いや~、一日に一回長文ssを出している方もおられまして村雪は仰天です!村雪もそれぐらい早く出せればいいのですが・・・・
一応この一週間で文章の蓄えが増えたには増えたのですが、まだ不安がありますので、すみませんがもう少し金曜日だけの投稿とさせてもらいますね!申し訳ない!
ですが長期休暇に入ったので、それほど時間はかからないと思います!どうか納得してもらえれば…!
それでは、前回に続き、美鈴さんと秀吉君の休憩時間の回・・・・・・
―――ごゆっくりお読みください。
「お待ちどうさま」
「・・・・・・!!」
私は瞬間的に、全神経をその声の方へと走らせました。来た来た来たぁっ!さあ!眼福の時間ですよ私~~っ!
「・・・・な、何よ美鈴。そんな血走った眼で見てきて・・・」
予想通り、そこには咲夜さんがいました。
両手には私たちの料理らしきものを2つバランスよく持ち、白い前掛けに、スカートが膝辺りまでと非っ常にセクシーな青色のメイド服を着た咲夜さんは、照れか怒りなのか、顔を赤く染めながら私たちのテーブルへと歩み寄りました。
・・・・・ふ~。
「うおおおおおっ!!ビバ、メイド咲夜さ~~んっ!!」
「っ!?ちょ!?こ、声が大きいわよ美鈴!」
「お、落ち着くのじゃ紅!近くの客や店員がびっくりした顔でこっちを見てるぞいっ!」
はっ!?ちょ、ちょっと我を失いかけてた!?
「お、おおすいません咲夜さん秀吉君。あまりの咲夜さんのメイド服のすばらしさに、叫ばずにはいられませんでした!」
咲夜さんの召喚獣も似た格好でしたけど、本人が着るとそのすばらしさは膨れ上がっています!もうこれだけでおなかはいっぱいです!幸せってお腹に溜まるものなのですねー!
「・・・な、何言ってるのよ・・・もう。全く・・・」
「十六夜、顔が真っ赤になって何かを抑えようとしておるのは伝わるのじゃが、手の皿が震えて落ちそうになっておるぞい」
「・・・し、失礼。こほん、こちらふわふわシフォンケーキ二人前よ。ごゆっくりどうぞ」
そんな赤顔の咲夜さんは、私たちに料理をおくとすぐに立ち去ろうとするではありませんか!
「えー、咲夜さんもう行っちゃうんですか~?」
「ほ、他にも料理を届ける仕事があるのよっ」
「う~、そ、それなら仕方ありませんけど・・・」
まじめな咲夜さんらしいです。理由を作ってまで休みを取ろうとする霊夢とは真反対ですね!
「・・・こ、こんな恥ずかしい顔、見せたくないし・・・」
「?咲夜さん、何か言いました?」
「!な、何も言ってないわ!ゆっくり食事をどうぞ!召喚大会の時間を間違えないように!バカ!」
「バカ・・・ッ!?」
口が悪いメイドは他にもいるみたいでした。しかもそれが妹である咲夜さんなんて・・・!!悲しい!私は悲しいですよ~~~!!
「しくしくしく・・・咲夜さんが、反抗期になりました・・・」
「いや、あれはお主のせいだと思うのじゃが・・・ま、まあ食べようではないか。せっかく来たんじゃからの」
「う~・・・はいぃ~~」
私は去っていく咲夜さんから目を離して、頼んだ料理をいただくことにしました。
・・・すっぱい。このシフォンケーキ、涙の味ですっごいすっぱいですよ~~!
