バカと中華小娘とお姉さん   作:村雪

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どうも、村雪でございます!

今回からBクラス戦に突入です!なんとか〝彼女〟を活躍させていきたい・・・!でも、ちょっと今回はあまりしないかな…

 あと、思ったよりあっさり話が進んでしまうかも?この事を頭に入れてもらえればありがたいです!

――では、ごゆっくりお読みください。




様子-思惑、が色々あるから単純ではないのです

「それで、高橋先生は『…ま、また連絡しますと伝えてください。』って言ってたわ。お母さん。」

 

「ははははっ!生真面目なところは変わらないねえ。」

 

 

 我が家での夜の恒例行事、母さんと咲夜(さくや)さんの談笑中にその話題が上がりました。咲夜さんはきちんと昨日の約束を守って、高橋先生に伝言を伝えたようです。

 

 でも、咲夜さんはほんとにものまねが得意なんですね~。私は話したことがないんですけど、母さんが面白そうに笑ってるからそっくりってことですよね?うらやましいなあ。体を動かすのは得意なんですけど、そういう特技はありませんよ!

 

 

「お母さんと高橋先生ってどういう関係なの?大学時代の知り合いとかかしら?」

 

「ん~?まあそうだな。でも実質的な知り合いになったのは高校生の時さ。気付けば親友、って感じだよ。」

 

「へえ。」

 

 

 ほ~、高校からの知り合いの人と今なお友好が続いているのは凄い。私も瑞希さん達と、大人になってもそんな風にいれるのでしょうか?

 

 

「悪いね咲夜。でも、洋子(ようこ)は驚いたんじゃないか?なんせ見た目も違う、苗字も違うから、咲夜が私の娘だとは思わないだろうしな。」

 

「ええ。手に持ってた書類を派手にぶちまけて叫んでたわ。あんな高橋先生はめったに見られないと思う。」

 

「はっはっはっは!そりゃー飲むときに困らない良いネタを聞いたよ!ありがとう咲夜(わしわし)!」

 

「・・・うん。どういたしまして」

 

 

 母さんの大きな手で頭を撫でられ、咲夜さんは恥ずかしそうにしてましたが文句は出ませんでした。ふむ、今度からは私もハグではなく、頭なでなで方針にしてみましょうかね。そうすればチョップとかされたりしないのでは?

 

 

「で、美鈴(メイリン)はどうだった?昨日、重箱まで用意してたみたいだけど、評価は良かったかい?」

 

 

 おおっと、母さんが私に話題を投げてきたわ。でも、その答えは簡単!

 

 

「文句なしだったわ!」

 

 

 びしっと親指を立てるのは、姫路さん弁当を食べたチルノ達みたいなごまかしじゃなくて、本心からのサムズアップです!いやいや作って良かったですよ~!

 

 

「ほ~、良かったじゃないか!なあ咲夜・・・ん?どした?」

 

「・・・・・・(むすっ)」

 

 

 は、はれ?またも咲夜さんが学校で待たされた時の顔になりましたよ?

 

 

「さ、咲夜さん?どうしました?」

 

「・・・別に、何でもないわ。」

 

 

 いや、何でもあるって顔じゃないですか。ほら母さんもあきれた笑いを浮かべてますよ?

 

 

「咲夜、意地をはったって私らには丸わかりだってのに。素直にとは言わないから、ちょっとだけでも教えな。」

 

「・・・・・・」

 

 

 咲夜さんはむすーっとした顔のままお黙りになっちゃいましたが、しばらくして観念したみたいです。小さな声が聞こえました。

 

 

「・・・・・・・・・私も食べたかっただけよ。」

 

 

「え・・・でも、咲夜さん?今日の咲夜さんのお弁当にも入れましたよ?」

 

 

 お弁当も私たちが作っていまして、今回は私が作成者。まんべんなく全種類入れましたから、食べ損ねたものはないと思いますけど。

 それとももっと食べたかったってことでしょうか?あまり詰め込むことも出来なくて、1、2個ずつしか入れなかったのがまずかったですかねー。

 

 

「そういう意味じゃなくってっ。」

「は、はいっ?」

 

 

 おお!?か、顔が近いですよ咲夜さん?もう吐息が当たってます!ごほうびですか!?

