転生したら始祖で第一位とかどういうことですか   作:Cadenza

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あぶねぇあぶねぇ。危うく31日になるところだった。二カ月以上振りの本編です。お待たせしました。

では、どうぞ。



次なるハジマリ

 ロシア、モスクワ。ボリショイ劇場。

 

 舞台では劇が演じられていた。白いドレスの女性たちが優雅に踊り、舞台の中心にいる男性が見事な歌声を披露する。

 しかし役者たちは皆一様に、隠し切れない恐れの表情を見せている。

 ただ一人の観客の様子をチラチラと伺いながら、些細なミスも決して犯さないように、それこそ命懸けな面持ちで。

 

 世界滅亡以前ならば二千人以上の観客が観劇できたであろう席には、今やただ一人。本来なら皇族や王族、VIPの中のVIPであるロイヤル専用の一際豪華で舞台を一望できる席に座っていた。

 

 褐色の肌に銀髪、そして吸血鬼特有の血のように紅い瞳。軽く片肘をつきながら観劇する彼の名は、ウルド・ギールス。第二位たる吸血鬼の上位始祖である。

 

「ま〜た観劇ですか?」

 

 ウルドの背後から声がかかる。

 

「家畜どもが歌うのを見て何が面白いのでしょう? 歌が上手い人間は血も美味しいとか?」

「……何の用だ、レスト・カー?」

 

 左右で赤紫と白銀に別れた髪を持ち、シルクハットの様な帽子をかぶった見た目は十二〜三歳程度の少年。しかしその実、第三位始祖の吸血鬼という人外。実年齢も見た目通りである筈もない。

 アークライトを含める始まりの吸血鬼から直接的に血を与えられ転生した、ウルドと同じく子世代もしくは第二世代と呼ばれる、全体で数パーセントしか存在しない吸血鬼である。

 

「お前の統治領はドイツだ。持ち場に戻れ」

「僕はアークライト様より統治のノウハウを教わりました。ドイツに僕の仕事はありません」

 

 そう誇るレストの表情は嬉しげだった。

 

 吸血鬼は人間から転生した者が大半だ。そして吸血鬼の外見年齢は基本的に吸血鬼になった時から固定される。老いることも、変化することもない。

 レストも例外ではなく、そしてその外見年齢は十二、三歳。即ち吸血鬼になった頃は、見た目相応の年齢だったということになる。

 今で言えば小学の高学年か、中学生程度。加えてレストが吸血鬼になったのはもう十世紀以上前。その頃に教育を施してくれる機関などない。

 更にレストを吸血鬼にした始まりの第三位は、吸血鬼にしてそのままさようならしたのである。後で聞くと己の眷族ならば問題ないと思っていたらしいが、せめて吸血鬼の仕組みくらい教えろよと言いたくなった。

 

 吸血鬼に成り立てで右も左も、力の使い方も分からなかったレスト。そんな彼が出会ったのがアークライトだった。アークライトにはとても世話になった。吸血鬼の仕組み、力の制御法に応用、いずれ上位始祖として領地を治める為のノウハウ。

 共に過ごしたのは数年だが、レストがアークライトを慕うには十分な時間。今もそれは変わらない。

 

 尚、話を聞いたアークライトによって親である始まりの第三位は即死しない程度で殴られたらしい。ざまみろ、と少し思った。

 

「ですがクルル・ツェペシが治める日本は違う。何か異変が起きたようです」

 

 だからこそ、アークライトが直接動く事態になった今回の一件は、非常に気にくわない。

 

「ギールス様はまだ聞き及びではありませんか?」

「……?」

 

 ギールスは僅かに首を傾げる。そこで、観劇席の扉が勢いよく開かれた。

 

「ギールス様!!」

 

 入って来たのは配下の吸血鬼の一人だった。その顔には焦燥が浮かんでいる。

 

「日本で……人間どもが再び、《終わりのセラフ》実験を行いました!!」

 

 かくして語られた内容は、二人をしても予想外のものだった。

 

「……《終わりのセラフ》? 日本にはアークライトが向かった筈だ。みすみす何故……」

「あくまで日本はクルル・ツェペシの管轄です。指揮を執っていたのもクルル・ツェペシ。彼女には荷が重かったのでしょう。やはりクルル・ツェペシの管理能力には問題が……」

