どうも、村雪です!今日も天気が悪いですが、涼しくもあるので悪くはない気がしますね!
さて、前回も書きましたが新しく東方キャラクターに出てもらいます!が、前回述べた数よりも少々多くなりまして……そこで出すか!と思われるかもしれませんが、いつもの村雪の勝手ということで許してやってください!
では、今回は主に召喚大会二回戦です!バトル展開は期待せずに!
――ごゆっくりお読みください。
「よいしょ、ただいま帰りました~」
三年のおふたりを保健室に届けて、私はFクラスに戻ります。中には幸いにもお客さんがいて、それなりに賑わっていたので一安心です!これでお客さんがいなくなってたら困りますからね!
「メーリン遅いわよ!しっかり頑張るのよさ!」
「か、勘弁してくださいよ~チルノ!しっかり理由があったんですよう!」
可愛らしいフリルの付いたエプロンを装着したチルノが突っかかってきます。いつもと変わらず堂々とした態度で、そこにはさっきまでの泣きそうな面影はありません。うん。良かった良かったですよ!
「うむ。待っておったぞ紅。丁度お客も多い事じゃし。一働き頼むのじゃ」
「あ、了解です」
続いて声をかけてくるのは秀吉君。男子なのにウエイトレスの格好をしていることに、どう反応すればいいのでしょう。それが似合っているからなおさら困ります。
「・・・・・・って、なんか立派な机の数が増えてませんか?」
三年コンビさんに中傷された、クロスをかけたミカン箱。清潔なのは間違いないのですが、中傷の全てが全くのデタラメでもなかったので、入れ替えるようにしたのです。
とは言え、私に机みたいな心当たりが無かったので皆さんに聞いてみたところ、秀吉君がいくつか調達してくれたのです。
けど、その数も確か三つぐらい。こんなに多くはありませんでしたよ?
「あ~、それは、明久たちが調達してくれたのじゃ。どうやって調達したのかは・・・・・・企業秘密じゃ」
「・・・そ、そうですか。聞かないようにしますね」
もうこの際深入りしません。お店の売り上げの為です!
私は裏に戻って制服を脱ぎ、ウエイトレス専用のエプロンを装着します。う~ん、やっぱりこういう可愛い服は似合わない、というか苦手です~・・・!
「・・・うっし!次の試合まで頑張りましょうかね!」
でも、皆が着てるのに自分だけ付けないわけにはいきません。気持ちを切り替えて私は仕事場へ向かいます。
さて、どんな感じでしょうか?
『チルノ~!こっちむいて~!』
『む!最強のアタイに何か用!?』
『うん!チルノ、エプロン似合ってるわよ!』
『えっへん!アタイッたら最強ね!』
『可愛い~~!!』
『木下~、こっち向いてくれ~!』
『ん?何でございましょう?』
『ゥオオオ!エプロン姿かわえー!!』
『こ、これは無理やり着せられたのじゃ!別に着たくて着たわけではないのじゃー!』
『はい、お待たせいたしました!こちら本格的飲茶とゴマ団子です』
『ありがとうございます。ではいただきましょうか、パルスィさん』
『ええ。・・・・・・・・・・・・おいし。食感も良いし、甘さも控えめで良いわね』
『そうですね。しかもこの飲茶、本格的とあって香りも味も良いです』
『ありがとうございます!』
『ああ、私もこれぐらい上手に料理が出来れば・・・妬ましいぃ・・・!』
『パルスィさん、お箸が折れますので落ち着きましょう。パルシィさんも別に料理が下手というわけでは・・・』
『・・・私も分かります。私も、これぐらい上手にお料理が出来たら・・・!』
『あの、姫路さん。あなたの持ってるお盆からみしみしと音が聞こえるのですが・・・』
『へ~、美波さんは妹さんがいるんだね』
『うん。小学五年生のね。お燐はいるの?』
『妹はいないけど、妹みたいな子ならここにいるよ、ねえお空?』
『うにゅ?うつほはお燐の妹じゃないよ?』
『・・・・・・』
『・・・・・・そ、そこは、同意してほしかったよ…!』
『お、お燐!?しっかりして!?』
『??あれ?うつほ何か言っちゃった?』
・・・・・・とりあえず、繁盛してるみたいですね!