『ふ、二人ともダメだって!?お、落ち着いて』
『佐藤は黙ってなさい!』
『ひいっ!』
『ちょっとこら木下。関係のない佐藤にまで怒鳴んじゃないわよ。そんなんだからあんたは短気な女って周りから言われんのよ』
『だ、誰にも言われてないわよそんなことっ!勝手にねつ造するな!』
『ねつ造じゃないわ。私が言ってるもの』
『・・!!は、博麗ぃ!!そんなに私を怒らせたいのねーっ!?』
『別にどーだっていいわよ。そもそも、先にケンカを吹っかけてきたのはあんたでしょうが』
『あ、あれはだから・・・!あんたが私より、その・・・!』
『?何。口ごもるなんてあんたらしくないわね』
『う・・・だ、だから、あんたが・・・』
『私が何よ』
『その・・・す、す・・・・すご・・・』
『あん?』
『・・・すご、いバカだからよ!こ、このバカ博麗っ!』
『・・・よっぽど怒らせたいのはあんたみたいね、木下。泣く覚悟はできてんの、ねえ?』
『う、うっさい!別の方向でなら、今私は枯れるぐらい泣きたいぐらいよーっ!』
『ちょ、ちょっとやめて二人ともぉっ!?――あっ、い、十六夜さん!ちょうどいいところにっ!お願いあの2人をとめ』
『や、やってしまった・・・!可愛いって言ってくれたのにバカだなんて・・・!ああ、私のバカバカバカバカ――』
『・・・・も、もお~~~っ!!誰でもいいからこの3人を冷静にしてーっ!!』
「は~・・・咲夜さんにバカと言われるのは、これで何度目でしょうか…」
「あったんじゃな、言われたことが」
「ええ。とはいえまだ3桁には行ってませんよ!だからセーフです!」
「・・・どういう根拠でセーフなのかは分からぬが、お主が十六夜に嫌われているのかと思ってしまうわしは、悪くないと思うのじゃ」
「し、失敬な!これも一つのスキンシップです!吉井君もバカって言われてますけど、あれだって愛称を込められての言葉じゃないですか!」
「いや、明久のあれは・・・混じりっ気なしにバカと言われてるのじゃと思うぞい」
「・・・・な、なんとなくそんな気がしてしまう私は、悪くないですよね?」
「うむ。そこは仕方ないのじゃ。わし自身そう思っておるからの」
「秀吉君ってたまに吉井君に冷たいですね!?」
友達をかばおうとせずにズバズバと言い切る秀吉君。友達ってなんなんでしょうね~。
ようやくケーキの味が涙のすっぱさから甘さへと変わったので、秀吉君と雑談をしながら私は『ふわふわシフォンケーキ』を堪能し始めます。ふむふむ、名前通りふわふわしていておいしいです!
「わしも明久に女子扱いをされるからの。お互い様なのじゃ」
「ふ~む。でも秀吉君も秀吉君で、可愛らしい恰好をしちゃうのも原因だと思うのですが・・・ちなみに秀吉君は、どんな女の子の恰好をしたことがあるんですか?」
「そうじゃのう・・・・ドレス、メイド服、ナース服に和服に巫女に水着とウエイトレスに、今のチャイナドレスだけじゃな」
「だけって数じゃない!それは完全に女の子か、女装好きな男の子じゃないと着ない数ですよ秀吉君!?っていうか普通の女の子でも、そんなたくさんの服は着ないんじゃないですか!?」
ひょっとして秀吉君もおバカなのですか!?心の中に築いていた常識のある秀吉君がものすごい勢いで上塗りされそうです!
「だ、誰が女装好きじゃ!きちんとした理由があって女装をしておるのじゃ!」
「理由があっても何度もやってたら、はまっているようにしか見えません!」
「ははまっておらん!ただ、次はどんな衣装を着ることになるかを気にしておるだけじゃっ!」
「はまってる証拠だそれはーっ!?」
どうしましょう、まさか、Fクラスでまともなのは瑞希さんと島田さんと私だけだったなんて・・・!!(× あなたの代わりに田中君を加えると、正解です)
「盛り上がってるわね。お水のおかわりはいるかしら?」
「あ、お願いしますよアリス」
「わしも頼むのじゃ」
「ん、かしこまりました」
大声をあげましたからのどが渇いちゃいました。私が欲しくなった時に提供をしてくれるとは、さすがアリス。出来る女の子です!今は執事の恰好ですけど!
