さて、実は今回。一人だけ新しい東方キャラクターが登場します!前回の最後に書き忘れていたわけですが、申し訳ない!一種のサプライズということでお許しを~!
では、皆様に気に入ってもらえる内容であれば願いながら―――
――ごゆっくりお読みください。
「ただいま~」
「ただいま戻りました~」
「……(もじもじ)」
「あ、おかえりなさい3人共!」
おぉおぉ!皆、とっても似合ってるじゃないですか!
「……最高・・・(パシャパシャパシャ)!!」
「いい!すっごく良いよ3人とも!僕は猛烈に感動している!」
「う、うっさい黙れ!撮るな見るな!」
瑞希さんは赤色のチャイナ、島田さんは青色、魔理沙は黄色のチャイナを着て、誰もが負けず劣らずの可愛さを持っていました!
魔理沙だけは恥ずかしいのかもじもじしているのですけど、それがまたぐっときますね!堂々とした方がかえって目立たないのに、魔理沙は自分に関することでは思った以上にシャイなんですねえ?
「そ、そう?そりゃ良かったわねアキ~?」
「よ、良かったです~・・・」
吉井君の感想にご満悦の様で、残りの2人は反対にまんざらでもない笑顔を浮かべています。恋というものは人を大きくするんですね!
「じゃあ3人とも、早速で悪いんですけどホールに回ってくれますか?」
思った以上にお客さんが来てくれたので、実は人手が足りてない現状。閑古鳥が鳴いていたさっきまでとは偉い違いですね~!頑張った私を褒めてやりたいです!
「オッケー、任せておいて。行くわよ瑞希、魔理沙」
「はいっ」
「こ、この仕返しはいつかしてやるからな!」
魔理沙が悪役じみた言葉を吐きつつも、島田さんの指示通りにお客さんたちの間へと向かいました。ふ~、人でも増えましたし、これで私も少し楽になり・・・
「君、注文をしてもいいかな?」
「あ、は~い!」
あはは。そううまく休めませんよね~。すぐに私はお客様のもとへ注文に向かいます。
・・・あれ?この人、また来てくれたんですか。
「本格ウーロン茶と、ゴマ団子を」
「はい、本格ウーロン茶とゴマ団子ですね!」
私は受けた注文を伝票に書きます。注文をしたのは、この文月学園の教頭先生である竹原先生。眼鏡がきらりと光り、どことなく悪っぽく見えてくるのは私のさじ加減でしょうか?
「では少々お待ちください!」
「ああ、それと聞きたいことがあるんだが、いいかね?」
「あ、はい?」
厨房へ向かおうとする前に、教頭先生は私を呼びとめました。何用でしょう?
「このクラスに吉井明久という生徒がいると聞いたんだが、どの子かな?」
「吉井君ですか?吉井君なら・・・あ、あれです。今あそこで接客してる男の子です」
「ああ、そうか―――彼が吉井君(笑)か」
「あの、教頭先生。人の名前の後に笑いを入れるのはいかがなものかと・・・?」
「ああ、すまない。だが、私は教え子である彼の事を吉井君(馬)とは呼べなくてね」
「吉井君が職員室でどう呼ばれてるのかが気になる言葉ですね!?」
馬って、もはやそこから連想できる言葉が一つだけです。教頭先生にまで知られているなんて、吉井君の知名度には舌を巻かざるを得ません。
「あと・・・君が紅美鈴さん、かな?」
「へ?はいそうですけど」
わ、私は教頭先生にまで名前を覚えられるようなことはしてないと思うんですけど!?
「そうか・・・なかなか召喚大会で頑張っているみたいだね?」
「まあそうですね。何とか勝ち進んでいますよ」
「なるほど、それは良いことだ」
私が召喚大会に出てるのも知っているんですか~。教頭の立場上、行事の進行や参加している生徒も知っておかないといけないものなんでしょうか?
「で、吉井君に用でしたらお呼びましょうか?」
「いや、構わないよ。特に用があったわけではないのでね」
「へ?はあ、そうですか?」
吉井君のことを聞いてきたから、何か話でもあるのかと思いました。何かの確認でもしたかったんでしょうか?
