バカと中華小娘とお姉さん   作:村雪

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 どうも、村雪です!とうとう年末まであと少しとなりましたが、いくつになってもこの時はわくわくしちゃいますね!

 さて、活動報告にも書いたのですが今週は少し早めに投稿をさせていただきます!おそらく今年最後の投稿となるのではないでしょうか!
 で。そんな大きく意味のある今回なのですが・・・少し、というかけっこう『これどうなの!?』『うわっ、どんびきや!』と思っちゃう場面がある気がします!


 もしかしたら村雪の思いすぎで『ふ~ん』とか『なんや~』程度に思われるのかもしれませんが、いちおう念のために書いておきますね!


 何のことかについては読んでいってもらえれば分かると思いますが、果たして今年最後の投稿、満足していただけるのか・・・!


―――ごゆっくりお読みください。


参入―喧しい、わね。いったい何に騒いでんのよ

 

『バッ、バカなお兄ちゃ~~ん!!しっかりしてです~~~!!』

 

『こっ、このバカ、顔がソーダみたいに真っ青なのよさ!ええい仕方ない!アタイが人工呼吸をしてやろうじゃなハゴッ!?』

 

『だっ、だめよチルノッ!そんなうらやま、じゃなくて大事なことはウ、ウチがやってあげるわ!チルノはチルノらしくその辺で適当に泳いでて!』

 

『なんかものすごく子供扱いされたわっ!?』

 

『ぬ、ぬけがけはダメです美波ちゃん!じゃじゃなくて!わわっ、私も人工呼吸を手伝います!というかててて、手伝わせてくださいっ!』

 

『美波、瑞希。レスキューしようって気もあるんだろうが、顔がすっげー場違いなもんになってるぞ?早く吉井を助けてやろうぜ』

 

『そうよ2人とも。もしものことがあっては大変だから早く行動しないといけないわ。決まらないんだったら、私がやって――』

 

『絶対やんなよ!やったら吉井をしばくからなっ!?』

 

『ええええっ!?そこは吉井君じゃなく私をしばくところじゃないの!?』

 

『アリスをしばくヤツなんざ全身全霊で抹殺してやるぜ!!』

 

『気持ちは嬉しいけど報復が物騒すぎるわよ!?』

 

 

『ううむ。明久がどんどん手遅れな状況に近づいていく気がするのじゃが・・・』

 

『・・・・・顔色がさらに悪化』

 

『いかんのじゃ。ムッツリーニ、人工呼吸は出来るじゃろうか?わしはあまりやったことがなくてのう』

 

『・・・できるが、男にはできない』

 

『さらりと変態じみたことを言いおった!?人工呼吸に男も女もあるまいじゃろっ!』

 

『・・・精神的ダメージが大違い』

 

『友情をもっと大事にせんかっ!むう、仕方ない。あまりやったことはないのじゃが、やって出来んことはあるまい――』

 

『・・・・・っ!美少女との接吻、許すまじ・・・!(ギラリッ)』

 

 

『り、利己的にそこまで動くお主は絶対に地獄に落ちるのじゃ!そして!じゃからわしはどこからどう見ても男じゃあああ!』

 

『・・・どこから見ても、女にしか見えない・・・!』

 

 

 

 

 

「こら!!だめですよ咲夜さん!皆が大慌てになってるじゃありませんか!」

 

「う・・・だ、だって、あの変態がまたふざけたことを言ったのよ!原因は向こうにあるわっ!」

 

「それでもやりすぎですっ!吉井君があと一歩で天の使いに招かれるところだったんですよ!?分かってるんですか!?」

 

「ふ、ふんっ!あの男に来るのは天じゃなくて地獄の使いで十分よ!」

 

「反省する気ゼロかこらぁ!(ピシッ)」

 

「いたぁいっ!?」

 

 

 聞き分けの悪い咲夜さんに少し強めにデコピンです!時に厳しく妹をしかるのが姉の役目ですから問題ありません!というか私はいっつもチョップされてるから可愛いぐらいのお仕置きです!

 

 

 さて。なぜこうなってるのかなのですが、吉井君にものすごい怒気を向けていた咲夜さんが、なんと彼をプールに沈めるという恐ろしいことをしでかしたのです!咲夜さんを毎度怒らせる吉井君もそうですが、今回はそれに対する咲夜さんの報復もハンパない!

