バカと中華小娘とお姉さん   作:村雪

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 どうも、村雪です!

 いやあ申しわけない!活動報告を読んでくださった方は知ってらっしゃるでしょうが、お盆ということで、村雪は少々パソコンの使えない場所に帰省していたのです!

 なので金曜日に投稿できず、帰ってきた今日、日曜日に投稿させてもらいます!今回はすいませんでした!


 では。また短めとなっており、内容もあまり濃い物ではないと思うのですが……


 ――ごゆっくりお読みください。


報い―けじめ、はつけなくては、ね・・・?

 

 

「咲夜さんは右のモヒカン先輩を頼みます!私はハゲを倒します!」

 

「分かった!」

 

「だ、誰がハゲだてめぇ!?」

 

 

 因縁の常夏コンビとの勝負が始まり、私の召喚獣を即座にわめくハゲ先輩の召喚獣へと走らせます!

 

 この先輩は色々と口が悪かったですからね!その中にはいろいろと聞き逃せないものもありましたから、私が成敗しないと気がすみませんっ!

 

 

「てぇぇぇええい!」

 

「!な、なめんじゃねえっ!」

 

 

 ですがそこはさすが三年生。すぐに召喚獣に構えさせ、迎撃をさせようとします。剣の狙いは・・・胴辺りですかっ!

 

 

「おらぁ!」

 

「っと!せいっ!」

 

 

 すかさず攻撃をかわし、お返しに右ストレートをねらいましたが、不発に。横にずれて回避されます!

 

 

「ちっ!」

 

「っぶな!?」

 

 

 とと!今度は召喚獣の頭でしたね!そんなところをやられたら点数が勝ってるとはいえ、即終了ですから気を付けない、とね!

 

 

「でぇい!」

 

 

 ドスッ!

 

 

「ぐっ!?」

 

 

 

 よし!坊主先輩の今の攻撃は、少し大ぶりで防御へ移る時間が短かったから隙があって、かすった程度ですけど右肩にヒットしました!最初の先制攻撃は私の勝ちです!

 

 

「て、てめえ!」

 

 

 スパッ!

 

 

「あっと!」

 

 

 が、私も突き出した拳をカウンター気味に攻撃され、点数が減りました。とはいえこちらもわずかに当たっただけなので、減少は少ない!

 

 

「お、お前、本当にFクラスか!?なんでそんなに点数が高いんだよっ!」

 

 

 先輩の召喚獣が距離を取ったので、私は逃がさず距離を詰めで打撃を仕掛けながら、先輩の質問に答えます。

 

 

「Fクラスですよ!けど、ちょっとした居眠りのせいでFクラスに落ちただけで、決してバカな奴じゃありません!!」

 

「十分バカなことをしてんじゃねえかっ!?」

 

「う、うるせいです!我慢は身体に良くないんですよー!」

 

「そこは我慢しなけきゃだめなところだろっ!」

 

「え、営業妨害なんかしようとする先輩に常識を語られたくありませんっ!」

 

 

 なな、なんたる屈辱っ!重ね重ね、この先輩だけは絶対許しません!召喚獣の拳の餌食にしてやりますよーっ!

 

 

「おらっ!」

 

 

 ザシュ!

 

 

「むうっ!でえいっ!」

 

 

 ばしっ!

 

 

「!ちっ!」

 

 

 今度は先に剣撃が当てられましたが、負けじと私もわき腹へヒット!さっきよりは与えられたでしょうね!ここでもういっぱ

 

 

 ブォン!

 

 

「っとと!?」

 

 

つは、回避のため叶いませんでした。剣をお腹の位置で横一直線に払われたので、私は慌てて召喚獣を後ろにジャンプさせることで回避に成功しました。

 

 

「くそ。大人しくやられりゃあ可愛げのあるものの、ちょろちょろしやがって!」

 

「ほっといてください!別に可愛くないのは自覚していますからね!」

 

 

 距離が開いてののしってくる先輩に言い返しながら構えを直します。咲夜さんに言ってたら私はプツンしてたと思うので、運が良かったですね!

 

 

 

『3-A 夏川 俊平  保健体育  179点』

 

『2-F  紅 美鈴  保健体育  212点』

 

 

「あの、先輩」

 

「あん?」

 

 

 表示された点数をわき目に、私は少なからず気になっていたことを聞いてみました。

 

 

 

 

「どうして2―Fクラスを目の敵にしてるんですか?何か恨みでも?」

 

 

 ただのクレーマーなら、わざわざ別のクラスで悪口を言ったりはしません。明らかにFクラスに狙い撃ちをしての営業妨害、何か理由があるとみて間違えないでしょう。

 

 

 案の定、少し虚を突かれた顔を先輩はしました。

 

 

「・・・・・あー・・・別に理由なんかねぇよ。お前らFクラスが気に入らなかっただけだ!」

 

「・・・あ、そうですか。素敵な回答をどうも!」

 

 

 今のがウソだというものも分かりますし、素直に答えてくれるとは思っていませんでしたけど、私のやる気を倍増させるには十分な回答です!