「はいどうぞ。なんの話をしていたの?」
「ありがとうございます。いえね、秀吉君は可愛いから女装をするのか、女装をしているから可愛いのか?というという議論を繰り広げていたんですよ」
「そんな議論はしとらんし、必要ないのじゃ!」
「後か先か、ってことね。・・・んん。たぶん秀吉の場合は、可愛いが先じゃないかしら?」
「お主もわざわざ律儀に考えて回答せんでよい!」
アリス、さすがよく見ていますね!
「秀吉。こう言ってもあなたは納得しないでしょうけど、褒められたなら素直に受け取った方がいいと思うわよ?私なんて心当たりがないのに、ひどいことを言われたりしたわ・・・」
「む、そうなのか?」
「な、何か嫌なことがあったんですか?」
一変してため息をつくアリス。な、何があったんですかアリス!?嫌なことがあったのなら遠慮なく相談してください!
「ええ・・・・・・さっき、魔理沙に思い切りバカって言われたの。前にもみんなに鈍感って言われたり・・・私、何かしちゃったのかしら…」
「・・・そ、そですか」
今の意気込みはなかったことにしましょう。それはたぶんアリス自身で気づくことが大事です。ええ。ええ。
「ま、まあ魔理沙も理由なくそんなことを言ったりはしませんよ!きっと理由がありますって!」
からかったりするのは日常茶飯事ですけど、侮蔑はあんまり魔理沙はしません!何も言わないとはいえ、アリスの不安をなくしたいと思っての助言は別です!
「・・・そうよね。じゃあ、やっぱり私が何かしたのよね・・・」
「そ、そっちに捉えますか!」
「アリスの心配性は変わらぬのう・・・」
これじゃあまだまだ道は険しいみたいですね、魔理沙。ファイトですよ!
「ま、まあその話はそこまでにしときましょうアリス。考えすぎても答えは出ませんから!」
「・・・うん。それもそうね。じゃ、『ふわふわシフォンケーキ』の味はどうだったかしら?レミリアもフランもおいしそうに食べてくれてたんだけど・・・」
ほほう。あの2人も同じものを頼んだのですか!やっぱり私たちは姉妹ですね!(※選べる品が少なかったからです)
「ええ、とってもおいしいですよ!ふわふわしてて甘さもしっかりありました!」
「うむ。わしも良いと思ったのじゃ、アリス」
「そう。それはホッとしたわ。知らない人に意見を聞くのははばかられるから、知り合いが来てくれるとありがたいわね」
嬉しそうに微笑するアリス。あ、近くでアリスを見ていたお客さんが一斉に顔を赤くしました。ちなみに男子女子両方からの反応です。魔理沙、敵は多いみたいですよ!
「あ、ところでレミィとフランはどこに行ったんでしょうか?ここに居座ると聞いたんですけど・・・」
「ああ。あの2人なら別のお店も見たいってさっき出て行ったわ。だからここにはいないわよ?」
「そうですか~。・・・お、お店に迷惑はかけていませんよね?」
フランとレミィは仲が良いからケンカも日常茶飯事。もしかして、ここでもケンカをしてたりして・・・?
「ふふ・・・また仲睦まじくケンカをしてたわよ。見ていて心が和んだわ」
「も、申し訳ありませんーっ!」
予想通りですかもお~!じゃれあうのはいいんですけど場所を考えなさい2人とも!お姉ちゃんが謝らないといけなくなるでしょうがーっ!
「大丈夫よ。皆も小動物を見るような感じだったから、特に迷惑には感じなかったわ。・・・むしろ、迷惑だったのはあの2人組だわ」
ん?2人組?それってひょっとして・・・
「もしやそれは、Fクラスで騒いでた3年生かのう?」
「坊主頭の人と変わった髪型の頭の男子よ」
「間違いありませんね」
どうやらあのお二人はAクラスでもいい評判はないみたいです。アリスは気にした顔で、私たちに問います。
「あの2人、やたらとFクラスの悪口を言ってたんだけど、何かあったの?いやがらせでもされてるの?」
「さあ。それが私たちもよくわかっていないんですよ。個人的に恨みでもあるんじゃんないでしょうか?」
「そうじゃとしても、まったく迷惑な話じゃな」
「まったくもってその通りです。次何かやらかしたら、もう容赦しませんよ!」
「お主、あれで加減をしとったんじゃな・・・」
三年生で何かと忙しいでしょうに、全く暇な先輩方ですよ。ほかの三年生が聞いたら呆れ返ること間違いなしです!