  そんな私の変態的な考えを知るはずもない咲夜さんは、不満に思ったことを告白しました。

 

 

「わ、私も美鈴とか姫路さんと一緒に食べたかったってことよ。」

 

「あ、あ~。そういうこと・・・」

 

 

 Aクラスでどんなふうにお昼を食べているのかはわかりませんけど、確かに吉井君達と食べた時のようなにぎやかさは、なかなかないでしょうねー。どうせなら楽しく食べたいというのはよく分かります。

 

 ・・・しかしですね咲夜さん。その大きすぎる代償が一つあったんですよ?

 

 

「でもね咲夜さん。今日の私たちのお昼に参加してたら、きっと意識が空に飛んで行ってたと思いますよ?」

 

「お昼ご飯でどうして気絶するのよ!?」

 

「どんな昼食会だそりゃあ・・・」

 

 どんなと言われても、学生同士が騒がしく過ごした昼食タイムとしか言いようがないと思います。〝騒がしく〟の中身が、悲喜こもごもだったけども!

 

 

・・・しかし、瑞希(みずき)さんのあのお弁当は何を材料に作ったんですかね?普通、食べただけで気絶することなんてないと思うんですけど・・・・・・く、薬かなんか盛ったわけじゃあないですよねえ?

 

 

「き、気絶するってのはよく分からないけど、今度は私も誘ってほしいわ。―鈴と―校で―昼な―て、食―たことが無いーに・・・」

 

 

 あ、瑞希さんの弁当の事を考えてたから咲夜さんの小声を聞き逃しました。私の勘が、聞いておけばと反省をうながします。何を言ったんでしょう?

  

 母さんには聞こえていたみたいで、からからと笑い出しました。

 

 

「はっはっは!そういうことだ美鈴!今度は咲夜も誘ってやりなよ!?」

 

「え!?、りょ、了解!」

 

 

 い、痛た!何がそういうことかは分からないけど背中を叩くならもっと加減して母さーん!

 

 

「んっ、じゃあその時は呼んでね、美鈴?」

 

「あ、は、はい…」

 

 

 その時は、咲夜さんの意識がブラックアウトしないことを祈ります・・・

 

 

「話は変わるけど、明日もまた試召戦争を仕掛けるんですって?それもBクラスに。」

 

「あ、ええ、確か昼過ぎからだったと思います。」

 

 

 咲夜さんは耳が早いですね。Bクラスの知り合いから聞いたんでしょうか?

 

 

「Bクラスの代表は、あの卑怯で有名な根本(ねもと) 恭二(きょうじ)よ。気をつけた方がいいわね。」

 

「あ~、たまに聞きますね。」

 

 

 なんでもカンニングの常連だとか、球技大会で相手チームに薬を盛ったとか。後ろの方はオーバーですけど、それほど噂されるようなことをしているということには間違いないでしょう。手段を選ばないかもしれませんし、注意は必要ですね。

 

 

「・・・それにしても咲夜さん。私達Fクラスの肩を持っていいのですか?」

 

 

 このBクラス戦もAクラス戦への布石。微々たる情報ですけど、敵に塩を送るの行為はあまりよくないのでは?

 

 

「別に肩を持ってるわけじゃないわ。だってBクラスの代表が誰って分かっても、勝つ確率が上がるわけじゃないでしょ?だから問題ないわ。」

 

 

「ああ、まあそれもそうですねー。」

 

 

 坂本君の作戦がどう決まっているのかは分かりませんが、代表次第で勝率が上がるなんて博打的(ばくちてき)な策はたてないでしょう。

 咲夜さんの言う通り、何の問題もないことでしたね。

 

 

「それに。」

 

「それに?」

 

 

 咲夜さんは不敵な笑みを浮かべて、付け加えました。

「―――私たちが勝つんだから、どんな事を言っても関係ないもの♪」

 

「お、おお・・・」

 

 

 Aクラス、これは一筋縄ではいかないみたいですが、俄然(がぜん)燃えてきましたよっ!!

 ここは魔理沙や坂本君とは違いますけど、咲夜さんをあっとおどろかせてやりましょう! 

