たどり着くまでに2話挟むことになりましたが、ようやくプールへと突入です!とはいえども今回はタイトル通り待ち合わせの場面となりますが、楽しみを前にはしゃいでいる彼らのにぎやかな雰囲気を楽しんでもらえれば!
――ごゆっくりお読みください。
「メイリンメイリン!まだ入れないの?」
「う~ん。ちょっと早く来ちゃったからもう少し待ってねフラン?」
「さ、咲夜っ。私の水着、変じゃない?」
「大丈夫よ、レミィ。誰が見てもあなたの可愛さは世界一よ」
「そ、そこまで言われると逆に恥ずかしくなるわよっ!」
見事なカンカン照りの空の週末当日。私、咲夜さん、レミィ、フランは校門前にて皆さんが来るのを待ちます。少し早めに来ましたので、私たち以外にはまだ誰も来ていません。
はてさて誰から来るのでしょう?おそらく吉井君とチルノは除外してオーケーなはずですが!
「あ、皆さんおはようございますっ!」
「お、瑞希さん!おはようございますー!」
と、最初にやって来たのはさすが優等生!学年でもトップクラスの少女、姫路瑞希さんです!今日もその柔らかな微笑みにずっきゅんです!
「おはよう瑞希。今日は姉妹ともども、お邪魔させてもらわね?」
「あっ、咲夜さん達も来てたんですね!びっくりしました!」
「お、おはよう!わ、私たちも来させてくれて、あ、ありがとうっございましゅ!」
「おはよ~お姉さん!今日はよろしくお願いします!」
瑞希さんもどっちかと言えば誘われた側なのですが、それを知らない2人の妹は照れ、笑顔の可愛いらしい表情で、礼儀正しく瑞希さんにプールに来れたことのお礼を言いました。レミィ、フラン!ご褒美としてあとでハグしてあげるわ!というかさせて2人ともーっ!
「あ、ううん!レミリアちゃんもフランドールちゃんもよく来たね~!今日は一緒に楽しもっか!」
「うん!」
「も、もちろんよっ!」
瑞希さんも2人の可愛さに負けない笑顔で挨拶をします。瑞希さんはほわほわしてる性格(もちろん褒め言葉です)ですので、年下の子にも威圧感を全く与えません。初対面ではないと言え、ここまでレミィが元気に年上の人と接することが出来るのも、瑞希さんのその穏やかな性格のおかげでしょう!
「おお。何やら大所帯じゃのう」
「あっ、おはようございます秀吉君!」
そして次にやってきたのは、古風なしゃべり方が特徴の木下秀吉君。咲夜さんやレミィ達が来るとは知らせていなかったので、少し驚いた様子で歩み寄ってきました。
「おはようなのじゃ、美鈴よ。十六夜やレミリア達も来とるんじゃな」
「ええ。霧島さんも来るらしいですから、別に大丈夫かなと思いましてね」
「うむ。何もわしらだけと決まっておるわけじゃないから構うまい。まだお主らと姫路しか来ておらんのか?」
「はい。まだ他には来てないと思いますよ?」
「時間も少々早いしのう。あと、やはり藤原は来ておらんのじゃな」
「そうなんですよ~。今朝も一応誘ったんですが、なぜか泣きそうなって『う、うるさい!さっさと行けバカッ!』と言われまして……」
「ほー……。お主、意外と藤原に嫌われておるのではないのか?」
「ままっ、まさか!?そんな怖い冗談はやめてくださいよ秀吉君!」
私は妹紅さんに嫌われるようなことをしていません!ただ『ちょっとだけでもいいから泳ぎに行きませんか?レミィ達も喜びますよ!』って言っただけですって!