「鎮まれレスト・カー。それで?」

 

 横から口を挟んできたレストを遮り、配下へ続きを促す。

 

「それが……緊急に上位始祖会を開きたいと、日本から通信が来ています。第一位始祖様も出席するそうです」

「上位始祖会……」

 

 その報告にウルドは訝しげに目を細め、レストは嘲るように軽く笑った。

 

「はは、何それ。失敗した言い訳でもするつもりか。アークライト様の前で何を言うのか楽しみだな」

 

 

 

 ◆ ◆ ◆

 

 

 

 空は世界が滅亡しているなどとは感じさせない程に晴れ渡っており、周りを見れば人間の子供らが走り回っている。おおよそその表情から悲壮感や絶望などといった類は感じられない。

 民は国を表すというが、これを見ればそれだけこの地を治めるウルドの統治が上手くいっているということだろう。

 

 ウルド・ギールスとレスト・カー。二人の上位始祖は、上位始祖会の場がある聖ワシリィ大聖堂へ向かっていた。

 

「人間が楽しそうだ。文化レベルも丁度いい。ギールス様は正しい吸血鬼の見本のような街をお創りになる」

 

 人間たちの様子を眺めたレストが呟く。紛れもない賞賛なのだろうが、ウルドの反応は冷淡だった。

 

「それは嫌みか?」

「いえいえ、そんな。あいにく僕は、アークライト様やギールス様のように人間を好意的に見ることができません。僕ではこのような――アークライト様のアヴァロンのような街は創れない」

 

 手を振りウルドの皮肉を否定しながらも、レストは語る。

 

 レスト・カーはまさに吸血鬼だ。傲慢でプライドが高く、人間を見下す。

 そう、レストは共存派の筆頭であるアークライトと過ごしたことがあるにも関わらず、人間は管理すべきだという考えだった。とは言っても、その統治が人間を家畜のように扱うものかというと、そうではない。

 

 秩序と明確な治政を保って、安泰した支配を敷く。人間を見下しながらも、レストの統治は善性なのだ。

 だが、根本的なものは歪んでいるので、真の共存を実現しているアヴァロンには程遠い。それでもアークライトは、それもまたよしと認めてくれている故、レストは決して暴君になることはないだろう。

 

「私など所詮、猿真似に過ぎん。お前も十分に理解できている筈だ」

「ええ、まぁ。確かに人間は吸血鬼の支配を受け入れている。だがそれは恐怖によるもの。もし人間が抗う力を手に入れれば、必ず抵抗するでしょう。支配を嫌う生き物ですからね、人間は。例外はアークライト様のアヴァロンくらいなものでしょう。様々な意味で異端ですから」

「今の世界は瀕死だ。いつ息絶えてもおかしくはない」

「だからこそ、欲望が異常と言ってもいいほど強い人間ではなく、我々が何とかしなければならない」

 

 憮然とした面持ちでウルドが続ける。

 

「世界の存続こそが、アークライトの意志だ。人であれ吸血鬼であれ、どちらも滅びてはならない。この非常時に争っている場合ではないのだ」

「それをどれだけの始祖が理解しているか疑問ですが」

「…………」

 

 ウルドの表情が不機嫌で不満そうなものに変わる。

 

 そもそも理解が広まっていないのは、アークライトがあまりアヴァロン以外と関わろうとしないからだ。抑止力でもあるあいつがそう簡単に動けないのは理解している。だが数百年も引き篭もりはないだろう。

 ここ数十年会っていない友に文句を言ってやりたくなった。

 

 そうしているうちに聖ワシリィ大聖堂内部の通信室へ到着する。既に複数の投影モニターが展開されており、どうやらウルド達が最後のようだった。

 ただ、平時の上位始祖会に比べ、人数がだいぶ少ない。

 

「集まったのはこれだけか?」

「なにぶん、急な呼び出しでしたので……」

 

 配下が申し訳なさそうに恐縮し、慌てながら続ける。

 

「京都サングィネムへ通信を繋ぎますか?」

「ああ、繋げ」

 

 中央のメインモニターに光が灯り――複数の魔法陣によって拘束されたクルル・ツェペシが映し出された。始祖たちがざわめき、場に困惑が満ちていく。

 