 

 

「そのお礼を、今きっちりとさせてもらいますよぉ!!」

 

「けっ、そう簡単にいくと思うなやぁ!!」

 

「てええええいっ!」

 

 

 駆け出す召喚獣に、先ほどと同じように拳を握らせて顔面を狙います!ワンパターンとは言わせませんよっ!

 

 

「ふん!そう何度もくらうか!」

 

 

 先輩は悪態をつきながらも左ストレートを難なくかわし、こちらも同じく剣を振り上げてきました。

 

 ですが、ここからが少し違いますよ!

 

 

「ふっ、と!(ガシッ)」

 

「!? なっ!」

 

 

 放った左の拳をすぐにパーにし、剣を持った左手の手首をガッシリ掴みます!これで攻撃を未然に防ぐと同時に、避けたり逃げたりするのを阻むことができました!

 

 

「くそっ!は、離しやがれ!」

 

「せっかく掴んだチャンスを誰が離しますかいっ!覚悟ぉーっ!」

 

 

 勝利のため優勝のため私情のためっ!私は渾身の右パンチを、掴んだ左腕の下から先輩の胴へとぶちかまします!

 

 

「どっせぇぇええええいっ!!」

 

 

 ドゴォッ!

 

「ぐうっ!?」

 

「さらにダメ押し、もう一丁ぉぉおおっ!」

 

 

 頭を思い切り引き、ふらついたにっくき坊主頭先輩がデフォルメされた、召喚獣の顔面に叩き込みます!

 

 

ゴキィン!

 

 

「っ!!?ウ、ウソだろぉぉ!?」

 

「はあ!?お、おい夏川っ!?」

 

 

 

『3-Aクラス 夏川 俊平 保健体育 0点』

 

 

 

 頭突きを食らった召喚獣がごろごろと後ろに転がり、うつ伏せの状態で止まったころには立ち上がることなく、戦線離脱である0点を示していました。よし!私のノルマは達成です!

 

「さすがね、美鈴っ!」

 

「ありごとうございます!では協力しますよ咲夜さんっ!」

 

「ありがとう。助かるわ、っと!」

 

 

 

 咲夜さんの方は少してこずっているみたいで、モヒカン先輩とナイフで攻防を繰り返していました。一対一で拮抗状態ならば、私が加わればすぐに傾きますね!

 

 

「て、てめえ卑怯だぞ!一対一でやってるんだから手出しするんじゃねえ!」

 

「む!」

 

 

 そんなことを言い出すモヒカン先輩。申し訳ないのですが、私たちFクラスに営業妨害をしてくれた卑怯な人には言われたくありませんねえ!

 

 

「身から出た錆だと思って、諦めてください!」

 

「な、何の話だっ!?」

 

 

 咲夜さんがナイフで抑え込んでいるので、そのすきに間を詰めます!さあ、これで決着です!

 

 

「自分で、考えなさぁぁああいっ!」

 

「げっ・・・!?」

 

 

 バギィィ!!

 

 手がふさがっている召喚獣の顔へと、私の召喚獣に全力でその右を叩き込ませました。

 

 

『3-Aクラス 夏川大作 保健体育 0点 』

 

 

「ちっくしょおおおおっ!」

 

「に、二年生相手に負けるだとぉぉぉお!?」

 

 

「ん、勝負あったわね。勝者は十六夜咲夜さんと、紅美鈴さんよ」

 

 

 本当に信じられないと、大きな慟哭をあげる先輩方を見て、永琳先生が冷静に勝ちの鬨を挙げてくれました。

 

 もちろん、この人も忘れません。

 

 

『あ、あやややっ!?これは驚きました!2年生対3年生という、経験値に大きな差があったこの勝負!しかしそんな経験値など関係ナシと勝負を制し、決勝戦に進んだのは!なんとなんと!二年生コンビの十六夜咲夜と、紅美鈴ンンンンッ~~ッ!』

 

 

 射命丸先輩の興奮した実況に、会場は爆発のように歓声があがります。す、すごっ!思わず耳を塞ぐところでしたよ!

 

 

「ひゃ~、す、すごい声ですね?」

 

「そうね。でも、それだけ興奮してくれてるってことでしょ?嬉しいじゃない」

 

「それもそうですね。ま、ともかく!(スッ)」

 

「ええ(スッ)」

 

 

 周囲から溢れんばかりの歓声と拍手に包まれながら、私たちはにこりと笑って手を掲げ、

 

 

 

「「準決勝勝利、おめでとう(ございます)っ!」」

 

 

 パシンと、力強く手を叩きあいました。さ~!ここまで来たからには、絶対優勝しましょ~!!