(※そう言われて行きたいと思っても、それを上回る『苦手』という大きな壁。その葛藤によって妹紅さんの良心が痛んだということを、美鈴さんは知りません。本人の気づかぬところで罪作りな美鈴さんでありました。)
「あっ!ひでよしおはよー!」
秀吉君と話していると、彼の存在に気付いたフランが瑞希さんのもとから声をかけてきました。レミィもその声に乗って秀吉君に挨拶します。
「おっ、おはよう秀吉!」
「うむ。おはようなのじゃ、フランにレミリアよ。今日一日一緒じゃが、よろしく頼むのじゃ」
「うん!秀吉はどんな水着を着るの?やっぱり可愛い水着?」
「待つのじゃフラン。なにゆえ最初から可愛い水着などと予想するのじゃ」
すみません秀吉君。私も女物の水着を着たあなたを想像してしまいました。責めるのならフランじゃなくて私を攻めてください。
「え?ち………違うの?」
「レミリアよ。そんなにびっくりした顔をされても、わしの方がびっくりなのじゃが…」
「こら、レミィ、フラン。秀吉君は男子なんだから、そんな失礼なことを言ったらダメじゃない」
「「あうっ」」
そんな秀吉君のフォローに回ったのは私、フラン、レミィと違い――というより、もしや唯一と言っても良いかもしれませんが―――、秀吉君を男子として正しく見ている咲夜さん。すごく軽いはたきを2人の頭に施し、秀吉君の女物水着着用の予想を注意しました。
「ごめんなさいね秀吉君。でも、決して悪口で言ったわけじゃないからどうか許してやってあげてくれないかしら」
「う、うむ………お主のように、わしを男と正確に認識してくれる人が増えてほしいと、切実にわしは願うのじゃ」
「大丈夫、きっとその内に男子としっかり把握してくれる日が来るわ」
「その言葉、ものすごく心にありがたみを与えてくれるのう……」
目をとじて咲夜さんの言葉を必死に心に刻んでいるであろう秀吉君。私には全く分かんないであろう苦労をされてきたのがひしひしと伝わってくる姿ですね~。
「じゃあじゃあ、お姉さんはどんな水着!?」
「え?わ、私の?」
「うん!」
「か、可愛い水着ねきっと!」
すると、フランとレミィが秀吉君から瑞希さんに矛を変えて同じ質問を繰り返しました。ふうむ、瑞希さんの水着ですか!それは少し興味がありますね~!
「あ、あはははは。ありがとうレミリアちゃん!でも、えっと、そ、そんなに可愛い水着じゃないよ?きっと、咲夜さん達や木下君の水着の方が可愛いと私は思うなぁ~…」
「待たんか姫路!そこでわしの名前が挙げられても困るのじゃが!?」
慌てて抗議する秀吉君。ですがそんな瑞希さんの気持ちがすご~く分かっちゃう私でした。秀吉君、その可愛らしさをよこしなさいっ!
「あら、ありがとう瑞希。でも、たとえどれほど自信が無くってもどこかの変態は喜ぶと思うわよ?」
「ふぁっ!?ささ、咲夜しゃん!からかうのはやめてくださいっ!」
「からかってるつもりはないわよ?あの変態の変態度を考えるとそう思わない?」
「あっ、明久君はそこまでシュケベじゃありませんっ!」
「あ、そこは吉井君で通じるんですね」
『変態』と聞いて吉井君を繋げちゃうあたり、あなたも吉井君を変態と思ってるんですね~。それでも吉井君をかばう瑞希さん、超天使っ!
「でも、私もお姉さんの水着姿はすてきだと思うな~!ねえお姉さま!」
「ま、まあね!咲夜もあなたも、きっと悪くないと思うわ!」
「も、もうっ!おだてても何も出ないよ2人とも~!」
「まあレミィったら。嬉しいことを言ってくれてありがとう」
熱い押しをする二人に瑞希さんは照れてもじもじ。咲夜さんは嬉しそうにレミィの頭をなでなで。その仕草がまた可愛らしい!
・・・しかし私には褒め言葉を言ってくれないのはなぜレミィ、フラン!?せめて一言ぐらいお姉ちゃんを褒めてーっ!
「ううう……こうなったら直接褒めてと言いに行きましょうか…」
「急に何か知らんが、やめておくのじゃ。それをやったらお主、だいぶ気の毒な奴になるぞい」
「だったら秀吉君が私を褒めてください!」
「誰であろうと言わせた時点でダメじゃからな!?」
「こ、この際構いません!どうか私にお褒めの言葉をっ!!」
「お主夏の暑さで頭をやられたのかっ!?いつもと性格が違いすぎるじゃろ!」
細かいことは気にしないでください!私だってちょっとぐらい優越感に浸りたい時があるんですっ!だからどうかっ!ちっぽけなお褒めの言葉でもいいですから~!!
