バカと中華小娘とお姉さん   作:村雪

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 どうも、村雪です!


 今回なんですけど、都合のいいところまでということで長めになっています。これを嬉しいと取ってくれるか、めんどくさ!って取るのか・・・どちらにせよ読むのですから、出来れば楽しく読んでもらえたら幸いです!

 ではいつも言ってることですが、過度な期待をしないまま!

――ごゆっくりお読みください。


根拠―自信、があろうと報われるかどうかは別ですかね~・・・

 

 

「わ、私が出ますっ!」

 

「はい、Fクラスからは姫路さんですね」

 

 

 Aクラス勝利への王手をかけた私たち。皆の期待を背負いながら運命の勝負に挑むのは、私たちFクラス一の天才にしてキュートな少女、姫路瑞希さんです!勝利目指して頑張ってくださーい!

 

 

「さあて、瑞希は勝てるかどうか、だぜ。坂本はどう見るんだ?」

 

「それは当然勝ってもらいたいさ。だがそれも相手次第、だな。あんまりプレッシャーをかけるのも悪いし、そこまで強く勝利を取れとは言えないな」

 

 その通りです。まだ向こうには手ごわい人達がいるのですから、絶対勝つという保証はありません。過度な期待は止めた方が姫路さんも気が楽になるかもしれませんし、あんまり大きな声援はやめましょうか。

 

 

「なるほど。それもそうだな」

 

「僕もそう思うけど、女の子に優しくするなんてどうしたのさ?雄二らしくないよ?」

 

「おい、お前の中で俺はどんな奴だと思われてるんだ」

 

「誰彼問わず地獄を見せる鬼」

 

「おっと、ならそれらしいところを見せないと、なっ!」

 

「ごふぉうっ!?・・・・・・な、なんてことをするんだ雄二・・・!一瞬僕の胃が紙みたいにぺらぺらになったぞっ!!」

 

「今のは自業自得だと思うけどな、吉井。まあ渾身のストレートをためらうことなく腹にかます坂本もスゲェけどさ。確かに鬼だぜ」

 

「こ、このタイミングで内輪もめはやめてくださいよー!?」

 

 

 す、少し吉井君の体が浮いてましたよ!本当に渾身の一撃を入れたんですね!もうあなた達の暴力にはついていけませんっ!(※ お仕置きとして体術をかましています。むしろ、あなたが拳の道へと導いているのでは・・・?)

 

 

「はあ…ウチも瑞希みたいに点数が高かったらな・・・ウチったら全然ダメねー」

 

「まあそう自分を責めるでない、島田。人間生きているだけで皆素晴らしいのじゃ」

 

「なんかすごい年寄りじみた言葉だけど、ありがと木下」

 

「そうよみなみ!アンタはみずきで、みずきはアンタなんだからさ!気にすることないわ!」

 

「え…え、ええっと・・・?う、ウチが瑞希・・・?」

 

「島田よ。おそらくチルノは『島田は島田で、姫路は姫路』と言いたいんじゃろう。なんじゃその怪奇現象は。今度脚本で使ってみるといいかものう」

 

「あ、ああ。それは聞いたことがあるわ……ってチルノ!それってウチがバカっていうのは変わってじゃない!?フォローしてるつもりがフォローしてないわよ!」

 

「気にすんなって!アタイはみなみがバカでもずっと友達よっ!」

 

「……木下、ウチはどんな反応をすればいいのかしら。笑えばいいの?怒ればいいの?」

 

「……ノ、ノーコメントじゃ」

 

 

島田さん達も少し離れたところでチルノと会話をしています。姫路さんに配慮してかあんまり勝負のことに触れていません。素晴らしい気配りですよ!(※たまたまです)

 

 

「では、Aクラスからは誰が出ますか?」

 

 

 既にFクラスの代表が出たので、高橋先生はまだ出てこないAクラスにやんわりと代表を急かします。

 

 

 

「はい、私です」

 

「十六夜か…やっぱりそうくるか」

 

 

それに応えて出てきたのは、やはりというかなんというか、私のお勉強の先生、十六夜咲夜さんでした。こ、これは手ごわい・・・!

 

「え、でもおかしくない雄二?霧島さんは最後に出ないといけないから仕方ないけど、それなら学年次席の久保君が普通でるんじゃないの?」

 

 

むむ!吉井君!言いたいことはわかりますけど、咲夜さんを軽く見るのはだめですよ!

 

「知らないのか明久?十六夜は一年のころ、久保よりもずっと成績が良かったらしいぞ?」

 

「え、そうなの!?じゃあなんで学年次席じゃないのさ?」

 

「さあな。調子が出なかったんじゃないか?」

 

「……」

 

 

私は無言で坂本君の言葉を聞き逃します。決して、試験前に勉強を教えてもらってたから、咲夜さん自身の勉強がおろそかになったのでは?なんて考えが浮かんで黙りこくったわけではありません。う~ん、この教室は暑いですね~汗が止まりませんよ~。

 

 

「姫路さん、悪いけれど……勝たせてもらうわよ?」

 

「む!ま、負けませんよっ!」

 

 

手で風を作っているうちに咲夜さんが瑞希さんの前に立ち、そんな勝利宣言をして優雅に笑いました!うきゃ~!咲夜さんすてきー!大好きですよー! 

