楽天家な忍者   作:茶釜

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 うずまきナルト。彼は幼少期より自身に宿った存在に並び立つために日夜努力を重ねていた。

 常に術の有効性や特性について考え、新たな術を生み出す才能は父親譲りと言っても良いだろう。いや、それだけではなく、彼の中に残された父、波風ミナトの思念がナルトへと知恵を貸しているのも大きな事だ。

 

 そして、感覚的に術を生み出し、行使する父に対し、膨大なチャクラでゴリ押して術を発動させる母を持ったうずまきナルトは二人の考えを忠実に守り、ある意味恐ろしい存在へと化していく。

 

 彼の師である自来也は既に己の弟子がとんでもない存在だと認識し、色々と達観の感情を持って接している。

 才能という面で言えば、ナルトと共に修行をしているうちはサスケの方が恵まれていると言えるだろう。それでも普通の忍より才能あふれるナルトは影分身と超回復の二つの特性を持ち、うちはサスケを置き去りにするほどの力量を付ける修行を行うことが出来る。

 だが、うちはサスケ自身も写輪眼という三大瞳術の一つを持ったうちは一族だ。彼はナルトが生み出す忍術を己のものとし、その力量を向上させている。

 

 が、流石にナルトが考えついた中でも飛び抜けてふざけている性能を持った術は、ナルトのチャクラ量によるゴリ押しという共通点が有り、サスケは覚えても使うことが出来ない。

 また、特段難しい忍術、飛雷神の術のようなものもうまく使うことが出来ないでいた。恐らくナルトもこの術に関しては文献を読む等で習得は出来なかっただろう。あくまで、飛雷神の術を得意としたミナトと感覚を共有し、チャクラの動かし方や使い方をなんとなく理解したから使えるだけであり、自身で編み出した影分身のように、何がどうやってそうなるのかを理解していないのだ。

 

 そうなればサスケに使えるわけもなく、現状サスケが1番習得したいと考えている飛雷神の術は未習得に留まっていた。

 サスケの写輪眼は相手の動きからある程度先の動作を視認することが出来る。それに飛雷神の術が組み合わされば、言わずもがなとんでもないことに成るだろう。ナルトにはあまり通用しないだろうが、それでも戦い方に多くの選択肢を得ることが出来る。しかし、そう考え修行しようともナルトの言葉は擬音が溢れかえって、正直意味のわからないことになっていた。ギュンって感じでビュンって感じで出来ると言われてもサスケには理解の出来ることではなかった。

 

 それ以外にもサスケには修行の選択肢はあるのだ。飛雷神の術にこだわっている影分身もいるが、大半はチャクラ量増強の修行に取り掛かっている。チャクラとは筋肉と同じで使い、回復をすることでその絶対量を向上させることが出来る。それこそが下忍と上忍のチャクラ量の違いに他ならないのだ。故に幼少期より無茶な修行をしてきたナルトは母をも超えたチャクラを持っているのはある意味当然と言えるだろう。元から多いものが更に増えたのだ。並の上忍では比べる事すら出来ない。

 

 サスケもある程度多く、並の上忍程度、いやそれ以上にチャクラ量を底上げしているが、ナルトのような戦い方をするにはまだまだ出来る程ではなかった。

 それでもチャクラ量の上がるペースは順調とも言える。彼の夢は実現する事も可能だと言える程度には……

 

 

 

 さて、話は変わり、木の葉のある演習場。そこには一組の男女がやってきていた。

 一人は金色の髪に青色の瞳、オレンジ色の装束を着た少年、うずまきナルト。

 一人は二つのお団子の髪に茶色い瞳、ピンク色の袖なしの装束を着た少女、テンテンだ。

 

 二人は丸太を前にあれこれ話し合っている。

 彼らの目的は修行。いや、稽古といった方が正しいのかもしれない。

 ナルトが先日購入した忍刀。その使い方を習うために、その店の店主の娘であるテンテンから扱い方を教わっていたのだ。

 

 

「いい?ナルト。忍刀はまず速さが大事なの。抜く速さ、斬る速さ、どちらも速ければ速いほど忍刀を使う意味が跳ね上がってくるよ」

 

「速さかぁ……」

 

 

 ナルトが背負った忍刀を抜き、チャクラを流しながら丸太へと斬りつける。

 ズバリと音がなり、物の見事に丸太を切り裂くことが出来た。

 

 

「威力は十分。流石はチャクラ刀と言った所ね。でもまだ動作が甘いよ。目がいい忍者なら躱されるね」

 

「そっかぁ。結構速さを意識したんだけどなぁ」

 

「ただ腕力で振ってるからね。でも速さは結構いいと思うよ?後は初動を悟られないようにすれば十分通用すると思うわ」

 

「初動を悟らせないように…」

 

 

 二人の出会いはあの店にナルトが通うようになった事だった。

 鍛冶を営むテンテンの父親、テンクはあまり知られていないことだが、四代目火影である波風ミナトが使用していたクナイを鍛っていた。

 それを実の父親から聞いたナルトは飛雷神の術用のクナイを求め、テンクの店へとやってきていたのだ。

 

 ナルトに関しては思うところはあっただろうが、それでも元常連の息子であり、常連となったナルトを邪険に扱うような事は出来ずに、口では悪態をつくものの、テンクはナルトに目をかけていた。

 そんな折にナルトはテンテンと出会ったのだ。

 テンテンにとっても特に接点のなかったナルトに九尾を宿している事や、大人達が忌み嫌っている事を知らず、会えば談笑する程度の仲となっていた。

 

 テンテンはナルトが下忍でも相当な強さを持っていると知っている。今丸太を斬ったのも初めて忍刀を持ったとは到底思えない程の切り口だった。

 チャクラ刀にチャクラを流す事自体は簡単だが、それに意味をもたせるのは実は難しい。

 

 上忍の猿飛アスマのように鍛え磨かれた技量を持ち、極限まで切れ味を上げるような、試行錯誤が必要となるのだ。

 しかし、ナルトはこのチャクラ刀を手に入れてからまだ日は浅い。それでもその刀身に研ぎ澄まされた風遁チャクラを纏わせ斬り裂いた事は異常といえるのかもしれない。

 

 偏にナルトのチャクラコントロールが優れている事と、父から纏わせるのにオススメのチャクラ性質だったというだけのことではあるのだが……

 

 テンテンにはナルトの才能がとても凄いものだと感じるのは容易かった。もしかすれば同じ班である日向ネジよりも……と。

 

 

 

 




次回より第8班として本格的に動き始めます。

因みにサスケとナルトを離した理由、実は私が二人からものすっごい速度で置いて行かれるサクラを書けないと感じたからです。

サクラ奮起できないレベルだよ……って思います。


あ、でもサスケとナルトのコンビで書く事は決まってます。それまでこの二人のぶっ壊れぶりが露見するのはお楽しみに。

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