「わ、分かった分かったのじゃ!・・・お、お主の水着もさぞ見事で素晴らしいものじゃろうなあ!」
「わーい!嬉しいこと言ってくれるじゃないですか秀吉君~!」
私の心はすごく満たされました!やっぱりあるのとないのでは全然違います!ありがとう秀吉君~!
「……はあ……褒めたいと思っておったが、これでは何か違う気がするのじゃ……」
「ん?なんですか??」
「何でもないのじゃ。
…む?おお、どうやらうまくいったようじゃな」
「?」
私がお褒めの言葉を自分の胸に染み渡らせていると、言葉を送ってくれた秀吉君がよく分からないことをつぶやきました。
「え、なんのことで………あ~、なるほど」
秀吉君の見る方向、私の後ろへと同じように目をやって、その意味が分かりました。
「おーす!今日は絶好のプール日和だな!」
手をあげながら元気な挨拶をしてくる、くせのある金髪ロングヘアーの友人である霧雨魔理沙。
「暑いわね……ああ、もっと日焼け止めを塗っておくべきだったわ…」
そしてその隣には、元気な魔理沙と対照的に、夏の暑さと日差しに参った様子の女の子が。
「おいおいアリスー。せ、せっかくのプールなんだから嫌そうな顔しないでくれよ~?」
「ん、ああ、ごめんなさい魔理沙。嫌だなんて思っていないの。今日は誘ってくれてありがとう」
「なっ、ななな~~に気にすんなって!わたっ、わたしゅもアリシュが来てくれて嬉しいからさ!」
「今日はまた一段とどもってるわね。そんなにプールが楽しみだったのかしら?」
「ま、まあな!なんたってみ、み水着なんだからなっ!!こんな大チャンスを逃したら恋に生きる女の子の名折れだじぇっ!」
「??よ、よく分からないけど、とにかく楽しませてもらうわね?」
「お、おう!私もだぜアリスッ!」
「・・・魔理沙は本当に性格のぶれが大きいのう」
「まあ、そうなるのは決まって、彼女が絡んだときだけなんですけどね」
肩までで綺麗に切り揃えられた、月のように優しいまぶしさを放つ金の髪。そして澄んだ青い瞳の目の持ち主は、アリス・マーガトロイド。西洋人形のように綺麗な少女にして、女の子である魔理沙のハートを撃ち抜いちゃった罪な女の子でございます。
「おはよう、美鈴、秀吉。今日は誘ってくれてありがとう」
「おはようですアリス~!今日は楽しくやりましょうね!」
「ええ。掃除も手伝わせてもらうから、どうかお邪魔させてちょうだいね」
「ア、アリスが掃除をする必要はないぞ!私がアリスの代わりに掃除をすっからさ!!」
聞きまして皆さん?どんな時でも自分が楽ならそれでいい!がモットーの魔理沙が、自分から掃除役を買って出たのですよ。そこだけで、魔理沙がどれだけアリスに情を注いでいるのかが伺えます。
「ありがとう魔理沙。でも、呼ばれたからにはしっかり自分でしないとね。私だけ遊ぶだけというわけにはいかないわ」
「そ、そうかあ?」
「ええ。こういうことはしっかりしないとね」
そして見てください、この責任感溢れる言葉を。アリスとは昔からの仲なのですが、その律儀な性格は当時から変わっていません。これぞアリスの魅力の内の一つと言っても過言ではないですね!
・・・まあ、その性格あって損な役割を受け持つことも多々あったのですが、そ、それはまあ置いておきましょうっ!あれのほとんどは霊夢とか魔理沙のせいですから、私は関係ないですもの!