 

 

「おい美鈴、一応言っとくけど咲夜は敵だぜ?」

 

「ぅえっ!?こ、声出てました!?」

 

「うん。というか手も振ってたよ?」

 

「あ、あちゃ~・・・」

 

 

ど、どおりで周りから視線が集まってるんですか…、無意識とはなんと怖い!

 

 

「だが、よくやった紅。おかげで十六夜の顔は真っ赤で、戦いに集中できない状態になった」

 

「うそぉ!?」

 

 

言われて咲夜さんを見ると、顔を赤くしてぶるぶると身体を震わせながら姫路さんと対峙していました。

ひい!こんな大勢の前で気持ち悪いことを言っちゃったから、大激怒されちゃったんですか!?後で説教タイムは確定ーっ!?(※ 怒ってません・・・大歓喜の渦の中です)

 

 

「……今私は、猛烈に燃えているわ姫路さん。覚悟してちょうだい」

 

 

燃えているのは私への怒りのせいでしょうか・・・、と、ともかく少し顔が赤いものの咲夜さんは普段の調子に戻りました。あわよくば怒りも消えんことを願います。

 

 

「教科はどうしますか?」

 

 

高橋先生の恒例の科目要望が問われます。

 

 

「総合科目でお願いします」

 

 咲夜さんは迷うことなく言います。既に私たちの選択権は最後の一つのみ。だから瑞希さんに拒否権はありません。

 

 

「……」

 

「・・・少しでも動揺してくれたらって思ってたけど、無理みたいね。姫路さん」

 

 

 咲夜さんの言う通り、普段は少し内気気味な瑞希さんが、芯のある目で咲夜さんを見据えています。この普段とは違う様子に、彼女が真剣だとわかります。

 

 

「はい。勝たせてもらいますよ、十六夜さん」

 

「……ふふっ、かなり自信があるみたいね。これは気が抜けないわ」

 

 

同じように勝利宣言をする姫路さんに、咲夜さんは柔らかい微笑みを浮かべて返しました。咲夜さんに戸惑った様子は見られません!さすが咲夜さんですね!

 

 

「「試獣召喚(サモン)!」」

 

 

そんな笑みもこの言葉まで。2人は合言葉を告げ、自らの学業の結晶を召喚しました。

 

 

 

 

 

 

 

『Aクラス 十六夜 咲夜  総合科目 4671点

           VS

Fクラス 姫路 瑞希   総合科目 4409点 』

 

 

  うわっ!?2人の点数に、私は一瞬息をのみました。な、なんて点数なんですか2人とも!私じゃ全く及びませんよ!?

 

 

『マ、マジかっ!?』

 

『すげえっ!?なにさあの点数!』

 

『あの点数、互いに霧島翔子に匹敵してる…!』

 

『い、十六夜ってこんなにすごかったの…!?』

 

『そうよ。あれでも結構賢いのよあいつ?』

 

 

様々な場所から驚きの声があがるほどの点数、しかし、僅差とは言え高かったのは咲夜さん。そのため瑞希さんは悔しそうな顔をしています。

 

 

「う……や、やっぱりすごい…っ!」

 

「……いえ、でもあなたもすごいわ、姫路さん。前はここまで高くなかったはずなのに…どうして?」

 

 

 前?それって…一年生の時のことでしょうか?

 

 

「……私、このクラスの皆が好きなんです。人のために一生懸命な皆がいる、Fクラスが」

 

「そうなの?」

 

「はい。それに―――十六夜さんやアリスさんに追いつきたかったんです。誰よりも真面目で、優しかったお2人に。だから頑張れたんです」

 

「―― 瑞希さん…」

 

 

・・・ははあ…その言葉から察するに、瑞希さん、咲夜さん、アリスの三人は去年同じクラスメイトだったようですね。

 

瑞希さんが最初会ったときに私の事を知っていたのも、屋上で私が咲夜さんの姉だということを既に知っていたこと、そしてさっきアリスと抱擁を交わしていたのもそれが理由だったんですね。冷静に考えたら分かる事でしたけど、全く考えていませんでした。

 

 

「姫路さん・・・そんなことを思っていたの・・・」

 

「瑞希・・・…」

 

 

呼ばれた二人はそんな風に思われていたとは知らなかったようで、驚いた顔をして瑞希さんを見つめます。

 

 

「――ですので、十六夜さん!点数が低くても勝ちに行きますっ!」

 

 

 そう決意を告げた瑞希さんは、召喚獣に身の丈の二倍はある大剣を構えさせます。ご、ごっついですねー!彼女のイメージに合わないというかなんというか…!

