いよいよAクラス戦開幕です!が!、前からも言わせてもらっていますがしつこく言わせてもらいます!
・・・村雪、戦闘描写が苦手です!なのであんまり熱い勝負にはなっていません!あっさり勝負がついてますので、ご了承お願いしますよ~!!
そこを踏まえたうえで、今回からのAクラス戦!
――ごゆっくりお読みください
「では、両クラス準備はいいですか?」
「ああ」
「……問題ない」
坂本君、霧島さんの2人が合意します。それにより、いよいよ私達Fクラスの最終目標、Aクラスとの七回連続一騎打ち勝負が始まります! ルールは簡単!七回勝負の内、四回を勝利したクラスの方が勝利です!勝てば天国、負ければ地獄の大一番なのですよ~!
「分かりました。ではこれよりAクラスとFクラスの勝負を始めます」
立会人は母さんの知り合いのようである高橋先生。とってもキャリアウーマンみたいな女性ですねー!
「ねえ瑞希!あの冷蔵庫に何が入ってるか見るわよ!」
「ダメですよチルノちゃん。他の人の家の冷蔵庫は勝手に開けてはいけません。ちゃんと許可を取ってからあけましょう?」
「え~!?」
「瑞希さん、もはやチルノのおふくろ様みたいですね・・・」
ちなみに勝負場所は綺麗で大きなAクラスを提供していただきました。さっき来なかったチルノはその豪華さに目を耀かせています。チルノが言う冷蔵庫とは、各システムデスクの横に一台ずつ置かれた物のこと。学校が設備として購入してますので、厳密に言えば家じゃなくて〝学校の〟ですけどね、その豪華な冷蔵庫は。・・・こ、こっそり咲夜さんのを持って帰れないでしょうか?あったら我が家の心強い相棒になること間違いナシなのに~!
「それでは、1人目の方、どうぞ」
「じゃあ、私から行かせてもらおうかしら?」
立会人である高橋先生が両クラスに1名招集します。先に名乗り出たのはAクラスでした。
「アリス・マーガトロイドか…」
坂本君の言う通り、向こうの一番手はアリス。私の友人です!
「おっ?じゃ、じゃあここは私がトップバッターを務めさせてもらうぜっ!」
対して、こちらからは恋に生きる魔理沙でした。
やけに顔が赤いのは気温のせいですかね?Aクラスのかた!もう少し温度をさげてもらえますか~?
「よ、ようアリスっ!久しぶりだな!?」
「久しぶりって・・・ついさっき会ったばかりじゃない、魔理沙」
「そ、そうだったか!?悪い悪い!」
「・・・さっきのときもそうだったけど、さっきから顔が赤いわよ?熱でもあるの?」
「ね、ねえさ!あるとしたら心の病気って奴だぜ!」
「ん、ん?」
……なぜでしょう。魔理沙の態度がもの凄く変です。さっきのAクラスの時もそうでしたけど……混乱してる、と言えばいいのでしょうか?とにかく普段の時とは違います。
「ねえ美鈴さん。魔理沙は何であんなにテンパってるの?」
「さ、さあ?」
心の病って奴じゃないでしょうか?本人も言ってましたし・・・ん?赤面、心の病?あれ、何か結びつきそうな・・・
私の中で答えが出ない間にも、高橋先生は勝負へと準備を進めていきます。
「ではお2人とも、科目選択はどうしますか?」
「!化学でお願いするぜ!」
あ~、魔理沙の化学の点数にはほんとにド肝を抜かされましたね~。まさか魔理沙があんなに化学が得意だったとは・・・!暗黙の内に定着していた魔理沙のおバカ説ががらがらと瓦解しましたよ!
「雄二、魔理沙が教科を選んじゃったけどいいの?」
「構わん。まだ三つあるさ。それに霧雨は他の科目についてはいまいちだったからな」
「土屋君の化学バージョンって感じですね」
さすがにエッチなところは似てないと信じます!
