バカと中華小娘とお姉さん   作:村雪

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 どうも、こんにちは。この前成人式を終えました村雪でございます。
 
 今回でDクラス戦に突入したかったんですけど、申し訳ないのですが、提出物や試験の関係であまり手を付けることができずにいます!
 そういうわけで、今回は短めで投稿をさせてもらいます!次回は間違いなくDクラス戦に入れますのでご了承ください!

 ――では、短く、面白みを感じないことでしょうが…ごゆっくりお読みください


傍観―願望、って中々叶わない物だわ…

 

「はあ…やってしまった。」

 

 

 美鈴(メイリン)たちがいる屋上からだいぶ離れた廊下で私は独りごちる。

 

 

 あんなからかう様な言い方をされて初対面の人が良く思うはずがない。私の人物印象は、とても嫌な感じな女子となってしまっていることでしょうね。……魔理沙の方はまあいいわ。あながち嘘をついていなし、何よりあの子はかなり精神が強いから、この程度の事で傷付いたりはしないもの。明日になったら忘れてるわ。

 

 

・・・・・・私も最初はそんなことを言うつもりは無かったのよ?でも、美鈴と楽しそうに会話してるのを見て・・・う、羨ましくて、つい意地悪をしたくなったのよ。ふんっ、子どもっぽいのは自覚してるわよっ。笑いたければ笑いなさい。

 

 

…でも、それを馬鹿にするのだけはご遠慮願うわ。姉を慕う妹―――正確に言うなら、血の繋がりはないから赤の他人なのかもしれないけれど、私は、紅(ホン) 美鈴を大切なことを教えてくれたかけがえのない姉として認知しているわ―――がおかしいはずがないのだから。・・・もちろん、(あの2人)もかけがえのない存在で、大好きだけれどね。

 

 

…話が変わったわ。そもそも美鈴がFクラスに行くというのが、この私の八つ当たりの原因の遠因よ。

 

 普通の学校では、どの生徒とクラスが一緒になるかは決められない。だから、もしもそっちの学校へ入学していたならば、ここまで無念と思わずにいれたでしょう。

 

 でも、この文月学園では特定の人と別れることなく一緒のクラスになることが出来なくもない。理由は、クラス分けがクラス分け試験というテストの成績順で決められるので、成績が近ければ同じクラスになれるからだ。クラスの均等を取らずに、賢い生徒が一つに集中する方針は斬新の一言に尽きると思えるでしょう。私はそれを知った時、美鈴と一緒のクラスになれれば楽しいだろうなって思ったわ。

 

 

 でも、それには『近い学力』という中々難しい条件が立ちふさがったのよ。

 

 …嫌な言い方になってしまうから声に出しては絶対に言わないけど、私はかなり成績が良い方の部類。だから、悪くてCクラス、無難ならばB、そして調子が良かったらAクラスかなあと調子に乗っちゃってたわ。見事Aクラスに入れたらから言えることだけど、もしもDクラス以下だったら美鈴の胸で泣き暮れてたわねきっと。それはそれで魅力的だけど、美鈴が喜んでくれる方が困り顔より絶対良いわよね。

 

(※ 美鈴のハグをことごとく迎撃し、彼女を泣かせてます。 そんな防衛者の言い分.『あ、あれは……周囲に人の目があるから仕方なくよ。いっつも人のいるところでばっかり抱き着こうとして…誰もいなかったら何もしないわよ!美鈴のばかっ!』)

 

 

 そんな私に対して美鈴(メイリン)は、良いか悪いでは間違いなく悪くない方に分けられるけど、突出して良いというわけではなかったからAクラスに入るのは難しく、良くてC、Bクラス、かと思ったわ。

 それだと美鈴と同じクラスになれるわけなく、結果が分かっているぶん、はずれしかないくじびきをひくみたいでつまらないと思ってしまうでしょ?。

 

 だから、せめてわずかでも当たりの可能性があってほしいと思った私は、なんとかAクラスに入れる可能性だけでも作ってほしいと、美鈴に勉強を教えはじめたのよ。

 