「じゃあ、注文を言ってきますね」
あとは特に用は無かったみたいで、そのまま教頭先生と話を終えて厨房へと向かいました。え~とウーロン茶とゴマ団子一つずつと~・・・
「土屋君、妹紅さん。ウーロン茶とゴマ団子をお願いしま~す」
「・・・ん・・・・」
「……少しあんと小麦粉が足りなくなってきてる。取って来てほしい」
「は~い、了解です!」
土屋君のお願いに、すぐさま材料が置いてある教室へと向かいます。いや~、材料が無くなるという事はそれだけお客さんが来てくれているってこと!嬉しい事態ですねーっ!
「よいしょ、え~と、小麦粉とあんこは――」
空き教室にはFクラスの皆の荷物が置かれていて、材料は教室の隅の方に固めてある袋の中でしょう。え~と、どの袋に入っているか・・・
「おい」
「ん?」
突然の声に振り返ると、文月学園の制服とは違う制服を着た男子が三人、私の方をじろりと見ていました。
??え~と?
「すいませんが、どちら様でしょう?」
初めて見る顔ですし、知り合いとかではないですよね?
「俺達が誰かなんてどうでもいい。それより、あんたが紅 美鈴か?」
「はあ、まあ…」
「ひゅーっ、すっげー可愛いじゃん。中国人って皆こんなに可愛いのかよ?」
「足とか綺麗で十分可愛いけど、俺としちゃあもう少し背が低い方がいいけどなぁ~」
「バーカ。そこがまたそそるんだよ」
「・・・・・・・・・」
何やら下卑た笑いを浮かべる三人。・・・・ん~。なんか・・・・・・すっげー気分悪いです。何ですかねこの男子たちは?
「で、何か?」
「ああ。あんたにお願いがあって来たんだよ」
「お願いとは?」
「召喚大会で勝ち進んでるみたいだけど、負けてくんねえかな」
「・・・は?」
わけのわからない要求に、私は眉をしかめます。なぜ召喚大会のことに口を出してくるのでしょう?この他校の三人には、全く関係のない行事ですよね?
「・・・理由は?」
「言う必要がねえよ。あんたはただ勝負に負ければいいんだ」
「・・・ふ~ん」
・・・・ずいぶんと、勝手な言い草をされますね?そんな言い方で話を聞いてもらえるとでも思ってるのでしょうか、この男子共は?
「断れば?」
「へへっ、ちょっとばかり、嫌な目にあってもらうぜ」
「俺らとしては、それもありだけどなあ?」
「・・・はあ」
この3人、非常に教育上良くないことを想定してますね、これ。ここまであれな人は初めて見ましたよ。
「で、どうするんだ?ちゃんと負けてくれるよな?」
「じゃないと、どうなるかな~?」
「ひょっとしてつらい目にあうかもな~?」
にやにやしながら私の言葉を待つ3人。どーも、私が脅しにびびって素直に要求を受け入れるなんて思ってやがるみたいです。
「んー、そーですねー」
こんな奴らににかける言葉、行動は一つです。
さて、実行するとしましょうか。いち、に。
「―――なめんじゃないわよ。この大馬鹿共が」
「…………」
「・・・・・・」
「…………」
「・・・・・・い、いや~。藤原さんと二人きりになるって初めてだね!」
「・・・・・・あっそ・・・」
「ふ、藤原さんも美鈴さん達みたいにチャイナドレスを着ないの?似合うと思うんだけどな~」
「着ない・・・絶対に」
「・・・そ、そっか~。残念だな~」
「…………」
「・・・・・・え、え~~と・・・」
―――気まずい!気まずいよこの雰囲気!僕の力じゃこの間を振り払えないっ!
材料を取りに行った美鈴さんが帰ってこないから、様子見を兼ねて代わりに取ってきてとムッツリーニに言われたんだけど、なぜか珍しく藤原さんも一緒に。僕は全然嬉しいんだけど、この空気だけは苦手なんだよ!
な、何か話を!え~と・・・!
「そ、そういえば藤原さんはどうして一緒に僕についてきたの?」
あんまり人と接したがらない藤原さんにしては本当に珍しい。ひょっとして、僕のことは特別扱いしてるとか・・・?
「・・・・別に、理由なんかない。・・・美鈴が気になっただけだから、そんな顔すんな・・・き、気色悪いし・・・」
「だよねー」
僕にそんな幸運が舞い降りるなんて思ってなかったよ?本当だからね?悲しくなんて思ってないんだからね?