「なんにしても用心してね。あまりいい雰囲気の男たちではなかったから」
「ええ。アリスの方がずっと素敵な男子に見えますよ!」
「あら。ありがとう美鈴」
「・・・そこは男として扱われて怒らんのじゃな」
「一応褒め言葉なんだから、素直に受け取っておいた方がいいわ。さっきも言ったでしょ?」
「・・・そんなものなのじゃろうか・・・?」
「そんなものです秀吉君!だから可愛いといわれても気にせずに受け取りましょう!」
・・・が、秀吉君には通じず、私の可愛い発言は顔を赤くしての怒り声に一蹴。お茶会はそのままお開きとなりました。
「全く、わしは男じゃと何度も言っておろうが!」
「す、すいません!で、でもそこまで嫌ですか!?」
「嫌じゃ!アリスはああ言っておるが、やはり誰だって異性と捉えられては文句が出る!」
「異性の恰好をしてる秀吉君にも非があると思いますよ!?」
女の子にしか見えないですから、ある意味秀吉君が誘惑しちゃってますもの!
廊下を歩きながらやいやいと騒ぐチャイナドレスの2人。騒がしいだけじゃなく、見た目でも珍しいから嫌でも視線が集まって、ちょっとしたアイドル気分です!
「い、今は喫茶店のためでこれまでは演劇のためじゃっ!別に可愛いと思われたいわけではないのじゃ!」
「そ、それは分かりますけど、一種の才能じゃないですか!私へのあてつけですかこら~っ!」
「そ、そこでなぜお主が出てくるのか全く分からんぞい!?」
男子である秀吉君の方が可愛いなんて許されざる事実!私はこんなにも可愛くないというのにーっ!!(※女子に聞かれたら、しばかれて妬まれること間違いなしの嘆き節もあったものです・・・)
「は~。秀吉君は自分の容姿をもっと自覚するべきです。ねえ土屋君?」
「・・・・同感(パシャパシャパシャ)」
「!?お、お主はなにを当たり前のように写真を撮って同意しとるんじゃムッツリーニ!いつからいたのじゃっ!」
「・・・・さっき。休み時間をもらえたから」
そういう土屋君の姿は白い調理服ではなく、普通の学園の制服を着ているので本当のことでしょう。ちなみに彼は、Aクラスを出た時から写真を撮っていました。秀吉君は怒っていたから気づけなかったようですね。
「さーいらっしゃいらっしゃい!焼きそばやたこ焼き、焼きトウモロコシはいかがですかー!」
『いかがでしょうかー・・・』
「お?あれはBクラスですね?」
「む?おお、そのようじゃな」
「・・・良い香りがする」
声のするBクラスの教室を見ると、店頭販売なのか廊下に出店らしきものがあり、ちょっとした行列ができていました。う~ん、土屋君の言う通り、いい匂いです!食欲がわきますね~!
「せっかくですから並びませんか?甘いものを食べましたから、辛いものがちょっとほしくなりましてね!」
「そうじゃな。わしもこういうものが欲しかったところじゃ」
「・・・・(こくり)」
二人の同意も得れましたので、私たちは最後列に移動します。おお、さらに香ばしい香りがしてきました!思わずお腹が鳴りそうです!
『たこ焼きを二つで』
『たこ焼きを二つで!かしこまりました!』
『焼きそばを一つくださーい!』
『焼きそば一つ・・・かしこまりました』
『妖夢ちゃんをお持ち帰りで!』
『私は商品ではありませんので、他の品の注文をお願いしますね!』
『パルスィさん!一回妬んでください!』
『・・・私がいつも妬んでるみたいに言わないように、お客様・・・!!』
『菊入さん!タコとソースをお願いします!』
『真田・・・急いで麺をもってきて・・・』
そんな2人の女子の声が耳に。どうやら知った人が頑張っているようですね!