 

 

「……ありがとう姫路さん。そういう風に思えてもらえると、私も美鈴に近づけたって思えるわ」

 

 

そんな嬉しすぎる言葉を言って、咲夜さんも召喚獣に構えさせます。

咲夜さんの召喚獣は、両手にナイフを持ったメイド服姿・・・・・・あ、やばい。咲夜さんが着たら私死にますねこれ。たぶんあまりの衝撃による心臓発作で。

 

 

「じゃあ姫路さん。私はあなたの憧れとして、その期待を裏切らないようあなたに勝たせてもらうわ」

 

「…負けません!」

 

 

 2人の気合いはすでに満タン!心の中だけの声援ですけど、2人とも頑張ってくださいねー!

 

 

「――やああっ!」

 

 

ついに姫路さんの召喚獣が動きはじめます!その巨大な剣を咲夜さんの召喚獣にあてようと、素早く動き始めて―――

 

 

 

 

 

 

 

「……ごめんね姫路さん。私の召喚獣

 

 

 

―――――とても、異常なの」

 

 

「え?」

 

 

 

剣が当たる前に、咲夜さんの召喚獣の腕、もっと言えば高得点者特有の青色の腕輪が、淡く輝きました。

 

 

 

 

 

 

ピタッ

 

 

 

その瞬間、咲夜さんが言ったことが何なのかが、分かりました。

 

 

 

『……え?』

 

「え……あ、あれ?」

 

 

・・・・・・え?ど、どうして剣を止めたんですか瑞希さん?隙がありましたよね?皆さんも不思議がってますよ?

 

 

「え…えいっ!えいっ………!え、ど、どうして…!?」

 

 

 でも、私たち以上に瑞希さんの方が驚いて焦って召喚獣を動かそうとしています。が、それでも瑞希さんの召喚獣は動きません。……いや、ひょっとして、『動かない』じゃなくて、『動けない』…?

 

 

 

「――恥をかかせるようなことをして、本当にごめんなさい。………でも、これもまた勝負よっ!」

 

「あっ!」

 

 

 うごか…いえ、動けないであろう姫路さんの召喚獣へと、咲夜さんの召喚獣が素早く駆け、そのナイフを―――!

 

 

 

ザクザクッ!

 

 

「あ、あらら……!」

 

 

胸、そしてこめかみの順に突き刺しました。あの部分は……たぶん、心臓ですよね?

 

 

『Aクラス 十六夜 咲夜  総合科目 1167点 

           VS

 Fクラス 姫路 瑞希   総合科目    0点 』

 

 

 

 

『…や、やったああああっ!!』

 

『…な、なんでえええええええっ!?』

 

 

 その結末を見た途端、教室は歓喜と悲鳴につつまれました。あまりの出来事に、悲喜は違えど戸惑いは同じです。むろん私もびっくり中です!何をしたのですか咲夜さんの召喚獣っ!?

 

 

「では、これで二対三ですね」

 

 

そんな中でも冷静なのが高橋先生です。さすが教師、メンタルが違います。…というより、咲夜さんの召喚獣の事を知っていたのでしょうか?

 

 

「そ、そんな・・・・・・どうして召喚獣が動かなく…」

 

 

 瑞希さんは、何が起こったのか分からないと呆然といています。それはそうでしょう。何も攻撃することが出来ないままあっさりと終わっては納得いくはずがありません。

 

 

「悪いわね姫路さん」

「い、十六夜さん・・・一体何をしたんですか・・?」

 

 

 瑞希さんの質問に、咲夜さんは私たちが知りたい答えを教えてくれました。

 

 

「私の召喚獣…というより、腕輪かしらね。あれ、使ったら相手の召喚獣の・・・・・・たぶん、動きを止めれるのよ」

 

「え…」

 

 

そんなぶったまげたネタに、私たちはぎょっとしました。

 

 と、止めれるって!なんですかその超反則能力はーっ!?お空たちもそうでしたけど、ほんっとに能力の当たり外れが大きいですね!?素手の私はどうなるのですか!こうなったら隠された能力とか期待してやりますよっ!

 

 

「でも止めれるのもだいたい五秒ぐらいだし、召喚獣を止める代わりに、自分の点数の四分の一が無くなっちゃうけどね。代償も大きいのよ」

 

「そ、そうだったんですか…」

 

 

 おお、この前読んだ、漫画に出てくる学ランの主人公よりも長いです。頑張ればあの悪役さんにも匹敵できるんじゃないでしょうか?

 

 

「まあ、そんな卑怯な力を使ってしまったけど……勝たせてもらったわ。姫路さん」

 

「ぅう~…く、悔しいです…!」

 

 

 いくら秀才でも高校生。一方的にあっさり負けるとやっぱり悔しくなるものです。悔しそうな瑞希さんを見て、咲夜さんは苦笑します。

 

 

「う~ん、こっちも猶予が無かったのよ。また今度遊ぶときに言う事を聞くから、それで許してやってちょうだいな」

 

 

へ~、咲夜さんは瑞希さんと遊んだりもしてたんですか。今度、その時は私も誘ってほしいですね~。

 

 

「……じゃあ、今、一つお願いしていいですか?」

 

「?何かしら」

 

 

 おっと、瑞希さんは何をお願いするのでしょう?

