星熊童子とONE PIECE   作:〇坊主

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「チャンスをもたらしてくれるのは冒険である」
 
 
   by.ナポレオン・ボナパルト
 
 


星熊童子と世界の対応

 

 

「村長!俺たちはもう我慢できねぇ!」

「そうだ!頼みの綱だった海軍が裏切りやがったんだ!ナミがどれだけ必死になって動いてくれてたのかは俺たちが一番わかってる!」

「これ以上奴らに従っていられるか!!」

 

 

 そうだそうだと言いながら村長を説得しに来ている住民はココヤシ村の全員。鍬や鎌を手に取っている。

 

 住民たちが決起する少し前、海軍がこの村にやってきてた。

 そこでナミやノジコ、そして今は亡きベルメールが暮らす家へと押し入ったのだ。それだけでなく、約束を果たすためにナミが貯めていた1億近くになるベリーを全て海軍の権限だと言って奪っていったのだ。

 それはまさに裏切りの行為。仕方なく案内していた村長 ゲンゾウ もそれに対して言葉を失った。

 

 アーロン一味に支配されてから長い年月耐え忍ぶ戦いをすることを選択した村の住民は、これ以上耐えることは無意味であることを悟ったのだ。歯向かったところで勝てるとは思えずとも、行動せずにただ傀儡にされるのだけは我慢できなかった。

 

 

「皆の衆!俺達はアーロン一味が来てから長い間耐え忍んできた!だが俺も我慢ならん!!海軍は頼りにならん!最後の頼み綱だったナミの頑張りも、全て奪われた!!この村の解放という突破口が閉ざされた今、もう希望はない!元より!あの子の優しさを弄ぶあの魚人どもを我々は許さん!行くぞぉぉお!!!」

 

 

『 うぉぉぉおおおおおお!!! 』

 

 

 その時だ。

 村の住民が一致団結して雄たけびを挙げているその時に地面が揺れ、何かが崩壊する音が辺り一面に鳴り響いた。村長達からすれば完全に出鼻を挫かれた形になったために何が起こったのかを冷静に判断することが出来た。

 

 

「・・・え」

 

 

 村人の誰から出た言葉であっただろうか。

 それは個人ではなく、全員の口から出た言葉であったのかもしれない。

 

 村人全員の視線の先には、アーロンパークが崩れ落ちていく光景が映っていた――。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ホントにもう!心配させないでよ!」 

 

「いやいや大丈夫だって言ってるだろう?大した怪我をしてないのだからさ」

 

「そうだけどそうなんだけど!アンタが怪我してるところ見たの初めてなんだから驚くに決まってるでしょ!・・・やっぱりそんなにアーロンは強かったの?」

 

「まずまずってとこだねぇ。少し前にミホークと戦ったせいもあってか苦戦するほどじゃなかったね」

 

「へ―・・・ミホークって?」

 

「“鷹の目”で有名な最強の剣士ですよナミの姉御。姐さんは『バラティエ』で戦ってるんです」

 

「へぇ、そうなんだ!あの七武海で有名な“鷹の目”のミホークと戦ったなんてすごいじゃないアホかぁ!!」

 

「痛っだァ!?!」

 

「「あの勇儀が痛がった!?」」

 

 

 崩壊したアーロンパーク。

 その場には崩壊させた張本人の勇儀だけでなく、ゾロやナミ達。そして無事にクリークを倒してサンジを仲間に連れたルフィ等が合流していた。

 

 無事にアーロンを倒した勇儀に安堵するナミであったが、海上レストランで王下七武海の一人と戦っていたことを知って拳骨を勇儀へと叩きこむ。ツッコミで振るわれたその拳を受けた本人の悶絶にルフィとゾロが揃って驚いた。

 何故か『愛のある拳は防ぐ術無し』という言葉が聞こえてきたが誰もそんなことを言っていないため置いておく。

 

 

「さて・・・アーロンはともかく、こいつはどうしようか」

 

 

 彼女達の前にはネズミと名乗る男を含めた海兵達が山積みにされていた。手柄は全て俺の物的なことを大声で叫んでいたためすぐにわかったのだが、碌なモンじゃない。

 アーロン一味という海賊が市民を支配していたのにも関わらず、海兵が手を出していない時点でここの海軍は黒であると断定。そのまま銃を向けてきた者から掴んでは投げ掴んでは投げ、ネズミという男には特別に『金剛螺旋』を喰らわせた。そのまま海へと飛ばしたのだが伸びた腕によって殴り返され、戻ってきていた。