「……でも、美鈴さんも幸せ者だなあ」
「・・・・・・何?急に・・・」
藤原さんは訳が分からないって顔をしてるけど、だってそうじゃない。
「だって、人見知りの藤原さんが僕なんかについてくるぐらい、美鈴さんのことを心配してあげてたんでしょ?」
「・・・!?っち、ちがう・・・!別にそんなんじゃない・・・っ!」
とたん藤原さんの顔が真っ赤に。真っ白な髪もあってすっごい赤いのが目立っていて、それが照れ隠しなのは丸分かりだった。いや~、十六夜さんもそうだったけど、美鈴さんは愛されてるな~。クラスメイトとして僕もなぜか嬉しくなるよ!
「ゆ、勇儀の娘だからなだけ・・・!べ、別にそんなんじゃないからな・・・!?」
「へ?ゆーぎ?」
遊戯の娘?美鈴さんは遊び人ってこと?すごい意外だなぁ。
「あ、見えた見えた。あそこだね」
「・・・・・・・・・まあ・・・嫌いではないけど、さ・・・・・・」
美鈴さんの知らない一面に触れた気もするけど、まずは僕らのFクラスの事が第一優先だ。
僕達の前方に見えてきた空き教室まで、あとすこ――
『うぎゃああああ!!』
「へ?」
「・・・っ!?」
しのところで、誰かの叫び声が聞こえた気がする。というか藤原さんもびくってしたから、間違いなくしたよね?
『や、やめてくげぼぉ!?』
『く、栗谷ぁ!?このアマぁぁあ!!』
『ふっかけてきたのはあんたらでしょう、がっ!』
『ごふっ!?は、腹がぁぁぁああ!!』
『福留ぇ!?ち、ちくしょう!こいつ、ただの女じゃねえ――!』
『ふん!そりゃー褒め言葉をどうもぉっ!』
『がはぁ!?』
「「・・・・・・」」
・・・・何が中で起こってるんだろう。凄く、バイオレンスな光景しか思い浮かばない。
ガララッ!
「ち、チクショウ!覚えてやがれ!」
「て、テメエの面は覚えたからな!!しっかりしろ栗谷!傷は浅いぞ!」
「ぜ、全然浅くねぇよぉ・・・!!」
空き教室から、見覚えのない男子三人が出てきた。誰もが凄くボロボロで、1人は肩を借りてさえもいる。部外者が入ったらダメだと言うべきところだけど、それよりも彼らの傷の方がひどいので、思わず黙っておいてあげた。優しいね僕。
「・・・・な、なに・・・あいつら・・・?」
「さあ・・・あと藤原さん。どうせ壁によるんなら、僕の背中に隠れて欲しかったかな」
「・・・・・・いやだ」
藤原さんの中では、僕よりも壁の方が信頼できるみたいだ。(※人見知りなのですから、大目に見てあげましょう)
「……え~~と、とりあえずはいろっか?」
「・・・・・・ん」
怪しい男子達もどっかに行ったから、僕らは恐る恐る目的地のドアを開けてみた。
「――ったく、こっちは忙しいというのに・・・(ぶつぶつ)」
するとそこには、荷物を整理している美鈴さんの後ろ姿があった。ところどころ髪の毛がぼさぼさになっているのは、ただ運動をしたあとだからと信じたい。
「・・・美鈴」
「!あ、と。妹紅さんと吉井君でしたか。どうしました?」
「……それを、あんたが言う・・・?」
藤原さんの言う通り、それを言うのは僕らなはずだ。
「美鈴さんこそどうしたのさ?さっき、変な男子が三人ぐらいぼこぼこになって出て来たけど」
「あ~・・・・・・さあ?」
「さあ、って言われても!?」
首を傾げ、当事者でありながらそう言う美鈴さん。意外と彼女は僕と同類なのかもしれない。
「い、いや~。それが私もさっぱりでしてね。よく事情は分かってないんですよ」
「・・・・・・分からずに暴力振るったのか?・・・・・・最悪・・・」
「い、いやいやいや妹紅さん!?ちゃ、ちゃんと理由はありましたからね!?別に好き勝手に手を出したわけじゃありませんからね!?」
藤原さんのジトッとした目に、慌てて美鈴さんは弁明をする。まあ、美鈴さんはきちんと常識のある人だからそんなことはしないよね。つまりあの男子達が何かをしでかしたってことだ。いったい教室で何をしたんだろう?