 

 

「―――私の事、〝瑞希〟って呼んでもらえませんか?」

 

 

悔しさあふれる顔を引っ込めた瑞希さんは、こんなお願いを出しました。

 

 

「……え?それがお願いなの?」

 

「はい。アリスさんは私の事を〝瑞希〟って呼んでくれてるのに、十六夜さんずうっと苗字で呼んでるじゃないですか。私、ずっと気にしてたんです」

 

「そ、そうだったの?最初に呼んだ呼び方で慣れてたから、そのまま呼ばせてもらってたわ」

 

「それが嫌ってわけじゃないですけど…やっぱり、下の名前の方がいいんです。だから、私の事は下の名前で呼んでください。それがお願いです」

 

 

お~姫路さんらしい可愛らしいお願いですねー!上の名前で呼ばれると、本人はどう思ってるかは分かりませんけど、距離を感じちゃうというのはよく分かります!だから私は出来る限り下で呼んでもらいたいのです!共感してくれる人がいるとなんだか嬉しくなりますよね~!

 

 

「分かったわ。お安い御用よ―――瑞希」

 

 

 咲夜さんは面白そうに笑いながら、さっそく実行に移りました。聞いた瑞希さんは嬉しそうに笑います!

 

 

「はい!ありがとうございます!」

 

「でも、私だけだと悪いわよね。だから、瑞希も私の事は下の名で呼んでちょうだい」

 

「!分かりました――咲夜さん!改めてよろしくお願いします!」

 

「ええ、こちらこそ。よろしくね瑞希」

 

 

2人は満面の笑みを浮かべて柔らかい握手を交わしました。う!私目頭が熱く…!

 

 

「――じゃ、そろそろ戻りましょうか。皆もだいぶ待ちくたびれてるでしょうし」

 

「あ……そ、そうですね」

 

 

 咲夜さんは優雅に、瑞希さんは少し重い足取りで壇上を降りてきます。

 

 

「す、すみません皆さん。咲夜さんに勝てなくて…」

 

「し、仕方ありませんって!そんなに気にしなくてもいいですよ!」

 

 

さ、咲夜さんの頭の良さはけた違いですから!だから負けたって仕方ありません!

 

「気にするな、姫路。お前が負けても俺たちの勝利が遠くなったわけではないからな」

 

「だそうだぜ瑞希。そんなに気にすんなって、な?」

 

「そうよみずき!アタイも負けたんだから仕方ないわ!」

 

「いや、チルノが負けたことは関係ないでしょ・・・まあ、魔理沙たちの言う通りよ。元気出しましょ?」

 

「・・・はい!ありがとうございます!」

 

 

 ほっ、皆さんも怒らないでくれて安心しました。確かに負けたのは残念ですけど、瑞希さんが今後もっと咲夜さんと仲良くなれるみたいですから、私としては文句なし!

 

今がだめだったなら、次ですよ次ー!

 

 

「次の方、どうぞ」

 

「次は僕が出よう。教科は物理でお願いします」

 

「まあ、そうきますよねえ…」

 

「だな」

 

 

次いで出てきたのは、学年主席の久保利光君。彼も強敵には違いありませんが、私たちからは誰が出るのでしょうか?島田さんか秀吉君ですかね?それでも勝つのは難しいと思うのですが……坂本君には何か策があるのでしょうか?

 

 

「雄二、僕たちは誰を出すの?」

 

「お前の出番だ、明久」

 

「ええっ!?僕!?」

 

「ノ、ノープランですかい!」

 

 

 ダメだこりゃ!坂本君はこの勝負を捨てるつもりみたいです。せっかくのリーチなんですからもっと生かしましょうよ~!とは言えそれが出来る人が思いつきませんけどね!

 少なくとも吉井君は無いと思います!ごめんなさい!

 

 

「おいおい坂本。それなら美波が出た方が出た方が良くないか?」

 

「う~ん・・・でも魔理沙、ウチ、あんまり物理は良くないわよ?そりゃ国語とか古典に比べたらマシだけどさ」

 

「いいじゃないか。それでも吉井よりはマシだぜ!」

 

「ねえ魔理沙、そういうことはもう少しやわらかくだね」

 

「みなみは大バカな吉井よりきっと強いわ!頑張れみなみ!」

 

「チルノに大バカとまで言われちゃったよ!君たちには思いやりと言う言葉を知らないのかい!?」

 

 

 ごめんなさい吉井君。私も2人の言葉に同意です。島田さんって確か数学系は得意でしたもの。点数が高い人が出るのは当然かと・・・

 

 

「おいおい、霧雨にチルノ。こいつをなめてると後悔するぞ?」

 

 しかし、坂本君はそんなことを言いました。

 

 

「あん?どういう意味だぜ」

 

「確かにこいつはバカだ」

 

「雄二は僕をどうしたいの!?」

 

「――だが、それは普段の明久だ」

 

「はあ?」

 

 

 え、つまり特別な明久があるってことですか?まさか~。そんなマンガみたいなこと、上手くあるわけ―

 

 

「明久。もう隠さなくていいだろう?」

 

「――――ふう。やれやれ、僕に本気を出せって事?」

 

「ああ」

 

「・・・え、え?」

 

 

 な、なんでしょうこの雰囲気は。吉井君が少し変わった気が・・・・する、いやしない?