 

 アーロンと親しい仲であろうこの男、大佐らしいが強さが見合っていない。戦闘能力だと前に戦ったモーガンの方が数倍強いだろう。賄賂で地位を登って行ったと推測できる。

 

 

「そう言えば居たわね・・・」

 

 

 今回の騒動を起こした中心人物の一人であるネズミを見たナミは三節棍で引っ叩いて無理やり起こすと奪われた金を含めた財宝を返せと命令する。

 帰り際に捨て台詞を吐いていたがこちらは海賊が海賊を名乗っている以上いつかは敵対するだろう。

 

 

「これで盗られたお金が帰ってきたら一件落着ってところかね」

 

「ししし、だな!これで仲間が6人(・・)揃ったんだ。偉大なる航路(グランドライン)に行こう!」

 

「・・・!!・・・・・・そういえばあんた達に言い忘れていることがあったわ」

 

 

 ルフィの宣言に驚いた表情をしたナミは観念したように息を吐いた後、ナミはルフィ達の前に立つと頭を下げた。

 

 

「みんなごめん!嘘ついて、そして船も宝も盗っちゃってごめんなさい!」

 

『 ・・・・・・・・・ 』

 

「怒られることを何度もしている私が言うのもおかしいかもしれないけど、ルフィ達の仲間に入れて欲しい。今度は“手を組む”んじゃなく、正式な“一味”として仲間になりたいの」

 

「そんなこと言わなくても、おれ達とっくに仲間だろ」

 

 

 ナミが全員の前ではっきりと自分の気持ちを言い切り、ルフィがはっきりと即答した。

 航海士はナミが良いとバラティエでも言い切っていたため、ゾロやサンジ等は素直に同意。ウソップもナミの過去を知ったために受け入れた。

 

 

「だけどいいのかいナミ?この村は海賊の手から離れたんだ。このままこの村で暮らすっていう選択肢もあるんじゃないのかい?」

 

「いいの。村はもう大丈夫だし、ゲンさんたちがいるから。それに私には『自分の目で見た世界中の海図を描く』っていう夢があるの。そのためにはどうせ海に出なくちゃいけないし、海賊であったとしてもルフィ達の船なら私は信用できる。命を懸けて助けて貰ったんだもの。私もその覚悟ってやつに答えなきゃね」

 

 

 勇儀は思ったことを聞いたのだがナミにはその選択はないらしい。

 アーロンとのしがらみから解放されたためなのか、一段と笑顔が輝いて見えた。・・・正直今は女なのだがドキッとした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 解放された町は夜通しで宴を始めている。

 解放される日が来るまで村人たちは苦汁を飲み干すような生活を続けてきたのだ。解放されたこの日を喜ばない人などこの村には存在しない。

 

 時には笑い、時には歌う。そして時には涙するものもいるが周りの気づかいですぐに笑みへと変わっていく。

 10年もの時を越て、喜ぶのは村人だけではない。海賊として名乗りを挙げ始めた“麦わらの一味”の一同も同じだ。

 

 ルフィは辺りにある食べ物を腹に収め、

 ゾロは傷の治療を受けたあとに酒をたらふく飲んで、睡眠を決め込む。

 ウソップは高台へと昇って周りを盛り上げ、

 サンジは村の女性に声をかけて鼻の下を伸ばしている。

 一番の活躍をした勇儀は宴に直接参加することはなく、家の屋根で宴の様子を肴として月見酒を決めていた。

 

 

「ナミ・・・本気なのか?」

 

「うん。もうこの村は大丈夫だし、私は私の夢を叶えて来る」

 

「ま、アンタならそう言うと思ったわ。あいつらのお陰でうち等もアンタもようやく自由になったんだ。気が済むまで思いっきり伸ばしてきな」

 

 

 そんなアーロンパーク崩壊当日の夜。ナミは村長のゲンゾウ、義姉であるノジコに自分の心情を話した。

 辺りには彼女等以外人はいない。海を一望できるその場所は今は亡きベルメールが眠る高台だ。この場を選んだのは下で眠る彼女への報告も兼ねているのだろう。

 

 この村を出ていくこと。そして自分のやりたいことをこれからしに行くと。

 

 そんなナミに対してゲンゾウは複雑な表情を浮かべていたのだが、ノジコは納得しているのかナミを止めるような発言はせずにエールを飛ばす。

 血は繋がっていないとは言えども思いは伝わる。ナミはそれが嬉しかったのか少々顔に出る照れを隠しながらも笑顔を向けた。

 

