この前ちょっと見たら、なんとお気に入りにしてくれた人が、70人を超えていました!
百、千単位でお気に入り登録されてる作品と比べたら全くかもしれませんが、この数字に作者は大満足です!ありがとうございます!
これを励みにまた頑張っていきますので、これからも「バカと中華小娘とお姉さん」をよろしくお願いしますね!
さて、Bクラス戦ですが、あと一回は続きそうです!
でも書いてみて、ちょっとDクラスに比べて、面白みにかける内容となってしまいました・・・期待していた人たちには申し訳ありません!
それでも、優しい目で作品を読んでいただければ・・・!
――では、ごゆっくりどうぞ。
「ただいまー。」
「あ、ご苦労様です。吉井君達。」
時間も放課後に突入しそうになった時、渡り廊下に赴いていた魔理沙(まりさ)たちが帰ってきました。
「首尾の方はどうだ?」
「とりあえず教室まで抑え込んだぜ。Bクラスの奴ら、今日はもう動かないみたいだったぜ?」
「だろうな。協定通りだ。」
「協定?なんだそれ?」
「ああ、実はな―」
坂本君はもう一度、魔理沙達やあの時教室にいなかった人のために説明をします。今回は姫路さんに配慮してか、体力の面での話は伏せられました。
一通り話が終わると、大半の人はそうなんだって感じで頷くだけでしたが、魔理沙だけはう~んと首をひねりました。
「……ん~、かなりきなくせえな。私らに有利な条約を提案するなんて、根本の奴、絶対何か企んでやがるだろ?坂本もそう思わないか?」
「ああ…だが、こちらにも利があるのは確かだ。やむを得ないだろう。」
「まあ、そうなんだけどなあ……う~ん・・・」
魔理沙はだいぶ気になるみたいで、顔を難しくしたまま考え込みます。魔理沙は魔理沙で悪知恵を働かすのが趣味ですから、何か通ずるものがあって分かるかもしれませんので、ここはそっと考えといてもらいましょう。
「でも、魔理沙の言う通りだよ雄二。さっきもBクラスの男子が島田さんを人質に――」
「こらアキ、〝美波〟(みなみ)よ。」
「あ、ごめん美波。え~っと、美波が人質に取られたりもしたんだよ?だから、やっぱり罠じゃないかな?」
「・・・・・・その話も気になりますけど、2人の呼び方が変わった事の方が結構気になりますね。」
人質になった島田さんを助けたからとかでしょうか?それなら、男を見せましたね吉井君!
(× むしろ彼は見捨てようとして、クズの称号も一部からもらいました。)
「だから言ってるだろ。たとえ罠って分かっていても、それが何かは分からないし、元々が不利なんだ。多少のリスクは呑まないとダメだ。」
吉井君の言葉にも、坂本君は意見を変えることなく自分の意見を主張します。
確かに坂本君の言っていることも確かで、私たちの最高戦力である瑞希(みずき)さんが体力は少ないから、休憩を挟まないといけません。それをわざわざ敵が提案してくれてるのですから、それに乗っからない手は無いのかもしれません。
とはいえ、私も同じ事ばっかり考えますけれど、そこには何かを企んでる気がしてやまないのです。
せめて、その〝企み〟が何かが分かればいいのですけど……
「………(トントン)」
「お、ムッツリーニか。何か変わったことはあったか?」
すると坂本君の背後に、いつの間にか、情報係に専念していた土屋君が立っていて、何かを坂本君に耳打ちます。どうやら連絡事項が出来たようです。
「・・・なに、Cクラスが試召戦争の準備を始めているだと?」
「・・・・・・(コクッ)。」
坂本君から聞こえた土屋君の連絡事項とは、そのことのようでした。
「……狙いはAクラスではない。」
「てことは…狙いはBクラスですか。」
でも今、Bクラスは私たちFクラスと戦っているわけですし、そこに関係のないクラスが参戦することは出来なかったような・・・・・・
「・・・・・・Cクラスは、俺たちの戦争が終わったら仕掛けると言っていた。」
「・・・それって、私達のどっちかに仕掛けるって事ですか?」
「ちっ。漁夫の利を狙うつもりか。いやらしい連中だな。」
「あ、ああ…でも、戦略としては一番いいですからねー。」
私たちがBクラスに勝とうが根本君達Bクラスが勝とうが、どちらも戦闘で点数を消費しているわけなのですから、万全な状態のCクラスには願ってもない好機、ってことですね。
そうなってしまえば、私たちが勝利をしてもCクラスに横取りをされるだけ。これはまずい状況ですね・・・・・・・
「雄二、どうするの?」
「ならさかもと!アタイらがCクラスの奴らも倒しちゃえばいいのよさ!それで問題は解決でしょ!?」
「いや、チルノ。それはそうだが、点数を消費したうえで勝てるほど、奴らも甘くないはずだ。ここは勝てないと見ておく必要もある。」
「えー!つまらんわっ!」
「ま、まあまあチルノ。ほらあめあげますよー。」
「もらうわメーリンっ!」
チルノが不満をぶつけますが、勝負では最悪の事態も考えて動く方が良いと私も思いますので、坂本君の意見に沿うようにチルノを宥めます。あめの力は大きかったので助かりました!