 

 

「ふふ、2人は仲が良くなってくれて、嬉しいこったよ。んくっ」

 

 

 成り行きを見ていた母さんが再びお酒を飲みます。

 

 その顔は、普段の豪快な母さんからはなかなか見れない優しい笑顔だったので、見た私も嬉しくなりました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 翌日。めったに見れない母さんの笑顔を見れて、私は晴れ晴れとした気分で登校しました。

 教室に着くといつものメンバーが揃っていて、私たちはちょっとした話で授業が始まるまでを過ごそうとしました。

 

 

 ・・・・・・が、すぐに私は違和感を覚えました。吉井君です。

 

 

 いや。別に吉井君の態度がおかしいとか普段と違うとかではありませんよ?むしろ、その方が今回に限っては良かったのです。

 

 

 ・・・今の吉井君は、《《瑞希さんの手紙を読んだあとにしては》》、普段通りすぎではないですかね?

 

 

 普通は異性―もしかすれば意中の女の子―から告白をされれば、間違いなく喜ぶものです。なのに、吉井君は全くそんな素振りが無く、坂本君にいじられたりチルノにバカ呼ばわりされているだけでした。

 

 ひょっとして誰にも知られたくないから隠しているのかな?とも思いましたが、この二日間で、吉井君は全くと言っていいほどに隠し事が出来ない性格であると分かったため、その可能性もないでしょう。

 

 だから・・・吉井君はもしかすると、瑞希さんの手紙を読んでいないのかと思ったのです。

 

 

「瑞希さん。吉井君から何か言われましたか?」

 

 

 こそっと書き主である瑞希さんに聞いてみるも、残念そうにしながら首を横に振りました。

 

 

「あ…で、でも絶対無視をしたわけではないですって!もう少し待ってみましょう!ね?」

「は、はい…」

 

 

 そう言ったら少し笑ってくれましたが・・・やっぱりちょっと残念がってるみたいです。

吉井君に聞けば分かることですが、さすがにそれは野暮だという話。やめておきましょう。

 

 

 

 

 

 気になることがあっても時間は過ぎ、補充テスト、昼食と特に変化も見られることなく、Bクラスとの試召戦争が目前になりました。仕方ないですけど、今は忘れて勝負に頭を切り替えましょう。

 

 そして勝負前のミーティングが開かれ、教卓前に坂本君が立って皆を見渡しています。

 

 

「さて皆、総合科目テストご苦労だった。午後はBクラスとの試召戦争に突入するが、殺(や)る気は十分か?」

 

『おおーっ!』

 

 

 皆さんの大きな声には、どのクラスにも劣らないやる気で満ちています。この教室に心底不満だという思いが伝わってきますよ!

 

 

「今回の戦闘は敵を教室に押し込むことが重要になる。その為、開戦直後の渡り廊下戦は絶対に負けるわけにはいかない。」

 

『おおーっ!』

 

「そこで、前線部隊は姫路瑞希に指揮を取ってもらう。」

 

『うおおーーっ!!』

 

 

 このクラスの人は何というか…女の子に飢えていますねー。女の子が隊長というだけでさらに士気があがりました!

 

 ちなみに今回の私は、坂本君の近辺で護衛をする近衛(このえ)部隊所属です!しっかり守りますよーっ!

 

 

 キーンコーンカーンコーン

 

 昼休み終了のチャイム、それすなわちBクラス戦の開幕の合図です!

 

 

「よし、行ってこい!目指すはシステムデスクだ!」

 

『サー!イエッサー!』

 

「皆さん頑張ってくださーい!」

 

『まかせろメーリィィィィィィン!!』

 

 

「すごいフレンドリーな返しがっ!?」

 

 

 そのままBクラスへ行く廊下へダッシュする皆さん。確かにやる気は十分でした。

 

 

「み、皆さん待ってくださ~い!!」

 

 

 でもね、勢いは大事ですけど隊長を置いて行っちゃだめですよ?先行く皆に追いつこうと慌てて走り出す隊長さん。威厳はありませんけど可愛らしさは最高ですね!