 

 

「なあ美波。吉井って実はすごいのか?」

 

「え?う、ウチは知らないけど・・・」

 

「ハッタリね。よしーがアタイより賢いわけがないもん」

 

「チ、チルノちゃん、そういう言い方はだめですよ」

 

 

女子陣からの厳しい評価。それにも吉井君は動じず自慢げな顔をしたままです。ちょ、ちょっとイラッときますねあれ!

 

 

「明久、おれはお前を信じてる。お前の本気を見せてやれ」

 

「ふっ、任せなよ雄二。そしてそこの君たち5人。あとで惚れたって遅いからね?」

 

「惚れねえよバカ」

 

「惚れませんよ」

 

「何が掘れるのよさ?」

 

「べ、別に惚れたりなんかしないわよっ!」

 

「わ、私は――ほ―てま―・・・」

 

 五分の三に及ぶ否定を耳にしながら、吉井君は戦場へと向かいました。軽い毒舌屋さんにおバカに強がりに恥ずかしがり。今更ながらウチのクラスの女子も個性が高いですねー。私だけが普通とは・・・(※シスコンという見事な称号を与えよう)

 

 

「じゃあ、久保君。悪いけど一瞬で終わらせるよ」

 

「なに?…よ、吉井君。まさか――」

 

 

吉井君の不敵な態度に、久保君は何かを感じ取ったようです。少し目を見開いて吉井君を見ます。え、ほ、本当なんですか?吉井君はそんなに実は強かったのですか!?だとすれば・・・勝利は目前と思っていいのですね!?

 

 

「あれ?気付いた?ご名答だよ久保君。今までの僕は全然本気なんて出しちゃあいない」

 

「それじゃ、君は―!」

 

「うん、君の想像通りだよ。今まで隠してきたけれど、実は僕――」

 

 

お、おおお!そう思うと吉井君が少しかっこよく見えてきます!好感度アップですよ吉井君!さあ、その自信の根拠を私に明かしてやってください!さっきああ言いましたけど、もしかしたら惚れちゃうかもしれませんよー!

 

 

 

 

「――――左利きなんだ」

 

 

 

『Aクラス 久保 利光  国語 403点

        VS

Fクラス 吉井 明久  国語  71点 』 

 

 

 

吉井君に期待した私がバカでした。ぶっ飛ばしますよ君?

 

 

「では、三勝三敗ですね」

 

 

 戻ってきた吉井君を待っていたのはあつ~い歓迎です。

 

 

「このアホが!テストの点数に利き腕なんか関係ないだろが!」

 

「そうよアキ!あんた絶対バカでしょ!」

 

「そうよ!なに負けちゃってるのよさバカよしー!」

 

「負けたチルノが言うなっだだだ!?み、美波に魔理沙っ!フィードバックで痛んでるのに殴ったりけったりするのはやめて痛たたっ!?」

 

「よし島田さん魔理沙、バトンタッチです。私もちょ~っとそのバカ野郎さんを殴りたいのですよ」

 

 人の期待をあげて落とされるとやあっぱりカチンと来るんですよね~?2、3発かましてもいいですよね?

 

 

「やめてよしてそれは本当に許してくださいっ!悪ノリしてすんませんしたああ!!」

 

「メ、美鈴さん!吉井君もこう言ってますし許してあげてください!お願いですうううっ!!」

 

 

私に正面から抱き着いて、吉井君へと歩を進める私を必死に押し返そうとする瑞希さん。

 

う~ん、今更なんですけど瑞希さんはこの阿呆のどこを好きになったんでしょう?この騒動で私は全く吉井君にときめかなくなったんじゃないでしょうか?

 

 

「はあ・・・瑞希さんがそういうなら仕方ありませんね。瑞希さんに感謝するんですよ?この大バカ野郎」

 

「とうとう心優しい美鈴さんにひどい事言われたーっ!」

 

 

 さすがにこれは仕方ないと思います。涙を流しても知ったこっちゃありません!

 

 

「よし、後は俺に任せろ」

 

「ちょっと待った雄二!アンタ僕を全然信頼してなかったでしょう!」

「信頼?何ソレ?食えんの?」

「信頼しても損するだけだったから、それが正解だぜ」

 

 魔理沙に一票。坂本君がだました感じもしますけど、吉井君が悪ノリしたのが原因ですよね。

 

「で、坂本くんが吉井君を推したのは?」

 

「明久にも上には上がいるということを身に染みて分かってもらいたかったのさ」

 

「・・・本音は?」

 

「その方が面白いからだ。残ってる奴で久保に勝てる奴はいないだろうしな」

 

「ほんとにあなたはぶれませんねえ」

 

 

こういうのも友情って言うんでしょうか?かなり独特な友情もあったものです。

 

 

「最後の1人、どうぞ」

 

「さて、行ってくるか」

 

「頑張ってください、としか言えませんね。頑張ってください」

 

「ああ」

 

 

坂本君が上がっていきます。当然Aクラスからは学年主席の霧島翔子さんです。

 