「あっ、アリスさん、魔理沙ちゃんおはようございます!!」
「おっ、おはよう魔理沙、アリスっ!」
「アリス!魔理沙~!」
アリスの長所にして少し損しやすい性格のことを考えていると、今度は瑞希さんを最初に、レミィとフランが2人へと朝のあいさつをしました。そこから話は花を咲かせます。
「ええ。おはよう、瑞希、フラン、レミリア。今日はよろしくね」
「おっすお前ら!っていうかレミリアとフランも来てたんだな~!驚きたぜ!」
「な、何よ!メ、美鈴が誘ったから来ただけなんだからね!?勘違いしないで魔理沙!」
「はっはっはっ!何と勘違いするかは知らんが、さすがレミリア!ツンデレの鏡だぜ!」
「チュ、チュンデレって何よっ!?わっ私はただ誘われて来ただけだもんっ!楽しみになんかしてなかったんだからね!」
「レミリア、それをツンデレと言うと思うのだけど……」
「でもお姉さま、昨日はすっごく楽しみにしてて、あまり眠れなかったって言ってなかったっけ?」
「!?フッ、フフランンンッ!!」
「ははっ!そうかそうか!レミリア可愛い奴め~!!」
「………う、ううううう~~~~っ!!」
「こら魔理沙!だ、大丈夫よレミリア?私も似たようなことがあるわ!だからそんなしゃがんで頭を覆わなくても――!」
「………なぜ……っ!こういう時に土屋君はいないのですか…っ!」
「お主自分の妹をムッツリーニの写真の被写体にする気か!?ものすごい無念さを感じる顔になっておるぞい!」
「そんなわけありますかっ!彼のカメラを奪って、私がうち(家族)用にレミィの可愛い写真を撮りたかっただけです!」
「いずれにせよ本人にとってはたまったものではないと思うのじゃが!?」
「………眼、福……っ!!」
「十六夜は十六夜でなぜ鼻を押さえて天を仰ぐのかが分からんし、分かりたくもないのじゃっ!」
あああああこんちくしょ~!今のしゃがんでかぶって状態のスーパーキュートなレミィを写真に収められないとはっ!咲夜さんも思わず鼻を押さえて震えるほどの萌えポーズ、このチャンスを逃したら次はないのにぃ!!カメラを持ってこない私の準備が甘かったっ!!
(※意外とレミリアさんはこのポーズを頻繁に見せてます)
「で、でも、本当にレミリアちゃん、す、すっごく可愛いですねっ!美鈴さん達の気持ちが分かりますっ♡」
「さすがです瑞希さん!この気持ちを分かってくれますか!」
「さすがね瑞希。それでこそ親友だわ」
「姫路もか……まあ、可愛いというのは分かるのじゃが」
「「レミィに手を出したら許(しませんからね)(さないわよ)」」
「出さんわっ!?そんな犯罪者のようなことムッツリーニのように軽々しくせんっ!」
まあ秀吉君ですからね~。常識ある彼がそんなことをするはずがありません!って、なんだかフラグっぽいけど関係ないですからね!?
「……おれは軽々しく犯罪行為などやっていない…!」
「ん?あ、来てたのですか土屋君」
「お主ほどいつお縄についてもおかしくない奴はおらんぞい、ムッツリーニ」
そんな秀吉君からさらにダメ押しされる彼の名前は、土屋康太君。こよなく写真(女の子の被写体のみ)を撮ることを愛する彼の手には、予想を裏切らずに高価そうなカメラが握られていました。
「……おれは、全てを犠牲にする覚悟でこの天命をこなしている…!」
「別に気持ちの持ち様が大事だとは言ってないぞい!?」
「そんな使命を下す堕神なんか滅びてしまえばいいんです!」
いつか本物の神様に天命ではなく天罰をが下されますよ、というか場合によっては私が裁きを下してやりますからね!?具体的に言えば咲夜さんや知り合いの恥ずかしい写真を撮ったりとかしたらです!その時はその写真を奪ってけちょんけちょんにします!
「………!!さっそく、授かった任務が…!」
「カメラ破損させますよこら」
「たたっきるわよ、土屋君?」
「………無慈悲な……っ!」
「変態に与える慈悲など私にゃ持ち合わせておりません」
「同じくよ」
「こやつら、眼が本気じゃな…」
さっそくレミィ達のもとへ行こうとする土屋君。そんなスケベな任務と実行者は私と咲夜さんが終わらせてやりましょう。遺言ぐらいなら聞いてあげるのでご安心を。
「……おれは今日という日に、命を懸けている……!」
「かつてこれほどかっこよく見えて格好がつかない言葉を言う人を見たことがありません」
そんなことで命を懸けられてもすっごく困ります。というかあなたの場合、写真を撮る前に鼻血を出して倒れるでしょうが。あなたの意外な初心さ、私は身を持って知っていますからね?(ラブレター編参照)
そんな私の言葉にも土屋君は動ずることなく、何やら大きめのスポーツバッグを開けました。んん?なんかいっぱい入っていますが、これは……?
