ストライク・ザ・ブラッド~赤き弓兵の戦記~ 作:シュトレンベルク
投稿が遅れてしまい、本当に申し訳ありませんでした!ネタが全然思いつかず、どうした物かと思っていたところ、fgoのコラボガチャを引いてみたところ――――
――――アーチャーのアン&メアリーをゲットしました!
いやぁ、テンション上がっちゃって一気に書き上げちゃいました。そんな訳で、少々変なところもあるかもしれませんが、どうぞ!
見たことのない場所に五人の男女が立っていた。その足元には数えるのすら億劫になる程、膨大な量の死体が転がっていた。もし共通点があったとするなら、その死体の総てがまるであり得ない物でも見たかのような表情をしているぐらいだろう。
火事によって出てきた雲によって空は分厚い雲に覆われていた。そして雲からは雨が降り出し、五人の身体を濡らし始めた。その姿は、まるで五人の心境を象徴しているかのようだった。
『……これで終わり、か』
そう呟いたのは褐色の肌に、長身で銀色に近い灰色の髪の男。手元にある双剣を見下ろした後、分厚い雲に覆われた空を見上げた。
『思ったより呆気なかったな。あいつが恐れた相手だし、どんな物かと思っていたけどよ』
その呟きに反応するように口にしたのは、獣のような雰囲気を纏った青い髪の男。苛立たしげな表情を浮かべながら、持っていた赤い槍を地面に突き刺した。
『仕方がないですよ。私たちも、あまりにも大切な人たちを失っているんです。寧ろ、この結果は上々と言うべきなんじゃないですか?』
そんな男を宥めるようにそう言ったのは、元気さと淑やかさが共存しているような茶髪の少女。何とか元気な雰囲気を纏ってはいるが、少女の表情にも影があった。
『主も守れず、上々などと言えるものか。本当に……ふがいない』
そう懺悔するように呟いたのは、金髪の女性。まるで取り返しのつかない物を失ってしまったかのように、女性はただ後悔し続けていた。
『………………』
そんな四人を眺めながら、黒髪の男はしかし何も口にする事はなかった。ただ、他の四人と同じように後悔している事だけは確かだった。何故なら、掌から赤い血が出るほどに悔しがっていたのだから。
五人の表情からは呆気ないという感情と、絶望の色が窺えた。この結果に、誰の顔にも喜びの色は見えず、ただ諦観の表情だけが浮かんでいた。そんな時、二人の女性がその場に現れた。
『良かった……皆、揃っていたんだ』
そう安堵したように告げたのは、ローブを羽織った茶髪の女性。そしてその言葉に同意するように、銀髪の女性が頷いている。その姿を見て、空を見上げていた男はどこか皮肉げに応えた。
『■■■■■に■■■■■■か……今更何の用なんだ?』
『■■■■■……僕は僕にできる事をしていただけだよ。■■■■■■はそのために協力してもらっていただけだ』
『お前にできる事……ね。それで?何かしらの成果を得られたのか……などと問うまでもないか。そうでもなければ、こんな場所には来まい』
『……まず、確認だけど。僕たちは主と彼女を失った』
その言葉を聞いた瞬間、誰もが顔を歪めた。自分の不甲斐なさ、無力さ、そしてどうしようもない程に代えがたい、現実の無常さに。それでも彼女は言葉を紡ぐ。それが必要な事だと自覚しているが故に。
『そして君たちがその仇を討った。これで、一先ずは事態は完了したと言えるだろう』
『何もかもが終わったなら……それは確かに完了というのでしょうね』
そんな黒髪の青年の声に、誰もが沈んでしまう。それほどまでに、失った者は七人にとってとても大きな存在といえた。だが、茶髪の女性の瞳にはまだ光が残っていた。
『でも、希望が総て潰えた訳じゃない』
『……なに?』
『主から■■の遺産を受け継いだあの子は既に眠りにつかせた。主の魔具は世界中に散らしておいた。後は、後の時代の者たちが遺産を完成させてくれることを祈る他ない』