「美鈴さんは大丈夫だったの?」
「あ、はい。きっちり無傷で済ませました!」
男子三人を返り討ちにする女子。それはそれで違う不思議が生まれてくるけど、無事で何よりだ。
「それで、お2人はどうしてここに?」
「美鈴さん遅かったみたいだから、ムッツリーニに材料を取ってきてって言われたんだ」
「あ、ああ~、申し訳ないです。ちょっとばたつきましたもので、少し散らかりましてね・・・」
「……だいぶ、散らってるけど・・・」
「・・・え、えへへ・・・」
見渡すと乱雑に散らばった皆の荷物。そこは無事ですまなかったんだね・・・
「・・・あ、あの~~……ひっじょ~に言いづらいんですけど・・・実は、召喚大会の時間が始まりそうでして……」
「あ、そうなの?」
ということは美鈴さん達も勝ち進んでるんだ。確か十六夜さんと出てるそうだけど。まあ、2人の実力を考えたら当然かー。
「は、はい。それで・・・・・・の、残りの後片づけを頼んでいいでしょうか~・・・なんて?」
ものすごい申し訳なさそうに、美鈴さんがそんなお願いをしてきた。うん、そういうことなら、それぐらいお安い御用だよ!
「オッケー。じゃあ僕達があとは片付けとくよ!」
「ええ・・・?」
藤原さんが嫌そうな声を出した気もするけど、美鈴さんを心配してた君ならやってあげるはずだよね!
「た、助かりますっ!じゃあお願いしますね!このお礼はまたしますーーっ!!」
本当に時間が無かったみたいで、美鈴さんは早口でそう言いながら教室を走り去った。お礼なら美鈴さんのチャイナ姿を見れただけで十分なんだけど・・・ここはありがたくもらっておくとしよう。余計なことは言わない方が良いもんね!
「よし、じゃあ藤原さん。片付けよっか?」
「・・・・めんどうだなぁ・・・」
藤原さんはそう言ってため息をついたけど、その手にはさっそく誰かのカバンが握られている。僕は顔に色々と出るみたいだけど、藤原さんは行動に出るようだ。
とりあえず、僕も近くのカバンを取って、と。
「・・・あ、藤原さん。これ藤原さんのかば」
ばしっ
「・・・・・・・・・・・・(じろっ)」
「・・・・・・・・・次からは気を付けます」
そんなこともなかった。藤原さんも僕と同じで、しっかり顔に思ったことを出していました。
「・・・・・・・・・・・・三人とも、遅い・・・…」
「す、すいません咲夜さん、遅くなりましたっ!」
「全く、何をやっていたのよ美鈴」
待ち合わせ場所で待っていた咲夜さん。ほ、ほんの少し怒っているみたいですけど、なんとか許容出来る範囲なようです!
いや~、妹紅さん達が来てくれなかったらこれだけじゃすみませんでしたね!ありがとう妹紅さん、吉井君!おかげで怒りの咲夜さんを拝まないで済みましたよー!
「ちょ、ちょっと予定外の事が起きましたので、それで遅れちゃいました!」
「予定外?大丈夫だったの?」
「え~・・・はい!大丈夫でした!」
「ならいいれけど・・・」
脅迫された時点で大丈夫ではない気もしますけど、咲夜さんには余計な心配もかけたくないんで黙っておきましょう。
「ところで、次の対戦相手を見た?」
「え?あー、見てませんね」
もはやその時その時に相手を知ってぐらい前調べはしていません。こ、これはこれでワクワクとドキドキがあって意外と悪くはありませんからね!?
「どんな人達でした?」
ここまでくれば弱い人が来るはずが無く、なかなかの実力を持った人たちだけ。それは分かっているのですが、誰かを分かっているだけでも何かは違うでしょう。
しかし、私の問いに対して咲夜さんはこう答えました。
「それは、あなたの方がよく知ってると思うわよ?」
「へ?」
「来たわね、美鈴に十六夜!」
「頑張りましょう!美波ちゃん!」
「・・・おお、確かにそうかもしれませんね」
「でしょ?」
四回戦の相手はどうやらクラスメイト。クラス一の賢さを持つ少女、姫路瑞希さんと、頼れる姉御肌を持った島田美波さんが私たちを待ち構えていました。う~ん、これはなんともほわほわした回になりそうです!