「……輸血の準備も万全…!」
「血液パック!?そ、その発想は全くなかったですね!?」
「もはや鼻血を出すのは織り込み済みなのじゃな」
「あなたは努力する方向を間違えているわ、絶対」
一体どこでそんなものを手に入れたのやら。咲夜さんの言う通り、普通はそんなものを入手するより、鼻血を抑える方が絶対容易だと思うんですがね~。
「……にしても、こう見ると結構な数になってますね~」
妹紅さんは来ていないのですが、これで合計9人。しかもまだ全員は来ていないのでまだ人数は増えるのです。にぎやかになること間違いなしですね!
「うむ。確かにそれは言えるのう。今だけでも9人じゃしな」
「……今のところ、全員が美女……っ!!(ぽたぽた…!)」
「現状を認識するだけで鼻血ですか。それがなかったら結構嬉しい言葉だったんですが……」
そんな調子で血液パックは保つのでしょうか?備えあっても最後まで足りなければ意味がありません。
「というか待つのじゃ、一人男子がおるのを忘れとるぞムッツリーニ」
「……俺?」
「目の前におるじゃろうがっ!!」
哀れ秀吉君。血液を失っていく土屋君は目の機能もどんどん失っていってるようでした。
「……俺には見えない…」
「そこまで言うのじゃな!?じゃが、今日という今日はお主にわしがれっきとした男であることを見せてやるのじゃっ!そのためにわざわざトランクス水着を新調してきたんじゃからな!」
「……っ!?バカ、な…っ!!」
「おお、それを聞く限りだと立派な男物ですねー」
「この変態はいったい何を期待していたのかしら…?」
地面に突っ伏す土屋君。きっと女の子用の水着を秀吉君が着るところでも想像したんでしょうね~。・・・ですが、上半身何も着ていない秀吉君。それはそれで危ない気がするのは私だけでしょうか?
「おはよー皆!今日は絶好のプール日和だねー!」
「おっす!今日は泳ぎまくるわよーっ!」
「おっ?」
「明久にチルノ、おはようなのじゃ」
これはまた意外ですね?普段お互いをバカバカと言い合ってやまない吉井君とチルノが一緒にやって来るとは。ケンカするほど仲が良いというあれですかね?
「あ、十六夜さんたちも来てたんだ!今日はとっても良い一日になりそうだね!」
「ふん。私はあなたが来たことで嫌な一日になったわ」
そんな吉井君へ咲夜さんは手厳しい一言。当然吉井君は大抗議です。
「ちょ、僕の存在って疫病神か何かと思われてない!?僕はどこにでもいる真面目で普通の高校生だよっ!」
「どの口がそんなたわ言を言うのかしら。冗談にしても笑えないわね」
「じょ、冗談じゃなくて本気だよ十六夜さん!?この僕の純粋な目を見てっ!?」
「……ぷっ。今のは笑っちゃったわ。やるじゃない吉井」
「今のはって何にさ!?僕の言葉!?それとも僕の目!?顔にっ!?」
「それを聞くの?聞いたら……傷つくと思うわよ?」
「その前置きで十分傷付いたよっ!っていうか前から思ってたんだけど、十六夜さんって僕のことが嫌いなの!?僕に対してあまりにも毒舌がひどすぎない!?」
「……まさか、私があなたを好きと思ってるとでも思ったの?」
「少しはそう思いたかった僕がいたよこんちくしょーーーーっ!!」
「十六夜は明久に対して辛辣じゃのう。見事な毒舌っぷりなのじゃ」