 そこで、画面の端からヒョイッとフェリドが現れた。呑気に手を振り、顔にはいつもの飄々とした笑みを張り付かせて。

 

「あれぇ〜、これもう繋がってる?」

「……フェリド・バートリー」

 

 目を細めこちらを見据えるウルドを見つけると、フェリドは恭しく胸に手を当てる。

 

「これはこれは、ウルド・ギールス第二位始祖様」

 

 続けて会釈のように僅かに頭を下げ、礼をとった。

 

「それに上位始祖のみなさま。この度は急にお呼び立てしてしまい申し訳ありません」

 

 始祖の一人、顔の上半分を隠す仮面をつけた第四位始祖の女吸血鬼が真っ先に口を開く。

 

「なんと……! では上位始祖ではないお前が我々を呼びつけたのか?」

「はい。緊急事態でしたので……」

 

 フェリドは冷静に申し訳なそうに言うが、第四位始祖には関係ない。

 

 元々吸血鬼はプライドが高く、そして現状よりプライドを優先することが多い。己の醜態を晒すのは、吸血鬼にとって死にも等しい。第四位もその例にもれない。

 ましてや今回は、己より遥か下の、しかも上位始祖ですらない第七位に呼びつけられたというのだ。

 全くもってたえがたく、看過できない屈辱である。

 

「ふざけるな! たかだか七位のお前が……!!」

「黙れよ、ニュクス・パルテ」

 

 冷たく有無を言わせないような、鋭い声が第四位の言葉を遮る。

 

「クルル・ツェペシがあの状態なら、日本で指揮権を持つ次に地位が高いのはフェリド・バートリーだ。状況を見てものを言え」

「く……」

 

 より高位の始祖に諌められ、第四位は何も言えなくなる。ただ、感情を優先し、己の品格を下げてしまったことに唇を噛み締めるのだった。

 

 対してレスト・カーは、感情に振り回されず状況を把握した上で判断した。その姿勢はまさに統治者の器。

 この場の流れもレストに傾いたらしく、フェリドに続きを促す。

 

「それで? いったい何があった? そしてアークライト様はその場にいるのか?」

「私はここだ」

 

 沈黙していた大型モニターの一つが起動し、椅子に腰かけたアークライトが映し出される。背後にはキスショットが控えていた。場所はサングィネムでもなく、かと言ってアヴァロンでもない。

 

 一斉に始祖たちが姿勢を正し、フェリドとレストは一礼、ウルドだけはジッとアークライトを見据えていた。

 

「遅れてすまない。移動中故、そちらと通信を繋げるのに手間取った」

「移動中? アークライト様はいったいどちらへ?」

「アヴァロンへの帰路へついている。日本での後始末がひと段落したのでな」

「後始末、ですか?」

 

 首を傾げるレスト。呈された疑問には、変わってフェリドが答えた。

 

「我々日本の吸血鬼は、人間どもが発動させた《終わりのセラフ》によって甚大な被害を出してしまいました。アークライト様により天使は駆逐されたものの、戦力の凡そ半分以上を喪失。貴族も私以下三名を残し全滅。加えて女王の失脚によるトップの不在。我々は混乱を極めました。更に著しく弱体化したとは言え、《終わりのセラフ》を手にした日本帝鬼軍の動きも活発に……」

「待て。天使はアークライトが駆逐したのではないのか?」

「完全にではない。弱体化させた上でまだ生かしている」

 

 《終わりのセラフ》を手にしたという部分で思わずウルドがフェリドを遮った。それに答えたのは他ならぬアークライト本人。

 ウルドが険しい表情となり、瞳には鋭さが宿る。

 

「何故だ。天使を残しておくなど害にしかならないだろう。いつ大洪水に等しい天罰が下り、本当に世界が滅亡してもおかしくない。そうなれば人間も吸血鬼も終わりだ」

「ああ、わかっている。だがウルド、降ろされた天使を完全に滅ぼすには、依代を殺すしか方法がない。しかし依代を殺せば、『器の枠』を空けてしまう。感じた限りだが、どうやら第七までの『器』は全て満たされているらしい」