 少しどころかだいぶ不純な動機となって申し訳なかったけど、美鈴の学力が上がるのの何が悪い!と心にちくちくした痛みを感じつつも、行為を正当化しながらいろいろと出来る限り教えてたわね。

 

 最初の頃のほうは予想通りあまりよくなかったけど、試験直前にもなると充分にBクラスに入れるんじゃないかってぐらい頭が良くなってたわ。さすが美鈴、やっぱり姉というものはそうでなくてはね、と誇らしく思ったわ。

 

 

・・・で、試験も受け終わって、美鈴がどれだけ成績を出したかをとっても気にしながら、家に帰ってのち数十分。美鈴の口から出た大馬鹿な大失態に私は愕然、そして大爆発である。BクラスどころかFクラス。・・・どこにそんな今後を左右する重要な時に眠るバカがいるのよ、美鈴の大馬鹿。

 

 

そういうわけで私はAクラス、美鈴はFクラスと対極なクラスに属することになったわけである。このとてもを超えた凄さの教室と優秀なクラスメンバーには文句は無いけど、やはり願望が叶わなかったのは痛かったわ。

 まあとにかく、先生の目も無い間に入るとしましょう。

 

 カラカラ――

 

・・・良かった。周りが一人残らず自習をしてたら気まずいと思っていたけど、Aクラスとは言えやはり高校生。ほとんどの人が雑談をしたり本を読んだりしているわ。もしかすれば、これがAクラス生徒の余裕という奴かもね。

 

・・・・・・それにしても、このドア凄いわね。こんなに流れるように、しかも音をたてないドアなんて存在したの?このちょっとでいいからウチの障子に滑りを与えなさい。

 

 

「あっ、咲夜。どこに行ってたの?」

 

 

 私が音をたてないドアに感動していると、若葉色の髪を短く切り揃えた女子、工藤(くどう)愛子(あいこ)が声をかけてきた。

 

 

「ちょっと風に当たりに行ってたわ。」

 

「へ~!僕も誘ってほしかったな!」

 

「それは悪かったわね、愛子。次からは気をつけるわ。」

 

「うん、よろしく!」

 

 

 にこっと笑う愛子。最近ここに転入したそうだが、とても活発的な性格もあっていろんな女子と仲良くなっている。私もそのうちの1人だ。思春期だからか少し助平な話したり、人をからかったりするなど少しお調子者なところもあるけど、そこも含めて愛子の魅力なのでしょうね。

 

 

「ところで、何か変わったことはあった?」

 

「ううん、特には何も―」

 

 

「ちょっと十六夜(いざよい)!」

 

 

 愛子とは席が近かったので一緒に戻りながら話をしていると、そんな怒声がかかってきた。

 

 

「?何?」

 

 

 その顔は、つい先ほど見たものと瓜二つ。でも、ちょっと弟さんよりも目つきはきついわね。彼が女の子らしくて彼女が男らしい。なんとも矛盾したことだわ。

 

 

「今は自習時間でしょ!?勝手に出て行くなんて何考えてるのよ!」

 

「あ~…。ごめん咲夜。優子(ゆうこ)がちょっとご立腹(りっぷく)って言うのを・・・」

 

「良いわ。一目瞭然だもの。」

 

 

 木下 優子。さっき会った彼に比べると性格、口調とだいぶ強い女子で顕著な差異が見える。見た目がそっくりでもやはりどこかには違いが出るものね。

 

 

「木下さん。ずっと自習をしてるよりも、少しは休憩を挟んだりリラックスした方が効率は上がるわよ?」

 

「知ってるわよそれくらい!私が言いたいのは勝手に外を出歩くなって事よ!」

 

「・・・そう。それは悪かったわ。」

 

 

 心地よい風を浴びることが私にとってのリラックス法なのだけれど、どうやら彼女には伝わらなかったみたい。こういうタイプの人は反論をすればするほど感情的になっていくから、ここは素直に聞いておこうかしらね。

 

 

「全く・・・今度からは気をつけなさいよ!?」

 

「善処するわ。」

 

「・・・ふんっ!!」

 

 