「……なぜそうなったのか……興味がある」
「わ、私も結構気になりますね。ああいう咲夜さんはめったに見ないので…」
普段は誰にでも礼儀正しい咲夜さん。なのに吉井君にだけはこのように厳しいのですが、いったい彼の何がそうさせたのか……。こんな形の特別でしたら、丁重にお断りしたいところです。
「へえ。あんた、よしーのことをよく分かってんじゃない。気に入ったのよさ」
すると、強烈な言葉を受けている吉井君と一緒にやってきたチルノがうんうんと嬉しそうに頭を上下させました。咲夜さんと同じ、吉井君と揉める者として何か感じたようです。
「その言い方はかなり嫌だけれど、この男の扱いはこれでいいと思ってるわね」
「なるほど。確かにそれがせーかいね」
「どこが正解だバカチルノっ!せ、せめて初対面の人と話すくらいの距離間で話してよ十六夜さんっ!」
「あら。あなたと私、知った仲じゃない?」
「ここで冷たく意地悪に扱われるような仲を強調されても、全くときめかないからね!?そこで喜ぶような変わった性質は僕にはぜんっぜん備わってないからねっ!!?」
な、なんと悲惨な吉井君…!もしもここがゲームの世界でしたら、吉井君の体力は咲夜さんの言葉攻撃によってゼロになっていたことでしょう。
「ふふん!あんたやっぱりさいこーね!アタイの次くらいに見る目があるわね!」
「あら、そうかしら?少し恥ずかしいわね」
「待ったチルノッ!そんな言い方したら十六夜さんに失礼だぞ!君なんかが十六夜さんに勝ってる所なんかあるわけないじゃないかっ!」
「なにぃ!?さ、最強のアタイに向かって、ちょーしにのるんじゃないわよよしー!」
「どっちがだよ!チルノだって調子に乗りすぎだ!しまいには十六夜さんが怒るぞ!」
「いや、別に私はそんな気にしてないのだけど――」
「君が十六夜さんに劣ってない部分なんて!せいぜい十六夜さんと同じくらいの慎み深い胸ぐら(バギャアッ!)ごぶべばぁっ!?」
「うおっ!?よ、よしー!?」
「ふー・・・ふー・・・っ!ふきとばすわよ、このど変態セクハラクズ野郎が・・・!」
「ちょ、さ、咲夜さん咲夜さん!吉井君をきらう理由は分かったから落ち着いて!あっちにレミィ達もいますからっ!」
吉井君は、鬼神の如き咲夜さんの一撃ににちりのようにぶっ飛ばされました。や、やばいっ!このオーラ、結構本気の寸前で怒ってらっしゃいますよ咲夜さん!レ、レミィ達が怖がりますからここはどうか!私は追撃を下そうとする咲夜さんを羽交い絞めします!
「あ、あれ、吉井君っ!?地面に寝転がってどうしたんですかっ!?」
「あれ?メーリン、さくやを掴んで何してるの?」
くっ!瑞希さんはともかく、このタイミングで来ちゃいますかフラン!いつもなら大歓迎なんですが、今だけはまずい!
「い、いえいえなんでもないわよフラン!ちょっと向こうでお姉さんたちと話していてね!」
「う、うむそうじゃな!フランよ、今は向こうでわしらと話をしようではないか!」
「……ここは危険」
「??うん!わかった!」
その素直な性格、私は大好きですよフランっ!秀吉君達のナイスフォローもあって、フランはレミィ、魔理沙たちのいる場所へと戻ってくれました。ふ~、咲夜さんのこんな姿を見せたら威厳をなくすのと反対に、とてつもない恐怖を刻み込ませちゃうかもしれませんからね!