「なんだと……? それはつまり、人間どもが全ての黙示録の天使を揃えている、と?」

「ああ、その可能性が高い。空席がある状態でならまだいいが、全てが埋まっている段階で『器の枠』を空けるのは得策ではない」

「だから弱体化か?」

 

 ああ、とアークライトが頷く。ウルドは目を瞑り、重々しい雰囲気で腕を組んでいた。

 

 二人だけで話が進んでしまい、何やらそこだけ重い空気の中、それを払拭するようにフェリドが出てくる。

 

「あ〜、えっと、続けますね? 先程もいった通り、我々日本の吸血鬼は混乱を極めました。ですが、そこで立ち上がったのがアークライト様です。各地に残存する吸血鬼を全てここサングィネムに集結させ、アヴァロンの兵の力も借り、現在は大阪へ撤退を進めています。その準備などに追われ、こうして説明の機会を設けるのに一月もかかってしまいました」

 

 そこまで言って、フェリドの背筋に悪寒が走った。思わず冷や汗が噴き出してしまう程の威圧感が襲ってくる。

 レスト・カーが、射殺さんばかりの絶対零度な視線でフェリドを睨んでいた。

 距離があるにも関わらず、下位の吸血鬼や人間ならばそれだけで死にかねないプレッシャーだ。

 

「貴様……フェリド・バートリー。それはつまり、お前達の不手際の後始末をアークライト様にやらせた、ということか」

 

 残った貴族であるクローリーが、フェリドだけでなく自分もレストの激情の範囲内に含まれてると頰を引き攣らせ、クローリーの従者二人は顔を恐怖で蒼白にさせる。

 

 こうなる事は予想できたろうにと、フェリドをチラ見するものの、フェリドは冷や汗をかきながらもその笑みを消してはいなかった。

 

「はい。不甲斐ない限りですが、その通りです。私にトップの器はありません。その為、此度の無様を晒し、本来なら関係ないアークライト様にまでご迷惑をかけてしまいました。どのような沙汰も、甘んじて受け止めます」

「…………」

 

 一切の偽りや言い訳をせず、吸血鬼なら最も忌避する筈の己の醜態と無様さを隠さず晒し、その上で責任は自分にあるという。

 一部の始祖は、無様ではあるが誇りあるその姿勢に感心の声を漏らした。レストも冷たい視線で睨んではいるが、ある程度怒りを収めたらしい。

 

 ただ、普段のフェリドを知っているクローリーは「うわぁ……」とドン引きな表情で後退り、従者組は気持ち悪そうに思わず両腕を擦っていた。

 反応からして三人の中でのフェリドの評価が伺える。

 

 フェリドの処遇を求め、自然とアークライトに視線が集中する。

 

「……フェリド・バートリー。女王が失脚した今、日本で最も地位が高いのは確かにお前だ。だが、あの場でプライドを優先せず、私に指揮権を一時的にとはいえ渡したのは最善と言える」

「いいのですか? アークライト様」

「よい。先を見据えた結果なのだろう。何より、今重要なのはこれからのこと。誰の責任かなどと言っている場合ではない」

 

 恭しくフェリドは礼をする。ただし、モニターには映らないようニヤリと口角を上げながら。

 

「では、本題に入ろう」

 

 アークライトの言葉を皮切りに、上位始祖会は佳境に入った。

 

 そこからフェリドによって語られるクルル・ツェペシの《終わりのセラフ》関与。更に戦力減少による防衛の問題から拠点を大阪へ移すこと。依代を未だ保有し、再び《終わりのセラフ》を行う可能性のある日本帝鬼軍の殲滅。そして、始祖の日本集結。

 

「ウルド、日本での始祖の指揮はお前に任せる。レストはその補佐に回れ。私はアヴァロンで待機し、有事の際は転移で向かう」

「引き受けよう」

「仰せのままに」

 

 アークライトがアヴァロンを長期離れるのはマズい。今回は例外中の例外だったのだ。

 アヴァロンでの待機が妥当だろう。

 

 そうして上位始祖会が終盤に迫った時、ウルドがアークライトに尋ねた。

 

「アークライト、人間が降ろした天使はなんだ? それによって対処法が変わる」

「人間が降ろしたのは第五天使と滅びの悪魔アバドン、前回の上位始祖会の映像が第二天使塩の王だ」

「悪魔まで呼び出したのか……できるなら実際に確認したかったが」

 