「あの、すいませーん!」
「!は~い!!」
注文が決まったそうなので、私はすぐにそちらへ向かって伺います。
そしてそんなことを繰り返すこと数十分。召喚大会の時間がやってきましたので、咲夜さんと一緒に私は特設ステージへと向かいます。
「え~と、相手は誰でしたっけ?」
「ええと・・・勝敗が分からないから断言できないけど、たぶんこっちじゃないかしら?」
咲夜さんが召喚大会のトーナメント表を取り出して指を立てました。どれどれ?
『2―Bクラス 優曇華院 鈴仙 2―Cクラス 因幡 てゐ 』
・・・・・・・・・え、え~っと・・・・・・?
「ゆ・・・ゆう、ゆうどんかいん、すず、せんさん、ですかね?」
「うどんげいん、じゃないかしら。植物の名前でその漢字を見たことがあるわ」
「そ、そうですかー」
恥ずかしい!で、でも難しすぎるでしょうこの漢字!読めないのが普通ですよ多分!もはや中国の言葉か何かです!
「ともかくBクラスの人とCクラスの人よ。頑張りましょう」
「了解です」
会場に到着すると、対戦相手らしき2人が既にフィールドで待ち構えていました。
「遅いわよ。もっと早くに来なさい」
そのうちの1人、薄い紫のロングヘアーの女子が毅然とした声でそう告げます。
「あ、すいません!ちょっとゆっくりしてました!」
あちゃー、表情からから見てだいぶ待っていたのかもしれません。もう少し早めに来ればよかったですね。
「何言ってるのさ鈴仙(れいせん)。鈴仙が早く行こうって言って聞かないからこうなったんじゃない」
そう反省していると、新たに高い女声が。どうやらこのお冠の方が優曇華院さんみたいです。しかしあれは〝すずせん〟じゃなくて、〝れいせん〟って読むんですね。上と下の名前を両方間違えてしまうとは、重ね重ねすみませーん!
「て、てゐっ!アンタは黙ってなさい!」
鈴仙さんはしかめっ面を崩し、慌てて隣の女子、パートナーであろう因幡 てゐさんを止めます。
「ウサウサ!でも本当の事だし、それを黙って非の無い相手を攻めるのはお門違いじゃん?」
笑いながら優曇華院さんの腰辺りをパシパシ叩く因幡さんは、くせっ毛な髪の少女で、少し冷めた印象がある優曇華院さんとは反対に、明るいイメージがある子です。
でも、何より印象深いのがその背丈。因幡さんの身体はとっても小柄で、優曇華院さんの腰あたりの視線の高さと、かなり小柄な部類のチルノよりも小さいかもしれないほどです。女子の平均はある優曇華院さんと並ぶとその差が一目瞭然ですよ!
「鈴仙ももう少し柔らかくなったらね~。わたしみたいに可愛い女の子になると思うよ?」
「う、うるさいわよ!小さいからって可愛いと思ってんじゃないわよこの幼児体型っ!」
「ウ、ウサッ!?だ誰が幼児体型だこの生真面目堅物女!」
「もっと背を縮めてやるわよ!?」
「今度大勢の前でスカートめくってやるウサよ!?」
つかみ合いも、鈴仙さんが思い切り前屈みになることで互いの首元を掴めるという状況。捉えようによっては、鈴仙さんがわざわざ首を掴ませてあげているようにも見える光景です。
「仲が良いみたいね」
「ですねー」
「どこがよ!」
「どこがウサッ!」
ほら、息ぴったりです!
「四人とも、準備はいい?早めにしてもらえるとありがたいんだけど」
「あ、パチュリー先生」
今回の勝負科目は英語。審判は薄いパープルの髪を伸ばし、パジャマのようなブカブカした服を着て、気だるげそうにしているのが特徴のパチュリー先生。今日も相変わらずのじっとり目です!
「すいません!こちらはオッケーです!」
「ま、待ってパチュリー先生!今からてゐと話を―」
「いいみたいね。じゃあ、全員召喚しなさい」
「ちょっと!?」
さあ、頑張っていきましょうか!
「「試獣召喚(サモン)!」」
『Aクラス 十六夜咲夜 英語 384点
&
Fクラス 紅美鈴 英語 261点 』
私達は召喚獣を召喚します。あとは向こうのお2人が出すのを待つのみです。
「し、仕方ないわ。てゐっ!やるわよ!」
「はいはーい。話は後回しだね~。試獣召喚っと!」
「試獣召喚っ!」
少し遅れて、優曇華院さん達の召喚獣も現れます。
『Bクラス 優曇華院 鈴仙 英語 235点
&
Cクラス 因幡 てゐ 英語 194点 』
優曇華さんの召喚獣は、白いスカート以外は文月学園の制服そっくりな制服を装備していて、頭には大きく立派なウサ耳が付けられていました。可愛いですねえ~!ウサ耳がある召喚獣を見るのは初めてです!