「んー、そうだなー・・・よし。Cクラスと協定を結ぶか。」
チルノを宥めている内に、坂本君は打開策らしきことを言い出しました。
「Dクラスを使って攻め込ませるぞ、とか言って脅かせば攻め込む気もなくなるだろ。クラスが一つだけ違うだけだから、Cクラスの奴も油断できまい。」
「え、でも坂本君。さっきの協定の内容を言ってた時に、『試召戦争に関わる一切の行為を禁止する』って言ってたじゃないですか。それは協定違反になりません?」
それをもしもBクラスに知られたら、違反だとかなんとかで厄介なことになるんじゃないでしょうか・・・?
「大丈夫だろ、あくまでそれは、Bクラスとの協定だ。Bクラスに知られなければ何の問題も無い。」
「ま、まあそれもそう…ですね。」
どこにBクラスの人がいるか分からないから、その点はかなり心配ですけど……Cクラスに責められるのはまずいですし大丈夫ですかね?背に腹は代えられませんから、坂本君の案に乗るとしましょうか。
「よし、それじゃ早速Cクラスに行くか。まだ放課後になって時間も経ってないから何人かは残ってるだろ。」
坂本君が腰をあげます。私達も続いて立ち上がり、Cクラスへ行けるようにしようとし始めます。
「うん。それじゃいこー」
「待つんだぜ。坂本。」
準備が終わって、吉井君が声を出そうとしたその時に、さきほどからずうっと考えっぱなしだった魔理沙が腰を降ろしたまま声をあげました。だから、皆の視線が魔理沙に集中します。
「どうした、霧雨?」
「・・・・・・土屋。Cクラスの代表のことなんだけど、確か女子の小山(こやま) 友香(ゆうか)、であってるか?」
「・・・・・・あっている。小山友香に違いない。」
こやまゆうか。え~っと、確かバレー部の方でしたっけ?なんでもバレーが上手で、とっても有望な女子だとか聞いたことがあるような・・・
「・・・・・・なぁるほど~。」
「ま、魔理沙?」
「ど、どうしたのじゃ魔理沙?」
お、おおっと!?魔理沙がもの凄い悪い笑みを浮かべましたよ!?『そんな手を使ってくるとは・・・バカめ!』と言ったらもの凄く似合いそうな顔ですね!思わず秀吉君達もびっくりしてます!
「坂本。」
「お、おう。なんだ?」
あくどいながらも、つっかえていたものがとれてすっきりしているようにも見える顔のまま、魔理沙は坂本君に、はっきり言いました。
「多分だけどな・・・・・・土屋が仕入れてきた噂は、根本が流した罠だと私は睨んだぜ。」
「・・・・・・詳しく説明をしてくれ。」
そんな推測に、坂本君も驚いていた顔を真剣なものへと戻し、他の人はどうして?と頭に疑問符をを浮かべて魔理沙を見つめました。ちなみに私は後者です。
「おう、と言っても単純な話なんだがな。そんな大したことを言うわけじゃないぜ。」
魔理沙は手を左右させつつ、難しい問題が解けたときの満足感溢れる声で、その根拠を答えました。
「Cクラスの小山は、Bクラス代表の根本と付き合ってやがる。」
「え、そうなんですか?」
「あははっ。魔理沙、嘘なんか言っちゃダメだよ?あんな卑怯で不細工な根本に、彼女なんて出来るわけないじゃないか。」
「なら明久。その理屈だと、お前も生涯彼女は出来なくなるんじゃないか?」
「なんだと雄二!僕のどこが卑怯なんだ!」
「ブサイクというのは否定せんのじゃな・・・」
「まあ、顔だけで決まるわけではないのですけどね。人の好みというものは。」
吉井君が真っ先に魔理沙の発言を否定しようとしました。笑っているのはいいのですが、その手のボールペンは何に使うつもりですか君は。
「ウソじゃねえぜ。吉井、私を誰だか忘れたか?」
「こ、恋に生きる女だっけ?」
「その通りだ。だから私に知らない恋なんてないぜっ!」
か、かっこえー!本人達にはいい迷惑ですけど、魔理沙が堂々と言うせいで輝いて見えますよ!?