 

 それを私たちが全力でやめさせ、瑞希さん達にレスキューを頼み、私は咲夜さん正座させ、珍しく鬼となってしかりつけているのでございます!咲夜さんが何を言おうと、今の私のお叱りモードは止められませんよ~!?

 

 

 

「そりゃ咲夜さんにも怒る権利はあるんでしょうけど、あまりにやりすぎたらダメってことぐらい分かるでしょうが!もう少しソフトにですね――」

 

 

「メ、メイリン!そんなに咲夜を怒ったらいやだよぉ!」

 

「そ、そうよ美鈴!あの人が咲夜にひどいことを言ったのが悪いんだものっ!怒るならあ、あの人を怒るべきよっ!」

 

 

「お、おっと!?」

 

「フ、フラン、レミィ・・・ッ!!」

 

 

 

 私と咲夜さんとの間に、レミィ、フランの妹組が割り込んで咲夜さんを擁護しました。

 うっ、この2人にやめてと言われては止めるしか・・・!ってこら咲夜さん!感激の目で二人の背中を見つめないで!そして2人は涙目で私を見上げないで!?それだと私が思いっきり悪役ですから!私は3人のお姉ちゃんなのよっ!?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あれ?なんだか大所帯だね?」

 

「んー?あら、咲夜も代表もアリスもいるじゃない。しかもガキんちょ達も・・・水泳大会でもやってんの?」

 

「ちょっと博麗。ガキんちょなんて言い方はないでしょ。子供にくらい優しくしてあげなさいよ」

 

「良いのよ別に。知った顔だし。・・・まあ、一人知らない子がいるけど」

 

「思いっきりだめじゃないバカッ!」

 

 

 

 そんな元気な女子の声が、大ショックを受けている私に聞こえてきました。

 

 

 

「・・・愛子?霊夢に優子も」

 

 

「やっほ~代表。プールを誰か使ってるのは分かってたけど、代表だとは思わなかったよ」

 

 

 プールの入口から入ってきたのは、霧島さんの言うとおりAクラスのメンバー。

 

 爽やかでボーイッシュな髪型の工藤愛子さんと、秀吉君の双子の姉である木下優子さん。そして、可愛らしくておっきな紅白リボンを頭に付けてるのにその気だるげな顔が惜しい友人、博麗霊夢の三人でございました。

 

 

「あっ!れいむも来たんだ~!!」

 

「・・・!きっ、奇遇ね霊夢!まさかあなたが来るとは思っていなかったわ!」

 

 

 フランとレミィは霊夢が来たことに、嬉しそうな嬉し恥ずかしそうな顔をします。中でもレミィはご近所である霊夢をいたく気に入っていて、霊夢に会うたび積極的に声をかけているのです。

 

 

「私もあんたらがいるとは思わなかったわ。っていうか、あんた泳げたのねレミリア」

 

「おっ、泳げるわよ!バカにしないで霊夢!泳ぐのは得意なんだからっ!」

 

「へ~・・・そうなの?へ~・・・・」

 

「ぜっ、全然信じてないでしょ!ねえ!?ホントだから信じてよ~!!」

 

「分かった分かった。レミリアはやればできる子ねー。すごいすごい」

 

「う、うううううう~~!!」

 

 

 しかし、それに対する霊夢の言葉がこれですよ。もー!もうちょっと優しい話し方ってものがあるでしょうに!またレミィがう~う~状態になっちゃったじゃないですか!ごちそうさ、じゃなくて妹を泣かせるのは許しませんよ!!

 

 

 

 

「で、Aクラスの3人がどうしたんだいったい?」

 

「ボク達もプールに泳ぎに来たんだよ。霊夢がすっごいプールに行きたがってね~!」

 

「こんな暑いんだから誰だって入りたいわよ。つーか愛子もノリノリだったじゃない」

 

「あはは。まあこれでも水泳部で泳ぐのが好きだからね~」

 

 

 へ~。工藤さんは水泳部だったのですか。やたらと保健体育の話が好きなのもその影響でしょうか?