「・・・・・・っ!!」
咲夜さんも思わず顔を赤くして、口に手を当てるぐらいの可愛らしさです!
「鈴仙のは相変らず耳がおっきいね~。的が増えただけじゃん」
「あ、あんたも似たようなものでしょうが!」
優曇華院さんの言う通り、因幡さんの召喚獣も頭にウサ耳を生やしており、ぴんとした優曇華院さんのとは違ってへにょりと垂れた耳となっています。装備もピンク色の可愛らしい服で、何かこう、きゅっとくるものがありますね!
「・・・・・・か、可愛い・・・っ!」
咲夜さんが思わずそうこぼしてしまうのも分かります。この二組。まさにベストコンビですね!違ったウサ耳がすっごい絵になります!
「んじゃ鈴仙、しっかり頼むよ~?」
「あんたこそねっ!」
「とーぜん!」
「!美鈴!」
「御意!」
でも、いくら可愛くても今は敵!因幡さんの召喚獣が、手に持ったシャベルを振り上げて駆け寄ってきます!二開戦、勝負開始ですっ!
「ほいっ!」
む、シャベルの矛先は私ですか!まずは弱いものって感じですかね!
「なんの!」
召喚獣の腕でガード。これぐらいなら難なく防げます!
「隙ありね」
そこにメイド姿の咲夜さんの召喚獣が、ギラリとナイフを輝かせて切りかかりました。
「おおっと!」
私への攻撃を中断して、因幡さんは咲夜さんのナイフへとシャベルをまわします。なかなか動作が早いですね!
ガキンッ!
鉄と鉄のぶつかり合う音がして、2人はわずかに膠着状態に。優勢は点数の高い咲夜さんです!
「ふ~。私の召喚獣はか弱いんだから、そんな物騒な物を振り回さないでほしいね~?」
「あら。か弱い召喚獣は最初に敵を攻めなんかしないわよ?」
「そんなことはないさ。勝利のための犠牲ゴマということもあるじゃない?」
「なら、あなたも犠牲になりに来たのかしら?」
「さ~?そこはあんた自身で確かめるべきウサよ」
ギンッとナイフからシャベルを引き下げ、もう一度咲夜さんの召喚獣へ横から殴りかかります。
「そうね、あなたを倒せばいいことに変わりはないわ」
咲夜さんも難なくガード。因幡さんにまた隙が出来ましたね!次は私の番です!私は召喚獣に拳を握らせ、因幡さんの召喚獣に攻撃態勢を取ります!
「覚悟因幡さん!」
がら空きの背中に接近させ、その鍛え抜かれた手を(鍛え抜かれたのかは分かりませんけど)振りかぶり、私の召喚獣が強烈な突きを繰り出します!
「――おおっと~。挟まれちゃったなー?」
む、この状況にずいぶんと余裕ですね因幡さん!今から避けようとしても、避けるより拳が当たる方が早いですよ!
ほら、そう思っている間にもあなたの召喚獣の背中に、私の召喚獣の拳が――!
「――んじゃ鈴仙、頼むよ~?」
ズギュン!ズギュンッ!
「へ?」
「・・・・・・なっ・・・!」
『Aクラス 十六夜咲夜 英語 271点
&
Fクラス 紅美鈴 英語 183点 』
・・・え?因幡さんが倒れた、という事が起きたなら分かりますけど・・・・・・・・・なぜ、私と咲夜さんの召喚獣が、いきなり横に吹っ飛んだのでしょう?
「まったく・・・・・・あんたはいつも調子に乗りすぎなのよ。てゐ」
げっ!つい優曇華院さんの事を忘れてました!因幡さんが格好の的だったので、つい意識がこっちばかりに・・・!
「ひっどい言い方だなー。でも、上手くあてられたでしょ?」
「別にあんたが囮にならなくても、外さなかったわよ」
そう言って優曇華院さんは召喚獣を操作し、ガチャリと両手に持った黒い獲物――――二丁の銃を私たち二人に向けます。ま、またも飛び道具相手ですかーっ!