「アリス、悪いがここは私が選ばせてもらうぜ?」
「いいわよ。まだこの後もあるんだから取っておいた方がいいしね」
「お、おうそうか……あ、あとなっ!」
「ん?何?」
「・・・え~っとな」
魔理沙はそこでとめて、恥ずかしさの表れか、自慢の髪に指をくるくる。ちょっと、すっごく可愛く見えるじゃないですか!あなたそんな顔もできたんですね!?普段の魔理沙を知ってるだけに違和感がすごいです!
そんな乙女魔理沙の継続時間は五秒。びしっとアリスを指さし、魔理沙はこんな提案をしました。
「・・・これで勝った方は、一つ命令権な!」
「え…なんで?」
「そ、その方がやっぱり面白いじゃんか!」
「…魔理沙が科目を選んでるんだし、それは無茶な注文じゃないかしら?」
アリスはあまり乗り気じゃなさそうに顔をしかめています。だって、拒否することもできずに命令されるなんてやっぱり嫌ですものねえ…まだ平等な勝負ならまだしも、魔理沙の得意科目で勝負するんですからなおのこと。わんぱくな魔理沙らしい提案ですけど、これはさすがにアリスも頷けませんよ。
何かアリスにだけプラス条件を加えたら別かも知れませんけど、魔理沙はそういうことは言わないと―
「あ、も、もしアリスが勝ったら私には二回命令していいから!」
「言ったー!?」
「わ!?な、何よ美鈴いきなり!?」
「あ、す、すいません!」
ええええっ!?火の粉のかからないところから火の粉をかぶる人を面白おかしく眺める魔理沙がそんなことを言うですって!?ほ、本当にどうしたんですか魔理沙!こんなの魔理沙じゃありませんよお!?
「いや、私はあなたに命令をしたいわけじゃないのだけど…」
「じゃ、じゃあ本当に嫌だったら断ってもいいってことで!なっ!?なっ!?」
…魔理沙、そこまでしてあなたは一体アリスに何をやらせたいんですか…?
「……はあ~・・・そこまで言うのならいいわ。乗ってあげるわよ」
「!?まじかっ!?」
魔理沙の気迫・・・というよりしつこさ?にとうとうアリスが折れました。言った本人がそれに驚くのは果たしてどうなのでしょう?
「ただし、私が勝ってもあなたに命令する回数は一度で、嫌なら断ることも出来るようにすること。それでいいわね?」
「あ?そ、それでいいのか?むしろこっちが聞きたいぞ?」
「いいのよ。で、どうなの?」
「お、OKだぜ!」
どうやら話は上手くまとまったようで、魔理沙は嬉しそうに顔をほころばせました。
淡々と言葉を言うアリスですけど、ちゃんと魔理沙のことを聞いてあげてるんですよねえ。そう言えば世話焼きアリスなんて言われてたこともありましたっけ?本人は嫌がってましたけど、実に的を射たあだ名です!
「ま、魔理沙はアリスさんに勝ったら何を命令するのかな・・・!?」
「……写真の準備が必要・・・!」
「あなた達は本当に自分本位ですねえこら!」
ちょっとはアリスの他人に気を配る心意気に胸を打たれなさい!絶対そんな思ったようなことを魔理沙は願いません!
「――では、2人とも。召喚をしてください。」
「はい。試獣召喚『サモン』っ」
「うっし!試獣召喚(サモン)!」
高橋先生の準備が終わり、2人は召喚獣を出しました。
辺りを散らかすであろう真反対の働きを持った高火力のほうき、黒の帽子と白いエプロンをつけた魔理沙の召喚獣。魔女と言えばこれ!っていう格好ですね!
対するアリスの召喚獣。髪が本人よりも長く、ヘアバンドの代わりに霊夢が付けているのに似た赤いリボンを後頭部に付けて、紺色のワンピースのスカート部分には白いエプロン。その手には西洋の等身大のランスが握られていました。
おっと。見た目の方に気をやってしまいましたが、大事なのは点数です!アリスもAクラスに所属しているのですから高得点保持者には違いありません。果たして魔理沙は上回ることが出来ているのか・・・!