 

 

「私は来たくて来たんじゃないけどね。博麗の奴がしつこく誘ってくるから、仕方なくよ」

 

 

 のんびりした雰囲気の工藤さんと霊夢ですが、一人だけむすっと顔をしている女の子が1人、木下さんです。

 

 

「恩着せがましい言い方ね。あんただって来るって決まってからは楽しそうにしてたでしょうが」

 

「しっ、してないわよ!勝手なこと言ってんじゃないわよバカ博麗っ!」

 

「バカとは何よ、この意地っ張り木下ちゃん」

 

「ここ子供みたいな呼び方するな!それ以上言ったらプールに沈めるわよ!?」

 

「その時は水着をひん剝いてやるわ。覚悟してなさい」

 

「ひん・・・っ!?は、博麗ぃ~・・・っ!」

 

 

 

 

・・・はい。お2人は相変わらず絶好調のようですね。ナカガイイのは構わないのですが、間の工藤さんがものすごく居心地悪そうにしていますから手加減してあげてください。

 

 

 

「ま、まあまあ2人とも。せっかくここまで来たんだから楽しもうよ!じゃないとそろそろボクの心が2人のプレッシャーに押しつぶされそうだからさ!」

 

「む。それはそうね」

 

「ご、ごめん愛子。でも悪いのは博麗なのよ!」

 

「あん?私のせいにする気?」

 

「それ以外に誰がいるのよ?」

 

「私の目の前にいる木下優子って女」

 

「うぐ・・・!よ、よくもそんなに堂々と言えるわね・・・っ!」

 

「事実でしょうが」

 

「こ、この女だけはぁ~・・・!!」

 

 

「・・・もおおおおおお!!ボクの必死の仲裁を聞いてよぉ~~!!代表!アリス!咲夜~っ!」

 

 

 あ、工藤さんのハートが限界を超えたようです。涙目になりながら、2人の鬼の間から正座している咲夜さんの胸の中に・・・ってちょおおおおい!?誰の許可を取ってその聖地に踏み入ってるんですかごらぁあああ!!

 

 

「っと。愛子、私は今正座中なんだけど・・・まあ、とにかく頑張ったわね。大したものよ」

 

「う~~!咲夜はやっぱりボクの味方だよ~!!」

 

 

 べ、、別にいいって咲夜さん!?私はっ!?いつもハグしてもらおうとしたら手痛い一撃をもらっちゃう私はどうしてダメなんですかっ!

 

 

「・・・・・・・大丈夫。愛子はすごく頑張った。いけないのはあの2人」

 

「まったくその通りよ。こら!霊夢、優子!愛子がこう言ってるんだからやめなさい!」

 

「それは出来ない相談ねアリス。売られたケンカは絶対に買うのが私の信念よ」

 

「アリスは黙ってなさい!バカにされて黙ってるなんて女が廃るってものよっ!」

 

「お、女の子なんだからそんなかっこいい言葉じゃなくてもっと穏やかな言葉も使いなさい!」

 

 

 アリスの言葉にも全く応える様子がないお2人。きっとこの2人は神様が性別を間違えちゃったに違いありません。こんなに男らしくストロングな女の子がいてたまりますかっ!(※その言葉、思い切りブーメランです)

 

 

「別に仲良くしろとは、私ももうこの際言わないわ!ただコミュニケーションを温和にすませるくらい心がけ――」

 

 

「よーしそんじゃ泳ぎに行きますか~。行くわよ愛子木下ー(スタスタ)」

 

「ふんっ。あんたに命令されなくてもそのつもりよ!(スタスタ)」

 

 

「なさ、い・・・・・・・・もう!もうっ!」

 

「ア、アリス落ち着けって!霊夢がああなのは今に始まったことじゃないぜ!」

 

「アリス・・・相変わらず苦労性ですねえ~」

 

 

 説教を受けたくないがために華麗にスルーした二人に、アリスが珍しく地団太を踏み、魔理沙がそんなアリスをなだめます。こんな扱いを受けてもずうっと注意を続けるのは一つの才能ですね。アリス、あなたは将来立派なカウンセリングになれますよ!

 

 

「ぐすんっ。ごめんね咲夜。え~と、そんなわけだから、ボク達も参加させてもらっていいかな?・・・たぶん、あの2人はダメって言われても聞かないと思うけれど」

 

 

 最後に遠い目になった工藤さん。アリスと同じで苦労されてるみたいです。でも咲夜さんの胸に抱きついたから同情なんかしませんよ~だ!すっごい小さい奴って思われても上等ですぅ~!