 

「教科はどうしますか?」

 

「教科は日本史、内容は小学生レベルで方式は百点満点の上限ありだ!」

 

 

 

 坂本君の言葉と同時に、Aクラスの人たちがざわつき始めます。

 

 

『上限アリですって?』

 

『しかも小学生レベルって。誰でも百点取れるんじゃないの?』

 

『そう思うわ。注意力と集中力が決め手になりそうね』

 

『アリスとか咲夜が得意そうだね?』

 

『あら、ありがとう』

 

『別に集中力が高いわけではないけどね』

 

『愛子。その言い方だと、あたしが集中力とかが無いみたいに聞こえるんだけど・・・』

 

『あ・・・い、いや、そんなつもりは無いよ優子!?』

 

『工藤は事実を言ったんじゃないの?』

 

『だまりなさい博麗。あんたもその一人よ』

 

『別にいいわよ。私にそんなもんがあると思うの?』

 

『・・・あるわけないわよね』

 

『霊夢、どうしてそんなに誇らしげなのよ・・・』

 

 

・・・・・・何やら内部で揉めたりもしてますけど、ともかく少し慌ててるみたいです。

 

――私としましては、色々と不安要素があるんですけどね。

 

 

「分かりました。そうなると問題を用意しなくてはいけませんね。少しそのまま待っていてください」

 

 

 坂本君の急な注文にもあっさり答える高橋先生は本当に凄いと思います。咲夜さんと同じで勉強熱心なんですねー。

 パソコンを持って出て行く高橋先生を見送ると、何人かが最終選手の坂本君達の下へと近づきます。

 

 

「雄二、後は任せたよ」

 

「ああ。任された」

 

 

 吉井君が坂本君と熱い握手をします。ここだけを見ると友達って感じがしますよね。

 

 

「……(ビッ)」

 

「お前の力にはずいぶん助けられた。感謝している」

 

「……(フッ)」

 

 

Vサインをする土屋君に坂本君が感謝の言葉を告げ、土屋君がうっすらと笑顔を浮かべます。確かに土屋君の働きは大きかったです。ここで坂本君が勝てば、それは見事報われるでしょう。

 

・・・・はたしてそれが上手くいくかどうかはわかりませんけれども! 

 

2人に続いて、次々と同じように応援の言葉を坂本君に贈っていきます。

 

 

「頼むぜ?出来なかったら全部にパーになるんだからな。」

 

「わかってるさ霧雨。任せとけ」

 

「しっかりやんのよさかもと!負けると承知しないんだからね!」

 

「これ、チルノ。もう少し優しく言わんか。・・・まあともかく雄二、頼んだのじゃ」

 

「おう」

 

「じゃ、がんばってね坂本。期待しておくわよ?」

 

「む、無理はしないでくださいね」

 

「ああ。わざわざ悪いな皆」

 

 

 坂本君は嬉しそうに一つ一つの言葉を受け取ります。

 

・・・ほんと、頼みますよ!?その期待に応えてくださいよ!?ぶっちゃけますと、私やばいんじゃないかと思ってるんですからね!

 

 

「………………」

 

「あ、あの代表・・・が、がんばってね?」

 

「ファ・・・ファイト代表っ!そんなにオーラを出さなくても大丈夫だよきっと!」

 

「…………うん」

 

「代表、どうしてそんなに怒ってるのかはなんとなく察するけど、今は勝負に専念して。いい?」

 

「…………十六夜。分かった」

 

「・・・こう見てると、どっちが代表だか分からなくなるわね」

 

「アリス、そこはきちんと代表と言いなさい」

 

 

向こうでは咲夜さんを始め、アリス、木下さん、愛子さんが霧島さんにエールを送っています。それでも霧島さんの機嫌は悪そうでした。

 

 

「では、最後の勝負、日本史を行います。参加者の霧島さんと坂本君は視聴覚室に向かってください」

 

 

戻ってきた高橋先生が二人を呼びます。どうやらここではせずに、別の場所で行うようです。

 

 

「……はい」

 

「じゃ、行ってくるか」

 

 

 2人は教室を出て行き、視聴覚室へと向かいました。あとは彼の勝利を願うのみです。

 

 

「皆さんはここでモニターを見ていてください」

 

 

 壁の大きなディスプレイに映像が映りました。そこには坂本君と霧島さんの姿が。皆さんが見逃さないとじっと目を向けます。

 

 ・・・が、私は見ません。それよりも、ど~っしてもやりたいことがあるんですよ!

 

 

「咲夜さん」

 

「え、なに美鈴?」

 

「え~とですねえ。咲夜さんの席ってどこですか?ちょっと腰を降ろさせてほしいんですよ」

 

「分かった。付いてきて」

 

「は~い」

 

 

私は一度で良かったから、リクライニングシートというものに座ってみたいんですよ。咲夜さんも最高と言ってましたからね!いつも座布団の私にはたまらない一品だと思います!