「次は、その脳天に当ててみせるわ」
「咲夜さん!」
「分かってる!」
私たちはすぐさま召喚獣を走らせます!じゃないと恰好の的ですからね!
ダンダンッ!
あぶなっ!点数が減らされた分、動きが遅くなりますね!
「くっ・・・!さっきので終わらせたかったのに…!!」
「失敗を次に活かすんだねー鈴仙。ほら次々頼むよ~!」
「わ、分かってるわよ!てゐもしっかりね!」
ズドンズドンと優曇華院さんが途絶えることなく二丁の拳銃を撃ち、その間を縫いながら因幡さんがシャベルで攻撃を繰り出す連携攻撃。Dクラスと勝負した時のお空と一緒ですね!
「っと!咲夜さん、優曇華院さんに近づけますか!?」
こういう時は遠距離攻撃をしてくる人を叩くのが手っ取り早い!点数が高い咲夜さんの方が適任でしょう!
「っ!悪いけど、ちょっと、きびしいわっ!」
そう言われて咲夜さんの召喚獣を見ると、優曇華院さんの狙撃を交わしながらも因幡さんのシャベル攻撃を受けたり、反撃したりいる姿がありました。
「分かりました!」
なら、因幡さんがついていない私が動くべきですね!
「よおし!GO!私の召喚獣!」
召喚獣を優曇華院さんのもとへと向かわせ始めます。近距離攻撃しか出来ない私にはまず近づくことが大事ですからね!
「!(チャッ)」
優曇華院さんが当然私の接近に気付き、銃口を私へと定めようとします。が、そう簡単には当たりませんよー!
ダァンッ!
「おっとぉ!」
右にはねることで回避!まずは一発目です!
「チッ!(ガチャッ)」
再度拳銃が向けられます!なら今度は左にかわして
ダン!ダン!ダン!
「!?うわわわっ!?」
れ、連射可能ですかっ!お空のはもう少し時間差があったんですがね!優曇華院さんの召喚獣への接近を中止して、私は召喚獣に回避行動をとらせ始めます!
ドスッ
「あいた!」
『Fクラス 紅美鈴 英語 129点』
一発ヒットしちゃいました!でもそこまで点数は減っていないから、威力自体はそれほどのようです!
ならば、多少は受けても大丈夫ですかね!
「走れ私の召喚獣-っ!」
拳銃で撃たれるのを覚悟しながら、優曇華院さんの召喚獣へと突っ走らせます!
「なっ!?バ、バカじゃないの!?」
優曇華院さんは動揺しながら召喚獣に銃を撃ちます。そのおかげで精度がダダ落ちですね!
「これも一つの作戦ですよっと!」
現にあなたの動揺も誘えていますからね!
とは言え数撃てば当たるもので、何回か弾丸がかすったり当たったりしてしまっています。なんとかかわそうとしているのですが、こういうところで点数の低さが仇になりますね!
「――そりゃあああ!!」
「あ!」
ようやく優曇華院さんの下へと到着した私の召喚獣に、全力の突きをかまさせます!
『Bクラス 優曇華院 鈴仙 英語 115点
VS
Fクラス 紅美鈴 英語 89点 』
よし、これで点数差が少し埋まりましたね!あと何発かパンチすればKO可能です!
「くっ…!(ガチャガチャ)」
が、少しひるんだ優曇華院さんの召喚獣は、すぐさま拳銃を二丁振り向け
ドガガガガガガッ!
「うおわわわわっ!!?」
お、思い切りぶっ放してきましたああ!?かんっぜんに私を的に絞りましたねこれ!二丁で連続して撃たれてはさすがにやばいから、いったん離脱ですよっ!
「も、もう油断しないわ!あなたを先に完全に倒す!」
「え、えらく狙われましたねえ!!」
これじゃ近づく前に大ダメージを受けること間違いなしです!ここは弾切れがあるかどうか知りませんけど、それを願うしかありませんね!その間は走り続けて・・・!
ドガガガガガ・・・カチッカチッ
「!」
「よしっ!」
即座に優曇華さんの召喚獣へと走らせます。このチャンスを逃してなるものですか!
「ふっ!」
「くっ…(ガチャガチャ)!」
私が接近するのと同時に彼女の召喚獣も弾込めを始めますが、残念!数秒あればお釣りが出ますよ!
「そりゃあああ!!」
装填を終え銃口が照準される寸前に、全力の拳を召喚獣の顔へと叩き込ませました!