そんなこんなで待ち続けること数分。私たちの順番が回ってきました。
「いらっしゃいませ!・・・あ、紅さんではないですか。お久しぶりです」
「はい!頑張っていますねー魂魄さん、水橋さん!」
「そりゃあ頑張らなかったら問題でしょうが。全く・・・」
白い髪に白いハチマキを巻き、汗をかきながら笑顔を向けてくれる黒い半そでTシャツの美少女の名前は、魂魄妖夢さん。あまり会話をしたことがありませんが、非常にまじめな性格の女の子です!
そしてもう一人のクールな反応をする、同じく黒いTシャツと赤色のバンダナをかぶったブラウンの髪の女子は、水橋パルスィさん。ちょっと嫉妬しやすい方らしいんですが、大人っぽい雰囲気が漂っている女子でございます。
他にも何人かがいますが、どうやら彼女たちは裏方のようで、二人の少し後ろで待機していました。
「何にされますか?」
「そうですねー。じゃあ、たこ焼きをお願いできますか?」
「分かりました。ちょっと待ってくださいね!」
私が注文をすると、魂魄さんは素早い動きで準備を始めます。おお!?は、針みたいなもの(※ピックといいます)の扱い方がプロみたい!?
カチャカチャとたこ焼きの生地を四角に区切り、丸くくぼんだところへと生地を詰め込んでひっくり返すその技術、高校生の手さばきじゃありません!
「――よいしょ、と。お待たせしました。350円です!」
「あ、は、はい!お見事な腕前です!」
あ、あまり待ちませんでしたけどね!ひゅんひゅんとたこ焼きをがパックへと移され、あっという間に完了。た、たこ焼きの作り方の修行でもしたことがあるのでしょうか?たこ焼きは作ったことがないので、思わず目をはっちゃいました!
「ありがとうございました!では、次の方どうぞ!」
お金をちょうど払ったのを確認した魂魄さんは、次のお客である秀吉君に注文を伺います。
「うむ。では焼きそばを一つ頼むのじゃ」
「焼きそばですね、かしこまりました!パルスィさん!」
「ん・・・少々お待ちを・・・」
どうやら隣の水橋さんと役割を決めているようで、水橋さんがジャッジャとヘラで焼きそばを準備し始めます。ちょっぴり愛想が少ないですけど、やることはしっかりやっていて、すぐに出来あがりました。う~ん、ソースの香りがすっごい良いです!
「はい、お待たせ・・・250円よ」
「了解じゃ。ほれ」
「・・・確かに。ところであなた・・・・・女だったかしら?」
「男じゃ!今日はその質問が多すぎるぞい!?」
「・・・男のくせにそんな恰好をしても似合うなんて・・・・!!ああ妬ましい・・・とっとと失せなさい・・・!!」
「わ、わしだって好きで似合ってるわけじゃないわいっ!」
「パ、パルスィさんっ、お客様にそんな言いかたしたらダメですよ!」
そんなもめそうな二人に魂魄さんが割って入り、黒いオーラを吹き出す水橋さんに注意をします。以前も吉井君がボコボコにされそうなときに止めに入ったそうですが、魂魄さんは仲裁の仕方もお上手です!
「・・・ん、悪かったわねお客様。妬みやすい性格だから、許してくれるとありがたいわ」
「むう。つ、次は言うでないぞい?」
「私としては、二度と可愛らしい恰好をするなと言いたいところね。妬ましくなるわ」
はあと息をつく水橋さん。とりあえずいさかいは収まったみたいです。魂魄さんも安堵した様子で息をつきました。
「ふう・・・では、次のお客様どうぞ!」
「・・・・焼きトウモロコシを1つ(パシャパシャ)」
「はい、焼きトウモロコシですね!少々お待ちください!」
「・・・・(こくり)」
私、秀吉君と終わって最後に土屋君の番です。土屋君は写真を撮りながら注文をしたのに、魂魄さんは全く動じずにトウモロコシを準備し始めます。ここまで冷静とは一種の才能ですね!逆に慌てたところなんか見たくなっちゃいますよ~。
ごほん!今のはナシとして!
