周りの友達たちが書け書けとうるさいため、初めてssを投稿させていただきました。
最初は仕方なく書いていましたが、段々とその気になって、書く事に夢中になっていました!
初めてのため、まだまだ至らない点があると思いますが、そこはどうかご容赦ください。
それでは、物語の始まりです。
少年は火の海に一人立っていた。
数分前まではいつもと変わらない日常だった。
────しかし、その日常が一瞬で壊された。
そこは紛れもなく町であった場所。人々が行き交い、活気に溢れていた。今は────何もない。
やつが動くたびに、ありとあらゆるものが潰される。
ドラゴンと呼ばれる超常生物の一体。
ブルー・ドラゴン──“青”のヘカトンケイルは移動をするだけで町一つを破壊するほど巨大であり、世界を気の向くままに放浪する青き竜。
その姿は青い鱗で覆われ、動くたびに鱗の一部が発光して奇妙な文様が浮かび上がる。加えて、たまに雲間から覗く頭部には目も鼻も口もなく、角のような突起物が一本生えているだけ。
まさに──顔なしの巨人。
運悪くその進路上に位置していた町は、滅びを受け入れる他はない。
命が惜しければ、住人は踏み潰される前に逃げるしか選択肢はなかった。
この町の住人も例外なく全員逃げたはずだった────が、ただ一家族だけ逃げ遅れてしまった家族がいた。
「お母さん!お父さん!」
少年は泣きながら両親と共に走る。
しかし、ヘカトンケイルが一歩踏み出すたびに地面は大きく揺れ、その衝撃で周りの家は崩れる。
三人は必死に走るが揺れのせいでうまく走れず、ヘカトンケイルとの距離は縮まっていく。
ドウゥゥゥゥゥゥゥン──────!!
ひときわ大きな揺れが起こり、地面が波うった。
両親はしゃがんでバランスをとるが、少年は震動で体が浮き、バランスを失って倒れてしまった。
少年の元に母親が走りよってくる。
「お母さん……!」
少年は泣きながら立ち上がり、母親に手を引かれ走り出そうとした────が
ドウゥゥゥゥゥゥゥゥン──────!!
再び大きな衝撃が走り、少年はその場にしゃがんでしまう。
揺れがおさまり、走り出そうと立ち上がった少年の耳に
……────バキッ
何かが砕けるような音が響く。
少年が顔を上げると────目の前の家が雪崩のように崩れてきた。
呆然としている少年の元にガレキが降ってくる。
バキバキバキッ──ガラガラガラガラガラ
ガレキが押し寄せてくる中、少年は何かに突然突き飛ばされた。
────ドンッ……
ガッシャーン!!……ガラガラガラ
家は完全に崩れ落ちた。
煙が充満する中、少年は…………助かっていた。
強く倒れたせいで体に痛みがあるが、少年にはそれ以上の衝撃が走っていた。
少年の目に写っているのは、ガレキの下敷きとなった二人の人影────両親の無惨な姿。
「っ!……お母さんっお父さんっ!」
少年は両親に呼びかけるが返事はない。
「お母さ────」
もう一度呼びかけようとした少年は気付いてしまう────両親が、息をしていないことに。
「そ……んな……」
かすれた声で言いながら一歩踏み出すと、ピチャッという音が聞こえた。
足元には────赤い血だまり。
その赤色は、少年にこれ以上ないほどの絶望を与えた。
ドウゥゥゥゥゥゥゥン──────!!
ヘカトンケイルはなおも前進を続けていた。
「……ない。……なんか」
少年の声はとても震えていて、何を言っているのか分からない。だが、拳を握りしめ顔を上げると、次ははっきりとした声で
「許さない!おまえなんかっ!死んじゃえぇぇぇ!!」
ヘカトンケイルを睨みながら叫んだ。
すると、ヘカトンケイルの周りに無数の黒い球体が表れる。
球体がヘカトンケイルの腹部を覆った瞬間。
────バンッ!!
はじけるような音が響き、周りが暗闇に包まれた。
────────!!