 

 

「別に構わないぞ。今さら2人や3人増えようが変わらないし・・・もし止めようものなら、俺の生命がやばそうだ」

 

「・・・あ、あはは。ちょっと否定しきれないかな~」

 

「霊夢は一度決めたらほとんどひきませんからねー・・・」

 

 

 己が道に立ちふさがるものは全力で吹っ飛ばすのが私の親友霊夢です。いかに強そうな坂本君も例外ではないでしょう。

 

 

「じゃ、じゃあ許可ももらえたから、ボクも着替えてくるね!(タタッ)――あ、そうそう」

 

 

 霊夢たちのいる更衣室に駆け出した工藤さんは、途中でこちらに向き直っていたずらな笑顔で一言。

 

 

「もしものぞくのなら、命をかけてバレないようにね♪」

 

「こらこら、またですか工藤さん~」

 

 

 年頃の女の子がそういうことを言ったらダメでしょうに!もっと慎みと奥ゆかしさを持っているのが大和ナデシコです!ほら!私が良い見本ですよ~!

(✖今までの行動を考えると、あなたの場合悪い見本となるのではないでしょうか)

 

 

 とまあ、ちょっとしたウサ晴らしのつもりなのかそんなピンク色の言葉を残して工藤さんは更衣室に入ったのですが、もちろんそれに食いつくのが彼らです。

 

 

「ム、ムッツリーニ!雄二!どうしよう!?工藤さんのあれは誘ってるよね!?僕達をあの聖なる神堂(こういしつ)に来いって言っていると捉えて問題なしだよねっ!?」

 

「……工藤愛子。この程度の誘惑で俺が揺さぶられると思ったか…!(ドクドクドク!)」

 

「めっちゃくちゃ揺さぶられてるじゃないですか」

 

 

 土屋君の場合は〝目は口ほどに物を言う〟じゃなくて〝お鼻は口よりも物を言う〟ですね。っていうかそろそろ出血量が危なそうですから血液パックを使ってください。もう足元が真っ赤じゃないですか!

 

 

「明久。今この状況で俺を巻き込もうとする発言はよせ。翔子の怒気がシャレにならない段階に行って今俺の頭を掴んだ手がさらに強くなって俺の頭がミシミシとイヤな音をってぐあああああああ!!お、俺はまだ何も言ってないぞ翔子ぉおおっ!?」

 

「・・・想像でも、友達のえっちな想像をするのは許さない・・・!!」

 

 

 そして坂本君も霧島さんのアイアンクローによって頭から赤い血が。霧島さん、友達思いなのは本当にいい事なんですが、どうかそれを思い人君にも与えてあげてください。暴力では何も生まないのです。

 

 

「こ、こらアキッ!そそ、そんなエッチなことはウチに・・・じゃじゃじゃなきゅて!そ、そんなエッチなことをやっちゃダメだからね!?もしもやったらしばくからね!?」

 

「そっ、そそそそうですよ明久君!そういうことは、そ、そのっ!されてもいいって人にやらないと犯罪なんですよ!?だから絶対やったらダメですっ!」

 

「いだだだだっ!?ま、待って美波に姫路さん!僕は冗談六割本気が四割で言ったつもりなんだよ!だからグーで横腹を殴ったりパーで背中を叩く必要はないよ!?」

 

「よ、四割ってほとんどじゃないですかっ!」

 

「あ、あんたはどこまでエッチなのよアキ~!」

 

「あいだだっだだだだああ!?ゆ、許されるどころかさらにヒートアップウゥゥウウ!?」

 

「お、落ち着いて2人とも!さっきから少しアウトな欲望が言葉でとび出ていますよ!?」

 

 

 おかげで聞き耳立ててた土屋君が『おのれ明久、うらやましい・・・っ!!』とか言ってさらに出血量が増えたではありませんかぁっ!ああ、血液パックが今日プール終了まで保つとは全然思えません・・・!きょ、今日が土屋君の命日になるのでは・・・?

 

 

 

「霊夢の水着がどんな水着か楽しみだなー!ね~アリス!」

 

「あ。ええ、そうねフラン。私も霊夢の水着は見たことがないから興味がわくわ。どんな水着なのかしら?」

 

「き、きっと霊夢は赤色の水着ねっ!間違いないわ!」

 

 

 そんな血生臭いことには我関せず、アリスとレミィたちは霊夢の水着がどんなものかで騒いでいました。

 

 そういえば、私も霊夢の水着は見たことがありませんねー。レミィの言う通り、トレードマークの大きいリボンと同じ赤系でしょうか?