 

 

「?紅よ、お主は見んのか?」

 

 

 私がスクリーンを見ずに離れようとしていたのに気付いた秀吉君が聞いてきます。ん~、まあ見ないって言うより座りながら見る、って言うのが正しいですかね。

 

 

「ええ。ちょっとリクライニングシートに座りたいと思いましてね。秀吉君もどうです?座りながらでも見れますよ?」

 

「ふむ・・・ではそうしようかのう」

 

 

お、これはラッキー。1人だけ楽して見物するのは気が引けていたので、ありがたいですよ。

 

 

「――ここよ。好きに座ってくれたらいいわ」

 

「ありがとうですよ咲夜さん~!あ、ついでに冷蔵庫の中身も見て良いですか?」

 

「まあいいわよ。でも、あんまり食べ過ぎないでよ?」

 

「ふむ・・・やはり設備がけた違いじゃなあ・・・」

 

 

秀吉君の言う通り、うちとは比べ物になりません。いやはや冷蔵庫とは、夏場には最高ですよ・・・おっと、これはチョコ菓子のパッキー!ちょっと失敬させてもらいましょう!

 

 

「・・・ん~!おいし~!咲夜さん、秀吉君もどうですか?」

 

「ん?しかし、それは十六夜の物じゃし・・・」

 

「気にしなくていいわよ。私も食べるしね」

 

「だそうです。はいどうぞ」

 

「ん、ありがとう」

 

「では、いただくのじゃ」

 

 三人でパキパキ。ん~!この食感がいいんですよね~!

 

 

「…紅」

 

「ん?ふぁんですか (モグモグ)?」

 

「・・・さっきはありがとうなのじゃ」

 

「さっき?」

 

「姉上とのことじゃ」

 

「ああ~、」

 

 

 秀吉君がお姉さんにぼこぼこにされそうだったあれですかね。

 

 

「私も少々思う事があってのことですから、別に気にしないでくださいよ」

 

 

 秀吉君は本当に礼儀正しいですねえ。魔理沙や吉井くんや坂本君に見習ってほしいですよ。

 

 

「それでもじゃ。よければまた今度、お礼をさせてほしいのじゃが」

 

「お礼?」

 

 

 ん?と言いますと?

 

 

 

 

「ご飯など、わしのおごりで食べるのはどうじゃろうかだっ!?」

 

「さ、咲夜さぁん!?」

 

「・・・あ。ご、ごめんなさい。思わず」

 

 

 

 いいいきなり秀吉君にチョップをするってどういうつもりですかああ!そんな事したらダメって咲夜さんなら分かるでしょー!

 

 

「ぬ、ぬう。いきなりじゃからビックリしたぞい、十六夜。何をするのじゃ」

 

「・・・・ええ。全く秀吉君は悪くないわ。でもね…………私の勘が告げてるのよ。あなたこそ何をしやがるんだ、と」

 

「しょ、食事に誘っただけじゃぞい!?」

 

 

 咲夜さん法典では、食事に誘うというのは違反にあたるのでしょうか?それはちょっと横暴かと思うのですが・・・

 

 ともかく、秀吉君が奢ってくれるということです。食費も浮きますから迷うことなく乗っかるとしましょう。

 

 

「ではその時はご馳走になります!私は食べますから、覚悟しといてくださいよ?」

 

「う、うむ。手柔らかに頼むのじゃ」

 

 

 それはその時の私次第ですね!う~ん、夢が膨らみますねえ!

 

 おいしい約束も話が出来たので、私は再びパッキーを手にします。

 

 

「もぐもぐ・・・よし。では、高級感あふれるこのイスに座ってやるとしましょうか」

 

「ん、どうぞ」

 

 

 この時を待っていたのです。やはり聞くと感じるでは全然違うので、自分で体験するのが一番です!

 

 咲夜さんが気を遣って私の方へとイスを向けてくれたので、期待で胸をいっぱいにしながら――着席。

 

 

「・・・・お、おお~。まふっとしてすっごい気持ちい~・・・」

 

「でしょ?」

 

 

 こ、この低反発感!まふっとした柔らかさ!悪魔のささやきを受けてなんかいないのに、どんどんひきこまれそう~・・・一度覚えたら忘れられませんねえ。咲夜さんがあれだけ推してた理由が分かりました。

 

 

「よいしょ。では秀吉君も座っちゃってくださいな。あ、いいですか咲夜さん?」

 

 

 しばし堪能した後、秀吉君にも座ってもらおうとしましたが、よくよく考えると秀吉君は男の子で、ここは咲夜さんの席なので座ってよいかを聞きます。異性に座られるのが嫌いな人とかいますからねー。

 

 

「ええ。どうぞ秀吉君。この椅子に骨抜きにされればいいわ」

 

「・・・何か気になる言い方じゃが、では失礼するのじゃ」

 

 

 咲夜さんの許可をもらって、秀吉君がリクライニングシートに着席します。あ、やっぱりその表情しますよね~。

 

 

「おお・・・すごく気持ちいいのう。これがわしらの物になるかもと考えると、最高じゃな~」

 

「ちょっと待って」

 

「む?」

 

 

 お、おお?さっきまではのんびりしてた咲夜さんが?