暗闇の中、ずっと耳鳴りのように、キーンという音が鳴っている。
少年は思わず耳をふさぎ、目をつぶった。
どれぐらいそうしていただろうか、不意に音が消えると共に周りが明るくなる。
おそるおそる目を開けた少年は、自分の目を疑った。
──────ヘカトンケイルが消えていたからだ。
さっきまでいた巨人の姿は跡形もなく、周囲は火の海と化していた。
怒りをぶつける相手を失った少年は、ただ泣くことしかできなかった。
「──────君はなぜ泣いているんだい?」
泣いている少年の背後から声が聞こえた。
少年が振り返るとそこには一人の女性が立っていた。
「……僕のせいで……お母さんとお父さんが……死んじゃったんだ……」
少年が答えると女性は続けて言う。
「君のせい?いやいや、君のせいではないよ。君の両親は自ら望んで君を助けたんだ」
その言葉を聞いた少年は目を丸くした。
「なん……で……」
「あ〜。実は君達の様子をずっと見ていてね。それにしても、子供のために命を投げ出すなんて、親というものは理解に苦しむよ、まったく」
そう言うと女性は薄笑いを浮かべた。
少年は、女性を睨みつける。
「そんな怖い顔しないでほしいな。感じ方は人それぞれじゃないか。それに、君が憎むべきは私ではなくドラゴンだと思うけどね」
少年は一瞬ハッとして、俯いてしまった。
女性はそんな様子を見て笑顔を消して問いかける。
「君はドラゴンが憎いかい?親を殺したドラゴンが」
少年はその問い顔を上げ、首を縦に振った。
すると、女性はまた笑顔になって
「そうか。それじゃあ私と共にドラゴンを倒さないか?幸い君にはその才能がある」
「え?僕は全然強くないよ?」
よく分からないといった顔で言う少年に、女性はこう告げる。
「そんな事はないよ。君はさっきヘカトンケイルを撃退したじゃないか」
「……僕が?」
少年が自分を指さして問いかけるのを見て、女性は少しだけ目を見開いた。
「君は知らずに力を使っていたのかい?……やはり君はただの“D”ではないのかもしれないな。もしかしたら……」
急にぶつぶつと言い出した女性に、少年は首を傾げる。
数秒後に女性は少年を正面から見据えた。
「いいか少年。よく聞くんだ。君がヘカトンケイルを撃退できたのは、君もドラゴンの一種だからなんだ」
「えっ。そんな……」
その言葉を聞いた少年は激しく動揺した。自分があの化け物と同じだとは信じられなかったからだ。
「落ち着け、少年」
そんな少年に女性は諭すように言う。
「君はドラゴンを憎んでいるんだろう?その気持ちがあれば大丈夫だ。それに私が、君が
女性の言葉に少し違和感を感じたが少年は自分がドラゴンにならない事を優先したため女性の言葉に頷いた。
「よし。それでは自己紹介をしておこう。私はフレイ・バナラント。呼び方は好きにしてかまわない。君の名前は?」
「……天夜……輝魔」
少し間をおいて少年──輝魔は自分の名前を告げた。
「輝魔か……。それじゃあ輝魔」
女性──フレイは輝魔の名前を呼ぶと、怪しく笑う。
「私と共に、この世からドラゴンを一人残らず殺そうか」
最後まで読んでいただきありがとうございます。
千字程度で終わるかなと書いていたらあっと言う間に越えてしまい少しびっくりしました!
それはさておき、物語の内容はどうでしたか?
今回はオリキャラの過去編=プロローグとしました。
本作の主人公の悠君は次回から出る予定です。
しかし、続編はまだ決まっていません!すみません!
もし皆様から「続きを早く書け」や、「いつ続編を出すんだ!」といったコメントがもし来るのであれば(0%に近いと思いますが)続きを書かせていただきます!(都合上、早くても4月になってしまいますが……)
↑のコメント以外にも、この作品に関することでも関係無いことでもコメントを受け付けております。アドバイスなど思ったことがあれば、ためらいを捨てて書き込んで下さい!
それでは、出会える時まで……