 

 

「いや~、瑞希さんって、見ていて癒(いや)されますね~」

 

「・・・・・・(ススッ)」

 

「あれ、どうして私から一歩離れるんですか?私変なこと言いました?」

 

「・・・いや、紅(ホン)よ。お前はソッチ系の人間なのか?」

 

「はい?」

 

 

 どうしていきなりそんな・・・ああ、さっきの言葉のせいですか。

 

 

「いえいえ、別に私は同性愛者ではありませんよ?ただ、可愛らしさのない私には可愛い人に憧れちゃうんですよ。」

 

 

 生まれ変わりたい!なんかは思いませんけどやっぱり羨ましいんですよね~。咲夜さんと並ぶ可愛さですからなおの事です!

 

 

「ほ~。だが、なんだかんだで紅は可愛い部類に入るんじゃないか?」

 

「あら、そうですかね?お世辞を言っても太極拳しかあげれませんよ?」

 

「そんな礼ならいっそ何もやるんじゃねえ!?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「え~と。まずはここを勝たないといけないんだね。」 

 

 

 今回の作戦を忘れないために、僕、吉井明久は声に出しながら走る。雄二に作戦によると、Dクラス戦では押されてた廊下戦を、勝ちにいくというのがBクラス戦での最初の目標だそうだ。

 

 そのために、雄二の護衛は美鈴さんを含めた10人だけにして、僕らは40人のほとんどの戦力を注ぎ込んでいる。そして向こうは文系が多いそうなので、こっちは数学系で攻め込む予定だ。

 姫路さんや魔理沙なんかの強い人もいるので、ここで負けたら僕らに勝ち目はない。だからこそ、ここでの勝負は絶対に負けられない!

 

 

『いたぜ!Bクラスの連中だ!』

 

『高橋先生を連れてるぞ!』

 

『生かして返すなーっ!』

 

『やってやるのよさーっ!』

 

 

 Bクラスへと向かう廊下を僕たちは一気に走り抜けると、向こうからBクラスらしきメンバーがこちらに早足で向かっているのが見えてきた。様子見のようで、人数は十数人しかいない。これは僕らにとってはありがたいねっ!

 

 

「来ましたね。Fクラスの方々。」

 

「あ。」

 

 

 あと数秒で衝突という距離になって、僕は見覚えのある人がBクラスの様子見部隊の先頭に立っているのが分かった。

 

 

 薄い銀色のボブカットに、右頭部に付けた黒いリボン。そして真面目そうな顔付きをしている美少女。

 忘れはしない。昨日、僕が1人でBクラスに行ってボコボコにされようとした時に、僕の前に手を広げて立ちふさがってくれた命の恩人に違いないよね。

 

 

 

「皆さん。無理はせずに、頑張っていきましょう!」

 

 

『りょうかい!魂魄(こんぱく)さん!』

『おっけー!妖夢(ようむ)ちゃん!』

 

 

 Bクラスのメンバーは声をあげて戦闘態勢に入った。

 この勝負が終わったら彼女にお礼をしないといけない。僕がそう考えている内に、両クラスメンバーは戦闘をおっぱじめた。

 

 

「開口一番の勝負を頼むぜ!試獣召喚(サモン)!」

「俺もなめられたもんだなおい!試獣召喚(サモン)!」

 

 

『Bクラス 戸村 大地  化学  174点』

        VS

 Fクラス 霧雨 魔理沙 化学  388点』

 

 

「げっ!?」

「なめたのは果たしてどっちだぜこのやろう!」

 

 

 魔理沙が得意科目の化学で勝負に挑んだ。Dクラス戦でおおいに苦戦した、あの霊烏路(れいうじ)さんに並んだ点数の魔理沙には簡単な敵だろう。

 

 

「そこのアンタ、アタイと英語で勝負よ!試獣召喚(サモン)っ!」

 

「む!やってやろうじゃない!試獣召喚(サモン)!」 

 

 

 また、チルノが近くにいるBクラス女子に勝負をしかける。大変悔しいけど、チルノは英語だけ・・・英語だけっ!は凄いみたいだから、英語担当の藤田先生についてもらっている。これならバカなチルノでも戦力になるだろう。・・・そこっ!お前はどうなんだよってツッ込まないで!後で観察処分者として鍛えられた僕のすばらしい腕前を見せてやるから!

 

 

 

『Bクラス 金田一 裕子      英語 153点

        VS

 

 Fクラス チルノ・メディスン   英語 174点』 

 

 

「ウソっ…!?」

「さあ、最強のアタイのひじきになりなさい!」

「ひ、ひじき!??」

 

 

 そこは〝えじき〟だろバカチルノ!相手の女子が、チルノの点数のこともあわせて凄い混乱し始めたよ!