 

 

 

 

 

 

 

 

「く、っそ・・・!最悪だ!あんな二年生の女なんかに負けるなんてよ!何やってるんだ常村!?」

 

「ああ!?そもそもお前が最初にFクラスのバカに負けるのが原因だろうが夏川!」

 

 

 召喚大会のステージから少し離れた廊下。三年生の夏川俊平と常村大作は罵りあっていた。

 

 本来、三年生は受験の年ということもあり、学園のPR要素が濃い召喚大会に出る人数は限られる。この2人はその中の一員で、召喚獣の操作の慣れというものがあるため、優勝候補として勝ち進んできた。しかし現実は残酷で、彼らは準決勝にて学年が一つ下の二年生に敗北をしたのだ。

 

 しかし、彼らが荒れているのは、ただ勝負に負けたからではない。ある事情があって、彼らは火になって相方を責めているのだ。

 

 

「う、うるせえ!ふざけんなっ!これで俺たちの推薦パアになったんだぞ!?どうしてくれるんだっ!」

 

「バカが!そりゃあ俺のセリフだ!教頭がせっかく俺たちの進路を約束してくれたってのによ!!」

 

 

・・・そう。この2人は文月学園の教頭である勝原先生に、召喚大会で優勝し、ある行為をすること条件に、志望校である大学に推薦状を出すという裏取引をしていたのだ。 決して許されない行為だが、この2人は迷うことなく承諾し、召喚大会に出場したのだ。

 

 

「くそっ!推薦の約束もなしになって、ぼこぼこにされて、ののしられて、侮蔑されて・・・なんの得もねえよ!何だったんだ今日の苦労はっ!」

 

「それは俺のセリフだ!わざわざ人から非難の目で見られながらもFクラスを罵ってたのに・・・くそっ!これじゃただ嫌われ損じゃねえか!」

 

 

 しかし、負けてしまっては契約は破棄。彼らはただ時間を無駄に費やすに終わってしまい、どこへぶつけることもできない怒りを、互いにぶつけあっていたのだ。周りも意識できずに罵り合う2人。悔しさ、怒り、今は叶わぬ願いへの悔しさを言葉にのせて、声を押さえようと考える余裕もない。

 

 

 

 

 

 

 

「――――ふぅん。そうなの」

 

 

 

――だからこそ彼らは、その存在の接近にも気づかずに大声で荒げ合っていたのだ。

 

 

 

「「――っ!?だ、誰だ・・・・!?」」

 

 

 突然の声に、罵り合っていた二人は血走った眼で、そちらへと目をやった。ついでにこの不満の矛先にもしてやろう。そんなことも考えながら、声の主を見て――――

 

 

 

「「!?・・・・い・・・っ!?」」

 

 

 先ほどまでの勢いはどこへ。2人の体中に鳥肌がたち、頭にのぼった血が一気に下がるのを感じた。

 

 

 

 

「お・・・!お、お前・・・っ!?」

 

「か、か・・・・・か、風見・・・っ!?」

 

 

 

 

「はあ・・・」

 

 

 

 混ざり気のない淡い緑の癖のある髪。あらゆる万物を凍てつかせるような冷え切った眼を向ける美少女。

 

 そして彼らと同じ3-Aクラスであり、『決して彼女を怒らせてはならない』と、誰もが声を揃えて言うほどの、学園トップクラスの美女にして、学年髄一の畏怖の象徴――風見幽香は、心の底からつまらなそうに息をついた。

 

 

 

「・・・あなた達みたいな2人が、召喚大会に出るのは何か理由があるとは思ったけれど・・・・本当に、くだらない理由ね。もともと期待なんかしてなかったけど、やはり期待する価値もなかったわ」

 

「ん、んだとてめえ・・!?」

 

「か、か、風見には関係ないだろうがっ!人の話に聞き耳なんか立てるんじゃねえっ!」

 

「・・・(スッ)」

 

「「う・・・っ」」

 

 

 彼女の思いやりを感じさせぬ言葉に二人は歯を向くが、まったく動じることなく、幽香は二人を見た。そこには怒りも哀れみもない。ただ、どこまでも冷め切っているだけ。2人は思わず口をつぐんだ。

 

 

「私だってあなた達の事情なんかどうだっていいわ。甘い条件につられて、自分の力で何とかしようとせず、挙句の果てには、負けた責任を他人に押し付けあってる醜い二人になんか、誰が話しかけたいというの?