『Aクラス アリス・マーガトロイド 化学 386点
VS
Fクラス 霧雨 魔理沙 化学 394点 』
『おおっ!!』
『嘘っ!?』
おお!!わずかですが魔理沙が勝ってます!やっぱり科目選択をしたのは大きかったですね!両クラスから喜びと驚きの声があがり、場は徐々にヒートアップしてきます!
「ま、魔理沙ってそんなにすごかったの!?」
「美波!その気持ちが僕にはよく分かるよ!」
「さすがはまりさね!サイキョーのアタイをだましただけあるわ!」
「でもチルノの気持ちは分からないけどね!そんなの誰だってだませるよチルノ!僕にだって出来るさ!」
「なんですって!?ならやってみなさいよっ!?」
「良いとも!……チルノ!」
「何さ!?」
「君の胸はすっごい大きいね!」
「……よしー・・・あんたって奴は、目もバカだったのね…」
「あ、あれ!?だまされないで本当に哀れそうに僕を見てくる始末だって!?美波なら絶対騙されると思ってたのに!」
「確かに騙されてたでしょうねアキィィィイ!!」
「いっだだだだだあ!!?僕の手首から小気味いい音がああ!」
「ふ、2人とも落ち着いてください!魔理沙ちゃんの応援をしましょう!?」
じょ、場外でゴングが鳴りだした!?もう!瑞希さんの言う通り、はしゃいでないで魔理沙の応援をしなさい!
「おっし、わずかだが霧雨の方が勝ってるな。」
「……だが、アリス・マーガトロイドも負けていない。」
「うむ。ちょっとしたことでひっくり返る可能性もあるのじゃ。」
土屋君達の言う通りです!でも、アリスはくやしそうな顔で点数を眺めます。やはり点数が下だと負けていると感じちゃうのでしょうか?
「う…すごい点数ね。私もそれなりに自信があったんだけど・・・」
アリスの点数が決して悪いわけではありません。アリスの点数でも十分にトップクラスの点数だといっていいでしょう。ただ、魔理沙の化学への情熱がそれを上回ったという話です!
「それは私も同じだぜ!他に関してはほぼ二ケタだけどな!」
「なら、そっちで勝負をかけるべきだったわねっ!」
「あいにく、もう変えはきかねえぜっ!」
その言葉を皮切りに、2人は動き出しました。
「行きなさい!」
大きなランスを構え、アリスの召喚獣が魔理沙の召喚獣へと迫りだします!高得点なだけあって動きが早い!
「よっ!」
それに対し魔理沙は、召喚獣にほうき型レーザー砲をアリスに突き付けさせ、一発!
「マスタースパァァァァクッ!」
「技名を付けたんですかっ!?」
「かっこいいわね!」
あなた厨○病でしたっけ!?でもその名前、確かに似合ってかっこいいです!?
「……っと!攻撃の仕方もすごいわね!」
アリスの召喚獣はそれをわずかに受けつつも、とっさに左へかわしてそのまま魔理沙の召喚獣へと接近します!
「はあっ!」
大きなランスを横に振りかぶり、射程距離に入った魔理沙の召喚獣に薙ぎ払います!
「よっと!!」
慌てて魔理沙の召喚獣はしゃがみそれを回避しました。が、アリスの攻撃はまだ続きます!
「まだよ!」
魔理沙の召喚獣の横を勢いで通り抜ける前に踏みとどまり、右手だけで柄を握り直し、しゃがみこんだ召喚獣の頭めがけてその凶悪な塊を振り下ろしました!
「げ!?うおおおおっ!?」
ガギイインッ!
頭にぶつかる寸前に魔理沙はほうきで防御に成功しました。吉井君の木刀もそうですけど、木が鉄に張り合っちゃってます!そんなところも常識通じず、ですね!
「や、やるじゃねえかアリス…!」
「なめてもらっては困るわね…!」
「づっ…!な、なめてはねえけどなあ…!ずぉらああっ!」
「くうっ!?」
ほうきと鉄のヤリ。見た目で判断するとほうきが折れて終了でしたが、ここでは点数が全て!点数で勝っていた魔理沙がランスを押し返しました!