「土屋君。あまり魂魄さんの邪魔をしちゃだめですよ?」
「・・・失礼(スッ)」
「いえ、お気になさらず。もう少々お待ちください」
「・・・(こくり)」
何も嫌な顔をすることなく土屋君に時間を要する魂魄さんホンット出来た方です~!お嫁さんになってくださいー!!
「・・・全く・・・その心の深さ、あんたが妬ましいわ妖夢っ!」
「ええっ!?て、店員として大事なことをしてるだけですよ!?」
いえ、そんなことが必要とされる店員は普通いません。多分もう少し強気に言っても大丈夫ではないでしょうか?
秀吉君も同感のようで、あきれたように土屋君へと声をかけました。
「全く・・・ムッツリーニよ。魂魄の邪魔をせんためにも、もう少し控えるべきじゃとわしもおも――」
ブォンッ!
「・・・・・う、のじゃ・・・?」
「・・・へ、へ・・?」
・・・・・・ん。んんんんん?お酒は飲んでないですけど・・・・・・私は突然、酔っ払ってしまったのでしょうか?
「・・・・・・・・(スッ)」
「・・・・・・!?」
先ほどまで、全くケンカ腰など見せなかった真面目な妖夢さんが…どこから出したのか、立派な竹刀を・・・・・・土屋君に向けたではないですか。
あれあれ?どこかでアルコールを摂取しましたっけ?
「・・・失礼ですが・・・・・今、『ムッツリーニ』とおっしゃいましたか?」
「え・・・あ、ああ。確かに言ったのじゃ」
突然の事態にも、秀吉君はきちんと答えます。その声には疑問と戸惑いが混ざっていましたが、魂魄さんのただならぬ雰囲気に素直に答えちゃいました。
「・・・それは、この写真を撮っていたこの男子の方をさして言ったのですか?」
「・・・妖夢?」
木刀の先で土屋君をさす魂魄さんには、先ほどまで見せてくれた丁寧さが全く見受けられません。水橋さんも、魂魄さんの突然の変化に目を丸くしています。
「・・・う、む・・・そうじゃが・・・・」
「・・・そうですか・・・・・」
秀吉君の返答に魂魄さんは、ふぅと、余計な考えを吐き出すように深い息を吐き出し・・・・土屋君をじろりと睨みました。
「・・・大悪、『ムッツリーニ』よ。覚悟しなさい」
「・・・・っ!!なぜ・・・!?」
突然の討伐宣告に動揺する土屋君。な、何をしちゃったんですか土屋君!さっきまで明るく優しそうだった魂魄さんが、突然冷たく厳しくに大変身しちゃいましたよ!?
「・・・なぜですって?分からないとは言わせません」
私たちが突然の事態を把握しきれず、土屋君、魂魄さんへと交互に視線をやっていることなど気にせず、魂魄さんは親の仇を見る目で土屋君を見据え・・・どことなく頬を桃色に染めながら――
「・・・・わ、わ・・・!『私より可愛い人などあんまりいない!』と言えば分かるでしょうっ!」
「・・・・・・・・・・・・はい?」
「ん??」
「・・・あー」
叫びました。
・・・・・・意外と、魂魄さんは自讃する女の子だったんですね。びっくり仰天です。
「・・・・!!?なぜ、それを・・・っ!?」
「も、問答無用!こ、この恥辱は絶対に晴らすっ!覚悟ぉぉおおおっ!!」
「!!・・・・・死んで、たまるか・・・っ!!(ダダッ)」
土屋君だけには通じることだったのか、俊足の速さで逃亡を始めました。
「!ま、待ちなさい『ムッツリーニ』ィィィィっ!」
魂魄さんも彼を逃がさんと、片手で持っていた焼きトウモロコシを鋭く投げ捨て
ガンッ
「!アッツいたぁぁああああ~~っ!!?」
「ホ、紅!?」
「あ、大丈夫?」
ぎゃーー!!痛いしあっつぅぅぅぅ!!?こ、魂魄さ~ん!?私の顔面にトウモロコシを投げてくるとは何事ですかぁぁぁ!!あなたこそお客さんにやってはいけないことをしてますよー!!