「いやはや、よもやここに来て友達と戦うことになるとは思いませんでしたよ~、瑞希さんに島田さん」
「そ、そうですね。でも、容赦はしませんからっ!」
「そうよ美鈴。首洗って待ってるのよ?」
「あら、それは私たちのセリフじゃなくって?チャイナドレスペアさん?」
「「そ、それは言わないで(ください)っ!!!」」
咲夜さんの挑発返しに、2人は顔を真っ赤にして声を荒げました。
咲夜さんの言う通り、2人共チャイナドレスを着たままの登場です。堂々としていたから特に気にしていないと思っていましたけど・・・ふっきれていただけみたいです。あ、私もチャイナですけど、特に気にしてませんよ?だってスカートの丈と変わらないですもん!
『それでは四人とも、準備はよろしいですか?』
審判である先生がマイクを通して私たちに確認を入れてきます。今回からは清涼祭にやってきた一般の方々にも見ることができ、準備された客席は満席になっていて全体が熱気を帯びた雰囲気が漂っています。私も燃えてきますねー!
「はい、大丈夫です!」
「大丈夫です」
「オ。オッケーです!」
「だ、大丈びゅです!」
『分かりました』
四人が了承を出して、選手の準備を確認できた先生は一つ頷き、ではと言って――
『――では、ここからは解説役にバトンタッチをさせてもらいます。では、しゃめ――』
『はいはいどーも!!ここからは私、噂大好き狙った話題は聞き逃さない!で有名な三年Cクラス!新聞部部長の射命丸 文が実況をしていこうと思いま~す!』
紹介を終える前に、非常に元気な声が会場に響き渡りました。げ、元気な先輩方ですね~。でもごめんなさい。私はその有名な肩書を全然知りませんでした。
『射命丸さん、相変わらずお元気ですね。思わず会場がどよめきました』
『あやや!私の取り柄の一つですからね!たとえ耳障りに思われてけなされようとも、挫けずに声を張り上げて実況をしていきますよ!』
『はい。少し同情を誘うような言葉を言いつつ、頑張っていくという意気込みを見せて周りからの好評を得ようとずる賢しい言葉をありがとうございます』
『さあ!ではさっそく選手の4人の紹介をしていきましょう!』
あ、私たちの紹介とかする流れなんですか?さすがにちょっと緊張しますね~。は、恥ずかしくないように身だしなみを整えて、と!
『まずは2人ともがチャイナを着ているこちらから!』
おおっと、そっちからですか。それだったら気構えなくても良かった
『1人目は、赤いチャイナを着たナイスバディ―の持ち主!頭脳と美貌を兼ね、聖母のように優しい彼女を前に、落ちぬ男などなし!2―Fクラスの、姫路 瑞希ぃぃぃぃい!!』
全力で、過剰でもいいから心積もりをしておきましょう。
「・・・ひゃ、ひゃっぴぃっ!?」
『うぉぉおおおおおおおっ!!』
『きゃ~!!可愛いぃぃぃ!!』
刺激が強すぎたみたいで、瑞希さんは小鳥の鳴き声もどきをあげ、顔をさらに真っ赤にしました。それが受けたようで、観客席からも声が上がります。
『2人目は、その姫路さんとペアーを組む青のチャイナ!男子よりも女子からのラブを受ける少女、同じく2―Fクラス、島田美波ぃぃぃいい!!』
「そそそ、そんなことないわよおおおお!!」
『きゃあああああ!!』
『お姉さまーーー!!』
確かに女の子からの声援が多かったです。モテモテですね島田さん!魔理沙なら絶対喜んでますよ!だからそんな泣きそうな顔をしないで!?
『対しますは!、瀟洒な女子として男女ともどもから人気を集める2年生!あわよくば!バストが豊かであればもはや言う事なし!2―Aクラス、十六夜咲夜ぁぁあああ!!』
『きゃー!咲夜様~~~!!』
『うおおっ!十六夜さああああん!!』
「・・・!?け、消す・・・!消す消す消す……っ!!あいつ絶対あとで消してやる・・・っ!!」
「お、おおっ!?ど、どうどう咲夜さん!それはあくまで紙を切るための道具です!?」
こ、この先輩はなんって地雷を踏んでくれますかね!?か、完全に咲夜さんのコンプレックス部分を爆撃しました!咲夜さん!お姉ちゃんはペーパーナイフを使って人を殺傷するような妹を見たくありませんからやめて~~っ!