 

 

「咲夜さんは霊夢の水着ってどんなのか知ってますか?」

 

「いいえ。私も今日初めて霊夢の水着を見るわ」

 

「う~ん。でも霊夢の事ですから、あんまり可愛い水着とかは着ない気がしますね」

 

「確かに。無難にスポーツタイプのビキニじゃないかしら?」

 

「なるほど、確かに似合いそうです」

 

 

 普段気だるげで分かり辛いのですが、霊夢は体力がある方ですから、競泳水着なんかも似合うかもしれませんねぇ。

 

などと思ってるうちに、

 

 

 

『・・・雄二。どんな水着でも興奮したらダメ』

 

『いでで…あのな翔子、俺がそんな明久やムッツリーニみたいに節操なく興奮するわけないだろう。少しは俺を信用しろ』

 

『失礼だな!僕だって水着の一つや二つで喜びはすれど興奮はしないよっ!』

 

 

『いや。それはほとんど同じ意味だぜ吉――』

 

『そ、そうなんですか吉井君?』

 

『だ、だったら別にいいけど・・・』

 

『――井ってうぉい2人とも!?今のは信じるところじゃなくて疑うところじゃないか!?』

 

『……人を節操なしのように……失礼な…!』

 

『いや。お主が節操なしなのは周知の事実じゃ』

 

 

 皆が口々に騒ぎながら更衣室へと目を向けています。霊夢たちの水着が気になって仕方がないみたいですが、いったいどんな水着のお披露目となるのでしょう?楽しみですね~!

 

 

 

 そして、どんな水着か気にしつつも泳いだり遊んだりして待つこと数分。

 

 

 

 

 

 

 

『や、ややっぱりダメだよ霊夢!今からでも別の水着に着替えよう!ねっ!?』

 

『あっ、愛子の言う通りよ!!さっさと別のに着替えなさい!博麗!じゃないと許さないからね!?』

 

『なによさっきから愛子、木下。私はこの水着しか持ってないし、そもそもあんた達に許されなきゃいけない理由がないっての』

 

『そ、そういう問題じゃなくってねぇ!愛子!このバカに着せる代わりの水着持ってないの!?』

 

『ごめん!ボ、ボクも自分の水着しか持ってきてないよ!』

 

『ああもう!じゃあ博麗!アンタは今日泳ぐの中止よ!今すぐ服に着替えなさい!』

 

『はあ?そんな命令お断りよ。私は泳ぎに来たんだから絶対に泳ぐわよ』

 

『だからそれなら水着を、っ!?ダダメよ博麗止まりなさいっ!』

 

『お、お願いだから止まって霊夢っ!もうなんだったらボクが霊夢の水着を買って来るから、せめてそれまでは待って!ねっ?ねっ!?』

 

『ええい左右からしがみつくなわめくな重たいでしょうが!!ふぅんっ!』

 

『『あ、開けちゃダメェェエエエ!!』』

 

 

 ガラガラガラ!(女子更衣室の扉が開いた音)

 

 

 もめまくっている声と同時に、その時はやってきました。

 

 

 

 

 

「うぇっ!?ちょちょ!?」 

 

「ぴゃあ~~!」

 

「「ゲボァアアッ!?(ブシャアアアア!!)」」

 

「……雄二は見たらダメ…っ!(ブスッ!)」

 

「ぎゃああああああああっ!?今のは本気でやばいぞ翔子おぉおおお!!」

 

 

 

 それを目撃した瞬間、私はむせてレミィが悲鳴を上げ、ムッツリとおバカが血の噴水と化して霧島さんが殺人級の目つぶしを坂本君に炸裂させました。

 

 他の人も顔を赤くしたりびっくり仰天したしたりと、誰もが霊夢から目を離そうとしません。霊夢はその一同の反応に眉を動かします。

 

 

 

「ん?何よみんなしてこっち見て。なんか顔についてる?」

 

「い、いいえ博麗さん!何もちゅいてません!何もついていません、けど…!!」

 

「ふうん…姫路、よね?じゃあなんでそんな顔赤くしてんのよ」

 

「う…!そ、そ、それは~…」

 

「そ、そりゃ誰だって赤くするわよっ!ウチだってそうよ!!」

 

「ん?そうなの…えーと……ごめん、誰だっけ?」

 

「島田美波っ!美波って呼んでほしいわ!」

 

「りょーかい、美波。一応だけれど、博麗霊夢よ。適当に呼んでいいわ」

 

「オ、オッケー。よろしく霊夢!」

 

「はいはい、よろしく。で、なんで顔を赤くすんの?」

 

「だ、だから!そ、その~・・・」

 

「なによ。2人そろって煮えたぎらないわね。言いたいことがあるんならはっきり言いなさいよ」

 

 