「・・・・・・でもアンタ、意外とチキンだったじゃん。」
「うううっしゃい!美波は黙ってるんだぜ!バカ!」
「ま、魔理沙?」
魔理沙が顔を真っ赤にするのは久しぶりに見ましたね。最初に見たのは、確か家で、誰かと遊んでた時だったような・・・・・・って、それはともかく!
「でも魔理沙。どうしてそれで罠だって思うんです?」
「う、けふっ。さ、さっき美鈴が言ってたろ?〝試召戦争に関する行動は禁止〟だってな。Cクラスと同盟を結ぶってのは、明らかに試召戦争に関わることだぜ。だから今頃、Cクラスの中でBクラスの奴らが、私らが来るのを待ち構えてるんじゃないか?そうすれば私らが協定を破ったのを見れるし、すぐに攻撃したり弱みを握ったり出来るしな。彼氏の頼みだったら小山も断らないだろうし、何より勝ってほしいって思って喜んで協力すると思うぜ。」
「・・・なるほどな…」
ふ~む。その2人が付き合っているというのにも驚きましたが、魔理沙の考察力にもびっくりです。普段いたずらをしたりするぶん、悪企みには敏感になったりするものでしょうか?
「だから坂本。Cクラスと協定を結びに行くのは止めた方がいいぜ。もちろん私の考えすぎって可能性もあるがな。」
「・・・その2人が付き合っているのは、間違いないんだな?」
「おう。そこは信じてくれて結構だぜ。」
「・・・なら、確かにCクラスと交渉するのは得策ではないな。むしろ命取りになる可能性もある。」
「確かに、それはそうじゃな。」
魔理沙の話を聞く限り、私もその方がいいと思いますねー。もしもあの協定が破られる前提で立てられてるのならば、何を書こうと条件を破った時点で無効となるわけですからね。
これで、あのこちら側に都合が良い条約の引っ掛かりが解けましたよ!魔理沙、お見事です!
「でもさ雄二。そうなるとCクラスが、僕らが勝ったとしても攻めてくるかもしれないよ?」
「あ…そ、その問題がありましたね。」
Cクラスの試召戦争準備が私たちの目を引く餌(えさ)にしても、もしも私たちが勝てば、彼氏のかたき討ちとかで間違いなく私たちFクラスにに宣戦をしてくるでしょう。
そうなると、私たちは連戦を強いられることになり、良くて苦戦、だいたいの確率で負けてしまうんじゃないでしょうか。こ、これでは問題は解決にはなりません・・・!
「心配するな。」
しかし、そんな心配を打ち消すかのように坂本君が、野性味たっぷりのワイルドな顔で断言しました。
「それなら、奴らの意思を分離させればいいだけだ。」
「おっ?何か企んでる顔だな?」
「ああ。今度はこっちの番だ。明日の朝に実行する。今日はひとまず解散だ。」
『了解』
『はい』
『わかったわ!』
そういうことで、今日は解散となり、協定通り勝負は明日へと持ち越しになりました。
・・・帰る前に教室を大ざっぱに探りましたが、姫路さんの手紙入りの封筒は見つかりませんでした。
代わりにいくつかの雑誌が見つかったんですけど・・・・な、なんちゅう本を学校に持ってきてるんですかちょっとぉ!?