 怒った表情を変えないまま木下さんは席へと戻っていった。ううん、ちょっと外出しすぎたかしら?次からはもう少し短めに切り上げるとしましょう。

 

 

「ご、ごめん咲夜…優子はちょっと口がきついんだけど、優しい子だから嫌わないであげてね・・・?」

 

 

 木下さんまで声が届かなくなる距離になって、愛子は私に口を近づけそう謝罪した。

 愛子の言葉からすると、愛子は木下さんとは面識があったみたいだ。転入したクラスが彼女のクラスだったということかしら。分からないけど、この二人が親友であることは分かり、友達が嫌われないように説得する愛子の気持ちは切実な物だと肌に感じたわ。

 そんな愛子に私は頷きながら答える。

 

 

「…あっちはどう思っているかは知らないけど、私は嫌うつもりはないわ。」

 

 

 ・・・だって、まるで昔の私みたいだったもの。不真面目になれとは思わないけど、まわ

りを見渡せるゆとりを彼女には持ってほしいわ。

 

 

「・・・!ありがとう咲夜っ!」

 

 

 嬉しさの表現か愛子が私に抱き着いてきた。ああもう、視線が集まるからやめてちょうだい。

 

 

「ほら、木下さんが怒る前にさっさと戻るわよ。」

 

「あっ、そうだね!」

 

 

 愛子が離れて動けるようになったので座席へと移動する。席は名簿順で、私は『い』なためかなり前方にある。窓際でもあるからまあ悪くはないわ。

 まったりとした感覚の高級椅子に腰を掛けたところで、前の席の人物、そして隣の人達が振り向いてきた。

 

 

「おかえりなさい。外の風はどうだった?」

 

「緩めだったけど気持ちは晴れたわ。そっちはどう?アリス。」

 

「さすがに全部とは言えないけど三分の一ぐらいは読めたかしら。だからもう少し待ってもらっていい?」

 

 

 そう言って、手に持っている軽めの本を見せてくる。それはウチの所有物の本で、アリスに貸しているところなの。

 

 アリス・マーガトロイド。フランス出身のアリスは数年前から日本にいて、私達の良き友人である。

 

 

「全然構わないわ。はあ、魔理沙にはホントにアリスを見習ってほしいわ・・・」

 

「ま、魔理沙は魔理沙で私も学ぶところはあったんだけどね?」

 

 

 アリスが日本人としての礼儀正しさを持っているというのにどうして日本人の魔理沙がそれを持っていないのかしら・・・

 苦笑しながら魔理沙をフォローしてるけど・・・・ごめんなさい。全く分からないわ。

 魔理沙の良さを探しきれずに頭をひねらせている時、隣の少女から声をかけられた。

 

 

「・・・十六夜とアリスは仲良し。」

 

 

 物静かな雰囲気を漂わせた黒髪の美少女かつ、このクラスの代表である秀才、霧島(きりしま)翔子(しょうこ)だ。

 

 

「ん、まあそれなりに一緒にいたからね。だいたい…三年ぐらいかしら?」

 

「たしかそれぐらいね。」

 

「へ~!じゃあ中学とか一緒だったんだ!」

 

「そうよ愛子。」

 

 

 他にもそういう人はいるんだけど、まあ言う必要はないわね。

 

・・・と、そうだ。

 

 

「代表、少し耳に入れておきたいことがあるわ。」

 

「・・・なに?」

 

「実はさっき屋上でFクラスの一員と会ってたんだけど、その中に姫路さんがいたわ。」

 

「・・・!!」

 

「姫路って・・・姫路瑞希さんのこと!?」

 

「瑞希(みずき)が!?」

 

 

 誰も予想をしていなかったみたいね。まあ、最下位のクラスにトップクラスの女子が入るなんて誰も思わないか。

 

 

「ちょっと!あの娘(こ)は体が弱いのよ!?あんなところにいたら体調を崩してしまうわ!」

 

「あんなところって…アリスはFクラスを見たの?」

 

「え、ええ。どこがどんなクラスかって興味があったから、今日は少しだけ早めに来て全部のクラスを見てきたのよ。あ、あのクラスに瑞希が…!」

 

 

 この上なくアリスが心配そうにして呟く。姫路さんとは仲が良かったし仕方のない反応ね。…もちろん私も心配してるわよ?