よし!今のアリスはすきだらけ!行けますよ魔理沙!
「くらえアリスウウっ!」
グゥオアアアアアッ!
再びほうきからのレーザーがアリスへ一直線に走ります!!当たるか!?
「くらうわけっ、ないでしょうが!」
バッ!
しかしアリスの召喚獣が思い切り右に跳ね、それを回避しました。あちゃー!またすんででかわされました!今のが当たってたら決着だったと思うんですが…勝負の女神は舞い降りなかったみたいです!
「ふ~…まったく、こっちは近づかないといけないから、攻撃するのに一苦労だわ」
「逆に言えば近づかれたらやられ放題だからな。この距離が私のフィールドだぜ!」
「…策を練ろうにも、近づかないことには始まらないのも困ったものねえ…。」
はあと溜息をアリスはつきながらも召喚獣に構えを取らせる辺り、アリスが勝負を捨てたのではないという事がうかがえます。
近づいて攻撃しなければいけないけれど、それを阻むレーザー攻撃、しかもその発射源は遠く離れた場所のこの状況。敵ですけれど、不憫に思えちゃいます場面です…
その状況を打破し、アリスが勝つには……う~ん。う~~~~ん…!
「…無謀だけど、やっぱりかわして攻撃を当てていくしかないわねっ!」
ですよね!もうそれしか私も思いつきませんもの!ば、バカって言わせませんよお!?アリスをバカにしたのと同意ですからね!絶対許しませんよー!?
「おお、さすがアリスだ!そんなところが好きだぜっ!」
魔理沙がまたほうきを構えます。当然アリス召喚獣を動かし――
「すっ…!?」
……あれ。アリス?急に召喚獣の動きが鈍くなったのは、魔理沙を挑発して攻撃させるためですか?
「!もらったあああ!!」
あ、来ましたよアリス!見事計画通りじゃないですか!?さあ!それをかわして攻撃へ「あ、きゃっ!」、きゃ?
『Aクラス アリス・マーガトロイド 化学 0点
VS
Fクラス 霧雨 魔理沙 化学 394点 』
あ。アリスの召喚獣がやられちゃいました
……ってえええ!?唐突に終っわちゃいましたよ!?まだまだこれから!って雰囲気を醸し出してたのにこの上なくあっさりおわっちゃいましたよー!?
「クッ…!や、やってしまったわ…」
変な動きになったのはわざとじゃなくて素だったんですね・・・アリスは本当に悔しそうな顔をしています。
よ、よく分かりませんけどなんだか申し訳なくなっちゃう結末ですね!ととりあえずごめんなさい!
「よ、よっしゃあああ!わたしの勝利ぃぃぃっ!!」
対する魔理沙は勝利の雄叫びをあげ、天井を見上げながら拳をかかげました。しょ、勝利は勝利でしょうけどピンキリのキリに属する勝利ですよこれ!ほら、Fクラスの皆さんも
『しゃあああああっ!』
『霧雨、よくやってくれたあああ!』
『魔理沙ちゃんナイスうううっ!!』
大喜びありがとうございましたもおおおおっ!!
「では、まずはFクラスが一勝ですね。」
高橋先生が粛々とノートパソコンに今の結果を打ち込み始めました。やっぱりその様はキャリアウーマンにしか見えませんね。こう言ってはなんですけど、母さんとだいぶ違う気がするのに、どうやって仲良くなったんでしょう?
「はあ…仕方ないわ。で?魔理沙、何を要求するの?」
負けても冷静なアリスが言っているのは命令権、ではなくお願い権のことでしょう。非常に納得のいかない結末でしょうになんと律儀な…
「……霧雨、できるだけ過激な指令を…(ポタポタ)!」
「大丈夫、魔理沙なら僕たちの願いを分かってくれるはず…!」
「ま~だ言ってるのですか貴方たちは…」
このおバカ二人はスケベ魂に律儀です。同じ言葉でも全然ニュアンスを変えて言えますから日本語って面白いですよね!
