どんな内容にするか忘れちゃった
みんな忘れてるから平気やろ('ω')
ワァァァァァアアアアアアア
晴天での中で凄まじい地鳴りが響く。
百万を超える軍勢が駆け出せば、多少なりとも大地は震える。それにプラスして敵対する軍勢が加われば猶更だ。
首都内ではどこを見ても反乱軍と国王軍がぶつかり合い、互いに命を削りあいながら自分たちの正義を掲げて戦闘を行っている。中心部までは到達していないが、すでに少なくない命がこの戦争で消費されているのは遠くから見てもすぐに判断がつくだろう。
つまりは反乱軍のリーダーと出会い、説得を試みようとしたビビ王女の考えは失敗に終わったということだ。
「…うっ……」
互いに視認できるぐらいの距離になった瞬間に都市側から飛んできた一発の砲弾。
ビビや反乱軍のどちらにも当たらなかったのだが、それが起こした結果はより戦闘を止められないものにしてしまったのだ。
間を縫うようにして飛んできた砲弾が砂を巻き上げ、一瞬とは言えど姿を掻き消した。
そのまま反乱軍の誰もがビビに気づくことがないまま通りすぎ、戦闘へと至ってしまったのである。
「…カルー…っ!」
「ク゛エ゛ッ……」
「あなた…私を庇って…!」
大軍に飲み込まれながらもビビ王女が無事だったのは常にビビの傍に居たカルガモ カルーが居たからに他ならない。咄嗟に自身の羽根でビビを隠し、自分の身を犠牲にして彼女を護ったのだ。
しかしながらそれはカルーに多大な負担を抱えさせてしまい、彼の身身体は人とラクダに踏まれすぎたためか至る所で出血していた。
「ごめんね…こうまでしても…!反乱は始まっちゃった……。だけど止めるわ!何度跳ね返されたって…!学んだのよ!諦めの悪さなら!!」
反乱を止めることが出来無かった。その事実に涙で目の前が見えなくなりそうでもビビは諦めることはしない。
“
半数が罠に掛かってしまった時も、航海士であるナミが高熱に魘された際に船医がおらず治療の施しようがなかった時も、そしてレインベースでクロコダイルに捕まった時も。決して一味の面々は諦めるようなことはしなかった。
その強さを真近で見てきたビビにとっては大変貴重な時間だっただろう。
彼女は王女であるが故に本来であれば危険とは真逆の位置に置かれ続けてもおかしくはない。そんな彼女が自ら
自分と傍で活動を共にしてくれた親衛隊長イガラムの力を以てしても止めることは難しい。そう思っていた矢先に一味との出会いだ。これを運命と呼ばずしてなんというのか。
そんな自分のために命を張ってくれる仲間がいる事実にビビは決して諦めることはしない。
カルーを安全な岩陰に移動させたのちに立ち上がる。
戦いは始まってしまった。だがまだ自分が行えることはあるはずだと。その覚悟を以て立ち上がったのだ。
「ビビ!!」
側面からビビの耳へと声が届く。
それはビビにも聞きなれた声だった。
「勇儀さん!」
「怪我はしたようだが、重症ではないようだね」
黒幕であるクロコダイルが拠点としていた町「レインベース」で分かれたまま消息が分からなかった一味の仲間である星熊勇儀。
その姿はビビが最後に見た時と同じ雅な着物を羽織っていたが、ところどころに汚れが目立っている。
外傷は特に無いものの、彼女も反乱を止めるために行動をしてくれていたことを察するビビはどうしても謝罪の旨を告げたかった。
「…ごめんなさい。反乱を止めることが出来なかった…折角みんなが命を懸けて戦ってくれているというのに」
「そう気落ちしなさんな。始まっちまったのはしょうがないさね。でも、その様子は諦めてないんだろう?」
「えぇ…!反乱軍は…まだ町の中心部には届いてないわ。ならチャカに話をつけれれば反乱軍は兎も角、国王軍の兵士たちは止められる!!…お願い!力を貸して!!」
「勿論さ!最も私自身、反乱軍の足止め程度にしかならなかったからまだまだ余裕があるんだ。やれることはさせてもらうよ?」
ニカッっとこの状況でも笑う彼女に感謝しつつも、勇儀が言ったことに疑問を覚えた。
反乱軍がビビの予想よりも進行速度が遅かったこととなにか関わりがあるのだろうかと。