『そして、最後の1人!』
え!?こ、この状況で続けるんですか!?絶対良い予感がしませんけどっ!?
『前者2人と同じく緑色のチャイナを着た彼女ですが、レベルが違います!モデルのごとし高身長!燃え上がるような赤い三つ編みのロングヘアー!その全てを優しく包み込んでくれそうな豊かな胸!すらりと健康的ながらもどこか艶めかしいむき出しの脚!はたして、彼女ほど中華娘と言う言葉がふさわしい人間がいるでしょうか!?』
やめて先輩!恥ずかしさで顔がもう燃え上がりそうになりますから、これ以上こっ恥ずかしい紹介は止めてしゃめいまる先輩ぃぃっ!!
『最後の四人目は、くしくも相手である姫路島田ペアーと同じクラス!2―Fクラス、中華小娘、紅 美鈴んんんんっ!!』
『うおおおおおおお!!!』
『きゃーーー!』
『『メーリンメーリン!』』
先輩の見事な紹介に盛り上がる会場ですが、私らはちっとも盛り上がれません!ちくしょう!こんな大勢の前でそんな変な紹介をするなんて、私たちが何をしましたかってんでです!
『はい、それでは紹介も終わったようなので、4人とも召喚獣の召喚をお願いします』
しゃめいまる先輩の声に区切りがついたと判断した先生が、冷静に召喚をせかしてきます。せ、先生は冷静ですけどね!?私たちはとんでもない羞恥心を味わってるところなんですよー!
・・・と、とはいえ勝負ですから・・・!うぐぐ・・・仕方ありません!なんとか頭を切り替えましょう!
「さ、咲夜さん!召喚獣を召喚しましょう!」
「こんな大観衆の前で・・・・!潰す潰す潰す潰す潰す・・・・・!!」
「さ、咲夜さん正気に戻ってくださいぃ!?」
うつろな目で、さ、咲夜さんが本気でやばい!?悪いと思いながらも、私は全力で肩を掴んでがくがくと揺らします!
「・・・はっ。私、変になっていたかしら・・・?」
お、おお!戻ってくれましたか咲夜さん!
「よ、良かったです咲夜さん!あのままいってたら咲夜さんが犯罪に手を染めてたかもしれませんでした!」
「そう……でも、その気持ちはまだ私の奥に宿っている気がするわ」
「け、消してください今すぐ!」
じゃないといつ復活するか気じゃありません!妹が犯罪者になるなんて、お姉ちゃん本当に泣くからねっ!
「み、美波ちゃん。私達も召喚獣を出しましょうか・・・」
「そ、そうね…ウチ、初めて会ったけど・・・あの先輩、苦手だわ」
「・・・・・・は、はい」
瑞希さん達から聞こえてくるそんな声。我々の射命丸先輩へのイメージは、最悪な形で一致した模様でございます。
「・・・あれ?瑞希、そう言えば科目ってなんだっけ?」
「え?美波ちゃん、知らないんですか?」
「あ、あは。ちょっと喫茶店が忙しくって、見るのを忘れてわ」
「あ、なるほど~。えっとですね、今回の対戦科目は古典でした!」
「・・・・・・・・・・・・こ、てん?」
さて、では召喚獣を出すとしましょうか!覚悟ですお2人共!今は敵ですので容赦はしませんよ!
『試獣召喚!』
『Aクラス 十六夜咲夜 古典 397点 & Fクラス 紅美鈴 古典 244点
VS
Fクラス 姫路瑞希 古典 391点 & Fクラス 島田美波 古典 6点 』
「「・・・・・・・・・・・・」」
見た途端、戦意の代わりに同情がもの凄く湧き上がりました。
「・・・・・み、美波ちゃん?」
「・・・・・・・・・・・・・・・心の底からごめん、瑞希」
島田さんは、今これ以上なく居心地悪いことでしょう。
そう言えば島田さんって、古典が大の苦手でしたっけ。帰国子女だから仕方ありませんけど、この点数はなかなかお目にかかれないでしょう。丸メガネをかけた少年ぐらいしか勝てないんじゃないでしょうか?