 墓の前に座ったナミ達は、村で騒いでいる住民たちの喜びの声をBGMにしながら盃を交わす。

 ゲンゾウの帽子についている風車がカラカラと音を立てながら周り続ける。

 

 風もなく回る風車。それはベルメールが笑っているのを表しているような気がした。

 

 

 

 

 

 

 

 ――――――――

 

 

 

 

 

 

 

 

 場所は変わり世界政府直下の海軍本部へと移る。

 本来であれば定期的な集会などでしか使われることはない大部屋を使用して緊急会議が行われている。

 

 それは近頃活動が盛んになってきた“革命軍”の話から平和な海である東の海(イーストブルー)での大波乱までが話まで。それだけでなく今後の方針も含めての集まりだった。

 

 

「それはつまるところ東の海(イーストブルー)の支部で手に負える一味ではないということか?」

 

「そう言うことになる。東に巣くっていた“アーロン一味”は偉大なる航路(グランドライン)でも通用していた魚人海賊“タイヨウの海賊団”の傘下だった。牙を抜かれていたとは言えどもそこらに出てきた雑兵にやられるとは考えづらい」

 

「それだけではない。情報によれば“ノコギリのアーロン”を倒したとされる女は船長ではない(・・・・・・)とのことだ。これが何を意味するかわかるな?」

 

 

 その情報を聞いて多数の海兵らが騒めき立った。

 大物海賊の船長を名も無き海賊の船員(クルー)が倒す。そのようなことは普通であればあり得ない。

 そして己の実力以上の者を下につける船長など普通の精神であれば存在しないのではなかろうか。自分よりも実力が上であればそれだけ謀反を起こされる危険も高くなっていくからだ。

 

 つまるところアーロンを降した船員(クルー)を下に持つ船長(キャプテン)はより危険な存在である可能性が高い。

 実際に“首領(ドン)・クリーク”は船長とされる麦わらの男に敗北しているところから危険であると判断された。

 

 

「“道化のバギー”“首領(ドン)・クリーク”“ノコギリのアーロン”・・・どれも東の海(イーストブルー)でも上位に位置する海賊団。平均が3百万ベリーの海において初頭の手配から3千万(・・・)ベリー。そしてその船員(クルー)2千7百万(・・・・・)ベリーは異例の破格。ですが決して高いものではないとの判断をしています。これからの悪の芽は早めに摘んで拡大を防がねばならない!」

 

「うむ。こちらにも新たな芽が芽吹いてきているとは言え、問題は東だけではない。南や北だけでなく、ここら一帯でも荒れてきていますからな。頭数が足りなくなってきているのは問題。この判断は良いと思いますぞ。ですな?議長」

 

「はい。確かにこのラインが適切であると判断出来ますな」

 

 

 東の海(イーストブルー)で最近台頭してきたルーキー。その海賊団の名は“麦わらの一味”

 確認しているだけでも6人程度しかいない少人数の海賊団であるが、その中に賞金首としてのリストに挙げられたのは2人。これだけでも異例であり、異常であるこの出来事は先見を見るにあたっての楔としての機能を生み出す。

 もしすぐに狩られるならば良し。例え本当に危険であったとしてもこのようにリストに挙げておけば各支部は動向に目を光らせる。

 

 2人を挙げることを決定づけた面々はこれで話を切り、そして別の話題へと変えた。大変なのは東だけではない。ここ最近になってから各海が荒れ始めているのだ。

 海賊が台頭しているのに倣ってこちらも良い粒が出てきている。

 “海軍の英雄”が期待のある粒を見つけたように、海軍として最悪の事態を回避すべく行動するだけである。

 

 

  

 

  “麦わらのルフィ”

  モンキー・D・ルフィ

  懸賞金:3000万ベリー

 

 

  “剛拳”

  ホシグマ・ユウギ

  懸賞金:2700万ベリー

 

 

 

 

 海軍が出す賞金首のリスト。そこに新たに2人の名が刻まれた。

 最もこの初頭が悪い意味で充てに成らず、後日修正することになるのだがそれはこの場では無意味な話である。

 

 

 

 

 

 この話題に挙がっていた張本人達はと言うと

 

 

「ほらほらほら!!なぁに突っ伏してんだい?さっさと立つ!でないとあと5秒後に『金剛螺旋』(げんこつ)撃ち込むよォ!」

 

「は・・・はっ・・・・・・ッ!お、鬼かてめぇはッ!!」

 

「“鬼”だとも。わかってるじゃないか」

 

「は・・・腹へった・・・」

 