さらに言うなれば火急だと言わんばかりに馬を走らせていたことを思い出す。
「足止め程度って…一体何をしたのよ」
恐る恐るといった様子でビビは勇儀にどんな行動をしたのかを問う。
それに対して勇儀は何の遠慮もなく、盃を傾けながら言い切った。
「ん?ちと反乱軍に喧嘩を吹っ掛けてきた」
その言葉を聞いてビビは自然と天を仰いだ。
この人は一体なにをやっているのかと。
ただでさえ緊迫した状況だというのにも関わらず、海賊が彼らを刺激すればそれが原因で戦争へと発展しかねない。
最悪、国王が海賊を雇って反乱軍に当てたなどと言われてしまえばより状況が悪化する危険性もあった。
「半数とまでは言えんが、向こうにとっちゃ少なくない兵を戦闘不能にしといたんだ。むしろ被害が少なくなって良いと思ったんだがねぇ…」
だが悲しきかな。
ビビのそんな感情を知らない勇儀は特に気にした様子を見せない。それどころか被害が減ったのだからいいのではないかとでも言いたげの表情である。
それにもしビビの想いを知っていたとしても、彼女はやはりこの手に限ると言って肉体言語に励んでいただろう。つまり結果は変わらないのだ。
忘れることなかれ。
彼女も変わり者海賊“麦わらの一味”の一員。
本人と船長にはその自覚はないが、世間と他の一味間では“剛拳”とは麦わらのルフィが旗を掲げる前から共に活動している最古参。
船長が船長なだけに行動が目立ちにくいがホシグマ・ユウギ=麦わらの一味副船長と世間では考えられている。その副船長たる彼女自身の感覚も世間一般から多少外れているのだ。
「まぁ過ぎたことを悔やんでも仕方ないさ。それよりも王宮に行くかい王女様?今ならなんと探さなくても護衛がついてくるよ」
「もちろん行くわ!ここで諦めるわけにはいかないもの!」
「はっはっは!んじゃぁ
「え?それってどうい――――」
反乱軍と王国軍が衝突するという王国歴史においても非常に大きな被害を生み出した戦争の裏で、ビビの身体は初めて弾丸の如く、
人間だれしも思ったことがあるであろう。
空を自由に飛んでみたいというその想いを、今彼女は体感したのだ。
自由気ままに空を駆ける鳥のように、彼女たちは空を駆ける。
なお、その日起きた出来事についてアラバスタ王国王女 ネフェルタリ・ビビは己の日記にこう記している。
もう二度とあの人の提案に乗らない、と。
――――
場所は変わりアルバーナ南東ゲート。
戦闘はすでに始まっており、辺りに爆炎が多数上がっている。
この場で戦闘するものは4名。
Mr.4、ミス・メリークリスマス
VS
ゾロ、サンジ
「……!!ったく、面倒くせぇ奴らだ…!!」
「ちょこまかと地面に潜りやがって……」
麦わらの一味の戦闘員でも上位の二人は普段とは違う戦いに苦戦を強いられていた。
斬りかかろうにもミス・メリークリスマスには地面へと潜られて躱される。
Mr.4の銃でありながら“イヌイヌの実”を食べた愛犬ラッスーから飛ばされる野球ボールをMr.4は手に持つバットで撃ち狙ってくる。それを斬ろうにも着弾と同時に爆発するように計算された時限爆弾であるために二人はうまいこと反撃が出来ていなかった。
足元が流動的な砂であることも多少なり動きを制限されている原因なのかもしれない。
事あるごとに喧嘩をしでかすこの二人ではあるが、現状況を考えてそのような状況にならないよう意識しているようだ。
「ったく!なんて面倒な奴等なんだ…!」
「銃に“悪魔の実”を食わせるったァ相当なモンだな…!」
「ふんっ!ここまでアタシらの攻撃をしのいだ奴は初めてだ!!このまま首都に行かせてたらさぞかし厄介だっただろうね!!」
「す~ご~~~い~~」
「この“バッ”!!敵を褒めてどうすんだいお前!さっさとブっ倒すんだよこのノロマ!!」
敵対するはMr.4とミス・メリークリスマス。
モグモグの実を食べたモグラ人間であるメリークリスマスは「町落としのドロフィー」という異名を冠している。
地面を自由自在に掘り進み、敵を翻弄しながら強襲を仕掛けるのが彼女の戦い方だ。
Mr.4も言動はのろまであれども行動は俊敏。
女性に手をあげれないサンジが相手にしているが、その巨体から想像できない俊敏さに悪戦苦闘している最中だ。