『……』
『…………ねえ、本当にFクラスの奴らが来るんでしょうね?』
『あ、ああ間違いない!Fクラスの奴は間違いなく、友香達Cクラスが試召戦争の準備をしているって耳にしているはずなんだ!だ、だからもう少ししたら・・・!』
『何度目よそれ!あんたさっきからそればっかじゃない!いい加減なこと言ってると怒るわよ!?』
『ひっ!ま、待ってくれ友香!っていうかもう怒って『はあ!?』あ、な、なんでもない!』
『はあ…皆さん。もう少し頑張りましょう。代表ももう少しできっと諦めるでしょうから。』
『了解。……あ~、何で根本が代表なんだろうなあ・・・魂魄(こんぱく)さん。今からでもいいから代表になってくれ!』
『同感だぜ全く。それだけでも俺らのモチベーションが違うんだけどな~…』
『無理ですって。彼の方が成績が良いのですから当然の配置ですよ。それに、やってることはちょっとひどいですけど、この作戦自体は戦略としてはきちんとしてますから、文句を言ってはダメです。それと、彼も同じクラスメイトなんですから、あまり悪口は言わないであげましょう。工藤君。遠藤君。』
『くうっ・・・!あんな奴にもフォローするとは・・・・・・!この子は聖女か仏か!?』
『くそう!本当に俺らみたいな奴らにはもったいなすぎる女の子だぜ!そんな子とクラスになれて、俺は幸せだっ!』
『2人共、そ、そんなオーバーな・・・』
『―――そういえば確か妖夢(ようむ)って、一枚だけ試験の答案に名前を書き忘れたから、実質は根本より上だったんじゃないの?』
『何!?そうなのか水橋(みずはし)さん!』
『ちょ、ちょっと。あんまり言わないでって言ったじゃないですか。パルスィさん。』
『悪いわね。でもね・・・・・・試験一つが0点なのに、Bクラスにいるあなたが妬ましいのよ!』
『みょ、みょん!?』
『おお!?い、いきなり妖夢さんにとびかかってどうした水橋さん!?』
『ご、ご乱心ごらんしーん!』
『お、落ち着いてパルスィ!パルスィも十分に賢いから妬む必要なんかないって!』
『・・・・・・私としては、十分あんたも妬ましいけれどね。真田。』
『はあ…その妬み癖をなんとかしなさいってのよ。』
『あ、ありがとうございます真田(さなだ)さん。』
『ナイス羽交い絞めだ真田。』
『クラスメイトなんだから当然よ。・・・でも、名前を書き忘れるって、みょんちゃんって意外とうっかりさんなのねー。』
『・・・え、と。その〝みょんちゃん〟というのは?』
『え?もちろんあだ名よ。妖夢ちゃんはよく「みょん!」って言ってるでしょ?だから〝みょんちゃん〟!』
『おお、なんとも愛らしいあだ名だぜ!ナイスネーミングだ真田!』
『そ、そんな可愛らしいあだ名、私に似合いませんって。』
『そうかしら?昨日も言ったけど、充分みょんちゃんは可愛いと思うわよ?』
『・・・みょ、みょーん・・・』
『あ、また言ったわ。あーもう可愛いわね!本当に根本の馬鹿と変わってほしいわ!』
『・・・・・・・・・・・・確かに、妖夢が可愛らしいのは否定できないわ。私はいつもぶつぶつ文句を言うだけなのに、妖夢ははきはきしてしゃべったり、もじもじしたりして可愛らしくなったりして・・・・・・・・・――しい。ああ妬ましいっ!』
『ひえっ!?ぱぱ、パルスィざんぐるじ・・・!』
『ちょ!?そ、それはやりすぎよパルスィーーーっ!!』
『私だってねえ、一度くらい人に妬まれたいのよぉ・・・・・・っ!』
『・・・きゅ、きゅう。』
『や、やめなさいパルスィいいい!!』
『・・・美少女のの3人の戯れを見れただけで、今日頑張ったかいがあったと思うな。遠藤。』
『分かるぜ工藤。後で、根本の奴の寝首を掻いてやろうと思いながらわざわざ残ったが、今なら針の先ぐらいなら野郎に感謝してやってもいいな。』
『全然来ないじゃない!あんたふざけんじゃないわよ!!?』
『ひい!ま、待ってくれ友香ああ!!』
「昨日言っていた作戦を実行する。」
Bクラス戦開幕の翌日。坂本君はそう言いました。
「作戦?でも、開戦時刻はまだだよ?」
協定では再開される時間は午前九時。それまであと数十分ほどあるので確かに性急な気もします。
「Bクラス相手じゃない。Cクラスの方だ。」
「あ、なるほど。それで何をすんの?」
「これを秀吉に着てもらう。」