 

 ・・・っていうか!バカチルノの癖に、前よりちょっとだけど点数が上がってるってどーいうことさっ!僕は48点って前より下がったって言うのに!さてはカンニングだな!?補習室に行った時に鉄人に事前に問題でももらったんだな!?何て卑怯な奴なんだ!

 

(※ただ西村先生による補習が功を成しただけである。その考えに至らず、普通は考えられない方向に考えを進めるところは・・・ダメな方向で〝すごい〟と断言出来よう。) 

 

 

 くそう・・・!でも、唇をかみしめて血が出るほどに悔しいけれど、チルノは大丈夫だろう。むしろ他の所がやばい。さすがBクラスという奴だ。

 

 

 

『Bクラス  野中 長男  総合 1943点

VS

 Fクラス  近藤 吉宗  総合  764点 』

 

 

 

『Bクラス  丸尾 集   物理  159点

        VS

 Fクラス  武藤 啓太  物理   69点 』

 

 

 点数差がひどくてどんどんと劣勢になっている。0点になるとその勝負には参加できなくなってしまうから、それだけは避けたい

 

 

「せやあっ!」

「ぐわあっ!」

「さ、沢井ー!」

 

 

 あ、沢井君がやられた。って早くない!?まだ始まってすぐだよ!?そして誰も援護はしてやらなかったのかな――!

 

 

 

 

 

 

 

 

『Bクラス 魂魄 妖夢   物理  300点

       VS

 Fクラス 沢井 明    物理    0点

        &

      田島 勝    物理   73点

        &

      芋沢 大作   物理   81点 』

 

 

 

 ごめん、相手の点数が高すぎたからだったんだね。

 

 

 

「すみませんが、一切容赦しませんよっ!」

 

「「じょ、上等ォォォ!!」」

 

 

 白いシャツに緑色のベストを着た二刀流の召喚獣に、田島君達の召喚獣がとびかかるけどあっさりひらりと攻撃をかわされ、それぞれの刀で2人の召喚獣を切り捨てた。これで3対1の勝負は、まさかの1人である魂魄さんの勝ちである。

 

 

「戦死者は補習ぅぅ!」

「ちくしょー!!」

「Dクラスの時と同じかよォォ!!」

「俺たちゃ噛ませ犬なんかじゃねえぞおおお!!」

 

 

 補習室の番人、鉄人に連れられて行く3人。はやくも3人が離脱してしまうとは・・・!

あんな点数を取ってるなんて、魂魄 妖夢さん、敵になるとなんて恐ろしい人なんだ!

 

 魂魄さんを含め、Bクラスのメンバーの強さに僕は慄(おのの)いていると、

 

 

「お、遅れ、ました・・・。ごめん、なさい・・・。」

 

 

 後ろから、息を切らした姫路さんがやってきた。どうやら僕らの走りに追いつけなかったみたいだ。

 

 

「!皆さん!姫路瑞希さんが来ました!」

 

 

 魂魄さんが姫路さんを見ながら声を上げる。やっぱり僕たちのクラスの事をきちんと調べてるようで、Bクラスの人が漂わせる雰囲気もよりしまって行くのを感じた。

 

 

「じゃあ、姫路さん。着いてすぐで悪いんだけど・・・」

 

 

 疲れてるみたいだから休ませてあげたいけど、魂魄さん達は思ったより手ごわいから姫路さんにも出てもらうしかない。申し訳ないけれど、僕は彼女に頼んだ。

 

 

「は、はい。行って、きます。」

 

 

 姫路さんは全く嫌そうにせずに、戦場へと足を運んで行った。何ていい子なのだろう。僕は心を癒されずにはいられなかった。

 

 

「長谷川先生。Bクラス岩下律子がFクラス姫路瑞希さんに数学勝負を挑みます。」

 

「あ、先生!菊入 真由美も参加します!」

 

 

 姫路さんに早速勝負が申し込まれた。しかも相手は2人だ。

 

 

「あ、長谷川先生。姫路瑞希です。よろしくお願いします。」

 

 

「私も参加させてもらいます。彼女は手ごわいですからね。」

 

「「!!妖夢ちゃん!」」

 

 

 いや、さらに中々の点数を持っていた魂魄さんも加わってしまって、3対1に!?そ、それは姫路さんでもやばくない!?僕も参加せざるをえないかな!?