ま、それはそれとして、
「やりましょう咲夜さん!覚悟です瑞希さんっ!」
「了解!瑞希、覚悟なさいっ!」
「わ、私だけですかっ!?」
「ちょ、ちょっと!お願いだから少しはウチも警戒して!?すごいウチ悲しいっ!」
まずは強者を倒すため!島田さん、あとでお相手をしますから勘弁してやってください!
「ま、負けません!行きましょう美波ちゃん!」
「オ、オッケイ!やってやるわ!」
迫る私たちの召喚獣に腹を括ったようで、2人も召喚獣を走らせてきます!衝突するのも時間の問題、果たして最後に立ち続けているのは・・・!?
「――――ごめん瑞希!ほんっっっっとうにゴメンンンンンッッ!!」
「そ、そんな美波ちゃん!全然気にしてませんから、あ、頭を地面からあげてください~!?」
『あやや!勝者十六夜、紅ペア~~~!!』
私達でした。非常に申し訳ない言い方ですけど、やはり一桁だったら2対1と変わんなかったですねっ!
そんな島田さんは瑞希さんに土下座をしてまで謝罪をしています。こ、古典は知らなくても土下座は知っていたんですか!(※春の召喚戦争の時、あなたが披露したのを見て学んだようです)
『お、お姉さまが土下座を・・・はああんっ!!あそこにいるのが美春だったら・・・!!』
風に乗って聞こえてきたそんな声は、絶対に葉月ちゃんが言ったのではないですよね?島田さんには他にもユニークな妹さんがいるのでしょうか?
「う~、ウ、ウチの点数が低いのが悪いんだけど、もう少し加減しなさいよアンタ達!」
「それは無理な話だわ、島田さん。私達も勝ちたい理由があるもの」
咲夜さんの言う通り、商品券がかかっているから簡単に負けるわけにはいかないのですよ島田さん。大人げない対応かもしれませんけど、財政の為ならいくらでも子供になってやりますよ~!
「メ、美鈴さん!私たちの分も頑張ってくださいねっ!」
「あ、は、はい了解です!」
瑞希さん、文句を言わずに私たちの応援を・・・!!なんて優しいのでしょう!そんなところが私は大好きですよー!
「む・・・瑞希がいいんだったらいいけど・・・十六夜!ウチらに勝ったんだから、その分頑張らないとダメなんだからね!?」
「分かった。きっと買ってみせるわ、島田さん」
島田さんたちも上手くまとまったみたいです。良かった良かった!これがきっかけで気まずい雰囲気になるんじゃないかと不安だったんですよ~!
『いやはや面白い試合を繰り広げてくれました!皆さん、拍手を贈ってあげましょー!』
しゃめいまる先輩がそう言ったことで、場内から拍車が巻き上がります。おお~、こんな風に讃えられるのもイベントの醍醐味ですよね!最初の時は変な紹介をしてくれたから恨んじゃってましたけど、司会の仕事ぶりはお見事ですよ~!
さ、先輩が作ってくれたこの盛り上がりを堪能しながら戻るとしましょうかね!
拍手を浴びつつ、私達は少し照れながら教室へ――
『あやや・・・美少女四人のあんな写真やこんな写真を撮れましたよ・・・!!あとはこれを清涼祭特集号に載せれば、大ヒット間違いナシで――!!』
『ちょっと待ったああああ!!』
「あやっ!?」
戻る前に、彼女の持つパンドラの箱ならぬあんなデータを抹消しなければいけないみたいです。って、逃げ足早っ!こんちくしょう!絶対逃がしませんからねーーっ!!
お読みいただきありがとうございます!では、新しく出演してもらった東方キャラクターの紹介を!
幻想郷随一のブン屋にして、自称『清く正しい射命丸』でおなじみの鴉天狗!射命丸文さんでございました!人の探られたくないところへ遠慮なく踏み込むそのずうず、じゃなくガッツさには何人が涙を流したのか…!暴力とは別方向に、すごい危ない少女ですね!
そんな文さんにはやはりこちらでも新聞に触れてほしかったので、新聞部の部長ということで出てもらいました。で、どことなく年上のお姉さん!ってイメージを村雪は持っていましたので、二年生ではなくあえて三年生になってもらいました!同級生にせずに、すみません!
まだまだ文さんの性格を把握していないのですが、なんとか彼女らしさをこれから出していきたいですね!
それではまた次回っ!