 一瞬だけアークライトの眉がピクリと動く。

 

「残念ながら映像の類は……」

「あ、ご心配いりません。アークライト様が《終わりのセラフ》と相対した時点で後々の材料になると思い、こんなこともあろうかと記録しておりました」

 

 フェリドの言葉に、アークライトが若干前のめりになった。

 

「映像に収めていますので、確認の為にも流しましょうか?」

「ああ、流せ」

(よしっ)

 

 中央に新たな大型モニターが展開され、フェリドが端末を操作すると、映像が流れ始める。

 

 映ったアークライトと滅びの悪魔アバドンの神代の戦いに、皆が魅入っていた。レストなど実際にアークライトの雄姿を刮目できると、内心でガッツポーズをする。キャラはどこいった。

 

 アークライトだけは興味がないのか、はたまた見る必要もないのか無言で目を瞑っていた。

 

「…………」

(む、いかん。気絶寸前じゃ)

 

 そんなこんなで、上位始祖会は進んでいくのだった。

 

 

 

 ◆ ◆ ◆

 

 

 

 終わった。色々終わった。

 

 日本での些事を片付け、現在はアヴァロンへ帰還中。正直一月近くもかかると思ってなかった。エリアスに任せっきりだから急いで帰らないと。

 

 その前に、日本を出る時にフェリド坊から上位始祖会を開くことは聞いていたので、通信を繋ぐのに手間取りながらも、遅れて参加。

 それにしても久しぶりにウルドと喋ったな。お互いに統治者なので、レスト坊と同じく気軽に会えない。昔が懐かしい。

 少ない友人の一人だからね。ぼっちじゃないよ?

 リア充で友人もいるからぼっちじゃないよ?

 

 まぁそれは良いとして。上位始祖会もマジな内容で、言う事もそんなにない。

 

 問題は――――

 

 

「……大丈夫か? アーク。揶揄いなしにマジで」

「………」

 

 

 だぁいぃじょおぉぶじゃないよオォオ!!!

 

 ぬわぁぁ……死にたい。穴があったら入りたい。ブリュンスタッドに十年くらい引き篭もりたい。

 

 こうなってる原因はあいつだ。なぁフェリド坊。なに君、俺に恨みでもあるの?

 前回といい今回といい、人の黒歴史を晒してくれちゃって……。公開処刑か!?

 

 ダメだこいつ。真面目に特級警戒対象認定。SAN値が直葬してしまう。

 久しぶりに厨二病が再発してハッチャケて、日本の吸血鬼に目撃されて、何時もの如くキスショットにいじられて。まぁこれはしょうがない。

 

 だ・け・ど、なんで上位始祖会で晒されなきゃあかんのじゃい!!

 

 おかげで気絶するかと思った。キスショットの指弾がなかったら、マジで意識飛んでた。

 フェリド坊、自分にはトップの器はないと言ってたけど、そりゃそうだ。トップじゃなくて裏方。裏で暗躍して表を掻き回し、意のままに操る黒幕タイプだ、アレは。本当に要注意だ。

 

 ああもう、この話終わり! これ以上は心臓に悪い!

 

「かかっ、もしやかつてのうぬと儂の喧嘩に匹敵するダメージを負ったのではないか?」

 

 だから終わりだっての! マジでこれ以上は堪忍して!

 

「わかったわかった。念話で泣きそうな声を出すでない」

 

 はぁ……疲れたわ。精神的に。

 

 取り敢えず大体は予定通り。後はあの子たちか。

 

「エリアスに任せたのじゃな」

 

 交渉ごとになりそうだったからね。そっち方面はエリアスの方が向いてる。コミュ障の俺が行ったら拗れそうだ。

 

「儂とうぬでは剣を交えた分、警戒されるかもしれんしの。初対面というハンデはあるものの、エリアスなら上手くやるじゃろう。アークのいう通り、そっち方面は儂らを遥かに上回るからの」

 

 そうそう。頼んだよ、エリアス。

 

 




今回の話、寝落ちした所為で急いで書いた部分があるので、後々追加修正するかもしれません。
現在お正月休みなので、もしかしたらもう一話近いうちに投稿できるかも。
次回は優たちとエリアスのお話。お楽しみに。

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