さて、あとは―
「さっ、咲夜さん!そんな怒ってどうしたんですか!?な、何か嫌なことでも――」
「ええあったわよ!このど変態、今日という今日は許さないわ!この世に生まれてきたことを後悔させてやる・・・!」
「きゃっ!ち、チルノちゃん!咲夜さんはどうしてこんなに怒ってるんですか!?明久君が何かしたんですか!?」
「ん?ん~。アタイもよく分かんないけど、きっとバカよしーが悪いのは間違いないわ!だってバカよしーなんだから!」
「そ、それは理由になってませんチルノちゃん!」
「こっ、こ、この子と同じ胸くらいだなんて…!!いくらなんでももう少しあるわよ……さすがにまな板なんかじゃない………っ!!美鈴!この変態を屠るから離してっ!!」
「はっ、離さないでください美鈴さん!明久君が本当に死んじゃいますから~!」
――怒れる咲夜さんを宥めるだけですね。さてこういうときはシンプルに―――
「―――咲夜さんっ!これ以上暴れたら母さんに言いつけますよ!?」
ピタリ
「うっ…!?く、くううう…!」
咲夜さんはすぐさま動きを止めました。うんうん。母さんの威厳はいつでもどこでも健在ですね~。
そこからしばらくして咲夜さんも冷静に戻り、さらに少しして、吉井君も目を覚ましました。結構強いパンチだったと思うのですが、ほんとに頑丈な体をしてますねあなた。
「・・・ゴメンナサイ。言葉ダケ謝ラセテモラウワネ」
「心がこもってないし言葉だけって言っちゃってるよ!!すでに謝る気もないでしょそれっ!?」
「当り前よ。誰があなたみたいなど変態でクズでセクハラ野郎に謝りたいかしら」
「え、あれ?なんだか十六夜さん怒ってるみたいだけど、僕が悪いの?僕何もやってないよね?」
「………っ!!(プルプル)」
「タッ、タイムタイムごめんごめん!!よく分からないけど謝るからその振りかぶった拳を下げてっ!?これ以上は僕の顔がやばい!」
「分からな…っ!…っ!!」
「さ、咲夜さんこらえてください!たぶん本当に無自覚なんですよ彼っ!」
「だからこそ腹が立つのよ…!どうして瑞希はこんな奴を…!」
ひ、人というものは人の数だけ考え方も好みも違います!ですからそこで瑞希さんにまで飛び火させたらだめですよっ!
「ア、アリスゥ~・・・!さ、咲夜が怖いわよっ!」
「大丈夫よレミリア。レミリアに怒ってるわけじゃないし、美鈴が押さえてくれてるわよ」
「さくやがあんなに怒ってるのって初めて見たな~。あの人、さくやに何を言ったのかな?」
そんな咲夜さんをレミィ達もばっちり目撃し、アリスに抱き着いて震えたり吉井君に興味を持ったりしています。フラン、彼は咲夜さんがもっとも触れてほしくない部分に触れたみたいなのです。だからあなたもそっとしておいてあげてください!これ以上お怒りになられたら、私も抑えられませんからっ!
「みずき、なんであいつはあんなに怒ってんの?アタイも思わずびっくりしちゃったわ」
「え、え~と・・・あ、明久君が少し天然なことをしたんじゃないでしょうか?ア、アハハハ・・・」
「おはよー瑞希・・・って、何この状況は」
「おはよーです綺麗なお姉ちゃんたち!」
「あ、み、美波ちゃん達!おはようございますっ!」
「おっ!みなみにはづき!おはよーなのよさ!」
お、おおっと!ここでFクラスの最後の美少女、島田美波さんが来たみたいです。それに、私たちと同じで妹の葉月ちゃんも連れてきたみたいですね!
「あ、はづきーっ!はづきも来たんだね!」
「はいです!お姉ちゃんに誘われて来ました!フランちゃん達も来てたんですね!」
「そうだよー!今日は泳いで遊んで遊ぶつもりだから、葉月も一緒に遊ぼうねっ!!」
「はいですっ!」
「あら。あなたはフランのお友達?葉月ちゃん、っていうのかしら?私はアリス・マーガトロイドっていうの。よろしくね」
「あ、はいですっ!よろしくですお姉さん!」
葉月ちゃんとは初対面だったようで、アリスがいつも通り優しく自己紹介をします。ああ、あんなに平和な空間に対してこちらはなんとギスギスした空間なのでしょう…さ、咲夜さん!だから暴れないでくださいって!
「お、皆揃ってるみたいだな」
「………十六夜、どうしたの?」
「あ、さ、坂本君、と霧島さん!」
「だ、代表…!」
すると、一緒に来たのか偶然か。島田さん姉妹に続き今度は坂本くん、霧島さんの幼なじみペアーがやってまいりました。霧島さんは咲夜さんのいるAクラスの代表のためか、咲夜さんの声に冷静さが戻りました。
そしてしばらくして――
「………ごめん美鈴。迷惑をかけ…ました」
「い、いやいやお気になさらず。咲夜さんが元に戻って何よりです」
敬語を使ってしまうほどにきまり悪そうな咲夜さんがそこにいました。ちょ、ちょっと大変でしたけれどある意味新鮮でしたから、私としては問題なしです!