『つまり、お前は何が言いたいんだ?そんな将来任せの行為が、本当に希望になるのか』
『――――なる。そして、だからこそ僕たちもまた、希望を将来に繋げておかなければならないんだ。その為に、これを用意してきたんだから』
そうして、■■■■■と呼ばれた女性は懐から何かを取り出した。それが何なのか確認しようとした瞬間、光景は別の場所に切り替わった。そこは先ほどとは異なり、自然豊かな場所だった。
砦のような場所に先ほどの褐色肌の男が立っており、ただじっと何かを見ていた。そんな男の元に、銀髪の女性が近付いてきた。そして声を掛けられ、ようやく男はその存在に気付いた。
『■■■■■……』
『うん?■■■■■■か……もう撤退の時間か?』
『うん……■■■■■は何を見ていたの?』
『なに、大した事ではない。我々が見てきた物とは違う物が多いからね。どんな物も興味深く映ってしまうのだよ』
『そう……なの?』
『ああ。私は今まで、これほどまでに自然豊かな場所という物を見た事がなくてね。精々、写真で見た事があるぐらいだよ。だから、なのだろうな。この光景には胸に響く物がある』
『そっか……』
『……さぁ、もう行こう。これ以上、長居し続ける意味もあるまい』
そう告げながら男が立ち去ろうとした瞬間、女は男を引き留めた。何かと思って振り返ると、そこには大量の兵器が砦に向けて驀進していた。その光景に、男は目を見開いた。
『馬鹿な……あれほどの軍勢を見逃すはずがない。いつの間に現れた……!?いや、今はそんな事は重要ではないか。アレらを撃退する。手伝え、■■■■■■!』
そこで意識が浮遊する感覚に襲われた。そして気付くと、真っ暗な空間の中に俺と瓜二つの姿をしている男がいた。しかし、その事に関して、特に驚く事はなかった。
『よう、お目覚めか?』
「……さっきのは一体何なんだ?」
『おいおい、何かなんてお前さんだって分かってるだろ?分かっている事を質問すること程、無駄な事はないぜ?』
「そうか……やっぱり、
『そういう事さ。さぁ、もう戻った方が良いんじゃないのか?そんなに時間は無いはずだからな……』
そう言うと、俺の前から姿を消した。真っ暗な空間は真実、俺一人しかいない空間になった。上から光が降り注ぎ、その光を見上げながらぼそりと呟いた。
「あぁ……分かっているさ。そんな事はな」
分かっている。俺がしなければならない事も、今見ていた光景の意味も。もう、この運命から逃れる事も不可能だという事も。総て分かっている。だが、それでも、俺は……。
そして目を覚ますと、携帯が震えているのが見えた。メールかと思って見てみれば、そこには大河からの着信が着ていた。どういう用件か、大体予想はつくが一応通話ボタンを押した。
「もしもし?」
「士郎……頼みがあるんだ」
「一応、訊いてやる。それで、なんだ?」
「……夏音を、助けてやってくれ。士郎に言われて、俺も色々と調べたよ。でも、俺には夏音を助けられるだけの力が無い。でも、お前にはあるだろう?だから……頼む!」
「……分かってるのか?俺にできる事なんて限られてる。どうやったって、穏便な方向で終わらせるなんてことは出来ない。お前は、それで良いのか?」
そう、俺はあくまでも戦士でしかない。だからこそ、打てる手は限られてしまっている。誰かを傷つける事でしか、俺のような人種は結果を得る事ができない。
「それでも、だ。お前なら、夏音を救ってくれると信じられるから。大体な、相棒の事も信じられずにこんな仕事が出来るかっての」
「……はっ、言うじゃないか」
こういう所は凄いと思う。内心は怖いと思ってるくせに、それを隠そうとしない。その上で、俺の事を信頼しているなどと抜かす。俺には到底出来ない事だ。
「……良いだろう。お前の依頼、このアーチャーが承った。お前は精々、大船にでも乗ったつもりで待っていれば良いさ」
