナイトはβ時から変わってないのか? いや、決め付けるのは早いか)

 

 今のところ攻撃ミスもなく、順調に体力を減らしている事にハクレイは安堵する。

 ルイン・コボルド・ナイトのHPはもう半分ほどまで削れていた。緑ゲージから黄色ゲージへと、体力ゲージの色が変わる。元々、ルイン・コボルド・ナイトの強みは攻撃を通さない甲冑で、実際の中身は少し強いだけのルイン・コボルド・センチネルなので、それを完全に無視して攻撃を続ける事の出来れば大したことの無いボスだった。危険があるとすれば、一撃死しかねない突き攻撃のみである。

 そして体力ゲージが黄色に変わるそのタイミングを見計らってハクレイは説明した。

 

『ルイン・コボルド・ナイトは体力ゲージが黄色まで削れると、剣を捨てて槍を取り出します。その後前方に一突きしてからは、完全にランダムな動きになるのでこちらの技術で対処します。とはいってもその前に決着を付けますけどねッッ!!』

 

 言った時、目の前ではルイン・コボルド・ナイトが剣を捨てて槍を取り出していた。勿論、この間を待ってやる筈もなく、ハクレイはルイン・コボルドナイトを滅多切りにする。

 そしてルイン・コボルド・ナイトが完全に槍を取り戻したタイミングで、

 

「ギッ……ッッ!!」

『このタイミングで後ろに仰け反ります!!』

 

 叫んだ直後、さながら『マトリックス』のごとく後ろに仰け反ったハクレイの直ぐ鼻先をヒュン!! と音を立てて槍が突き抜けていった。ギリギリのタイミングである。

 「おおおお!」「危ねぇ!」「ああああ!」「ジャストタイミング」「心臓ドキドキするわw」「やべえええ!!」「マトリックスかよww」と、コメント欄も盛り上がる。その間、ハクレイはウィンドウを開き、何やら操作した。

 その時間は一秒か、二秒か。とても短い時間で操作が完了したのか、ハクレイはウィンドウを出現させたまま槍の棒の部分を掴んで、槍の上へと飛び乗った。そこから更に跳躍する。

 空中。

 跳ね上がった空でハクレイは先程開き、操作したまま放置していたウィンドウのボタンを押した。

 

『武器変更・ハンドアックス』

 

 同時、ハクレイが握る剣が斧へと変わる。

 空中に跳び上がっていたハクレイはハンドアックスを両手で握り、ニヤリと笑い、

 

『後はハンドアックスを振り下ろせばぁあああああッッ!!』

 

 槍を回避され、跳び上がったハクレイを見つめて棒立ちするルイン・コボルド・ナイトの脳天目掛けて思い切り斧を振り下ろすーーーー!

 直後、斧が顔面にめり込むと同時、ルイン・コボルド・ナイトの顔が縦に千切れていった。

 そして、HPゲージが勢いよくイエローからレッドゾーンを飛び越え、全損する。

 それからルイン・コボルド・ナイトがポリゴンの波へ変わり、カランと音を立ててハンドアックスが地面に落ちた時、ようやくコメントがハクレイの耳に届いてきた。

 「おおおおおお!!」「888888888(パチパチパチパチパチパチ)」「すっげえええええ!!」「やりやがった!!」「幼女強い!」「幼女はやっぱり強かった!」「おおおおお!!」「ハクレイ兄貴流石やで!」「ハクレイー!」「ファンになりました」「これは惚れた」

 いずれのコメントも沸き立ち、興奮している様子だった。勿論ハクレイもその例外ではない。しかし余韻に浸る事なく、ハクレイはハンドアックスを回収すると再び走り出す。

 そうして初めて、ハクレイは喜びの声を上げた。

 

『やったぞお前ら! 修正されてなくて良かったです。ここをノーミスでいけたのは大きいですね。練習で結構、槍の上に乗るとこでミスしてたので』

 

 β時は飛び乗った時にバランスを崩し転倒、そこを滅多刺しにされた経験がある。思い出しただけでトラウマが蘇るが、ここを無事に突破出来たのは良かった。

 そんな感じで戦闘の感想を言っていると目の前にウィンドウが表示される。

 