「さて、かなり人数が多いわけなんだが、他に来ていない奴はいないか?」
職員室に行ってプールのカギをもらってきた坂本君が、参加者が全員いるかどうかを確認します。もしもここにいる人たちで全員ならば、総勢15人。これでもかなりの大人数と言えるでしょう。
「うん、全員来てるんじゃないかな?ねえ皆?」
「ええ、私たちは大丈夫です」
「わしもじゃな」
「……(こくり)」
「わ、私もですっ」
「ウチも葉月と2人よ」
「私もアリスと2人だぜ」
「アタイはアタイだけなのよさ」
「あなたが来なければ言うことはなかったわね」
「一応僕も開催者の一人みたいなものだけどっ!?」
ちゃっかり吉井君への毒も忘れない咲夜さんですが、とりあえず全員がきているみたいで誰も待ったをかけません。坂本君は頷きます。
「うし、じゃあ着替えるか。女子更衣室のカギは翔子が持ってるからついて行ってくれ。着替えたらプールサイドに集合だ」
「分かりました」
そこで私たちはいったん別れ、女性陣は女子更衣室に、男子陣、および葉月ちゃんは男子更衣室へ――
「って、葉月ちゃん?」
「こらこら。葉月ちゃんと秀吉は女子更衣室でしょ。霧島さん達についていかなくちゃダメだよ」
「えへへ。冗談ですっ」
「わしは冗談じゃないのじゃが……?」
「あなた、本当にバカなの?」
葉月ちゃんとなぜか秀吉君の背中を女子更衣室の方へ押す吉井君に、全力で侮蔑の視線を送る咲夜さん。ですが今回ばかりは仕方ありません。レミィ達に男子と一緒に着替えろと言うのですか吉井君っ!
「吉井君。秀吉は一応は男子なのだから、私達と一緒に着替えるのは教育上良くないと思うわ」
「一応ってなんじゃっ!わしはれっきとした男じゃアリス!」
「でもアリスさん。僕たちと一緒に男子更衣室で着替えるのもマズイ気がするよ?」
「何を言うのじゃ明久。お主は男子、わしも男子で何も問題はなかろう?」
「確かに吉井君の言うことももっともね…」
「おぬしはわしをどちらの立場から見ておるんじゃー!」
アリスのどっちつかずの言葉に憤慨する秀吉君。そんな彼らに打開案を出したのは瑞希さんでした。
「あ、あの……でしたら、木下君だけ別の場所で着替えるのはどうですか?」
「なるほど。それなら問題ないわね。秀吉はいいかしら?」
「ぬ、ぬう…得心は行かぬが、仕方あるまい。分かったのじゃ。水着姿を見せればきっと皆もわしのことを見る目が変わるはずじゃ…!」
瑞希さんの案に秀吉君も渋々といった顔ですが、なんとか理解を示してくれたみたいです。う~ん、なんだか疎外してるみたいで申し訳ないんですが、やはりこれが最善の策ですから仕方ありませんよね?すいません秀吉君!
「よし、じゃあ時間ももったいないことだし、早く着替えに行くとしようぜ」
『了解』
『はい』
『おう!』
そえぞれの返事をしながら、私たちは更衣室へと移動しました。
うふふ~!さっくやさん、レミィ、フランの水着~♪同じ女性ながら、とっても楽しみですね~~~!!
『・・・・・・っ!?!?(ブシャアッ!!)』
『ぴいっ!?まま、魔理沙ああ!?』
『きゃっ!?ど、どうしたのよ魔理沙急に鼻血なんて噴き出して!?』
『わ、わ、・・・私はアリスの綺麗な背中なんか見てない・・・ぜ・・・!がくっ』
『まっ、魔理沙~~~!!?』
『・・・・・魔理沙も、別の部屋で着替えさせた方が良かったかもしれませんね』
『・・・確かにそうかもね』
お読みいただきありがとうございます!
さて、今回はプール当日回最初ということで待ち合わせの場面を書いてみたのですが、一回でも笑ったりしてもらえたでしょうか?
最後にちょっとしたアリスと魔理沙のイベントを書いてみましたが、次回からはより(鼻)血が流れる物語を書いて村雪も自分で楽しめるような展開にしていきたいですね!
それではまた次回っ!ようやく水着のお披露目タイムですよ~~!