「お、お、おうっ!……じゃ、じゃあ、アリシュ!」
魔理沙もなぜか面白いぐらいに顔を赤くし、瑞希さんに負けず劣らずのかみっぷりをだしてアリスの顔を見つめます。
「なに?」
…そんな赤い顔をするって、魔理沙、あなた告白でもしそうな雰囲気じゃないですか。まさかアリスに告白する気ですか?あはは!まさかそんなことはないですよね~!
「――つ、つ、ちゅきあってくれだぜ!」
・・・・・・・・・…はい?
「………………買い物にっ!」
「?それぐらいなら全然構わないわ。というより、普段一緒に行ってるんじゃ―」
「・・・う、ううるせえ!!ぐすっ!ちゃんと約束は守れよっ!?」
「わ、分かってるけど…なんで涙ぐんでるの?要望は通ったんでしょ?」
「通ったよ!それはもう言葉通りになっ!アリスのアホ!」
「??」
・・・・・・混乱しているアリスから背を向け、魔理沙が私達Fクラスの下へと戻ってきました。
「よ、よくやった霧雨」
「よくやったわまりさ!アタイが褒めてあげる!」
「お、お疲れ様なのじゃ」
「……おう。きっちり勝ってやったぜ」
「……もっと、夢あふれる命令を・・・」
「やかましいこのスケベが」
「・・・・・・スケベじゃない・・・・・・!(ブンブン!)」
「す、凄いです魔理沙ちゃん。アリスさんに勝つなんてっ!」
「……はは、勝ってもあんまり嬉しくない結果だけどな~」
「…あ、あはは…」
「ま、魔理沙?なんでそんな・・・・・・その、絶好の機会を逃がしたって顔をしてんのよ?勝ったでしょ?」
「勝ったのは試合で、勝負には負けたってことだぜ」
「??え、え~と?」
「魔理沙、せっかく勝ったんだから、もっと他のお願いのほうが良かったんじゃないの?アリスさんもそう言ってたしさ。」
「やかましい。私だってな…って、アホの吉井に言ってもわからんだろうからいいか」
「ひどい切り捨て方だね!?」
ハ~…と深いため息をつく魔理沙。
……もうこれ、完全に私の予感が当たってますよね?全く想像だにしてませんでしたけど、絶対あれですよね?
「……あの、魔理沙」
「ん~?なんだぜ?」
万が一を排すため、この言葉で確認をとるとしてみましょう。
残念そうに肩を落としている魔理沙に、私は聞きます。
「あなた、百合なんですか?」
「n★rッhチxlwgタ♡Ze!?」
「そうでしたか」
どうやら張った惚れたみたいです。高校以前からの友人だったんですけど、まだまだ分からないことだらけなのですね…
…と、とにかく!本人は微妙な結果みたいですが、Aクラス戦一騎打ち初戦、見事Fクラス勝利です!
「――ごめんなさい。負けてしまったわ。」
アリスが申し訳なさそうに肩を落としながら戻ってきた。そっちも大事だけれど、むしろ私としては、魔理沙との指示権の方でいっぱいである。魔理沙から聞いていたけれど、本当に気付いてないわねこれは・・・。美鈴といい、なんで私の周りは鈍い人が多いのかしらねえ…
アリスの別のことに呆れている私に代わり、代表と愛子がなぐさめにかかった。
「……仕方ないこと。だから気にしないで。」
「そ、そうだよアリス!まだ始まったばかりだから大丈夫だって!」
「ありがとう、代表。愛子。」
その言葉にホッとしたアリス、だけどそれを良く思わない人が1人。
「ちょっとアリス!な、なんであそこでいきなり召喚獣を遅くしたのよ!?あれがなかったらレーザーを受けなかったでしょ!?」
「木下さん」
木下優子さんである。負けたらFクラスの設備と入れ替わるこの一騎討ち勝負、初戦を落として気にしない人はいないから、その反応も決しておかしくは無いわ。
「…ええ、全く持ってその通り。本当に返す言葉も無い…」
アリスもそうとう気にしてるみたいでシュンとしてるだけ。厳しいけれど、これもクラスメイトとしての役割。正しいとも言えないけれど、間違ってもない行為だからね。