そういって坂本君が掲げたのは私達女子の文月学園の制服。黒をベースにしていて私はとても気に入っている一品でした。
・・・男子がどうやって手に入れたのかは大いに気になりますが、ここは無視しましょう。作戦の為です。
「おいおい坂本。そんなこと男子の木下にやらせるなんて、ちょっとひどいぜ?」
「いや、わしはまあ構わんのじゃ魔理沙。しかし女装をしてどうするんじゃ?」
「そこは男として構うべきじゃないか・・・?」
魔理沙の言う通りです。男の子としての最低の矜持(きょうじ)は持つべきでは・・・
「秀吉には木下優子(ゆうこ)として、Aクラスの使者を装(よそお)ってもらう。」
「ま、またふっとんだ作戦ですね―・・・」
前に知ったことですが、秀吉君には双子の姉がいるそうで、咲夜さんも一瞬勘違いしてしまうほどそっくりのようです。そんな彼女に化けてもらってCクラスに圧力をかけるのが坂本君の作戦・・・なんとも褒めがたい作戦ですね。ちょっぴり私の琴線に触れる作戦・・・ですけど、今回は向こう側も姑息な手を使ったりしてますので、ここはおあいこということにしておきましょう。
「と、いうわけで秀吉。用意してくれ。」
「う、うむ・・・」
秀吉君が制服を受けとり、服のボタンをはずし始めます。それを男子達がもの凄く凝視し、土屋君はカメラで思い切り撮りはじめました。
・・・なんというか、このままなのは良くない気する私はおかしくないですよね?
「秀吉君。少しお待ちを。」
「んむ?なんじゃ紅(ホン)?」
秀吉君もやはり男子なようで、周りの視線に気にした様子はありません。空き教室に移動させるのも気の毒ですし・・・ここはカーテン替わりの物ですかね。
私はプチプチと上着のボタンをはずし、制服を脱ぐとバサアッ!とカーテン替わりとして秀吉君と男子達の間に掲げました。
『ああっ!!』
私は背が高いので、制服もそこそこ大きい方。なので上手い具合に秀吉君を隠すことが出来ました。男子から無念そうな声があがりますが、当然無視です。
「すいませんね。もう着替えてくださって大丈夫です。」
「べ、別に視界を遮(さえぎ)らんでもいいのじゃがのう。」
「ままっ、ここは許してやってくださいな。」
「むう、分かったのじゃ。」
秀吉君のちょっぴり不満そうな顔がまた女の子らしいですので困ります。
しばらくすると秀吉君が着替え終わったようので、私はカーテンを取り外します。
「よし、着替え終わったぞい。」
「…何と言いますか・・・ホントに咲夜さんが凄いと思います。」
よく秀吉君を男の子だと見抜けましたね?もう、全然女子制服に違和感がありません。むしろ似合いすぎて私の立場が無くなりかけですよ!?
「よし、じゃあCクラスに行くぞ。」
「うむ。」
「あ、僕も行くよ。」
「あっ。じゃあせっかくなんで私も行きます。」
秀吉君のお姉さんのまねをするということですから、本人にあったことが無い私にはいい機会です。どんな人なのかを聞かせてもらいましょう!
そして私たち四人はCクラスへと向かい、少し離れたところで立ち止まりました。一緒にいるとばれてしまうので、その配慮という事だそうです。
「じゃあ、ここからは悪いが一人で頼むぞ、秀吉。出来るだけAクラスに矛先が変わるように仕向けてくれ。」
「うむ。じゃが、あまり期待はせんでくれよ?」
「秀吉、がんばるんだよ。」
「無理せず頑張ってくださいね!」
「わかった。では行ってくるのじゃ。」
一つ頷いて、秀吉君はCクラスの教室へと向かいました。スカートを揺らしながら歩く姿も可愛らしいですねー。
「大丈夫かな?秀吉、緊張とかしなかったらいいんだけど・・・」
「でも秀吉君って演劇部なんでしょ?だったら人の前に立つのも慣れてるでしょうし、大丈夫じゃないですか?」
「まあそうだけど・・・・・・やっぱり女の子だから心配だなあ……」
「いや、ですから男ですって!何で付き合いの短い私が、付き合いの長い吉井君に教えて――」
「シッ。秀吉が教室に入るぞ。」
坂本君が口に指を当てます。仕方ありません、秀吉君性別問題はあとですね。
頭を切り替えて、今は秀吉君のお姉さんがどんな人なのかを知るとしましょうか!はたしてどんな優しい人なのか
ガラガラ
『静かになさい、この薄汚い豚ども!』
「ぶっ!?」
な、何言ってるんですか秀吉くーん!?