 

 

「だ、大丈夫姫路さん?」

 

 

 不安になったので姫路さんに声をかけみるけど、姫路さんに慌てた様子はない。

 

 

「大丈夫です。吉井君。」

 

 

 そう言って、姫路さんはにこっと笑い、 

 

 

「数学は結構解けましたので♪――試獣召喚(サモン)。」

 

  

 召喚獣を呼びよせた。

 

 

『試獣召喚(サモン)!』

 

 

 魂魄さん達3人組も召喚を行い、全員の召喚獣が場に現れた。 

 

 

 

「!まずいですね・・・!」

 

 

 そう言って顔をしかめたのは、魂魄さんだった。

 

 

「え、な、何が?」

 

「どうしたの妖夢ちゃん?」

 

 

 僕も2人と同じように、どうして魂魄さんが困った顔になったのかは分からない。視線は姫路さんの召喚獣みたいだけど、一体何に目をやったんだろうか。

 

 大剣を持ってる以外には、綺麗な腕輪しか見えないけ・・・・・・あれ、腕輪?なにかあったような?

 

 

「かわして2人ともっ!」

 

「え、え!?」

 

「なんで急に――」

 

 

 魂魄さんの召喚獣が横に大きく跳んだ。2人もよく分からないといった感じに、横へ跳び、

 

 

「姫路さんが腕輪を付けていま――!!」

 

「ごめんなさい。これも勝負ですのでっ!」

 

 

 姫路さんの召喚獣の腕輪から光が発せられて、

 

 

 

 キュボッ!

 

 

「きゃあぁぁーっ!」

 

「り、律子ー!?」

 

 

 ・・・光線が発射され、少し跳びが甘かった召喚獣が炎に包まれた。

 

 

 

『Bクラス 岩下 律子  数学   0点

        &   

      菊入真由美  数学 151点

        &

      魂魄 妖夢  数学  300点

       

        VS

 Fクラス 姫路 瑞希  数学  412点 』

 

 

 

 そういえば、何点だったかは忘れたけど、高い点数をとったら特別な能力を持った腕輪が装備になるんだったっけ?すっかり忘れてたけど、それを取るとはさすが姫路さんだ。

 

 

「やあ!」

 

 

 姫路さんの召喚獣がまた仕掛ける。あの二人組だった子の召喚獣へと接近して、頭に大きな大剣を振り下ろす。

 

 

「むうっ!」

 

 

 ガギィン!

 

「!妖夢ちゃん!」

 

 

 でも、あたる寸前で魂魄さんが日本の刀を交差させて、姫路さんの両断を防いだ。

でも、点数は姫路さんの方が上だから、魂魄さんが少しづつ押されていく。

 

「う・・・!菊入さん、早くそこを離れてください!私が引けませんからっ!」

 

「あ、う、うん!」

 

 

 慌てて、菊入さんという女子の召喚獣がそこを離れた。

 それを確認した魂魄さんの召喚獣は、迫りくる斬撃を防いだまま体を左へと動かして、左、右の順で刀を素早く引き下げた。

 

 

「!」

 

 

 支えの無くなった姫路さんの召喚獣は、そのまま床へと身の丈より大きい大剣を叩きつけた。魂魄さん、よくあんなのを防いでたね・・・!僕だったら一刀両断されて地獄の痛みを味わっていたところだよ!

 

 ともかく、姫路さんと魂魄さん達2人の召喚獣は少しの間対面しあう。

 

 

「あ、ありがとう妖夢ちゃん。・・・で、でも、どうする?ちょっと思ったよりも苦しいんじゃない・・・かな…」

 

「・・・」

 

 

 姫路さんの脅威を感じ取ったのか、菊入さんが、わずかに足をさげて言いづらそうにつぶやく。そもそもの戦力が少ない上に、点数でも何人かには負けてしまってるので、ここで闘うのは無謀。いったん下がろうと言う菊入さんの考えは普通に考えて正しい・・・誰だって鉄人の補習なんて受けたくないもんね!!僕ならすぐにトンズラしてたよ!