「優子っ。ア、アリスもわざと負けたんじゃないからそんなに怒らなくても…」
「アリス!あなたが自分が行くって言ったのよ!?だったら責任を持って勝負に挑みなさ―」
「うっさいわねー。一敗しただけでまだ勝負は分からないでしょうが。」
愛子の言葉も届かず、さらにアリスを責めようとした木下さんだったけど、木下さんよりもがさつな言葉がそれをやめさせた。
「霊夢」
相も変わらず、気力のないだるそうな目の霊夢が木下さんの叱咤を咎めた。そんな言い方をされては彼女も黙ってはいない。
「は、はああ?い、いきなり口を挟まないでくれるかしらあ?博麗?」
「口を挟んでんのはあんたでしょうが木下。別にこれで勝負終了じゃないんだから次から勝てばいいんでしょ?あんたは気にしすぎなのよ。」
「あなたは楽観しすぎなのよ!それに私が言ってるのはFクラスとの勝敗を気にしてじゃなくて、アリスの失敗が変だったからよ。どう考えたっておかしかったじゃない!」
「そんなの誰だってミスすることぐらいあるわよ。あんたはミスしないって言うの?」
「う、そ…それはするけど!でもだからってあのタイミングであんなミスはないでしょうがっ!」
「だから、誰だって失敗するって言ってんでしょうが。ちゃんと聞いてんのあんた?耳の働きが鈍ってるんじゃないの?」
「は、はあああ~?ああなたこそ普段眠ってばかりで、少し脳の働きが鈍ってるんじゃないかしら?」
「あ?」
「は?」
………はあ・・・あれだけ痛い目に遭ったというのに、この二人は懲りるという言葉を知らないのかしら…
2人がつかみ合える距離まで接近するにつれて、他の人たちが距離を取り始める始末。今のAクラスなら、団結力に関しては最下位かもしれないし、これなら一騎打ちを受けておいてよかったかもしれないわね…
「ちょ、ちょっと二人とも落ち着きなさい!私が悪いんだから、責めるのは私に――」
「「アリス(あなた)は引っ込んでなさい!」」
「………ご、ごめんなさい」
自分が発端にあるのは間違いないので、アリスの肩は小さくなるばかり。変わらないわね、その苦労性は…
「……で、アリス。どうしてあの時動きが鈍ったの?」
木下さんと同じく気になっていたので、こそっと私は聞いてみた。
「……いきなり好きって言われたら、いくら同性でもドキッとしない?」
「一理あるわね」
なるほど。私も美鈴に突然言われたら、確かに思考回路が真っ白になるかしら。それなら仕方ないわよね。
「――ならやってみなさい木下ぁ!失敗しないって言うだけならバカでも出来る!やってもないくせに人を責めんなっての!」
「いーわよやってやろうじゃないの!!やって私がバカじゃないって証明してやろーじゃないっ!代表!次は私が出るわ!いいわよね!?」
「……わ、分かった」
いつの間にか代表に詰め寄り、脅迫まがいの希望を言う木下さん。普段よりも何割か剣幕が凄いせいか、いつもポーカーフェイスの代表が顔を引きつらせている。全く、いくらでも他の頼み方があるでしょうに…
「なんというか…本当に癖がある人が多いわね、うち(Aクラス)は。」
「他人事みたいに言ってるけれど、咲夜。あなたもだいぶ凄いと思うわよ?」
「僕もそう思うよ咲夜」
「訂正を求めるわ」
私は少し家族バカなだけだというのに。全く、アリスと愛子の目は少し鈍っているようだわ。今度私が普通だという事をじっくり説明させてもらいましょう。
お読みいただきありがとうございます!
さて、前々回にもぼかして書きましたが、魔理沙、実は百合っ娘でした!あのハンサムメガネは!?と思った方もいたでしょうが、彼にはまた別のところで教師として出てもらおうかと考えています!あくまで予定ですが!
今回のような感じで次回からも書いていきます!原作ではかなりぱっぱと進んで、結果だけがほとんどという感じでしたので、それをイメージして頂ければ!
それではまた次回っ!