バキイッ!
「うそ…!?」
今度はいい当たりだったようで、優曇華院さんの召喚獣は後ろに吹っ飛んでくたりと倒れました。よおし!拳が銃に勝った貴重な瞬間ですよ!
「くぅぅ・・・!て、てゐ!こうなったらあんただけで勝ってみせるのよ!」
「うん鈴仙。それだけでも無茶な注文だし、それを実行することも今の私にゃ出来ないね~」
「え?」
優曇華院さんにつられて見れば、咲夜さんの召喚獣にナイフを突きつけられた因幡さんの召喚獣が、シャベルの柄の部分に白い布を付けた、いわゆる白旗を振っていました。召喚獣ってそんなことも出来るんですね~。
「ちょ、なに降参してんのよ!?まだやれば戦えるでしょ!?」
「無茶言わないでよ~。鈴仙が銃で援護してくれて互角だったのに、その鈴仙が撃つのを止めるわ先にやられるわで私にどう勝てって言うのさ。むしろ私が鈴仙に何してんのって聞きたいよ」
「むぐっ…」
口をつぐむ優曇華院さんに肩をすくめたあと、因幡さんは私たちに伝えました。
「いや~参った参った!私たちの負けだよ、十六夜さんと紅さん。後は煮るなり焼くなり好きにしてちょうだいよ」
「いえ、勝ったことでもう十分ですよ?」
「あれ、そう?なんだったら鈴仙のセクシーショットでも見せてあげようかと思ってたんだけど」
「結構です!?」
「あ、アンタ私に何をさせようとしてたのよ!?」
「ウサウサ!じょーだんだって~!」
ニシシと笑う因幡さん。なんか、因幡さんは見た目とは合わない性格をお持ちのようです。チルノみたいに見た目相応のおバカなのもどうかと思っていましたが、因幡さんみたいにお腹に何かを抱えた性格も考え物ですね!
「終わったわね。勝者は十六夜、紅ペアーよ」
パチュリー先生からも勝利宣言を受け、見事二回戦勝利確定です!
「お疲れ様、美鈴」
「はい、咲夜さんもお疲れさまでした!」
それぞれ頑張ったパートナーに労いの言葉をかけます。次からも一緒に頼みますよ!
「あ~、残念だったねー鈴仙」
「そう言うあんたはやけに明るそうね、てゐ。・・・・・・・・・お、おつかれさま。付き合ってくれて・・・ありがと」
「はいは~い。鈴仙もお疲れ様。この報酬は鈴仙のセクシーショットでいいよ~」
「誰がやるかっ!」
向こうの2人も冗談を交えながらも労っています。
そして、
「・・・むきゅう、疲れた・・・」
「「「「重篤のところご苦労様(でした)、パチュリー先生」」」」
「ち、ちょっと。誰が重篤っげほっ、ごほっごほごほげふぅっ!?」
「!!?パパ、パチュリー先生ー!?」
喘息持ちの中、私たちの審判のため外へと出向いてくださったパチュリー先生に、四人そろって感謝の言葉を贈りました。
それを聞いてどう捉えたかのか?近くにいた図書館司書の心愛(ここあ)先生に、顔色を悪くしながら保健室に運ばれたパチュリー先生にしか分かりません。
「あー。今から勝負なのに、その前から疲れてるよ」
「そのおかげで机が手に入ったんだからそう言うな」
「まあそうなんだけど…」
そのおかげで僕の評判は下がったし、何人かの女性教師には心に深い傷を負わせた気もする(僕じゃなくて魔理沙が原因だけど)。机の対価は大きかったなあ…
「ところで雄二。僕らの次の相手は誰なの?」
一回戦ではルーミアさんに苦戦したから、二回戦では楽な相手と当たってほしいんだけど。
「さてな。対戦表を見た限りだと、勝ち上がってきそうなのは・・・・・・お、予想通りだ」
雄二の見る先を見ると、既に待ち構えてる対戦相手の姿があった。ん~?
「あ、坂本君に吉井君ですか」
「あれ?魂魄さんに・・・え~と?」
その相手は、Bクラスの勝負の時に色々とお世話になった魂魄妖夢さんと、Bクラス代表の根本君を可愛く着せ替えるときに服を脱がせてくれた女の子だった。
「水橋 パルスィよ。そういえば言ってなかったわね」
「そっかあ。水橋さん。あのときは根本君の服を脱がせてくれてありがとう」
「・・・あんまりその話は思い出させないでほしいんだけど」
あ、あんまり言っちゃまずかったことみたいで、ジトッとした目で水橋さんは僕を見つめてくる。ここは話を変えよう。
「魂魄さん達はどうして大会に出場して「食料調達の為です」る、の…」
魂魄さんに言い終わる前に答えられた。それももの凄く真剣な顔で。あれ、また僕何かやっちゃった?