 赤いままうつむいた2人に、霊夢は不機嫌そうに顔をしかめています。いや霊夢、そんな言い方をされてはっきり言う人は少ないですって。もう少し穏やかに話を進めるということを覚えてください。

 

 とにかく、このままだと霊夢イライラが爆発しかねません。でも瑞希さん達はこの様子だと言わなさそうですし・・・・・ここは勇気を出して、私が2人の言いたいことをはっきり言ってあげるとしましょう。私もものすごくそれについて聞きたいですから。

 

 

「あ、あの・・・霊夢」

 

「あによ美鈴」

 

「……」

 

 

 や、やばい。皆がはっきりしないから結構お怒りですよこの少女。

 

 今すぐにでも何でもないと言いたいところですが、ここでそれをしちゃったら間違いなく怒りの鉄槌が下されそうです。2人が言いたくても言えないというのがすっごく分かりました!だってめちゃくちゃ怖いですもんね~~!!

 

 

「え~っと、そのですねぇ~・・・」

 

「だからなによ。そろそろはっきり言わないとしばくわよ?」

 

「ひいっ!?」

 

 

 ど、どうすべきか考える間もなく拳のタイムリミット!?いいいかん!これはもう言うしか助からない!覚悟を決めるのよ美鈴!!

 

 

 

「え、ええっと・・・・霊夢」

 

「ん?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・その・・・・・・・・・

 

 

 

 

 

 

 

・・・・・さらしと、ふ・・・ふ、ふんどしは?」

 

 

 

「水着よ」

 

 

「・・・は、はは。で、ですよね~」

 

 

 

 胸部を飾りっ気ゼロの白布でガッチリ固め、同じく真っ白でひらひらした前垂れをゆらしつつも、締めるところはぎゅっと締めてある雄々しいふんどしを纏った霊夢は、まったく動じることなく一言で答えました。

 

 

・・・いや、いやいやいやいや!?ここにいる男子よりもずっと男らしいわよ霊夢っ!?

 

 そそりゃあ可愛らしい水着の可能性は低いと思ってたけど、だからと言ってここまで男らしい恰好をするって誰が想像できるかぁっ!!

 

 

「何よ。ふんどしでプールは泳いじゃダメとでも言うんじゃないでしょうね?」

 

「そ、そんなことはないですよ!?ただ、ちょっと、ねえ?」

 

「そ、そうね美鈴。少し、ね?」

 

「だから、ちょっとだ少しだとやかましい!私にわかるようにはっきり言えっての!!」

 

「「うっ」」

 

 

 咲夜さんも同じ調子だったのがまずかったようで、とうとう霊夢が目を三角にして怒鳴りました。じゃ、じゃあ言いますよ!?咲夜さんもこっちを見てうなずいていますから言いますよ!?絶対怒らないでくださいね!?

 

 

 

 

「…だ、だから!その恰好がすっごいエロいんですよ!!」

「…だ、だから!その恰好がすごく破廉恥なのよっ!」

 

 

「はあ?」

 

 

 はい!怒るどころか何を言ってるか理解不明って顔いただきました!これだから無自覚というのは恐ろしい!

 

 

「そっ、そうですよ博麗さん!!布をぐるぐる巻いただけじゃほ、ほ、ほどけちゃうじゃないですかっ!!」

 

「あのねえ、そんな心配されなくてもちゃんとほどけないようしてあるっての。そもそもそれを気にするならあんたたちの水着だってほどける可能性があるじゃない」

 

「うっ。そっ、そ、それはそうですけど…!」

 

「そ、そもそもその恰好が問題なのよ!こっ、これでもウチ頑張ったつもりなのに、霊夢のせいで一気に子供っぽくなっちゃったじゃない!どうしてくれんのよ!?」

 

 

「知らないわよそんなの。もっと別の水着にすればよかったじゃない」

 

「そ、そうだけど~…!」

 

 

 すべての異論をぶった切っていく霊夢に2人はたじたじに。いまだかつてこの少女を圧倒した人を見たことがありませんが、この2人もめでたく仲間入りのようです。ようこそこちら側へっ!