『初のフィールドボス攻略おめでとうございます。今回、貴女が最速でのルイン・コボルド・ナイト撃破となりますので、最速ボーナスとして五〇〇〇〇コルを贈呈します。なお、貴女の名前を全プレイヤーに公開する事も出来ますがどうしますか? 公開ネームは別に作る事も可能です。一日以内に返事が無い場合、非公開とさせて頂きます』

 

『あれ、何だこれ。最速ボーナスはともかくとして全プレイヤーに公開なんて知らないんだけど』

 

 困惑するハクレイだが、コメントでは「やれよ」「最速キター!」「これガチでいけるぞ!」「おー!」「おおおお!!」「スゲー!!」とかなりの盛り上がりようである。

 

(うーん……これは)

 

 一方でハクレイの心境は複雑だった。

 実況者としては名前を連ねてみたい気持ちがあるが、流石に実況を見てくれているリスナーはともかくSAO内に自分の名前が広がるのは何か嫌だった。

 だが、『公開ネームを別に作れる』という部分を見てハクレイは名案を思い付く。

 

『公開ネームをハクレイではなく、RTAさんでやれば』

 

 言って、公開ネームを作成してハクレイが返信すると、直ぐさま返信が返ってきた。

 

『かしこまりました。それではプレイヤーネーム『RTA』で公開させて頂きます』

 

 そのままで良いので放置してハクレイは次の目的地へのルートを考える。

 そして真っ直ぐと記憶通りの道を走って行ったところで、メッセージが届いた。

 なんだなんだ、とハクレイがメッセージを確認すると、そこにはこう書かれている。

 

 

【※重要 全プレイヤーの皆様へ】

 

『この度はソードアート・オンラインをご利用頂き誠にありがとうございます。

 今回、初めてのフィールドボス討伐者が現れましたのでご報告させて頂きます。

 公開ネーム【RTA】さんが『ルイン・コボルド・ナイト』を討伐しました。

 最速ボーナスとして五〇〇〇〇コルを進呈されます。

 

 尚、最速ボーナスはクエスト、フィールドボス、フロアボスを対象としております。

 死亡ボーナスなどはありませんので留意下さい。

 またそれぞれのボーナスに関しまして、クエストは上位三名。フィールドボス、フロアボスはトドメを刺したプレイヤー、一名とさせて頂きます。

 また、討伐、クリアが早いほど報酬が高く、フロアボスに関しては特別な装備を獲得出来ます。フィールドボスをパーティで討伐した場合、コルのみ人数で割って分配となります。

 フィールドボスは一つの層に複数いる場合がありますのでご注意下さい。

 以上で説明を終わります。

 分からないことがありましたらメニューにある『質問』へとお願い致します。

 

 

『……マジか。全プレイヤーに公開ってこれか』

 

 

 わざわざ全プレイヤーにメッセージを配布するというのは予想外だった。掲示板か何かで公開される程度だと思っていたのだが、存外大きく広められてしまっている。

 「これでトッププレイヤーだな」「現状最速最強か」「良いね」「つかこのシステムで良いのか? 強者がどんどん強くなるけど」「←分からんけど、面白ければよくね?」「←いや、問題だろ。コルも多いし」「まぁ本来パーティ組んでやるゲームだしなぁ」と、何だかコメントも意外そうな様子だった。

 というかその疑問はある。

 

(現状、俺がコルを総取りしてるよな。初心者プレイヤーに恨まれそうなんだけど。RTAとか何だよふざけんなって怒鳴られそうなんですけど。つかβの時、デスペナルティあんま大きくなかったのに、これはシステム的に良いのか?)

 

 完全に強者至上主義だった。

 何かやるせない気持ちがある。

 

『……まぁ過ぎた事は仕方ない。幸いにもプレイヤーネームで公開はしてないから、バレなきゃ問題無いだろ。じゃあこのままトールバーナ向かいますねー』

 

 何だかフィールドボスを討伐した時の熱い気持ちが削がれてしまったハクレイは、それでも前へ前へと進んで行くのだった。

 




 


「一言」
今まででもそうだけど今回で完全にやっちまった感があります。
そろそろ『本編の終了』も見え始めてきたのでこのまま頑張ります。

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