「さすがだな、秀吉。」
「うん。さすがだね・・・」
「さ、さすがって!これお姉さんのまねなんですか!?全然優しさを感じられませんよ!?」
私がビックリ仰天している間にも、向こうでは話が進んでいます。
『な、何よアンタいきなり!』
この高い声の女子が小山さんなのでしょう。そんな彼女に対し、秀吉君は?
『話しかけないで!豚臭いわ!』
自分から乗り込んだのに、なんたる言いぐさしてるんですか!?しかも女の子に豚臭いって・・・・・・!気の弱い人だったら気絶してましたよ!?
『私はね、こんな臭くて醜い教室が同じ校内にあるなんて我慢ならないの!あなた達なんて豚小屋で充分よ!』
『なっ!言うに事欠いて私達にはFクラスがお似合いですって!?』
なんでそんなに人を豚扱いするんですかぁ!そしてFクラスが豚小屋扱いされてるのはなぜですか小山さんっ!
『手が穢れてしまうから本当は嫌だけど、特別に今回はあなた達にふさわしい教室におくってあげようかと思うの。』
どこまでも見下し続けるそのしゃべりかた。もう、秀吉君のお姉さんの演技が怖すぎです。
・・・というか、まじでお姉さんのまねなんですかそれ?違うかったら、結構怒りますよ私?
『ちょうど試召戦争の準備もしているみたいだし、覚悟しておきなさい。近いうちに私たちが薄汚いあなた達を始末してあげるから!』
そこで会話が途切れ、秀吉君が教室から出てきて、こちらにすっきりした顔で近寄ってきます。
「ふう、これで良かったかの、う・・・・・・うう?」
「メ、美鈴さん?」
「ど、どうした紅?」
でも、私がぐわしっと彼の両肩を掴むと、その顔が思いっきり引きつった顔へと大変身しました。
「ひ、で、よ・しく~ん?さっきのあれ、本っ当にお姉さんのまねなんですね~?」
あまり疑いたくはないのですが、どうしても気になったことを私は確認します。場合によっては、それなりに覚悟しといてくださいよ~?
「・・・・・・え、え~とじゃなー・・・・・・・・・・・・・・」
「はい。」
「・・・・・・・・・・・・す、少し姉上の本性を推測した上での言葉じゃ。……です。」
「……つまり、確実ではないと?」
「・・・・・・絶対とは言えぬ。」
「・・・・・・」
「・・・・・・」
「「・・・・・・」」
任務成功とは思えない空気の中、私たち四人は無言になります。
……ふう。
「確実でもないのに、なぁに人様をすごい傷つけることを言っちゃってるんですか君はぁぁぁあ!!」
「す、すまんかったのじゃあいたたただだあぁっー!?」
「「ぼ、暴力はダメ絶対ぃぃぃ!!」」
そのあと、私は吉井君と坂本君に止められるまで、秀吉君に雷を落とし続けていました。その時は偶然にも、小山さんがAクラスを攻めるとヒステリック気味に避けんだのと同時だったそうです。
「・・・・・・!!」
「・・・・・・!!」
「?どうしたのよ2人とも?急に立ち上がって。」
「・・・どうも、またあの虫がまとわりついたみたいね。それも2匹も。よっぽど駆除されたいみたいね・・・!」
「・・・・・・たぶん、その一人は・・・。協力する。」
「あら、ありがとう代表。私達、息が合いそうね。」
「・・・・・・うん。仲良くなれそう。十六夜。」
「・・・はあ。何の話かしらね・・・・・・あ、この服の生地は立派ね…もう少し安ければ・・・」
お読みいただきありがとうございます!さて、今回は魔理沙、そして秀吉が活躍する場面でした!少し美鈴のキャラクターが普段と違うかもしれませんが、そう感じられた方はお許しください!ちょっとどう書けばいいかを悩みましたのです・・・
では、次回こそBクラス戦は終結します!だいたいの流れは原作と同字になると思いますので、あまり期待せずにお待ちください!
それではっ!