「…これ以上、母様の食費が増えてしまったら・・・!」
「・・・なにか、苦労してるんだね魂魄さん・・・」
今、ものすっごく彼女とシンパシーを感じた気がする。
「では2人とも。試験召喚大会二回戦を始めてください」
「「あ、はい」」
立会人の英語担当の遠藤先生がそう促すので、僕ら四人は召喚獣を呼び出した。
「「「「試獣召喚!」」」」
『Bクラス 魂魄妖夢 英語W 334点
&
Bクラス 水橋 パルスィ 英語W 241点 』
『Fクラス 坂本 雄二 英語W 73点
&
Fクラス 吉井明久 英語W 59点 』
どうしよう。もの凄い点数差で勝負前に戦意が喪失しそうだ。
「ねえ雄二。僕には全く勝てる気がしないんだけど」
「心配するな明久。きちんと策はある」
だと言うのに雄二には全く動じた様子はない。いったい何をする気だろ?
「水橋、と言ったな」
「ええ。何かしら?」
「これを見てもらえるか」
「?」
そう言って雄二は、何かの冊子を取り出した。
ん?あの表紙の女の子って・・・・・・魂魄さん?
「え・・・・そ・・・それって、私ですよね?」
いきなり自分の写真が載った本を見せられたら誰だって驚くもの。魂魄さんはぱちくりと目を瞬かせて雄二の手の本を見つめている。
「ああ。ムッツリーニが作った魂魄の写真集だ」
「みゅっ!?わ、私そんなの知りませんよ!?」
『私より可愛いものなど、あんまりいない!~魂魄妖夢・夢の写真特集』と、絶対妖夢さんが言わなさそうな言葉が書かれた写真集。ちょっとムッツリーニ!会員の僕もそんなの全く知らなかったよ!?なのに雄二は持ってるなんて、なんてうらやまげふん!うらやましいんだっ!
「・・・へえー。〝私より可愛いものは〟・・・・・・よかったわねー妖夢。それだけ自信が持てる容姿で良かったわねえぇぇ・・・(ガリガリガリ)」
「ひえ!?ち、違いますよパルスィさん!私はそんなこと言ってません!?」
水橋さんが凄い勢いで爪を噛み始める。どうやら水橋さんは嫉妬深い性格みたいで、写真集のキャッチフレーズが気に入らなかったみたいだけど、僕としては水橋さんは『あんまりいない』の〝いる方〟に入ると思うけどなあ。女子同士の話だから余計な口出しはしないでおこう。
「まあそう言うな水橋。これを見れば、あながちキャッチフレーズが間違っていないと思うぞ(ヒュッ)」
「・・・・・・(パシッ)」
「ちょ、坂本君!?」
ちょ、雄二!水橋さんの前に僕にも見せてよっ!僕だって魂魄さんのお宝画像を見たいい!受け取った水橋さんの手からいったん取り戻してきてよ!・・・ああ、水橋さんが読み始めちゃった・・・僕も今から一緒に読みに行こうかな?
「(パラパラパラ―――)・・・・・・・・・くぁぁああああっ!妖夢ううううっ!!」
「ぎゃーっ!?き、気でも触れましたかパルスィさあああん!?」
しばらくページをめくっていた水橋さんだったけど、嫉妬を爆発させる何かがあったようで、怪鳥のような叫び声をあげて魂魄さんにとびかかった。つ、次は僕の番僕の読む番だよ!
「おいこら。どこへ行こうとしている明久」
「雄二離して!僕もあのすばらしい写真集をこの目でじっくり確かめたいんだ!」
「あほが。そんなことは後にしろ」
くっそお!なぜ邪魔をするんだ雄二!さては貴様、自分だけが見れたらそれでいいって考えだな!?図体はでかいくせに、なんて心の小さい奴なんだ!