 

 

「ぼ、僕はてっきりBクラスにいると思ってたけど、なんでFクラスに?」

 

「試験の時に熱で倒れたそうよ。ここはそういう時に融通が利かないから困ったものだわ。」

 

 

 ・・・美鈴の場合は居眠りだから、どちらにせよ救いがないけれどね。

 

 

「・・・大変な事態…!!」

 

「え、ど、どうしたの代表!?」

 

 

 愛子が声を上げるのと同時に、代表がわなわなと震えながら何かを呟きだした。・・・この人はなんというか・・・ヤんでる、というのかしら?まあ一途なようで、姫路さんを虫と認識しちゃったみたいね。

 

 

「落ち着いて代表。今慌てても状況が変化するわけではないでしょ。」

 

「・・・でも。」

 

「信じてあげるのも愛情の一つよ。ここは信じてあげることにしなさい。」

 

「・・・・・・分かった。」

 

 

 とりあえずは分かってくれたみたい。なんだか放っていたらそこへ行きかねなかったし安心したわ。

 

 

「アリスもよ。今私たちがこうやって自習時間なのは、FクラスがDクラス試召戦争を仕掛けるからよ。それでFクラスが勝てば教室は変わるじゃない。」

 

「う…そ、それもそうね。」

 

 

 美鈴、姫路さんがいるクラス。それは間違いなくEクラスを超える強さがあり、Dクラスならばいい勝負をできるのかもしれないわ。

 

 

「・・・十六夜、止めてくれてありがとう。」

 

「本当に行く気だったのね・・・どういたしまして。」

 

 

 この人には学力より、その予想できない思考の方に脱帽するわ・・・恋する乙女とは凄いものね。

 

 

「・・・さて、どうなるかしら?」

 

 

 Dクラスが勝つかFクラスが勝つか?私は観客として楽しませてもらうわよ。姫路さん、美鈴。

 

 

 

 

「ちょっと!!あんたはいい加減に起きなさい!いつまで寝てんのよ!?」

 

「・・・・・・・・・うっさいわね~、せっかく寝付こうとしてたところなのに、ふざけんじゃないわよ?」

 

「あなたにだけは言われたくない!!いいからさっさと起きなさい!リボンを取るわよ!?」

 

「取ったら夜明けは来ないと思いなさい木下優子。」

 

「やれるもんならやってみなさいよ!?この居眠り常習犯が!」

 

「勝手に人の名前を変えるなっての、この堅物女子が・・・!」

 

「普通に注意してるだけよ!誰が堅物っていうのかしらあ!?」

 

 

「・・・・・・試合前に、観客席で大喧嘩が始まりそうね。」

 

「だ、代表!仲裁をしなきゃ!」

 

「・・・・・・2人とも、そこまで。」

 

「はあ・・・・・・なんであなた達はすぐに揉めるのよ…優子、霊夢(れいむ)。」

 

 

 

 

 

 

 




 お読みいただきありがとうございます!今回の語り手はこの作品限定設定、紅美鈴の妹 十六夜咲夜さんでした!
 Fクラスのメンバーにはお休みいただきAクラスの人たちに出張ってもらいましたが、少し木下優子さんの性格がきつくなってしまった…かも?もしも優子さんファンの方がおられましたら許してやってください!
 
 また、Aクラスのメンバーとして東方主要キャラクターと言えるだろう2人、《楽園の巫女》博麗霊夢と、《七色の人形使い》アリス・マーガトロイドさんに入ってもらいました!
 霊夢って寝坊助だっけ?とも思いましたがあながちずれていない!と信じ込んで最後に加わってもらいましたが、果たして皆様には受け入れてもらえるのかダメなのか…
 ともかく、今回はDクラス戦開幕までの『繋ぎ』です。文量も短くなってつまらないかもそれませんが、次回から頑張っていきますのでご容赦下さい。

 では、また次回で! 出来るだけ来週も投稿させます・・・・・・た、多分!

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