 

 

「し、しかし霊夢がこんな水着だとは想像もしてなかったぜ。いっつもこれなのか霊夢?」

 

「そうだけど。あんたも着てみる魔理沙?」

 

「いや、悪いがそこは遠慮させてもらうぜ。私もきちんと感情のある人間だからな」

 

「なるほど、喜ぶ姿を見せるのが恥ずかしいってことか。魔理沙にも可愛いところがあるじゃない」

 

「こいつ理由を良い方に捻じ曲げやがった!?」

 

「さ、さらしとふんどしかぁ・・・・初めて見たわ。霊夢、少し触ってもいい?」

 

「ん、別にいいけど」

 

「・・・思っていたよりも固いわね。霊夢、少し緩めた方がいいんじゃないかしら?」

 

「アリス。あんたは私に人前で胸をはだけさせろって言うのね?」

 

「えっ!?ち、ちち違うそうじゃないのっ!!ただ胸が窮屈になって体に悪そうだなって思っただけなの!!」

 

「はんっ、無用な心配ねアリス。私の胸は美鈴みたいなバカ乳じゃないから問題ないわ」

 

「バ、バカ乳ってなんですかバカ乳ってぇ!?」

 

 

 いきなり私に毒を吐かないでください!そして一斉に私へと視線を殺到させないで皆!何人か殺気がこもって怖いですからぁ!!

 

 

「さ~て、そんじゃあ泳ぎますか。そのために私は来たのよ!」

 

「あんた…こんだけ周りをひっかきまわしといて、よく平然といられるわね。バカじゃないの?ほんっとうにバカじゃないの!?」

 

「あん?そんなの知らないわよ。勝手に騒ぎだしたのは向こうじゃない」

 

「そ、その理由を作ったのは霊夢でしょもう!ボ、ボクその恰好どころか実物を見たのが初めてだよっ!う~・・・ちょ、直視できないよぉ・・・」

 

 

「愛子……普段からこいつと一緒にいてやってること、心から尊敬するわ」

 

「……うん……ちょっと、自分が本当にすごいなって思えてきたよ」

 

「なにコソコソ話してんのよ。泳ぎに来たんだから話ぐらい後にしろっての」

 

 

「あんたが原因でしょうがバカ博麗~ッ!」

 

「霊夢のせいじゃんかバカ~!」

 

 

 

 

 

「………咲夜さん、Aクラスで苦労されてたんですね~」

 

「……ふっ。もはやいつものことよ」

 

 

 

 目を閉じて笑う咲夜さんが真っ白に見えたのは錯覚でしょうか……

 

 

――――とまあ。もともと騒がしかったプールが、気苦労絶えない様子の少女2人と気苦労の発生源の少女1人が加わったことによって、さらに無法地帯に近づいちゃたのは言うまでもないでしょう。レ、レミィ達にだけは悪影響が届かないようにその身朽ち果てても頑張るんですよ私ーっ!

 

 

 

 

 

『う~ん、あいつのあの水着、なかなかかっこいいのよさ!はづきもフランもそう思うでしょ?』

 

『はいですっ!あのリボンのお姉さん、よくわからない水着だけどすごくかっこ良く見えるです!』

 

『うんうん!フランもそう思うよ!れいむらしいな~って感じだね!秀吉もそう思わない!?』

 

『ま、まあ確かに博麗らしいと言えばらしいのじゃが、正直、全く想像しておらんかったから驚きの一言じゃなフランよ。お主らの驚きのなさにも驚きなのじゃが』

 

『れ、れ、霊夢の水着なんなのよあれ~っ!?ぬ、布を巻いただけじゃない!泳いでたらほどけるに決まってるじゃない!!』

 

『お、落ち着いてレミリア。あれはさらしといって昔からある肌着の一種よ。霊夢もきつく巻いてたから、きっと大丈夫よ』

 

『さ、さらしにふんどし・・・っ!!ぼ、僕は今、日本が生み出した文化というものに猛烈に感動しているっ!(どくどくどく)』

 

『……素晴らしき、大和文化…っ!!(ダバダバダバ)』

 

『ってふ、2人とも!よく分からないけど鼻血がすごいことになってるわ!はい、ティッシュ!少ないけどゴメンなさい!』

 

『あ、ありがとうアリスさん』

 

『う~…ア、アリスは優しすぎるんだぜ!こんなスケベなバカ達は出血多量にさせればいいんだっ!』

 

『で、でも魔理沙。さすがに目の前で放っておくのは悪いじゃない。手助けできるんならしてあげないと…』

 

『だからそれが優しすぎるって言ってるんだよ!もぉ!バカッ!!』

 

『ええ!?ご、ごめん魔理沙!何か気に障った!?』

 

『落ち着きなさい魔理沙。アリスがこうなのは今に始まったことじゃないでしょう』

 