「召喚獣に攻撃させるぞ。準備しろ」
「え?」
あ、そういえば今って召喚大会の最中だったんだ。魂魄さんの写真集への衝撃ですっかり忘れてたよ。
「見ろ。今のあの2人は召喚獣の操作なんかまるっきり出来ちゃいない。まさに絶好のチャンスだ」
「おお、確かに!」
雄二の言う通り、魂魄さんに水橋さんが襲い掛かってるから2人の召喚獣は無防備だ。これなら点数に関係なく勝てる!
「やるぞ明久!」
「了解!」
すぐに僕たちは召喚獣を動かし、取っ組み合いになっていて何の動きも見せない召喚獣へと接近――そして即座に、何発も拳と木刀を叩きんだ。
「「無駄無駄無駄無駄無駄無駄ぁぁあ!!」」
「!きゃっ!」
『Bクラス 魂魄妖夢 英語 0点
&
Bクラス 水橋パルスィ 英語 0点 』
その結果、2人の点数はあっという間に底を尽きた。悪役の言葉を繰り出しながら、無抵抗の女の子の召喚獣をぼこぼこにするチンピラ装備の召喚獣。誰が見ても僕たちはド外道に思われたに違いない。
「・・・・・・・・・あまり言いたくありませんが・・・・・・勝者、坂本、吉井ペア」
先生が非常に複雑そうな顔でそう宣言する。そりゃあ教育者の立ち位置だと、卑怯な僕達よりも真面目な魂魄さんに勝ってほしかったに違いない。僕自身もそう思ってるから間違いない。
・・・うん、勝負が終わって冷静になってきた僕。やることは分かってるよね?
「たびたびごめんなさい魂魄さんんんんんっっ!!」
僕、魂魄さんに恩があるっていうのに仇で返しすぎだよ!女の子には優しくしなきゃいけないのに、そんなんだから僕に彼女は出来ないんだ僕のバカ!!
「はあ、はあ・・・・・・ごほん。は、はい。さすがに今回は謝ってほしいですね」
息を切らした魂魄さんが髪を整え、僕に怒ったような照れたような顔で当然の事を主張してきた。足元にはうつぶせに倒れた水橋さんがいたので、僕も同じ目にあうんじゃないかと気が気じゃない!
「ほら雄二も謝って!じゃないと僕の良心が押しつぶされちゃうよっ!」
「ああ。すまんな魂魄。これも一種の作戦だったんだから許してやってくれ」
「全くもう…とりあえず、これは私がもらいますからねっ」
そう言って魂魄さんは、全ての原因である『私より可愛いものなど、あんまりいない!~魂魄妖夢・夢の写真特集』を手に取った。
「ああ!魂魄さん!その前に僕にも見せて!」
「しばきますよ?」
「お前は自分に正直だな、明久」
くうう!あの耀く写真集を見れないまま没収されるなんて・・・!これじゃ明日から何を希望に生きればいいんだっ!(※数分前に知っただけなのに・・・)
「坂本君」
「ん?」
「その『ムッツリーニ』さんに伝えてください」
顔を赤くしたまま、
「――この恥辱は絶対忘れねえ、と」
「分かった。伝えておこう」
口調がだいぶ崩れた妖夢さんが、どんな感情を抱いて荒れていたのかは考えるまでも無かった。
君もそろそろ年貢の納め時かもしれないよ、ムッツリーニ。
「……っ!?」
「・・・・な、なに?急に振り向いて・・・」
「・・・何やら、寒気を感じた」
「・・・・・ふうん。・・・あ・・・、こ。この飲茶。も、持って行って、ほしい・・・」
お読みいただきありがとうございます!
今回は、その瞳を見れば狂わずにはいられない月のウサギである優曇華院 鈴仙改め、『鈴仙・優曇華院・イナバ』と、可愛らしい容姿には全く似つかわしくない腹黒さを持つ幸運の素兎、『因幡てゐ』の永遠亭のウサギコンビ!
そして、紅魔館が誇る動かない図書館!『知識と日陰の少女』の二つ名を持つ、パチュリーノーレッジさんとそれをサポートする小悪魔さんに登場してもらいました!小悪魔はほとんど出ていませんけども!
いやー今回は一気に入れすぎましたねえ。しかも、キャラクターこれで正しいのかも分かりませんし、もしかしたら読んでもらってる皆さには面倒な思いをさせちゃったかもしれません。申し訳ないっ!
なので、思ったこととか感想なんかがあったら遠慮なく送ってください!おそらく思うことがいっぱいできたことだと思いますので、それを言ってもらえたらできる限り返信しますので。
それではまた次回っ!