「ティ、ティッシュかタオルください!タレが顔について熱いぃぃぃ!!」
「ティ、ティッシュは持っておらんしタオルも・・・!お、お主は持っておらんか!?」
「ああ、ハンカチならあるわ。はいどうぞ」
「すまん!紅、ほれ!」
「お、おおすみません・・・!って乾いてるからむしろ広がりそうです!?」
「ほ、本当じゃ!お主、ハンカチを濡らしておかんか!」
「はあ!?ハンカチは乾いてるのが普通でそんな予測できるか!その傲慢さが妬ましいわっ!」
「ちょ、ぃ、今の私の状態で仲裁なんかさせないで!目が開けられないんですからー!」
2人が衝突しそうになるのをなんとか声で納め、私は水で濡らしてくれたハンカチで顔を拭き終わりました。
「あ~・・・・醤油だれのにおいがします」
「お、お主もそういうことを気にする性格なんじゃな」
「私ってそんながさつな性格してますか普段!?」
はなはだ遺憾です!そりゃ咲夜さん達とは違ってそれほど気にはしない方ですけど、さすがに外聞は気にしますからね!?醤油のいい匂いがする女って、恥ずかしくて泣けてくるわっ!
「あ~・・・、うちの妖夢がごめんなさい。詫びに、このトウモロコシをあげるわ。私のおごりよ」
そう言って水橋さんは、鉄板の上に焼かれているトウモロコシを提供してくれました。ここはありがたく頂戴するとしましょう。トウモロコシの熱さはなかなかのものでしたからね!
「じゃあ、いただきますね。すいません水橋さん」
「あとできっちり妖夢から取り返すから問題ないわ。・・・それにしても、妖夢が仕事を抜け出すとはね・・・初めてあの子に勝てた気がするわぁ~・・・」
「は、はあ・・・・・・」
魂魄さんがいなくなったことに水橋さんは全く怒らず、むしろにやりと暗い笑みを浮かべています。思わずぶるっと来るほどの迫力でした。
「じゃ、じゃあ、ありがとうございました」
後ろにもお客さんが並んでいて、これ以上待ってもらうのも悪いため、私たちは屋台から離れました。
「ん。ありがとうございました・・・。菊入。妖夢の代わりに入ってちょうだい」
「ええっ!?む、無理無理むりだよ!妖夢ちゃんみたいにできないって!真田さんはどう!?」
「あたし?別にそりゃいいけど、パルスィのヘルプをしてるからちょっとね。頑張れ真由美!」
「そ、そんな~!」
「ほら、早くしなさい。お待たせしました。はい、焼きそば二つですね…」
「ひ~…い。い、いらっしゃいませしぇ!・・ははい!たこ焼き二つで!えと、えと・・・!!」
「・・・真田。やっぱり菊入を手伝ってあげて」
「え?いいの?」
「いいに決まってるでしょ。この状況で手助けさせないなんて、私は何様よ」
「ん~・・・・・・パルスィ様?」
「・・・あんたが私を傲慢な女と思っているというのが分かったわ」
「だって…事実でしょ?」
「・・・・そんなことないわよ」
「その間、絶対自覚してるでしょ!」
「な、なんでもいいから手伝って真田しゃ~~ん!!」
お読みいただきありがとうございます!
今回は、Bクラスの妖夢さんとパルスィさんに加わってもらいました!偏見かもしれませんが、屋台で焼く人は黒いTシャツに鉢巻やバンダナがかっこいい気がするんですよね。そこで妖夢さん、パルスィさん達に、村雪の希望を叶えてもらいました!
アリス、咲夜と続き、まだまだ服のことには無知ですが、東方側の方にはこれからもいろんな服を着てもらって作品を盛り上げていきたいですね!
それではまた来週!何か質問や感想があればえんりょなく連絡ください!