「そうかい。ならすぐに立たないとルフィのご飯は抜きな」

 

「うげぇ・・・」

 

 

 絶賛扱き&扱かれ中であった。

 

 普段であればルフィとゾロが主体で行っていたのだがクリーク戦で思った以上に怪我を負っていたルフィを鍛えるために叩き上げ、そして今回の件で自衛能力を上げるためにナミも巻き込む形で修行を再開したのだ。

 ナミに関しては完全な不運である。決してツッコミの拳が痛かった仕返しなどではない。

 

 そんな修行で一番やる気が高いのは意外にもナミなのが驚きだ。アーロンの一件があったためか本人も力をつけたいのだろうと予想。意欲的なのが良い所だろう。

 新たに仲間に加わったサンジに間食を頼んで一旦休憩することにして、ふと仲間のスペックを考える。

 

 

  船長のルフィ

 大食いで他人とは異なった魅力がある。最も戦闘能力は多少はあれどまだまだ。

 技も単純で見切り易いものが多いためそこの改善などが必要になってくるだろう。

 

  戦闘員のゾロ

 脳筋であり得ないほどの方向音痴。

 筋力は一線を駕す。世界最強を目指すならばミホークに倣って“覇気”を覚える必要も出てくるだろう。しばらくは精進あるのみ。

 

  狙撃手のウソップ

 命中精度はピカイチで船の整備も担っている影の功績者。

 へっぴり腰なのがマイナスだが猪突猛進が船長のこの一味にはいい清涼剤だろう。

 

  料理人のサンジ 

 脚技主体の戦うコック。

 悪くないのだが女に甘すぎるのが心配である。女は死んでも蹴らないと豪語したこともあって修行はとにかく回避能力を上げるのを主にしている。これで生存確率を今後上げていきたい。

 

  航海士のナミ

 彼女の拳骨はかなり強力。無意識ながら“武装色の覇気”が混じっているのではなかろうか?そうでなかったとしてもあれは武器だ。ゴムであるルフィをボコボコにしてたし、かなり痛かった。意外にも一味の最終兵器(リーサル・ウェポン)になりそうな予感。

 

 

 こう見ると自身も含めて癖が強いメンツだ。

 海兵のネズミとの件で目をつけられたのは確実で、いろんな障害が降りかかってくるだろう。当然ながら勇儀だけでは対処しきれないところも出てくる。最もそんなことなくともルフィの行動力にかかれば、喜々として面倒事に首を突っ込んで行きそうな予感がするが気にしたら負けな気がする。

 

 

「みんな聞いてー!『ローグタウン』が見えてきたわよ!」

 

 

 考え事に耽っているとナミが次の目的地を発見した様子。

 偉大なる航路(グランドライン)に入る手前にある町であり、別名『始まりと終わりの町』との事だ。

 

 

「あの町はかつて“海賊王”(ゴールド)・ロジャーが生まれて、そして処刑された町よ。食料や必要な備品なんかはこの町で手に入るからここに寄るわ」

 

「海賊王が死んだ町・・・そっか・・・ならおれは死刑台を見る。よーし行くぞ!ヤローどもっ!!」

 

 

『 うおーーっ!! 』

 

 

 ルフィの掛け声に船員が一斉に沸き立つ。

 一同は海賊王は生まれた町に思いを馳せながら船を進めるのであった。




 
 
 
 
 
 

・ネズミ大佐
 
 見せる価値ないよ!


・魚人 ハチ

 前回出すと言ったな・・・あれは嘘だ。
  

・ホワイト中将&ボルドー少将

「この活躍は勲章モノ。ですな?議長」
「はい。その通り」


・勇儀姐さんの名前

 ONE PIECEの世界で漢字は違和感なので片仮名の方が良いのでは?という意見を取り入れました。錦えもんのように名前が一部漢字なものもいますがそれだと明らかに違和感が出るのでいっその事全部片仮名に。
 実際に記者が名を聞いたとしても星熊 勇儀なんて漢字が出るとも思えなかったのでこのようになりました。てかリストはローマ字だし、いいよね!(錯乱)
 仲間間の呼び合いをどうするかを悩む所。
 

・ナミの拳
 
 どんな相手であれど割合ダメージを与える。ギャグパートであれば能力者・非能力者関係なしに効果的なある意味最強の拳。
 完全な自己設定。でも殴れる航海士って凄いと思う。凄くない?
 
 
・修行
 
 このままいけばウソップやサンジよりもナミが強くなりそうな予感。
 どうなることやら。

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