『むっ。そ、そうだけどな咲夜!それでもこの優しさは目に余るだろ!ここはガツンと言わなきゃ治らないぜ!』

 

『確かにそうかもしれないけど、こういうことは本人から治してもらわないと意味がないと思うような気もするわ』

 

『ぅ…それもそうか。よしアリス、今日から優しくするのはやめて冷たくなるんだ。そうすれば解決だぜ』

 

『むしろ問題が増えるわよっ!なんだかさっきからすごく責められてるけど、冷たくなれっていつから優しくすることが罪になったの!?』

 

『私が今決めたんだ!これを守らなかったらアリスなんかき、き嫌いになってやるからなっ!嘘じゃないからな!』

 

『あまりにも理不尽すぎる!?咲夜っ!あなた魔理沙に何を吹き込んだの!場合によっては許さないわよ!?』

 

『何も言ってないわ。ただアリスが鈍感ねって話をしただけよ』

 

『ど、どんか…っ!?どどうしてそんなひどいことを言うのよ!?私がいつ鈍感と思わせることをしたっていうの!?』

 

 

『現在進行形でしてるじゃない』

 

『その言葉がもう鈍感なんだよ鈍感アリスっ!』

 

 

『……ヒック、うわーーん!!美鈴っ、美鈴~~~!!』

 

 

『あっ…お、おのれ美鈴…!アリスにギュ~って抱き締められやがって…!』

 

『アリス…ッ!美鈴に抱き着こうなんてうらやま、破廉恥な…!!』

 

 

 

 

『何やってんのよあいつら。アリスは泣いて2人はすごい顔して唇をかんでるじゃない』

 

『まあ何か事情があるのじゃろう。博麗、ここはそっとしておいたほうがいいかもしれんのじゃ』

 

『ま、かもねえ。…それよりもあんたの恰好の方が気になるわ秀吉。いや、秀子って呼んだ方が正しいの?あんたやっぱり女なの?』

 

『か、勝手に女の名に改名するでないっ!男と言えと今に限っては言わぬが、せめてわしに反論の余地を残さぬか!わしの立つ瀬がないぞいっ!?』

 

『じゃあ聞いてあげるわ秀吉。さっきは気づいてなかったけど、なんであんたは男なのに女子の水着を着ているのかしら。自分はお姉ちゃんより可愛いっていうあてつけ?ん??』

 

『!あ、姉上・・・こ、これには深い事情があってのう?というか姉上は今日来ないと言っておったのでは…!?』

 

『このバカ博麗に無理やり誘われなかったら確かに来なかったわね。もうここまで来たから泳いで楽しもうと思ったけど……話をつけるのが先ね』

 

『でもまあ似合ってんじゃない?木下とそっくりだから女の水着でも違和感がないわよ』

 

『は博麗!姉上を逆撫でする言葉は―っ!』

 

『―――少しは男らしい恰好をしなさいよこのバカ弟ぉおおお!!博麗の方がずっと男らしいじゃない~~~~!!』

 

『ぬぐあぁああああああ~~!!』

 

 

 




 はい、お読みいただきありがとうございます!今年度最後の投稿というのに、思いっきりやっちゃった感がありますね~。

 ようやく霊夢さん達に登場してもらったわけなのですが・・・かんっぜんに村雪がど変態だと思われましたねこれは!!サラシとふんどして!一応女性がつけることはあるそうなのですが、それでもこれは人によっては反発がやばそう!?それとも案外そうでもないのか・・・


 そんな感じで一人でぶつぶつ言っていますが、霊夢さんにその恰好をさせようというのは、プール回で霊夢を出すと決めた時にはすでに確定させていました!どうか変態とののしらないでっ!

 そうした理由ですが、実際の東方での博麗霊夢さんは紅白の巫女姿なのですが、こちらではそれをほとんど表せていないのですね。(召喚獣はまあ置いておいて)

 なので、同じ和装ということで水着をさらしとかにすれば彼女らしさが増すかな?とトチ狂った考えに至って実行させていただきました!なんだか書けば書くほどマイナスになる気もしますがまあいいでしょう!


 そういうわけで、なんとも村雪のアホさがよーく出ちゃった今回ですが、これが今年最後の投稿。しみじみする場面がまったくないのですが、少しでも満足していただければ悔いはナシでございますっ!


 それではまた次回!今年読み続けてくださりありがとうございました!

 少し早目ですが、良いお年を~~っ!!



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