 

・・・いないわよ、善人でない限り、そんな人間は。勘違いしないで。私はやむを得ずに、あなた達のようなクズで情けない二人に話しかけてるのよ。この3-Aの恥さらし共が」

 

 

 気遣いなどなく、ただただ相手を蔑む立ち位置からの言葉とは名ばかりの暴力に、二人は心にぐさぐさと傷が出来ていく感じがした。

 

 

「う・・・そ、そこまで言うかっ!?」

 

「くそ・・・!そ、その、その情けない二人になんの用だってんだよ!?」

 

 

 冷酷と言っても過言ではない幽香の言葉に、2人はすでに彼女へと噛みつく根性も失せて、らしくもなく涙目になりながら大声で幽香に叫んだ。

 

 

 

 

 

「・・・聞いた話だと、あなた達、2-Fクラスの悪口を言いふらしてたみたいね?」

 

 

 そんな2人に彼女は一つ、全く予想していなかったことを確認してきた。

 

 

「あ?・・・そ、それがなんだよ?」

 

「か、風見には全く関係ないことだろ?」

 

 

 彼女と2-Fクラスに接点などない・・・はず。二人はそう思っての反論だった。

 

 

「・・・ええ、そうね。私はあなた達がどこで何をやろうと興味がない。そして2-Fクラスに思い入れがあるわけでもないから、そこを別に妨害をしようが知ったことじゃないわ」

 

 

 

 

 でもね、と。幽香は、先ほどよりもわずかに感情がこもった声で繋ぎながら、二人を見据える。

 

 

「そこに特例があるとなれば、話は別」

 

「あ、ああ?」

 

「な、なんのことだよ?」

 

 

 どういう意味か分からず聞き返すも、彼女は答えない。自分の言葉を告げるだけである。

 

 

 

「・・・・人の良いあの子よ。どうせ、気にしてないとか慌てて言うだろうけど・・・あいにく、私はそんな意見に耳を貸してやるほど、人の良い先輩ではないわ」

 

 

 

「「―――っ!?」」

 

 

 コツと、彼女は一歩足を進める。瞬間二人は、嫌な汗が噴き出るのを止められなかった。

 

 

 

「それに、Fクラスを陥れようとしたということは、私が準備した物も無駄にしようとしたことになる。・・・それだけでも私にとっては、動機は十分よ」

 

 

「「あ………あ…」」

 

 

 2人には、彼女が何を言ってるのかは分からない。しかし、それでも一つ分かったことがある。

 

 

――自分たちは絶対に避けねばならない虎の尾を、踏んでしまったのだ、と――

 

 

「さて・・・と」

 

 

 カツンと、もはや手の届く範囲まで近づいてきた少女に、男である二人は、震えと汗が止まらなかった。対照的に、少女はどこまでも冷静な調子で、自分の手に持っていた物を見る。

 

 

「今日は天気が良かったから持ってきたのだけど・・・ちょうどよかったわ。あまり手を汚したくはないものね」

 

 

 それは、直射日光を避けるために使われる日用品・・・高貴さが感じられる、白桃色の日傘であった。

 

 だが今この時、そんな用途には用いない。日傘は一つの武器として、幽香の手に存在していた。

 

 

「さあ。それじゃあ、私の私用に付き合ってもらうわよ。別に何もしなくていいわ。ただ、そこにいれば十分よ」

 

「ひ、ひい・・・っ!?」

 

「ま、待ってくれ!?何かわからんが謝るっ!謝るから――!?」

 

 

 幽香のこれ以上なく冷えきった声に、二人は恐怖し、謝罪を試みようとするが―――彼女は止まらない。

 

 

 

 

――そして、

 

 

 

 

 

 

「あの子を傷付けたこと――――――ここで償いなさい」

 

 

 

 

 その傘は、猛威を振るい始めた。

 

 

 

 翌日。夏川、常村の2人の姿は、学園では確認できなかったという。

 

 

 

 

 

 




 お読みいただきありがとうございます!

 さて、やはり戦闘描写は今一つだったような気がしますが、お許しください~!ここは読みやすいと捉え方を変えて頂ければーっ!


 さて、準決勝でリタイアした常夏コンビ。最後には女帝、風見幽香さんに猛威を振るってもらいました。
 暴力的な形でしたが、これも幽香さんらしさの1つと思って書いてみました。『美しい花にはとげがある。』まさに幽香さんにピタリな言葉な気がしますね~。

 そして最後に書きましたように、常夏コンビはこれで今回の出番は終了です!ゆっくり永遠亭で体を治しておいてもらいましょう!

 なので、少し原作とは違う形で書いていくことになると思いますが、楽しみにしてもらえれば幸いです!


――それではまたっ!次回はしっかり金曜日に書きます~!

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