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星熊童子とゴム人間
東の海は平和な海
ある者は住みやすいと言い、ある者は退屈だと言う
そんな海でも地元じゃ有名な
興味本位で近づいてはいけないよ?
ここの海の主すら近づかない危険地域だ
昔ある海賊船がそこの島に寄ったのさ
島のなにかの怒りを買ったんだろうね
互いに衝突したらしいよ
その日に限っては平和な海なんて存在しなかったね
衝突しあった時、空はパックリと割れていたほどさ
その後何事もなく平和になったが真相はよくわからん
賊が島の主を
近くを通りかかった商船は人影を見たと言っていたが嘘か誠か判断しかねるが、あったことのある海賊はこう言った
あの島には鬼がいる・・・ってね
船を出すならあんたも気をつけな
…ってあんた!その島はあぶねぇぞ!・・・…行っちまった。大丈夫かねぇ?
【星熊童子とONE PIECE】
そこの海岸に座り、瓢箪から盃に酒を注ぎながら海を見つめる女性が一人存在する。
腰辺りまで届く金の髪に和の国を彷彿とさせる着物を身に纏った女性であるが、普通の人間ではない。それは彼女の額に生えた赤い一本角がそれを証明していた。
彼女はしばらく酒を堪能した後に何を思ったのか盃と瓢箪を足元に置いて立ち上がり、その場で海に向かって正拳突きを一回行った。
至極普通の正拳突き。
しかしただそれだけで女性から少し離れた場所で爆発したかのように水柱が上がり、近くを飛んでいた鳥達が一斉に身の危険を感じて飛び去っていっていく。それを確認した後、女性は再び座り酒を盃に注ぎ始めた。
彼女からすれば特にこれといったことをしたつもりはない。ただ海に向かって正拳突きを行った。それだけのことであの結果を生み出したのである。
彼女の名は“怪力乱神”
後に世界の歯車を回すことになる麦わら海賊団に所属し、海軍本部の大将すらも警戒することになる生粋の
よく二次創作などであるような神様転生をした私は孤島で覇気の練習をしながら時間を過ごしていた。前世で男であった記憶や他の漫画などの知識はあるがこのONE PIECEの世界の知識はまるでない。
姿を変えて転生したというよりは生を受けた際に前世の記憶が残っているような感覚だと言ったほうがいいのだろう。
ONE PIECEは日本が世界に誇る超有名な漫画であって、ジャンプを買ったり立ち読みしていた自分からすれば知識が無いということはまず有り得ないことだ。有り得ないことなのだが現にこの場所がどこかも知らず、どうなっているかもわからないという現状に陥っているのだが、勿論これには理由があった。
私自身が神様に頼んだのである。
転生させた神様は別の意味で理不尽だった。
何せ転生させるけどチートしか認めないという、極めて面倒な考えを持っていたのだ。
この世界に転生することを知って、覇気を使えるだけで充分だと告げたら足りないといわれたのが記憶に新しく、どんなチートを得ようかと悩んだものだ。覇気を扱えるだけでもチートな気がするのだが、結局それだけでは許されず、こちらが折れることとなった。
種族ではなく、悪魔の実にしたことに神様は当然渋っていた。しかしこれ以上は無理と頑なに言ったことで何とか折れてくれた経緯があるがそこはどうでもよいだろう。
自分のこの姿は東方projectの登場人物である“山の四天王”の一人、星熊 勇儀。つまり鬼になったのだ。悪魔の実は
そしてなぜか実を食べた後に生えてきた角が消せないのが地味に面倒ではあるが、常時戦闘能力は高くなっているのが救いだろうか。もっとも星熊 勇儀になったのだから角を消す機会なんてないとは思うが面倒なのは面倒なのだ。軽い愚痴も言いたくなる。
そして性格。こちらは鬼というか勇儀姐さんよりになっているのか前世と比べるとさっぱりとしている。
己の身体能力。こちらはただでさえ戦闘能力が馬鹿でかくて強い鬼なのに、身体強化できる“武装色”や周りの状況把握能力が向上する“見聞色”そして気を飛ばしたり威圧できる“覇王色”という不思議パワーまで使えるとあってはチート極まりないと言ってもいいと思うのだ。
初期値が高いだけに神様が転生時に用意したこの島がなければ碌な修行すら出来なかったことだろう。暇だったこともあって鍛えていたのだが、これがなければ前にやってきた海賊に負けていた。あのときは引き分けということになったが、今度は勝つ。シャンクスとか言ったか、彼には知らなかったことを教えてもらった恩もあるし、いずれまた出会いたいものだ。
「回想はさて置き、どうしようかねぇ...」
眼前にはいつも自分が使っているハンモックに寝ている麦わら帽子を被った男。
人の場所を取るなと怒るべきか、寝ていることを尊重してそのままにさせておくべきか少し悩んだが、今すぐに使う訳でもないため後者を選択。お腹を満たすための獲物を探しにその場を後にする。
結局その男が目覚めたのは勇儀がイノシシを捕まえて物理的に調理をしている時だ。
寝起きにも関わらず他人が焼いている肉に涎を隠そうともしない姿勢には苦笑ものだったが、それがこの男の魅力でもあるのだろう。何回か言葉を交わしたが不快にならない。それどころか引き込まれるような魅力がある。なにより嘘を嫌う性格のようだ。とても好感が持てる。
「おめぇなんでこんなとこにいるんだ?」
「私はずっとここにいるからねぇ。ただ気ままに暮らしていただけさ。それよりアンタこそなんでこんな場所にいるんだい?…と、そういや名乗ってなかったね。私は星熊 勇儀だ。アンタは?」
「俺か?俺はルフィ。海賊王になる男だ。ここにいるのはこの島に鬼がいると聞いたからだ!」
ルフィと名乗った男は気持ちがいい笑顔を向けた後、手に持っていた肉を胃に納めていく。ゴム人間になったお陰でなのか顔が凄く膨らんでいたが問題なさそうだ。
「鬼ってのは十中八九私のコトだろうさ。…海賊王…そうかい。夢があることはいいことだね」
「ああ!おめぇはねぇのか?」
「これといってやりたいことなんてなかったからね。夢なんて考えたことなかったよ。強いて言えば強敵と戦いたいぐらいか?・・・まぁ」
現状に満足してたんだろうね。と話しつつ盃を口に運ぶ。
そんな私に何かを感じ取ったのだろう。ルフィはならさとこちらを向いて続きを告げ、それを聞いた私はこう返す。
「おめェ、俺の仲間になれ!」
「別に構わんが・・・私を失望させてくれるなよ?」
そうして盃を交わし、日夜を過ごす。
Dの名を持つ少年と鬼を宿した若き女性が次の日からその孤島から姿を消した。
彼らが世界に名を挙げ、少なからずの注目を浴びる様になる日はそう遠くない。