ふつうに戦うことができればゾロとサンジが優勢だろう。
しかしこの地で幾度も戦闘訓練を重ねてきた
常に流動する砂漠の足場では、うまく動くことがまだ慣れない。
逆にいえばその一点を改善できれば彼らに勝利がグッと近づくだろう。
「チィ…。おい、クソコック!ちょっとだけで良い!時間を稼げ!」
「あぁ!?突然何を……」
このままでは余計に時間を稼がれる。
そう判断したゾロはサンジに呼び掛けた。
さっさと眼前の敵を倒し、ビビ達の援護に向かうために。そしてその姿を見たサンジは一瞬言い返しそうになったものの、彼の姿勢を見て瞬時に気持ちを切り替えた。
「ミスすんなよマリモ!」
「ずいぶんと舐められたもんじゃないかい!」
「な~~~~~め~~~~る~~~な~~~~~」
女性を攻撃することは一切しないサンジではあるが、敵であれば多少なりの対応はできる。
事実、少しの時間を稼ぐためにサンジは時限爆弾をうまいこと誘導し、爆発前に脚で撃ち返すことで反撃を狙っていく。
なれない足場であってもこの短期間の戦闘で彼ら一味は、この砂漠という土壌に適応し始めていた。
「三刀流…龍、巻き!!」
「うおっ!?砂嵐が!」
ゾロの龍巻きによってあたりの砂が一斉に巻き上げられる。
それに驚いたミス・メリークリスマスだがすぐに冷静さを取り戻した。
「確かに視界を埋めちまえば下手にラッスーの射撃は狙いずれぇ。だがそれはあいつらも同じこと!この短時間では早々動けねぇだろ!撃ち込んじまいなMr.4!!」
「うぅ~~~~~~わかっ~~~~~た~~~~」
愛銃ラッスーから放たれる時限爆弾は鉄球並みの重さを持ちながら爆発範囲は大砲並だ。
この場から逃げるまたは迂回して背後を取ろうとしても一面の砂漠。砂に足が取られることでそう簡単に回り込むことが出来ないと判断したミス・メリークリスマスは先に爆弾を撃ち込めばその爆風によって先手を取れると考えていた。
モグラの能力者である己にとって非常に有利なフィールドにいる以上、慌てずに積み状況に持っていけば問題ない。
それは確かに正しいが、今回ばかりは相手が悪かったと言わざるを得ない。
「『
「“バッ”!!??」
Mr.4が弾丸を撃ち込むよりも早く、大気を切り裂く一閃が地面を駆けた。
常人離れした筋力から繰り出される斬撃は、文字通り“飛ぶ”。
もしミス・メリークリスマスが“
しかし彼女は剣士と真正面から相対した経験はなかった。それが災いする。
正確に己を狙った一撃はメリークリスマスを飲み込み、彼女の意識を刈り取った。
しかしゾロはこの技を出すために龍巻きを使用したのではない。
Mr.4は反応は鈍重であるが、行動はその体格に合わず俊敏であり強靭だ。
下手に真正面から挑むよりも確実さを奪い取るため、相手の認識外から攻撃を繰り出すことを瞬時に決め、サンジはそれを察知して行動に移したのである。
「フォ…?!」
「目を放してんじゃねぇぞデカブツ!!」
ゾロが龍巻きを放つその直前。
サンジはゾロの刀に乗り、技と共に上空へその身を放った。
地上で巻きあがる砂嵐よりも視界が確保できるその場所で、勝負をつけに出たのである。
『
「!!!!」
放たれるは踵落とし。
空中で垂直に回転をかけることで威力を増し、完璧なタイミングで叩き込む。
ミス・メリークリスマスが飛んできた斬撃によって倒された光景に驚いたMr.4では即座に対応する事は不可能であった。
脳天から足先の地面にまで伝えられた衝撃。
それは大男を戦闘不能にするには十分すぎる威力であったことは、勢いで巻き上げられた砂の壁を見れば一目瞭然であったのである。
「チッ。ずいぶんと足止めされちまったな」
「だな。環境でここまでやりづらいとは思ってもなかったぜ」
タバコに火をつけて一服した後、方向音痴を連れてサンジは王宮を目指す。
その過程で一緒に行動していたはずのゾロの姿が無くなるのはもはや運命であると言ってもよいだろう。
麦わらの一味
ロロノア・ゾロ & サンジ
VS
バロックワークス
Mr.4 & ミス・メリークリスマス
勝者
ロロノア・ゾロ & サンジ