 

 

「その話、この勝負だけど、そもそも坂本君はなんであんなに範囲を限定した日本史で勝負を挑んだの?」

 

「それは当然、霧島に勝つためじゃ」

 

「ふうん・・・そうなの美鈴?」

 

「・・・・・・・・・・・・んんん~~、ま、まあ坂本君はそのつもりでした、ね…?」

 

「なによその間は」

 

「なんじゃその間は」

 

 

 2人は息ぴったりですね。

 

 

「え~とですね~……秀吉君。ぶっちゃけていいですか?」

 

「…このタイミングでそれを言われると、嫌な気がしてならないんじゃが」

 

「はい、大当たりです。私はあの勝負、かなりきついんじゃないかな~って思うんです」

 

「…なぜじゃ?いちおう雄二の策には筋が通っておったのじゃが」

 

 

 私の突然の心境に、秀吉君が分からないと首を傾げます。まあ、確かに話自体に間違ったことは無いんですがねえ・・・

 

 

「その話って、代表に勝つための?どういう策なのか聞いても?」

 

「む・・・」

 

「う~ん・・・」 

 

 

 咲夜さんが部外者だったので知らないのも当然です。当の2人もいない事ですし・・・言ってもいいですよね?

 

 

「ざっくり言えば、ある問題が出れば坂本君が勝ち、ってことですよ」

 

「え?・・・テストの点数に関わらず?何よその変則ルールは」

 

 信じられないと咲夜さんが目を丸くします。あ、ちょっと言い方が悪かったですね。今の言い方だとそう聞こえますか。

 

 私がもう一回言い直そうとしますが、その前に秀吉君が言い直してくれます。

 

 

「違うのじゃ十六夜。つまり雄二によると、『大化の改新はいつ起きたのか?』と言う問題で、霧島が間違いなく間違えるということらしい。だからじゃ」

 

「・・・つまり、代表が一問落として、坂本君が全問正解する、と?」

 

「うむ。そうじゃな紅?」

 

「そこですよ」

 

「「え?」」

 

 

 私が一番ひっかかっているのは、そこなんですよ。

 

 

「その作戦は、坂本君が満点を取れての成功でしょう?つまり、坂本君は一問も間違えちゃダメって事じゃないですか」

 

「うむ、そうじゃな」

 

「…坂本君が、満点を取れると思いますか?」

 

「・・・・・・と、とれるのでは、ないじゃろうか・・・」

 

「・・・・その様子だと、自信が無いみたいね」

 

 

 普段の坂本君を思い浮かべたのか、秀吉君は汗を流しながら自信なさ気に答えます。

 

 はい、私もそう思うのですよ。坂本君が作戦を説明した時は少し納得しかけましたけど、よくよく考えてみると坂本君ってそこまで点数が高くありませんでしたからね。Dクラスの時とかBクラス戦で根本君と戦ってる時にちらっと見ましたけど、あんましでしたからね~。

 

 

「じゃ、じゃが今回は小学生レベルの点数じゃし、雄二でもきっととれるはずじゃ!あやつはもともと小学生のころは神童と呼ばれて負ったし――!」

 

「でも、それって過去の話でしょ?今がどうかはわからないじゃないですか」

 

「グ…!ま、まあ…」

 

 

 しかも『聞いた話』だと、坂本君は小学生のころはともかく、中学生のころは・・・・・・それはあまり言わないでほしいって感じでしたし、やめておきましょうか。

 

 

「まあ予想に反して、坂本君が勉強して満点を取る可能性もありますからね!ちょっとは期待していてもいいでしょ!」

 

 自分でこう言ってなんですけど、やっぱり勝ってほしいですからね。無理と思いつつ期待しちゃうのは人の性ですよ。

 

 

「そんな話をされた後では、全く安心出来んのう・・・」

 

「私としては安心できる情報だけどね」

 

「Aクラスの咲夜さんにはそうでしょうね~」

 

 

 苦い顔をする秀吉君に安堵する咲夜さん、私は変わらず笑い続けて統一性はないですけど、取る行動は同じです。

 

 

「はあ…(パク)」

 

「ん…(カプ)」

 

「あはは(ばく)」

 

 

 三人の口からカリッと良い音が立ちました。

 

 結末は神ならぬ、先生だけが知るという事ですね。パッキーみたいに、出来たらおいしい結末を見せてもらいたいですね~、坂本君?

 

 

 

 




 お読みいただきありがとうございます!

 やってしまったと思わなくもないのですが、咲夜さんには時を止めて欲しかったので、あんな反則的な能力を持ってもらいました!姫路さんファンには申し訳ない~!

 他のバカテスssを読んでいると、皆さん召喚獣の設定も細かいところまでしていて驚かされてばかりな村雪ですが、あれほどきっちりした設定を組み込むのはほぼ無理です!偉そうに言う事じゃないですけど!

 なので、この作品の召喚獣のバトルはかなり雑な物となっているのですが、それでもいいと読んでいただければ幸いです!

 さて、ようやくと言うか遂にと言うか、次回でAクラス戦、および四月の召喚戦争編は終わると思います!次回も楽しみにしていただければ!

 それではまた次回っ!

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