 

 魂魄さんもそんな菊入さんの意思を汲んでか、他のBクラスの人に伝達する。

 

 

 

「・・・仕方ありません。皆さん、中堅部隊と入れ替わりながら後退してください!戦死だけはしないように!」

 

 

『りょうかい!』

 

 指示通り、魂魄さん達10数名は後退し始めた。これは僕たちにとってもありがたい。姫路さん達が活躍してくれたとは言え、僕らも何人か戦死しちゃったから体制を整えるいいタイミングだ。

 

 

「明久。わしらは教室に戻るぞ。」

 

 すると、秀吉が僕の所へやって来て教室に行くように言われた。

 

「え、なんで?」

 

「なんでも、Bクラスの代表は根本だそうじゃ。」

 

「あ、そうだったね。」

 

 

 僕が宣戦をした瞬間に,クラスのメンバーに僕をぼこぼこにしろと指示した奴だ。あんな奴の下に魂魄さんみたいな子がいるなんて、なんだか複雑だなあ。そのおかげで僕は彼女に助けられたんだけどね。

 

 でもとにかく、勝利すれば何でもいいという考えの根本君がが、どんな作戦を使ってきてもおかしくない。ここは確かに一度戻って、向こうで何も起こっていないか確認をしたほうがいいかもしれないや。

 

 

「じゃあ、僕は姫路さんと島田さんに伝えてくるから、秀吉は魔理沙とバカチルノに伝えてきて。」

 

「バカチルノって・・・お主もバカじゃろうが。」

 

 

 そんな秀吉の言葉は、チルノと僕の事を知らないから言えるんだろう。また今度しっかり僕の凄さとチルノのアホさを教えなくちゃいけないね。

 

そう決めて、僕たちは4人に後の事を任せるのを知らせに走った。

 

 

 

 

 

 

 

 

「すいません。先発隊、戻りました。」

 

「おかえり。で、どうだった妖夢?」

 

「はい。やっぱりちょっと姫路さんが手強いですね。あれは1対1ではまず勝てないと思います。」

 

「ふうん…やっぱりすごいわねえ。私も彼女ぐらい賢ければよかったんだけどね。全く妬ましいわっ。」

 

 

 

「パ、パルスィさんも十分賢いですよっ?だから妬むことなんかありませんって。」

 

「・・・はあ。あなたと話してると、私がもの凄くみじめに感じるわね・・・」

 

「そ、そんな・・・と、ところで根本君はどこへ?どこにもいない気がしますが・・・」

 

「ああ、あれなら屋上よ。」

 

「は?屋上?」

 

「なんか作戦を実行するとかなんとか抜かしてたな~。妖夢ちゃんはいなかったから知らなくて当然よ。」

 

「あ、真田(さなだ)さん。」

 

「全く。自分だけ勝手に動いておいて、私らには自分の指示に従えだなんて、どこまでも救いがないわねアイツ。」

 

「で、でもそういうことは言ったらやっぱりダメですよ。聞いたら傷付いてしまいますよきっと。」

 

「・・・・・・もうっ!妖夢ちゃんったら!」

 

「わぶ!?ちょ、真田さんくるし」

 

「昨日あのバカにあんなひどい事を言われたのに!なんって優しい女の子かしら!妖夢ちゃん!きっといいお嫁さんになれるわ!私が保証する!」

 

「は、はぁ・・・」

 

「・・・あんたの保証がなんぼの物か知らないけど、私の前でそういうことを言わないでちょうだい。妬ましさが膨れ上がってくるからさぁ・・・ああ妬ましいっ!!」




 お読みいただきあありがとうございます!

 もう分かっていた方が大半だと思いますが、〝彼女〟とは幽人の庭師!『斬れぬものなど、あんまり無い!』などが有名な魂魄 妖夢でした!彼女もまた村雪、好きですね~!

 あと最後の方に1人出てきましたが、こちらもまだ正式に出ていないという事で紹介はまだということに。

 果たしてこうやって東方メンバーに出演してもらってるのですが、ちゃんと原作一巻以降にからませていけるのか・・・最近非常に気になり始めた作者でもあります。

 まあ未来の事より今。皆が明るい気分になれる小説を目指して次回以降も書いていく予定です!

 それではまた次回!

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