「お前こそ言うじゃないか。そんだけ大口叩いといて、連れて帰って来なかったら大笑いしてやるからな」
「言っていろ。悪いんだが、一日か二日は家を空ける事になると思う。だから、その間はお前のところで美遊を預かっておいてくれ。悪い子じゃないが、手間をかけるかもしれん。その時はよろしく頼む」
「こっちが依頼するんだ。それぐらいは面倒みるさ。それで、まずはどうするんだ?」
「決まっているだろう?何の手がかりもないのなら、まずは――――」
「まずは?」
「――――本丸に突撃するに決まってるだろ」
「……脳筋かよ」
失敬な奴だな。
それから場所は移り、メイガスクラフト社を訪れていた。ここは夏音さんの養父である叶瀬賢生が務めている会社だ。産業用の
「まぁ、目的には予想がつくがな」
そうして会社の中に入って行く。赤い外套にマフラー、なんていう絃神島の気候的にありえない格好をした奴が入れば当然目立つ。まぁ、それが目的なので構わないが。
「……いらっしゃいませ、当社にはどのようなご用件でしょうか?」
「叶瀬賢生殿に会いたいのだが、いらっしゃるかな?」
「申し訳ございません、叶瀬は現在島の外にある研究所におりまして……いつ戻るかはこちらも存じ上げてはいないのです。それと、失礼ながらお客様は……?」
「おっと、失礼。私はこういう者でね。叶瀬殿には私が調査中の事件に関係しているようでね。少々話が聞きたいのだが……」
Cカードを見せるようにかざし、チラッと視線を向ける。俺の言いたい事が女性にも伝わっているのか、黙って俯いていた。このまま睨み合いを続けていても、事態は好転しないか。さてはて、どうしたら良いものか……。
「あの、お客様」
「なんですか?何か叶瀬殿と連絡を取る手段でもあるんですか?」
「いえ、実は叶瀬と会いたいと言う方がもう一組いらっしゃいまして。よろしければ、お客様もご一緒に如何ですか?」
「ふむ……」
明らかに罠……だが、他に手段がないのも事実。虎穴に入らずんば虎子を得ず、とは言うがどうした物か。いや、待て。このタイミングで叶瀬賢生に会いたい?そんな奴は限られている筈……まさか。
「もし、よければその叶瀬殿に会いたがっている者の事を教えて貰えるかな?」
「はい?獅子王機関の方ですが……」
また……またあの二人なのか。何故、あの二人はそうやってトラブルの渦中に突っ込んで行くんだ。頼むから、もうちょっと自分の力に対して自覚を持ってほしい。こっちの胃を潰すつもりか。
「あぁ、分かった。同席させてもらう。それでは案内してもらえるかな?」
「かしこまりました。それでは、こちらにどうぞ」
そうして受付嬢の案内の元、用意されていた飛行機に乗り込んだ。そこには予想通りの面子が乗っていた。つまり、
「あ、アーチャー!?お前、どうしてここに……」
「それはこちらのセリフだ。お前は本当に自分の力に対する自覚を持っているのか?みすみす、火中の栗に手を突っ込むなどアホのする事だぞ」
「あの、アーチャーさん……」
「君も君だ。この男の保護者なら、巻き込まないように立ちまわるのが君の役目だろうに。これでは、君がその役割を任じられた意味がないだろう」
「そ、それは……」
「もう良い。これ以上言っても詮無い事だ。それで、操縦士は君という事で良いのかね?」
「おっ、もう話は良いのかい?」
「構わん。これ以上話していても仕方がないからな」
「そうかい。俺はロウ・キリシマ。まぁ、よろしく頼むぜ」
「こちらこそ、と言っておこう。案内してもらうのはこちらなのだ。多少操縦が荒くとも、こちらは文句など言わんよ」
「ハハハッ。そりゃあ、安心だな。それじゃあ、出発するぜ。全員、シートベルトはちゃんと着けとけよ?」
そう言いながら、ロウ・キリシマと名乗った男は飛行機を動かした。道中、姫柊さんが怖がっていたので、暗示をかけて眠らせた。その様に暁先輩は驚いていたが、相手をするのも面倒なので無視する事にした。