やっちゃおう、バーサーカー!! 作:ヘッラクレッス
冷たい地面の感覚が肌から心まで染み渡るかのような錯覚を起こさせる。こんなところで寝たままでいられるはずもないのに、心地いい冷たさにこのまま寝てしまおうかと一瞬思ってしまう。そんな思考のなか布のすれる音が聞こえる。
もうきたのか、そんなことを思っている間にすでに音は自分のすぐ後ろへと迫っていた。
急いで逃げなければ、そう思い立とうと足を踏み込んだとたん、
「うぅ...」
転んだ拍子にすりむいた傷が痛む。
その傷は傍から見ると擦り傷と呼べるようなものではなく、立って歩くというのは不可能なほどの傷だった。
そして、先ほど漏れてしまった声。それは、後ろから迫るものにはこちらの位置を教えてしまうようなもので、
「おぉ、こんなとこに居やがったのか。」
見つかるのは至極当然なことであった。
「おいおい、鬼ごっこはもう終わりかぁ?せっかく付きやってやってるんだからさっさと逃げてみろよっと!」
「うあぁっ!?」
見つかると同時に横っ腹を蹴られ吹き飛ばされる。窓にわずかに残ったガラスを割り飛ばしながら建物の中へと蹴り込まれた。
更なる暴行により痛みが増したからだ。ガラスが刺さり切った皮膚から血が流れ出る。
しかしこれで相手との距離を稼ぐことができた。
幸いなことにここは廃れてつぶれてしまった教会のようだ。
部屋は無数にありうまく隠れることができれば逃げ延びることができるかもしれない。
そう考え、特に古ぼけた部屋へと駆け込む。
後は、相手が自分が逃げたと思って帰ってくれることを祈るのみだ。
しかし、そううまくことが運ばれることはないようで、
「見つけたぜ」
ドアを開け、男が顔を出す。
何で?と思考がまとまらず狼狽してしまっていると、
「納得してないような顔だな?でも、そんな難しいことじゃないぜ。どう見ても古いこのへやの扉のほこりだけがなかったらどんなアホでも気付くだろ?」
馬鹿にしたような態度で男はこちらの顔色を窺う。その表情に浮かぶのは、こちらの無能さをあざ笑うかのような侮蔑の表情、そして、これからこちらを甚振ることを想像しているのだろう嗜虐的な笑み。
「ひっ...」
その表情を目にした少女はただならぬ恐怖を感じ思わず声を上げる。
助けて、と助けを請うことを一瞬考える。しかし、それが無駄なことはわかっている。
もう助からない、その事実が少女の表情をさらに恐怖へと染め上げる。
男は表情を崩さずじっくりと少女との距離をつめていく。一歩、また一歩と近づくたびに絶望の色を強くする少女の表情を楽しむように。
そして、少女の前へとたどり着くと懐からおもむろに
取り出したナイフにまるで恋人に対するかのような接吻をし、男がナイフを縦に一振りする。
「っっっ!」
それと同時に少女の腕が切り裂かれる。
血が流れ出し足元に大き目の水滴をたらす。
そこから男はさらに激しく少女の体を切りつける。何度も何度も。
次第に少女の足元に少女の血でできた水溜りが出来上がる。
そんな中、少女は自分の意識がだんだんと薄れていっているのを自覚していた。
(死んじゃうのかな?)
少女は自分の死を意識し始めた。そうすると、今まで生きてきた生活が思い起こされる。
(これが走馬灯かぁ)
生れ落ち、親に捨てられ、同じような仲間とすごし、仲間が■され、一人で必死に行き、迫害にあい逃げる日々。
思い起こしてもいい記憶ではないかもしれない。
しかし、それは少女が日々を必死に生き抜いた、少女の生の証であった。
そして、少女がなによりも憧れていたものがあった。
人と普通に会話し、友達を作り、何より、家族を得ることだった。
(まだ、死にたくないな)
故、少女はまだ死にたくないと思う。
(まだまだ生きてやりたいことがいっぱいあったのに)
故、少女はまだ生きていたいと望む。
――本来ならかなうことのない望み。しかしてそれは奇跡よって叶えられる。
地面が光る。
教会に不思議な力とともに封じられていた儀式の痕跡がその血と、その意思により機能を果たす。
光の中からその巨体が現れる。
2mを遥かに超え、岩石を思わせる体の男。
男は少女を背にし、少女を害するものにその怒りの咆哮を上げた。
「■■■■■■■■■■■ーーー!」
ここに神話にも語り継がれた人類最強の英雄が顕現した。
初投稿です。
文章力がないので駄文になります(確信)
なので辛らつなのでもいいので意見・感想などくれるとうれしいです。
あ、文章力ないので更新遅れます(ボソッ